短縮形の疑問
おはようございます。英語の語源が身につくラジオ、ヘルディオのパーソナリティ、そして英語の歴史を研究しています。
堀田隆一です。8月6日土曜日です。 今日の話題は、英語に関する素朴な疑問の一つですけれども、
なぜ that is の短縮形の that's はあるのに this is の短縮形はないのという問いです。これに迫ってみたいと思います。よろしくお願い致します。
本題に入る前に、雑談のチャプターをちょろっと挟み込みたいと思うんですけれども、昨日8月5日金曜日はいくつかのことがありまして、
まず昨日の配信なんですけれども、431回ヘログをやめることができませんということでですね、
Voicy のハッシュタグ企画に乗る形でこれだけは譲れないというテーマなので、こういうお題で喋ったんですね。毎日この英語史ブログヘログであるとか、
姉妹版であるこのVoicy の音声版ブログというべきものですね。これのネタはすでに尽きていて、毎日自転車創業だみたいな話でですね、いわば弱音みたいなものを吐いて、毎日結構大変だというような言い方をしたんですけれども、
そこでですね、応援のコメントをいろいろいただきまして、ありがとうございます。頑張ってください、応援していますというような、非常に温かい嬉しい心強い言葉をいただきまして、今日もこうして続けることができるということですのでね、本当にありがとうございます。
そのような配信をした日だったということとともにですね、お昼に大変楽しいおしゃべりのランチ会、ランチ会と言ってもおそばの店だったんですけれども、これをですね、YouTubeを一緒にやっております同僚の井上いっぺ先生、それから現代の言語学のポピュラライザーと言っていいと思うんですけれどもね、
ゆる言語学ラジオのパーソナリティの一人ですね、水野大輝さんとおしゃべりする機会を持ちまして、お昼から昼下がりまでじっくりと言葉について言語についてお話しする機会を持ちました。
3人の言語オタクが集まったということなんで、これ、3人の中ではですね、これ楽しいに決まってるんですね。いろんなことをお話ししました。
今をときめくゆる言語学ラジオと言いますと、ポッドキャストとかYouTubeが有名だと思うんですが、一応配信プラットフォームとしては、このVoicyからも配信されているということで、ある意味では同業者と言いますか、このVoicyのパーソナリティ仲間ということにもなるわけですけれども。
いろいろ話してですね、やはり言語オタク、言語が好きだという連中が集まって話をして、そしてYouTubeなりこのVoicyなりブログなり、他のさまざまなメディアありますけれども、発信しているのは、やっぱりこの面白さを伝えたいっていうような必信だっていうことはですね、みんな同じだと思うんですね。
立場は多少違ったり、世代が異なったりっていうことはあるかもしれませんが、この私のVoicyの番組でも、英語の語源というですね、あるいは英語の歴史という観点から少しでも言葉の面白さを伝えると伝えていきたいという、そういう思いでやっておりますので、改めてですね、この番組よろしくお願いできればと思います。
英語の音素配列
今日の本題はですね、素朴な疑問です。なぜ、that isの短縮形としてthatはあるのに、this isの方には対応する短縮形がないのですかという質問ですね。
これはですね、KO英語史フォーラムという、内輪でやっている英語史のコミュニティみたいなものを勝手に作ってやってるんですけれども、その中でさまざまな質問が飛び交ってくるんですけど、そのうちの一つなんですね。
この質問、ただですね、最近こういう形で現れてきましたが、だいぶ前にも数年前にもですね、学生からか誰からか忘れましたが、質問寄せられたことがあるんですね。それでブログなんかで答えたんじゃないかなと思い込んでいたらですね、調べたらどうも書いていない。
これについて何も答えらしきものをしていないということを気づいたので、改めてこれはまともに取り上げようと思った次第です。省略形ということで言いますと、thatの場合THATですね。これにアポストロフィーSということで、アポストロフィーの問題が絡むんですね。
これちょうど前回の井上一平さんと一緒にやっていますYouTubeの46段ですね。先日水曜日にアップされたものなんですが、これでアポストロフィーについて語ってるんですよ。ですが、このTHATとかTHIS ISのこの問題については触れていないので、ここでちょうど補う形にもなりますので、注目したいと思うんですね。
THATに限らず、他には例えばITSもそうですよね。IT ISが省略されて、ITSということになるわけなんですが、それだったらTHIS ISのほうも対応させてTHISと書いた後にアポストロフィーSと、そのような短縮形省略形っていうのがあってもおかしくないんじゃないかと。ところがないわけですよね。
なんでなんだろうという、これ本当に素朴な問題意識だと思うんですね。私もかつて英語勉強したときにこの疑問を思ったと思うんですよ。ですが、ないもんなんだというふうに納得させて飲み込んだタイプの質問だと思うんですね。
それが後に英語の歴史を勉強したりいろいろやる中で、今ある種の答えと言いますかね、一つ考えられることがあるというふうに久しぶりに思い出したという感じでもあるんですけどもね。
この問題への迫り方っていうのはいくつかあり得るんじゃないかなと思うんですね。どれが正解不正解というよりはいずれも有効で、いろんな考え方見方をすると、このたわいもない本当に純粋な素朴な疑問もなかなか面白い問題に見えてくるかと思うので、いくつか紹介してみたいと思います。考えてみたいと思うんですけれども。
まずですね、that isとかit isですからisなんですよね。これはbe動詞で非常によく使うので、アクセントとしては弱くなる、弱く発音されるっていうことですね。isっていうのは弱くなるとどうなるかっていうと、まずiの部分が曖昧母音、しゅわーになるんですね。
みたいになるんです。そしてこのような曖昧母音っていうのは英語の歴史の中では大抵消えてきます。弱くなりすぎて結局脱落しちゃう。完全になくなっちゃうっていうことなんですね。
that isっていうのが本来の形ですが、これが弱まってthat isになって、この曖昧母音もなくなるとthat's、thatの後にすとかずって音になるわけですよね。これが結局tの音とsの音ですね。これが包まってthat'sという形になるわけです。
it isも同じですね。it isだったものがit isになり、そしてit'sということで最終的にこの母音が消えてしまうので、というtsで表される音に省略されるんだと。その省略されたんだよということを表示するためにアポストロフィーをつけるということですよね。ここは比較的理解しやすいんではないかと思います。
ではthis isの場合どうなるかと言いますと、これも途中まで一緒なんです。つまりthis isとはっきりと母音がiで発音されていたのが曖昧母音化してthis isになりますね。this isになります。
そして最終的にもしこのうという母音がですね。that'sとかitsの場合と同じようになくなったらどうなるかというとthisになるわけですよ。thisのすとisが短くなった、そして最後の音が残ったすっていうのがssというのが2つ続くことになりますね。
ですですただのですではなくてですが2回発音される結果として聞こえとしてはすが2倍の長さでと持続するというような形になります。
これはこれであってもいいんではないかっていうのは一つの見方なんですけれども、実は英語ではですね。同じ音説内に2つの同じシーンですね。同じシーンが2つつながるこれ重心って言います。重なるですね。重心というのは同じ音説の中にですね。認められないっていうのが大原則なんです。
短縮形の理由
言えないことはないです。発音できないってことはないです。ですというふうにすの長さを2倍持続させればいいわけですからこれが整理的に不可能というわけではありません。ただ言葉には音素配列というのがあってどういうわけか発音はできるけれどもこの組み合わせはダメとかこの組み合わせはokというものが各言語ごとに決まってるんですね。このルールっていうのが。
各言語に特有の音素配列のルールがたくさん実はあるっていうことです。例えば日本語で言うとで始まる言葉っていうのは許されないっていうのも別に言えないわけではない。
整理的に発音できないわけではないんで始まる単語を持つ言語なんていくらでもあるわけですから、そして人の口の形整理的なですねその期間の形っていうのは同じ人類として共有していますので決して発音できないとかしにくいっていうことではないですね。
ただ各言語に音素配列というものが備わっているあるということこれ自身も歴史の中で変わるということは十分にあり得るんです。
ですが英語の場合長らくですね同じ音説内に同じシーンが重なるっていうこと重心っていうのを許さない言語なんですよ。
なのでthis isが短くなったらこれthisの後にthisというふうに重心になってしまうんですね。これをよしとしないということで省略形はないんだということですね。
これが一つ音素配列の観点からの説明ということで説明といいますか英語では重心がとにかくダメなんだよという絶対的なルールがあるっていうこと。
これによってですねthis isが短縮化することがブロックされるという考え方ですね。
したがって音素配列の観点から言うとですねこの素朴な疑問に答えるとするとthat isとかit isの場合はたまたまthatとかitの語尾がtで
そしてisが短くなった場合のシーンはすとかずということでこれが同じシーンにならない。
tとsで違ったシーンだっていうことなのでこれは接続できるのでthat isということなんですがthisの場合このthisという代名詞それ自身が末尾がsで終わるわけですよ。
そして次に来るisも短くなるとこれすとかずの音になってしまうということでここで重なってしまうということがこれが結果的にダメ出しされる理由ということなんですね。
短縮形の違いの考察
ですのでもしこれを意味する代名詞がthisではなく例えばthatみたいなねtで終わるものだったらこれthat isこれが詰まってthatとなっていたと思うんですね。
たまたまこれがthisとsで終わっている単語だからこそ省略形が存在しないとこのように答えることができると思います。
今回のこの問題は短縮形ということがポイントになっていますのでスペリングで考えちゃうことが多いと思うんですよ。
短縮形の場合にアポストロフィーがついてアポストロフィーsになるわけですね。
thatっていうのはthatでアポストロフィーsだけどthisにアポストロフィーsっていうのはないので対立が際立っている。
thatにあるのになんでthisにはないのかっていうそういう問題意識になると思うんですね。
スペリングに誘われているっていうところがあるんですけれどもこれ少しですね視点を変えるともっと面白くなってくるんですよ。
どういうことかというとですねこのthatとかthisが今回問題になりましたがこのtheっていうthサウンドをkの音に変えてみましょう。
kとかcで典型的に綴られるkの音です。
そうするとcatsとkissesになるんですよ。
スペリングはそれぞれcatsつまり猫たちですよね。
それからもう一つのほうはkissesですからkiss口付けです。
k-i-s-s-e-sということですよね。
この問題と実は全くパラレルだっていうふうに感じるとあまりここは皆さんツッコミ入れないと思うんですよ。
なんでcatsはそのままsがついているのにkissesはesなんですかというのはまた別軸の問題としてもしかしたら質問が来るかもしれないですね。
これ全く同じ話なんです。今回のthat thisの問題とcat kissの問題。
isの省略形ではなくて今度はですね複数形のsっていう話なんですが結局同じことです。
cats kisses複数形の語尾ももともとはisなんかと同じで母音がsの前にあったんです。
つまりb動詞のisはisですけれども複数形の語尾はesで綴ったんです。
ですがこの母音の部分の違いっていうのはですねb動詞のisと複数形語尾のesっていうのは母音こそ違いますが結局これ弱くなるんで例の曖昧母音になるんですよ。
なのでcatessだったものがcatessになるんですね。
そしてこの曖昧母音がcatの場合にはなくなるんでcatsになるわけですね。
一方kissの場合はkissesという風になったんですね。
語尾のsがですね濁ってsになるんですがkissesその後に母音が曖昧化してkissesになる。
そしてこのまま流れに従って母音が脱落するっていうことになるとやはりkissesという風にsの後にもう一回sが続くことになってしまうっていうことになって重心になっちゃうんですね。
やはりこれも阻止されることになります。
英語の絶対的なルールとして重心はダメということがあるんで曖昧母音が脱落するということが阻止されるんですね。
つまり残るっていうことです。
kisses、catsの場合には母音は残らなかったけれどもkissesの場合には母音が残ったっていうことになります。
また同じようにthat isからはthatという風に母音が消えましたけれどもthis isの場合は母音が消えるという仮定そのものがブロックされて阻止されてthis isつまり包まることができないっていう状態なんですね。
なのでapostrophe sで書かないっていうことなんですがそもそもapostropheが関与しない複数形の語尾の場合にはこの違いっていうのがもう少し通りから離れて分かってくるのかなっていう気がするんですね。
今回のcatsとkissesの話です。
言ってみればですからcatsっていうのもeの部分が省略されてcatsになったんですよ。
なので気持ちとしてはcatと書いた後apostrophe sこれがあれば一貫していたと言いますかね省略されているものにapostropheがつくんだという機能は保持されるっていうか一貫して保持されるわけなんですけれども英語ではそうなっていないっていうことですね。
ということで今回の素朴な疑問については一つ教訓がありましてなぜ短縮形はあるのにthis isの対応する短縮形はないのという質問でした。
猫とキスの複数形
極めて素朴で純粋な質問だと思います。
ただ英語字の観点から見るとthat isのisの省略というのといわゆる名詞の複数形の本来はsだったんですけれどもこのaが消えて今すとかずという音になっている。
あれが完全にパラレルなんだっていうことに英語字を学ぶと気づけるんですよ。
なので今回の質問をですねパラフレーズと言いますかねパラレルな別の疑問質問に差し替えるとどうなるかというとなぜキャットの複数形はそのままsをつけてキャッツなのにkissの複数形はkissesのようにesをつけるのという複数形のsの付け方の問題に還元できるのか。
ということなんですね。
全くパラレルで同じ問題なんです。
thatとthisの問題は実はキャットとkissの問題なのであるということですね。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきまして本当にありがとうございます。
今日の話題はですね一度くらいヘログブログの方で取り上げていたかなと思ったんですがどうも取り上げていなかったということで図らずも新しい話題ということになりましたが英語詞の物の見方と言いますかね。
ある素朴な疑問を別の同種の別の疑問に差し替えて考えるとかこれ関連付けられるんだというふうな今まで注目してなかった2つの異なる現象がですねパッと通じ合うというようなそういう発見が多いっていうのが英語詞の魅力だと思うんですね。
このような素朴な疑問というのは本当にですねインスピレーションの源泉と言いますかね疑問があって初めて思考が始まってそこから面白い発想であるとか意外な解決法が開かれるというようなねそういうことかと思います。
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では皆さん今日も良い1日になりますようにほったりうちがお届けしました。また明日。