2025-06-08 09:58

heldio #323. 中山匡美先生との対談 singular "they"

#英語史 #英語教育 #英語学習 #単数のthey #代名詞
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サマリー

中山匡美先生との対談では、シンギュラー勢の現象について、19世紀の英語における使用状況や性別による使い分けの歴史が探求されます。この対談を通じて、言葉の進化と規範文法の変化に関する理解が深まります。

シンギュラー勢の理解
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 本日は中山匡美先生との対談ということで、
現代的な話題でもあり、近代英語の200年ほど前の話題でもあるというところに注目してお話を伺いたいと思います。
中山先生おはようございます。おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。
中山先生とは色々とお付き合いをさせていただいて、大変お世話になっているんですけれども、今日はこのボイシーにも来ていただいてありがとうございます。
このボイシーもちょろちょろと聞いていただいているようで、ありがとうございます。
まず勉強させていただきます。
いつか絶対にお呼びしたいなと思っていましたので、本日楽しみにお喋りさせていただきます。
中山先生は大学などで英語学等の授業を持つなど専門で教えられていますが、
専門業位と言いますとどのあたりになるのでしょうか。
ボイシーと言っても、現代英語に最も近い後期近代英語ということで、それもまた後期近代、18、19世紀なんですけど、
私は19世紀の主に小説を題材にして、博士論文ではその小説を資料に題名詞の文法変化を研究しました。
19世紀と現代英語ともかなり違っているという、いろんな発見があってよかったんですけれども。
私も著書を拝読いたしまして、非常に面白い題名詞、認証題名詞という、非常に頻度の高い日常的な語に注目するだけで、しかも本当に時代は離れてないんですよね、感覚としては19世紀ですから。
ですが、微妙に使い方とか使い分けっていうのが、深く掘るとこれだけ違うのかっていうことを気づかされて、大変面白いなぁと思うんですけれども。
後期近代英語、18、19世紀の中でも後半ということで、ますます我々にとって身近だというのが第一印象なんですが、
例えば、ご専門の認証題名詞ということで言うと、近年の英語の話題として、このOACでも話したことあるんですが、シンギュラー勢っていう現象ありますよね。
あれなんかは、例えばその19世紀あたりはどうなっているんだろうっていうことをちょっと思ったりするんですけれども、シンギュラー勢っていうのは、復習をいたしますと、いわば非、非のような、男女というふうに決まっている題名詞があるわけなんですが、
最近ではですね、LGBTっていう問題もありますし、しかも例えばサムアンって言ったときに、当然男女もわからないでサムアンって言ってる場合に、Cでどっちかに決めて決め打ちして使うっていうのは妙なもんだっていうことで、性の定まらない、性を濁せるような題名詞が欲しいんだけれども、英語にはないと、単数の場合ですよね。
ですが、ゼイを使って逃げようっていう発想ですよね。本当は複数なんですけども、ゼイっていうのは、だからこれは背に腹をかえられるみたいな感じで、ゼイを使っちゃおうみたいな。これ最近話題になったんですよね。
話題になりましたね。これ、2019年、アメリアムウェスターズワードオブツイヤーに選ばれて、最も調べられた語彙として、チェックされたですね。インターネット上の範囲で調べられた。
なるほど。あれですね、新語対称、流行語対称みたいなのがありますが、新語というよりはね、実は古い単語。流行語みたいな感じですね。そこに注目された時期があったんでしょうね。
そうすると、これは最近の現象だとよく言われて、注目度も高いんですが、中山先生のご専門の19世紀であるとか、18世紀も含めて、近代語記は、これ状況、ゼイを使うことはなかったんですかね。例えばサムワンとか、不定のものに対して、キー、シーじゃなくて、ゼイを使うっていうのは、やっぱりなかった。
答えを先に言いますと、ありました。でもね、規範文法が、規範心が一番強かったのが19世紀。この間、小田先生もお話しされたと思うんですけど、その規範文法ではダメなんです。
規範文法では、単数で受けなければいけない、という規範文法があるんです。基本的にはヒーとか、典型的にはヒーで、ゼイはダメっていうことなんですね。
使うなら、ヒーはシー、またはキーに代表させる、ということで、規範文法ではもう単数で言ってください、ということなんですね。
なるほど。じゃあ19世紀のこの規範文法では、そういうルールだってことになってたっていうことなんですね。
あの作品を調べて、私は行ったときに、女性の作家と男性の作家がいまして、その使い方のパーセンテージ、ゼイを使うパーセンテージが全然違ったんですね。
女性の方が圧倒的にゼイが多い。これが文法違反なんですよ。文法違反を犯してもゼイを使っている。
言葉の進化と変化
これはなぜかというと、シーでいいですよね。男性ばかりの集まりを指して、その中でエブリワン、ヒーで、それは問題ない。これは女性作家もきっちり守っているんですよ。
人間みんな誰でも、という時には必ず男性女性が入りますよね。これをヒーでくくらえるのは嫌!という強い気持ち。
極めて現代的な、現代の問題になっているようなジェンダーの問題を、そのままとっくり百数十年、戻していたところで、そんなことが早くも行われていたってことですか?
90%近くはゼイを使っていますね。
これ、男性はどうなんですかね?
男性も意外と50%。
違反なんですよね?
違反なんです。
意外とみんな使ってたってことですか?
使ってたんです。女性も多いのはわかるんですけど、男性も女性に比べて後半になるほど増えてきている。
やはり心理的に、非は何となく不自然と感じられるものは、いくら批判文法が多数ですって言っても、自然な方に言葉というものは収束していく。
これは数値で示されると結構ショッキングではありますね。
そうですね。
そういうことだったんだ。
批判というとガチガチで守らなければいけないものだっていうふうに、特に日本の英語教育なんかだと批判を守るわけですよね、当然。
ルールは文法ルールということで。
ですが実際にはそんな状況だったんですね。
そうなんです。こういう現象は結構あるんですよ。
なので批判文法、今で言えば学校文法にそんなに縛られなくてもいいと逆に考えると。
なので言葉は生きていてどんどん変わっていくので、それが言ってるからと縛られすぎるっていうのもまた不自然な感じがします。
そうですね。日本人学習者は大体批判文法というものに縛られて学習してきたということが多いんじゃないかと思うんですが、文法も変わりゆく水物ということですね。
中山先生、本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
09:58

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