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2024-11-23 09:49

heldio #126. 英語には性別を区別しない共性の3人称代名詞がない!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #代名詞 #ジェンダー #社会言語学 #ポリコレ
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サマリー

英語には性別を区別しない三人称代名詞が不足しており、この問題は英語の文法上の課題として議論されています。特に、さまざまな代名詞が提案される中で、シンギュラーtheyが新たな解決策として受け入れられています。

英語における性別の問題
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしています。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回の話題は、英語には性別を区別しない共性の3人称単数代名詞がない!
という話題です。 これは何のことかと言いますと、3人称単数の代名詞というと、まあひいしいいっとってのがありますね。
人の場合、男か女かで、ひいあるいはしいというふうに使い分けるわけですよね。 ですがこれがですね、
昨今、性を、性別を明示したくないであるとか、する必要がないといったときに、このあしかせとあるんですね。ひい、しいをひっくるめた3人称単数代名詞。
これがあるとですね、便利なわけですが、英語には伝統的にないということなんですね。 複数形は実はありまして、ありましてと言いますか、複数形3人称代名詞はぜいですよね。
このぜいというのは、男も女も、あるいは人じゃないものもひっくるめて、ぜいと言って、ある意味、それ自体では性を匂わさないわけですよね。
ところがひい、しいという単数形に限っては、明らかに性を示しているわけですよね。 これを濁した形で、曖昧にした形で表現する方法というのがないということです。
日本語の場合ですね、あの人とかその人とか、あるいは主語を言わずに適当に濁す方法はあるんですが、英語は主語であるとかこの代名詞というのを省略することはできないので、ひいかしいかしか選べないわけですよね。
The personというのも非常に変な言い方ですし、やはりひいかしいかということですね。
そしてこの時代になってですね、これが厄介な問題になってきた。ひい、しいを、性を濁せるような言い方というのが英語にはないものかということなんですね。
そういった共性ですね、共通の性。共性の三人称、単数代名詞が欲しいという文脈は結構日常でもありまして、例えばですね、このラジオに興味ある人はいつでも私にコンタクトくださいというような場合ですね。
If anyone is interested in this radio, he can always contact meというふうに、従来はこのheみたいのを使ってきたわけですね。つまりif anyoneと言っているわけですから、これは男でも女でもあり得るわけですが、男で代表させてこれ、he can always contact meみたいに言うのが一般的だったわけですね。
近代ではこれが言わば文法的な決まりとして言われてきた。ところがこれはですね、このanyoneというのは女性も含む、あるいは別の性も含むわけなので、これをheでですね、決めかかって支持するというのはどんなもんかという議論が出てきたわけですね。
そこで今の文ですね、もう1回見ますと、If anyone is interested in this radio, he can always contact meという場合の、heに変わる強制の代名詞、これは何かないものかということで、実はいろいろな代名詞が提案されてきたんですね。
最近です。これはもちろん造語と言いますか、作ったもので、ちょっと無理やり感があるものが多いですね。例えばですね、heとsheで共通する部分はですね、いいという母音部分ですよね。それをとっていいとしようであるとか。
音源なのは、heをsheという言い方ですね。ただこれ、今までhe、she、1音節で済んでたものが、heをsheですから、これ3音節、少し省略しても2音節ということで、これしょっちゅう使うだけにですね、代名詞が2音節とか3音節というと、とってもめんどくさいんですね。これ流行るもんではありません。
他にはですね、いろいろその路線なんでしょうね。ほうとかですね。まんではなくてもんであるとかですね。他は何でしょうかね。パーソンっていうのを代名詞で使ってしまうであるとか、あと書き言葉ではこれ見られるんですが。
s-heってやつですね。これ何て読むのかわかりませんが、cをheとか読むんですかね。あるいはheをsheとか。書き言葉だといいんですけど、話し言葉ではこのs-he、これ何て読むのかよくわからないわけですよね。それからですね、さらにわからないのがxeと。
heでもなくsheでもない。xのものだっていうことで、xeっていうのも面白いんですが、これ何て読むのっていうところですよね。ということでですね、中場ジョークみたいに提案されてきたものがあって、どれ一つ結局はですね、あまり流行らない。
書き言葉でs-heであるとか、非常に正式な場合にはちょっと面倒くさいんだけども、heをsheという言い方ですね。これぐらいがいいところで、これぞというものはですね、提案されなかった、あるいは受け入れられなかったっていうことなんですね。
そうするとどうするのかということになってですね、まず大元の単数形の文だと、このhe、sheの問題が出るんだけれども、複数形だとxeで逃げられると。つまりどっちも含みますよね、男も女も。そして濁すことができるという意味で、全体をですね、例えば複数形の文で書き換えてしまえばいいんじゃないかと。
例えばですね、先ほどの部分は、if anyone is interestedみたいに言うから問題なんであって、例えばちょっと工夫してですね、言うにしちゃうとかね。
If you are interested in this radio, you can always contact meであるとか、少しいじって、those who are interested in this radio can always contact meみたいに、those whoみたいに複数形にして、この問題を回避するっていうことですね。性の問題を回避するっていうことも、つまり文全体を書き直そうというような提案もあったりした。
いろいろと試されてきたわけなんですけれども、試みられてきたわけなんですが、最終的にどうやら最近落ち着いてきているのは、単数だけれども、xで受けてしまうという発想ですね。
数の一致という点では文法規則を犯すことになるんだけれども、文脈上ですね、意味が取れなくなるっていうことはないわけですし、このthey、本来複数形ですけれども、男性女性というのを濁せるという特徴を持ったこのtheyを有効利用しようということですね。
なので、if anyone is interested in this radioのように、anyone isと単数形で言っても、主文ではthey can always contact meみたいに言おうと。
これ意味がわからないわけはないので、保守的な文法化っていうのは、これに対して批判的な態度を取ったりしてきたんですが、実際に決着としては、なかなか他にも試したけれどもいいものがない。
シンギュラーtheyの流行
これも文法的に言えば、ある程度ぎこちないっていうのも事実なんですが、これは慣れてしまえばということで、最近はかなり一般的になってきていまして、これをシンギュラーthey、単数のtheyなんていう言い方で最近は呼んできて、かなり一般的になってきてますね。
このシンギュラーtheyっていうのは、実は2015年のアメリカの英語流行語大賞に選ばれたんです。
新語では決してない、つまりtheyなんていうのは非常に古くからある単語なわけなんですけれども、新しい用法、新しい使い方が生まれた、そしてまさに時代の要請に応えた単語の用法だということで、シンギュラーtheyという方が持ち上げられて、2015年の英語流行語大賞になりました。
これは男女を濁すという他に、男でも女でもないといういわゆるLGBTとかLGBTQのような、最近の流れ潮流に乗っかったある種の語法だということで、もてはやされたシンギュラーtheyと言われてるんですね。
ただ一つ述べておきたいのは、このシンギュラーthey、この時代の流れで、今脚光浴びてるんですが、これは実は古くからずっとあるんです。調査ぐらい、中英語の時代からシンギュラーtheyの用法っていうのはあって、決して新しいものではない。
ただ注目を浴びる、脚光浴びるようになったのが、この現代の潮流の中で脚光浴びるようになったということで、実は古いんですよね。それではまた。
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