ポープクエスチョンの分析
おはようございます。英語の歴史の研究者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月8日、木曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日の話題は、久しぶりに千本ノックです。
英語に関する素朴な疑問 千本ノック パート13、13回になりますかね。これまでお寄せいただいていた質問がですね、たまってきておりまして、なかなかお答えする機会がありませんでしたので、ここでですね、何件か紹介していきたいと思います。本日もどうぞよろしくお願い致します。
それでは千本ノック開始したいと思いますけれども、まずはですね、これ8月中にいただいていた質問なんですけれどもね、遅くなりましたがツーボーさんからです。
いつも楽しく聞いています。法王の質問、ポープクエスチョンに関する質問です。
質問された話し手が、その質問に対して答えが明らかな別の質問で答える文なのですが、主にどのような場面で用いられているのでしょうか。また、文学作品等でも用いられているのでしょうか。面白い例があれば教えていただきたいです。
これを私は詳しくなくてですね、ポープクエスチョンって言うんですか。典型的には、御要論の話題なんかでよく取り上げられますよね。例えば、今回提示していただきました例文ですけれども、
太陽は東から昇るの?というのに対して、質問で返すというものですね。その典型が、ローマ教皇はカトリック教徒なの?ということですね。このように形だけ見ると噛み合っていないわけでしょうね。疑問文に対してイエスなりノーなり、あるいは別の反応を示すというのが筋なんですけれども、
そこにあえて別の質問を出すと。しかも答えが明らかな質問を出すことで、願意としては、そんな当たり前のことを聞くなよというような意味合いになるわけですよね。これですね、主にどのような場面で用いられるのかということなんですが、
インフォーマルな会話の中で、そんなことを聞いてどうすんの?当たり前でしょというような場面なんだと思われるんですけれどもね。さまざまなバリエーションがありそうではありますよね。調べればたくさん出てくるんではないかなという気がするんですけれども、私自身、体系的に調べたり集めたりしたことがないので、直接はお答えできないんですが、いつぐらいからこの手の、一種のジョークに近いようなものです。
あるのかであるとか、文学作品等で有名な例があるのかということですね。すみません、直接お答えはできないんですが、これ私も面白そうだなと思うので、アンテナを張っておきまして、何か面白い具体例みたいのがありましたら、また報告したいなというふうに思います。
念のために少し、その御要論上の機能という観点から解説しておきますと、これはですね、強調の原理という、グライスという哲学者がですね、提唱した考え方がありまして、これはこのボイシーでもつい先日ですね、452回です。
強調の原理、会話を成り立たせている暗黙のルールと題して、簡単に解説しました。その強調の原理というのは4つの行為からなっているんですけれども、質の行為、量の行為、関係の行為、要体の行為ということなんですね。
そのうちの3つ目、関係の行為というのは、相手が言った、例えば疑問文でですね、疑問を発したんであれば、それに対して答えるのが筋であるというのが関係の行為、関係性の行為ということですね。英語で言うとbe relevant、会話の流れが寛容的である、関連したものである、そういう会話の流れを作り出すのが筋であるという、そういう発想ですね。
そこからすると、この手のポープクエスチョンというのは逸脱しているということになりますよね。疑問に対して疑問で答えているわけですから。ですが、この逸脱しているというところがポイントで、なぜ逸脱しているのかということを聞き手に想像させるわけですね。
表面的には逸脱しているけれども、真意としては逸脱していないんだろうと、そういう読みをむしろ促すんですね。そこで結果として何をバカな質問、答えのわかっている質問をするんだという推測をするわけです。
このような含意が浮かび上がってくる、推測されるっていうことは、本来守るべき強調の原理、とりわけ今回の場合は関係の合理を逸脱しているからこそ、それがマーカーとなって、そのような含意、推測が可能になるんだと、そんなふうに説明するわけですね。
ツーボーさん、ありがとうございました。
スラングと神の名
次に、9月5日に投稿いただきました。
槍を振り回すおじさんからです。
おはようございます。質問です。
オーマイガードとかジーザスとかオールロードとかのキリストまたは神の名を言うことを関東詞として使う表現のバリエーションは全部で何種類あるでしょうか?ということですが、スラングも含めますと、これは相当数に上ると思うんですね。
これも体系的にリストアップしたわけでもありませんし、それこそ省略形も含めてかなりの数に上るのではないかと。
さらに歴史的な表現ですね。今は使われるかわからないけれども、例えば中英語あたりは、神の名にかけてというような表現ですよね。
これアセベレーション、聖言と訳していますね。
誓いの言葉と書いて聖言、アセベレーションって言うんですが、これは祈りの時に本来は神に助けを求めるっていうところからスタートしたんですが、みだりに神の名を叫んではいけないということですね。
これが汚い言葉というふうに認識されるようになりました。
つまり宗教的タブーの一種っていうことですね。
それでもやはりスラングなどでは使用が絶えなかったようで、それどころか様々な表現が生まれたということで、現代では比較的スタビになっている。
昔ほどはバリエーション実はなくなっているのではないかと思われますが、やはりスラング的な響き、タブー的な響きをもって使われるということはあると思うんですね。
挙げてもらいましたゴード、ジーザス、ロードというのが確かに典型かと思いますが、古くはですね、これをそのまま唱えて感動詩というよりは、バイとかトゥーとかオンのような、
全知事を伴ってそこにゴードとかマイゴードのような言い方が続く、あるいは神の体の一部であるとか所有物っていうんですかね、こんなものに引っ掛けることが多いですね。
例えば、ゴッドウーンズ、これは神の傷ということですね。ゴッドブラッドなんていうのもありますし、ゴッドフットというのもありますし、ゴッドボディっていうのもありますし、ゴッドデフというかなりショッキングな語であるとか、体の部位の語なんかが伴われることが多いと思うんですけれども、
これに全知事を前に添えることによって、神の傷に誓ってとか、神の血に誓ってというような、ただ神というよりもですね、語数が長くなる分、余計にある意味下品であるとかスラングっぽいタブーっぽい響きを持つということで、このバリエーションを含めると本当に多様だと思うんですね。
ゴッドの代わりにジーザスという単語を使うこともできますし、ロードもあります。
さらに、その遠距く表現っていうのもありますね。ズバリ言ってしまうと、やはりあまりにどぎついということで、例えば、ゴッドズウウーンズだったら、GOの部分、最初のGOの部分を省略して、ドゥーンズとか、ズブラッドとか、スフット、Sにフットですね。
ゴッズフットのところ、スフットとか、スボディース、スデスのような言い方で、それぞれ、ゴッズフット、ゴッズボディ、ゴッズデスのような言い方。これも、いわば遠距く表現としてですね、短縮することで遠距く表現を作ったっていうことなんですが、こうしたものも含めると、さらに数が増えてくる、種類は増えるっていうことですね。
先にも少し触れましたが、この手の表現っていうのは、後期中英語大きくらいからですね、タブ性を帯びて汚い言葉として非常に多く使われるようになったんですけれども、近現代にかけて、とりわけ現代にかけてはですね、この正言、アセベレーションは減少してきています。
その分、種類もですね、全体としては減ってきているというふうに考えて良いのではないかと思います。もちろん今でも使われ続けてはいるんですけれども、再生期は終わったという感じですね。
その代わりに何が現れてきたかというと、これが性的・身体的なもの、そしてさらに近年では職業名であるとか、人種的なもの、いわゆるヘイトスピーチみたいなものですね。人種や国籍のようなものに引っ掛けて、相手を罵倒する、汚い言葉を使うというものが一般的になってきています。
放送の締めくくり
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
1000本ノックと言ってもですね、2つしか答えられませんでしたけれども、ゆっくりゆっくりと1000本目指したいと思いますけれども、このチャンネル英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
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それでは、今日も良い1日になりますように。
ほったりうちがお届けしました。
また明日。