千本ノックの開始
おはようございます。6月25日、土曜日です。英語の歴史を研究しています。堀田隆一です。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。毎朝6時更新です。
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本日は、久しぶりになりますが、英語に関する素朴な疑問、千本ノックの第7弾をお届けします。
では、方々から寄せられてきました、英語に関する素朴な疑問にどんどん答えていくということをですね、やってみたいと思います。千本ノック開始。
まずは、doesにはなぜesが付けられているのですか?という質問なんですけれども、これはですね、goなんかもそうですね。goの場合にはesというs語尾を付けるわけですね。
名詞の複数形のsも同じでですね、potatoに対してはesを付けたりするわけですね。必ずしもそうでもないんですけど、例えばpianosっていうのはそのままsを付けるだけですよね。
結構これ難しいんですけれども、動詞の三単元っていうのも、基本は原則はoで終わる動詞にはesを付けるということになっています。
一見すると妙な規則で、そのままsを付ければいいじゃないかと思われるかもしれませんが、これはつづり字の関係なんだと思うんですよね。
そのままsを付けるとdosのようになるわけですね。あるいはgoesであればgosのようになって、dosとかgosのような一つの単語があるんではないかというふうに勘違いされやすいということで、doなりgoなりですね。
ここが語感部分で、そしてes、eを付けることによってes、これが三単元語尾なんだということで、語感と屈折語尾の区別がつきやすくなるという視覚的にですね、スペリング上という理由があるんだと思うんですね。
それでoで終わるような単語動詞でも名詞でもですが、sを付けるときにはesとしたということなんだろうと思われます。
発音の違い
ただ、dasの場合はですね、このなぜesがつくのかという問題よりも面白いのは、なぜこれでdasと読むんだということですね。原型はdoなわけですよ。
これにesなりがついたらですね、doosとなりそうなんですが、dasとなるというのが、これまた別の疑問ですけれども、これも面白い話題ですね。
実はもともとですね、文字通りdoというのもdoですからdoと読んだんですよ。これにesがつくとdoosとなったわけですね。原型のdoの場合はこんな音の変化を経ました。つまり、do、doo、これで終わりなんですけどね。
で、dasの場合はどうなったかというと、doosから始まります。doos、doos、doos、dasというこのような変化をたどってですね、今dasになってしまっているということなんですね。実は似たような経路が過去分詞形のdanにも当てはまります。don、doon、doon、danという流れですね。
では、次の素朴な疑問に移ります。どうしてアメリカとイギリスでは発音が違うのですかという、これは極めて素朴な疑問だと思うんですけれども、一言で言えば方言だからということですよね。日本語でも英語でも様々な方言があって、方言ごとに発音というのは異なります。かなり大きく異なるという場合もあるくらいですよね。
実際にはイギリスの中、あるいはアメリカの中でもですね、様々な方言があって、一様なわけではありません。ただ大きくイギリスの標準英語とアメリカの標準英語っていうのを比べる機会っていうのはやはり多いですね。2大変種、英語の2大変種ということで注目度が高いので、標準的なイギリスの発音と標準的なアメリカの発音ということで比較すると、確かにrの響きであるとかですね。
母音であるとか、細かい違いはいろいろとあります。方言の違いというのは、英語の歴史をひも解くと背景がいろいろわかることが多いんですけれども、アメリカ英語っていうのは17世紀最初にですね、イギリスからいわゆる聖教徒革命の結果ですね。聖教徒ピューリタンたちがイギリスのある地方からアメリカに移り住んだ。
そこで初めてイギリスの植民地ができて、それが拡大したのが今のアメリカ、アメリカ合衆国ということなんですけれども、17世紀前半のイギリスのある方言話者ですね。この集団が移り住んだということで、イギリスのとある方言がアメリカに持ち込まれたことになります。
ただ、その後のアメリカの移民の歴史っていうのは複雑なわけで、様々な地域からですね、イギリス内の様々な地域、あるいはスコットランドからアイルランドから、そしてヨーロッパからというふうに、様々な発音上の癖を持つ人がアメリカに渡って、そこで新たな国を築いたということですので、アメリカ英語の発音もですね。
ベースとしてはイギリスのとある方言、ここに基づくんですけれども、それに様々なその他の影響がかぶさり合って、今のような発音になったということで、イギリスの方言発音を色濃く残しながらも、そこに改編が加えられたということで、現在の英米さ、発音の英米さっていうふうになってるんですね。
ですから一見するとですね、アメリカ英語の発音っていうのは基本はイギリスにあったというわけですから、イギリスの発音から少しそれていったというふうに理解できそうなんですが、実はですね、この17世紀以来、当然イギリス側の英語でも色んな変化が起こっています。発音の変化が起こったりしています。
するとですね、イギリス英語では伝統的な歴史的な発音が変化の結果失われてしまったけれども、17世紀の段階でアメリカに持ち込まれた当時のイギリスのある方言の発音ですね。これなんかは結構アメリカの方がよく残しているっていうようなこともあるんですね。
例えば典型的な語末のRの発音ですけれども、アメリカではスターという独特の巻き舌発音のRが出ますけれども、イギリスでは標準発音ではスターというふうにRの音色が出てこないわけですが、これはですね、アメリカのRの発音、独特のRの発音は実は17世紀の段階ではイギリスにも基本的にあったっていう発音なんですね。
つまりアメリカ発音はより古い発音を保持しているということになります。
ざっとまとめますと、この400年の間ですね、イギリス側でもアメリカ側でも独自の発音の変化が少しずつ起こっていった結果ですね、ベースとしては17世紀前半時点でのイギリス英語のとある方言の発音っていうのがベースになっているには違いないんですけれども、
その後の変化というのもあって、結局イギリス英語、アメリカ英語、発音の違いが生まれているということなんですね。
名詞の使い方
次の質問です。
なぜ、I like catのように裸の名詞を置いたらダメなんですか?ということですね。
これ普通猫が好きって言う場合は、I like catsという風に、総称的にですね、猫全般が好きという意味で複数形にすることが一般的だと思うんですね。
I like catsっていうことです。
そしてよく言われるのは、このまま無関係でですね、I like catsという風に言うと、これ、キャットの猫の肉が好きです、みたいな意味に解釈されるということがよく言われます。
ちょうど例えて言えばですね、I like cowsと言ったら、牛が大好き、動物としての牛が好きだっていうことなんですが、I like beefって言うと当然、牛肉が好きっていうことですよね。
このcowsとbeef、この場合、単語が違いますし、とても分かりやすいわけなんですけれども、catの場合は、単語は同じ形を使うんですけれども、この無関係で使うか、複数形で使うかによって、ちょうどこのbeefとcowsのような関係がですね、表現できるということなんですね。
I like catsって言うと、数えられる単位としての、1匹2匹と数えられるものとしての猫というイメージは吹き飛んじゃうんですね。
そうではなくて、無関係と言っただけでですね、この瞬間に、もう数えられる単位として数えられる猫のイメージは消えてしまって、そうなると、じゃあ代わりに何が思い浮かぶかっていうと、典型的には猫の肉みたいなことになるわけですね。
もっといい例を今思い出しましたが、これ、I like chickenって言うときには、無関係、これは鶏肉なわけですが、I like chickensと複数形で言うと、これは鶏という、あの鶏が一般的に好きだという意味ですよね。
その辺りで考えると分かりやすいと思うんですが、ですので、普通ですね、猫は好きというときには、I like catsを使うわけで、I like catとしたら別の意味になってしまうからダメなんだっていうことなんですが、じゃあなんでダメなのというのが元々の質問でした。
これはですね、詰まるところ名詞にですね、加算名詞、加算名詞的な使い方と不加算名詞的な使い方っていうのが、どうして英語ではこんなにうるさく分かれてしまっているのかっていう質問になると思うんですね。
これには一言では答えられないんですけれども、古英語、中英語の時代には、まだこの区別、加算名詞、不加算名詞という区別はまだ未文化だったと、その区別が芽生えてはいたんですけれども、まだ未発達という段階だったんですね。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日は素朴な疑問を3つ取り上げましたけれども、何せ即興で答えていますので、細かいことまではですね、入り込めないんですが、大体ですね、今日は使った3つの話題につきましては、ヘログの方で過去に書いていますので、そちらへのリンクをチャプターに貼り付けておきたいと思います。
寄せられた素朴な疑問がですね、ある程度溜まりましたら、こういう形で1000本ノックとして取り上げていきたいと思っていますので、ぜひお寄せください。その他放送へのご意見、ご感想等も寄せていただければと思います。
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では、良い週末を。また明日。