2025-10-21 24:16

#458. Let's --- の4種類の否定形 ー どれを使えばいいの?

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #否定
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サマリー

ポッドキャストエピソードでは、英語の「レッツ」の4つの否定形について話されています。「レッツ」とは何か、各言い方の使用状況や歴史的背景について詳しく説明されています。このエピソードでは、英語の否定形である「レッツ」と「ドント」の使い方について考察がなされます。また、語用マーカーとしての役割や歴史的変遷についても触れられ、リスナーからの質問をきっかけに興味深い洞察が展開されます。

ゼミ合宿の計画
おはようございます。英語の歴史の研究者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月1日、木曜日です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
いよいよ9月になりました。大学もですね、今月後半からではあるんですけれども、学期が再開されます。
そして、学期が再開する前にですね、ゼミ合宿なるイベントもありまして、普段は泊まりながらですね、1泊2日とか2泊3日ぐらいで行くんですけれども、この施錠でなかなか泊まりにはいけないということでですね、大学のキャンパスで9時、5時で2日間みっちりといろいろと勉強したり、
セッションを開いたりということをやるんですね。普通の授業みたいな感じなんですが、普通の授業とはやっぱり違うんですね。1日一緒に過ごして、濃密に学ぶという機会ですね。
さまざまなセッションを用意しているんですけれども、実はこのVoiceでの生配信をですね、活用しながら、一般の皆さんにも公開するというようなちょっとしたイベントを考えています。こちらについてもまたですね、少し近くなりましたらご案内したいと思います。そちらのほうも楽しみにしていただければと思います。
さて、英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日お届けする話題は、リスナーさんからいただいた質問に答える形でお話ししたいと思います。
レッツ〜〜の4種類の否定形、どれを使えばいいの?です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
一昨日いただいた質問です。リスナーのツーボーさんからです。読み上げます。
いつも楽しく聞いています。質問です。何々しましょうという表現のレッツ〜〜の否定形は3種類あるかと思います。
例えば、レッツプレイサッカーという文の否定形は、レッツノットプレイサッカー、ドーントレッツプレイサッカー、レッツドーントプレイサッカーとなると思いますが、
これら3つの歴史的な変遷はどのようになっているのでしょうか。またネイティブの語用が一般化されて使われているのでしょうか。よろしくお願いします。
ということで、レッツの否定という話ですね。
これはなかなか面白いところをついてきたなというのが第一印象なんですけれども、そして痛いところをつかれたなという気もしたんですね。
この問題、私はあまり気にしていなくてですね、このヘルディオでも、それからブログの方でも扱っていなかったので、確かにこれバリエーションあるけれども、歴史的な経緯というのはどういうことなんだろうというふうに思いました。
ツーボーさん、非常に貴重な、そして面白い質問ありがとうございました。
でですね、正直私も歴史的な経緯っていうのは分からないんです。おそらくですね、この辺りの問題は論文化なんかで書かれているんではないか、明らかにされているんではないかと思うんですけれども、この数日ではその文献と探すことができませんで、また詳しいことが分かったらですね、何らかの方法でお返し、詳しくお話ししたいと思うんですけれども。
当面、この問題について私が考えていること、そしてちらっとに過ぎませんが調べたことについて、中間報告するという形でお話ししたいと思うんですね。
まずですね、現代英語の現状っていうことなんですけれども、レッツプレイサッカーを例に取り続けたいと思いますが、3つの言い方があるというふうにご指摘いただきました。
Let's not play soccer. Don't let's play soccer. Let's don't play soccerということですね。
現代の英文法の方を見ますと、もう一つですね、もう一つと言いますか、いわゆる省略形でないLet usという、Let'sの元の形を使って、Let us not play soccerみたいな言い方ですね。
これもフォーマルではあるんですけれども、使われるということで、一つのLet'sに対する否定形として、これも感情に入れたいと思うんですね。
そうしますと、全体で4つあるっていうことになります。
Let's not play soccer. Don't let's play soccer. Let's don't play soccer. そして、Let us not play soccerということですね。
この4つについて考えてみたいと思うんですけれども、まず現状としてはですね、一番固いフォーマルなのが当然ながら、Let us not play soccerのように、全てを省略せずに言うって言い方ですね。
そして、notの位置はあくまでLet usの後、あるいはプレイの前、動詞の前という言い方ですかね。
これは最も固いフォーマルな例ということでですね、公文として一つ確立しているということです。
そして、おそらく一番標準的なのが、そして英語教育でも普通これが教えられているんではないかと思われるのが、Let's not play soccerという言い方ですね。
これが勧誘を意味するLet'sの否定の形であるというふうに標準的に言われていて、一番普通で無難な言い方ということで、これは間違いないですね。
なので、私たち英語を学習する者としてはですね、これを覚えておけば一つ、少なくとも発信する時には最も無難で正しいと言いますかね、さすがりのない表現ということになります。
これはお勧めということになります。
そして、面白いのが残りの2つですね、don'tってのが出るということですね。
まず、Don't let's play soccerということですね。
この言い方はイギリスでの口語、インフォーマルな口語においてよく使われるということなんですね。
ある種わかりやすいんですよ。Don'tで始まってくれているので、これ勧誘を否定しているんだなっていう合図となって、Don'tですね。
で、Let'sの省略形ですけれども、ということで文法的にもかなっていると言えばかなっているわけですね。
Don't let's play soccerという言い方で、これはイギリスの口語、インフォーマルな口語でよく使われるっていうことなんですね。
一方、このDon'tとLet'sの位置が逆転した、Let's don't play soccerという言い方です。
これは厳密に文法的、統合的に言うと何ともおかしな公文のように聞こえます。
Let usですよね。この後にDon'tっていうのは普通あり得ないような語順なんですけれども、
これもですね、先ほどのDon'tを前に出すイギリス型のDon't let's play soccerほどではないですが、Don'tと入っているので、
確かにNot以上に、さらにですね、否定、否定の勧誘という雰囲気がちゃんと伝わるという意味で、そこそこの有効性と言いますかね、機能的ではあるのかなというふうに直感はするんですけれども、
これ実はこのLet's don't play soccerという言い方ですね。これは今度はアメリカの口語的インフォーマルな表現なんです。
イギリスとアメリカでDon'tの位置が違うということですね。いずれもフォーマルには使いません。あくまで口語でインフォーマルな文脈でそこそこよく使われるようなんですね。
歴史的な観点からの考察
イギリスのがDon't let's play soccerです。そしてアメリカがLet's don't play soccerということになります。
さて、これが現状としての使い方、使い分けの分布ということなんですけれども、歴史的にはどうなのかということなんですね。これが私もまだですね、詳しく調査していないのでわからないことが多いです。
ただ、今の段階でわかっていることを調べたことについて報告なんですけれども、私このLet'sの表現に関しては直接ではないんですが、
実は関連する表現と比較する形でチラッとその歴史を追ったことがあるんですね。そしてこのLet'sという言い方そのものは近代英語記にできてきているというもので、そんなに古くからあるわけではないですね。
とりわけこの省略形のLet'sが省略されたLet'sという形自身はそんなに古いわけではないと。そこまではわかっていたんですけれども、では否定形はどうなるのかということについてはちゃんと調べたことがなかったんですね。
ですが先ほどのLet'sそのものが表れたのが普通に使われるようになったのが近代英語記ということは、否定文も当然同じように近代英語記に発達したものであり、そしてDon't Let'sとかLet's Don'tというのはおそらく初期近代英語というよりは後期近代英語、この2、300年のことなんじゃないかなというふうに検討をつけました。
そこでこのまさに後期近代英語記と言われる1700年から1900年、18、19世紀ですね。このあたりをターゲットとするコーパスがあります。
クルメットというCorpus of Late Modern English Textsというですね、こういうコーパスがありまして、このバージョン3というものを持っていましたので、ちょこちょこっとこの問題について今回の問題について調べてみたんですね。
その結果だけ報告しますけれども、このコーパスは厳密に言うと1710年から1920年ですかね。この210年を70年ごとに区切って、第一期、第二期、第三期というふうに分けているんですけれども、一番まず多いと言いますか、普通に使われているのはLetters Notという、今ではかなりフォーマルな、つまり省略しないバージョンですね。
Letters Not。これが一番よく使われているんです。前時代を通じてですね、この3期を通じて。ただ、1期から3期にかけてですね、少しずつ減ってきています。これ面白いところなんですが。
じゃあ、代わりに何が来たのかというと、その省略形そのままであるLetters Notというわけではないんですね。これは実はあまり現れないんです。つまり、おそらくはこの100年ぐらいに発達した言い方がLetters Notなんではないかというふうに考えられるわけですよ。
そして、Let's Don'tというのは一切ありません。これ、実はイギリス英語のコーパスなんで、当然といえば当然なわけですけれどもね。最後にDon't Let's。これが、なんと、第1期から第3期にかけて進調してくるんです。
まとめきれずに終わりましたので、もう1チャプター継ぎたいと思うんですけれども、改めて、クルメットというコーパスで確認できたことの概要をお伝えしますと、まず、もともとはこの後期近代英語記、18世紀、19世紀ですけれども、スタートとしてはLet Us Notという、今となっては堅苦しいような表現が一番普通だったということになります。
そして、これが包まったLet's Not、今では普通の言い方なんですが、これはおそらくです。今回の調査、コーパスでの調査で分かった限りということで、これがファイナルではありませんが、Let's Notという今では普通の言い方は、おそらく20世紀以降、この100年ですね。この100年にぐんと発達してきた表現であるということです。そんなに古いものではないということが推測されます。
そして、Don'tを使う2つの表現なんですが、Let's Don'tという、いわゆる今アメリカ的とされる表現については、今回のクルメットというコーパスがイギリス英語なので、アメリカ英語のことについてはまだ全く分からないという状態ですね。ちゃんと調べていないという状態ですので、ここでは置いておきたいと思います。
そして、イギリス英語の今、わりと今後では普通によく使われるDon't Let'sという言い方なんですが、これが後期近代英語の3期の区分のうち、第1期、そして第2期、さらに第3期にかけて少しずつ増えてくるという状態がですね、コーパスから確認できました。
Let'sとDon'tの歴史
第3期、大雑把に言うと19世紀ということなんですけれども、19世紀後半ですね。この時期にDon't Let'sという言い方が、わりとよく現れるようになってきたということは確かめられました。
大変面白いですね。やはりこの2、300年の間にですね、Let'sの言い方のバリエーションが増えて、そして各方言、アメリカとかイギリスとか、方言によって少し傾向は違う方向に出たようなんですけれども、
ちゃんとですね、現代につながるようなバリエーションっていうのは、すでに19世紀、20世紀あたりに出てきたんだなぁと、そんなことは何となく見えてきました。
そして今回ですね、質問をいただきましたツーボーさんによりますと、おそらくとりわけLet's Don't Play Soccerみたいな、アメリカで普通の言い方、口語的に普通の言い方のことを念頭に置いているのかもしれませんが、語用が、
本来語用から始まったものが一般化されたんでしょうかというような質問があったと思うんですね。これなんですが、使われているとそもそも語用ではなくなるという特徴が言葉にありますので、スタートがですね、語用だとかそういう言い方はできるのかもしれませんが、私はあまりそういう考え方をしないでですね、
言葉が変化したと、ただそれだけで、そこに語用とか声用という価値観をあんまり含めずに考える傾向があるんですね。言葉の変化であるとか、英語の言葉の歴史を見ているとですね、どうしても変化のほうが普通というか当たり前になってきますので、あまり語用とか声用という考え方しなくなるわけなんですけれども、
今回の場合もですね、語用というよりは、例えば、Let's don't play soccer っていうのは、統合的、文法的に明らかにおかしいわけですよ。Let's の後に、not play soccer なら、わかるんだけど、don't って、なんでここに来るのっていう話になりますよね。
一つの考え方は、このLet'sであるとか、Don't、この省略された形なんですけどね、これがもう本来の統合的な役割を果たすわけではなくて、ただ、Let'sであれば、勧誘という発話行為を導くための一つのマーカーに過ぎないんだっていう解釈になってくるんだと思うんですよ。
プラグマティックマーカーと言うんですけれども、語用マーカー、語用標識に下がるっていうんですかね、この下がるとか上がるっていうのも価値観を含むので、あまり使わないほうが良いかなと私は思ってるんですけれども、とにかくですね、本来統合的な意味を持っていたものが、語用標識になっていくっていうのがあると思うんですね。
同じように、Don'tっていうのもそうで、本来はDo notということなわけなんですが、あまりによく使われるうちにですね、実際それだから縮まってDon'tと短くなってるわけですけれどもね、これ自体が統合的分析の対象になるというよりは、一つの否定命令文だよということを示すマーカー、語用標識になっているんだろうと思うんですね。
そうしますと、Let'sもDon'tも両方とも語用マーカーとするとですね、その順番っていうのは少なくとも統合的に支配されるような、そういう順番、意識された順番というわけではない。
単に語用マーカーになったんだと。で、2つともですね、語用マーカーになったんだと。考えると、どっちが先だっけなぐらいな話になるっていうこともあり得るんじゃないかと思うんですね。
実際ですね、Let'sなんかを統合的に分析していない証拠として、Let's usとかLet's me do itみたいな言い方ですね。Let'sのつがusとして分析されないような例っていうのも見受けられるようになってきてるんですね。
すでに統合的な現象というよりも、語用的な現象になってきているんではないかと。それがLet'sであり、Don'tなんではないかということです。ここまでを私考えてみたんですけれども、ただあまりにまだ証拠といいますか、調べた量が少ないですので、あくまで4、80%はですね、私の今のところはスペキュレーションということです。
これからも調べてみてですね、何か分かったことがありましたら、またフィードバックしたいと思います。ただ本当に面白い問題といいますかね、意表をつかれた問題ということで、ツーボーさんにいただきました。
語用マーカーの意味
これもVoicyをやっていて、私も非常に刺激を受ける瞬間といいますか、こういうやりとりを通じて、いろいろ言葉について、英語について考えるのが大変楽しいですね。ありがとうございました。
ツーボーさん、またよろしくお願いいたします。ここ数日でいただいたコメントを紹介いたします。
455回の放送、ショップとストアの語源という回ですね。これについてSNさんからコメントをいただきました。
うんちくと実用性が両立していて、若い方にも進めやすい回ですね、というコメントをいただきました。
SNさん、ありがとうございます。
私ですね、だいたい英語詞という話がうんちくですので、うんちくのほうに偏ることが多いんですね。
実用性もあるというふうに気づけば、それをもちろんアピールしたりするんですけども、だいたい黙っているとうんちくのほうにどんどん流れていくということで、
確かに言われてみると、このショップとストアの今回の話題は、現代の英語の話ですし、それから英語の英弁さという話ですので、かなり実用的だよなというふうに指摘いただいてですね、
そうだよなとわかったぐらい、実用性には鈍い感覚しか持ち合わせてないということなんで、
そうか、若い方にも進めやすい回なのですね、ということで、これは若い方に進めていこうと思った次第ですね。
私も普段、大学生を相手にして、若い方を相手にしているはずなんですが、この辺が鈍いので、英語詞の面白さもいまいち伝えきれてないのかなということで、ありがとうございました。
この話題、ショップとストアの話題につきましては、リスナーの方から、コアタン、コアラの学校というアカウントネームでTwitterをやられている方のツイートを読んだことがきっかけになって、疑問に感じたということで、私の質問をくれたということなんですが、
このツイートの元であるコアタン、コアラの学校さんが、実はリスナーであったということで、その後、コメントをいただいたんです。
ほった先生、解説ありがとうございます。いつも楽しみに拝聴しておりますので、びっくりしましたということで、こちらがびっくりしましたということだったんですけれども、話題を提供していただいたという形になりますので、感謝いたします。
私もこの質問といいますか、疑問点を受けまして、歴史的に調べてみたら、面白いことが分かってきたということですので、まさにこういった英語に関する話題でつながって、こういう形で放送を届けできているというのは、本当に楽しいし幸せなことだなというふうに思っております。
リスナーとのつながり
これからもどうぞよろしくお願いいたします。言葉の問題って本当に何でも楽しいですよね。それでこんな研究しているわけですし、このボイシーもやっているということなんですね。これからも皆さんとますます盛り上がっていければと思います。よろしくお願いいたします。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日の質問本当に面白かったですね。ちょこちょこと調べただけで、まだ不十分だったかと思いますが、非常に考えさせられると言いますかね、調べたいなという気にさせていただける質問だったと思います。またこのような質問、皆さんからお待ちしております。
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それでは今日から9月ということですね。今月も楽しい英語字の話題をお届けしていきたいと思います。ほったりうちがお届けしました。ではまた明日。
24:16

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