フランス語借用の疑問
おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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ぜひフォローしていただければと思います。また、コメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。 本日の話題は、リスナーさんからの質問なんですけれども、英語語彙の中のフランス借用語の割合は、
という質問です。 これにお答えしていきたいと思います。
2日前の放送なんですけれども、368回ですね、 英語とフランス語で似ている単語がある場合の5つのパターンと題してお話ししました。
英語の中にフランス語の単語がですね、大量に入り込んでいるというお話をしたんですけれども、これを受けてですね、
リスナーのカミンさんでよろしいんでしょうかね。 このような質問をいただきました。読み上げてみますね。
英語の語彙は、中英語の時代は高フランス語からの借用、近代になるとラテン語からの借用が多いという話を以前伺ったように思うのですが、
現代英語の語彙における高フランス語借用とラテン語借用の割合はそれぞれどれくらいなのでしょうか。
また大雑把に言って、現代英語におけるフランス語プラスラテン語系の語彙の割合は何%ぐらいなのでしょうか。
この質問に対して私の方からコメントバックという形でですね、絵文字情報としてお返ししたのが次の文章です。こちらも読み上げます。
語彙統計は様々な数え方や考え方があってズバッとは言いにくいのですが、大雑把な理解としてはフランス語プラスラテン語で現代英語語彙の約3分の1を占めると言っておきたいと思います。
その中での両言語の内訳はラテン語3に対してフランス語2ぐらいでしょうか。
このように回答しました。今日の放送はこの回答に対してプラスアルファ少し補いたいと思うんですね。そしてより丁寧に説明を試みたいと思います。
ざっとした統計で言いますと英語語彙の約3分の1が今述べたようにですね、フランス語系と言いますかね、この系の中にはラテン語が入っています。
つまりフランス語から入ってきた単語とラテン語から入ってきた単語、これをひっくるめて緩くフランス語系あるいはラテン語系と言ってもどちらでもいいんですけれども、とりあえず今回はフランス語系と呼び続けることにしますが、これらが合わせて英語全体の3分の1、英語語彙の3分の1を占めるという、そういう統計値が出されることがあります。
ただ数え方や考え方によっても、これは少なからずですね、この数値が変わり得るということも一応込みでですね、理解していただきたいと思うんですね。
具体的に言いますと、対象とする英語の語彙、これすべて英語の語彙を集め切った人も辞書もありませんので、その部分集合と言いますかね、ここでそれをベースとして統計処理、数えたりするということになるんですけれども、この英語語彙の部分集合というのもですね、例えば最もよく使われる1000語とか2000語に限った場合と1万語、2万語に増やした場合、
さらには10万語とかですね、増やした場合では、おのずからその内訳、語源別に見た時の内訳っていうのも少なからず変わってくるということは何となくわかるかと思うんですね。
私自身もですね、この規模ですね、母体となる英語語彙の規模を数百語というレベルから数千語、そして数万語という切り替えてですね、母体レベルを切り替えていろいろと統計とってみたことがあるんですけれども、確かに大きく異なるんですね。
なので、今回の3分の1という割合もあくまで参考までにということに過ぎないんですけれども、わかりやすい数値として記憶に留めておいていいと思うんですね。
ちなみにですね、英語語彙の3分の1っていうことなんですが、もう3分の2はどうなっているかと言いますと、3分の1が本来語、本来のゲルマン系の語彙ということになります。
そしてもう残りの3分の1、これがその他の非常に多数の言語からの釈用語ということになります。
ざっと英語語彙を3分割して考えることができるという意味でですね、参考にするにはわかりやすい構図ということで、私もだいたいこの数値を取り上げることにしているんですけれども、改めて言いますと、英語語彙の3分の1が本当の英語。
3分の1がフランス語プラスラテン語からの釈用語。
残りの3分の1がそれ以外の何百という言語からの釈用語というこのような大きな見取り図になります。
フランス語とラテン語の関係
さて、もう一つ大きい問題はですね、ある単語がフランス語からの釈用語なのかラテン語からの釈用なのかというのが半然としない、そういう例がかなり多く存在するんですね。
というのは、そもそもフランス語とラテン語の関係というのを復習しておきますと、ラテン語がフランス語の生みの親ということになりますね。
ラテン語から生まれたのがフランス語。他に姉妹言語としてはポルトガル語、スペイン語、イタリア語、ルーマニア語等々あるわけなんですけれども、
ラテン語、フランス語というのは親子関係ですので、当然ながらですね単語も似ているものが多い。場合によってはそのままの語形ということになりますね。
そうすると英語に入ってきた際にどちらかの言語から入ってきたっていうことは語形からわかるんですけれども、果たしてフランス語なのかラテン語なのかどっちかがわからないっていう例が非常に多いんです。
さらに言いますと、フランス語は確かにラテン語から派生してできた言語なんですけれども、この親言語であるラテン語から大量の語を後の時代に釈用するっていうこともしてるんですね。
ラテン語の形が自然と時間の中に変化を遂げてフランス語の単語になってきているっていう自然なナチュラルなルートがある一方で、
フランス語がラテン語から直接借りるっていうことも行っているんですね。
つまり英語がラテン語から多くの単語を借りたのと同じようにフランス語側でも同じようにラテン語から大量の単語を借りているっていう事実があるんです。
そうしますと、ラテン語の単語が英語の中に見つかったという場合に、英語がラテン語から直接借り入れたのか、それともフランス語がラテン語からその単語を借り、フランス語の中に入っているその単語を英語が借りたのか。
つまり直接ラテン語から借りたのか、あるいは間接的にフランス語を経由して借りたのか、この辺もいろいろなケース、ルートがあって必ずしも判明しないっていうことになるんですね。
ですので、このような事例が非常に多いということなので、これはズバリラテン語、これはフランス語というふうに決められない。
そうしますと、フランス語プラスラテン語でゆるくフランス語系というふうに捉えた方が実際上便利と言いますかね、それ以外しようがないというようなケースがあるんですね。
ということで、今回統計でもフランス語とラテン語をひっくるめた状態でカウントしています。
もちろん、これはラテン語から絶対に入ったとか、こちらは間違いなくフランス語から入ってるんだと判明するケースも非常に多いです。
ですが、先に述べた理由でですね、実際上はひっくるめて扱っておくということで十分というケースが多いんですね。
今回の話題につきまして、ぜひ聞いていただきたいHeldioの過去の放送、いくつか紹介しておきたいと思います。
まずは1年ほど前になりますので、新しく参加されたリスナーの皆さんはまだお聞きになっていないということが多いかと思いますので、
26回放送、これがまさにですね、英語語彙の3分の1はフランス語と題する回でした。
これは必ずしも正確ではない表題だということが、今日の放送お聞きの皆さんはもうわかるかと思うんですね。
実際には英語語彙の3分の1はフランス語プラスラテン語と言うべきなんですけれども、少し誇張してと言いますかね、
フランス語こんなにたくさん英語に入っているんだからフランス語も一緒に勉強しましょうねという誘いの意味で少し誇張した表現なんですけれども、
厳密に言えばフランス語系の単語から英語語彙の3分の1は構成されているという言い方になりますかね。
そして比較的最近の2つの放送なんですけれども、327回、新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ、英語詞を合わせて学ぶと絶対に学びが面白くなると約束します。
と題して新年度でしたので、フランス語、英語、そして英語詞、この3つを連携させながら学ぶといろいろと面白いことが多くなりますよという趣旨でお話しました。
とりわけフランス語を学んでいるあるいは学び始めた皆さんからの反響がありまして、多くの方に聞いていただいたようです。ありがとうございました。
その2日後にも同種詞でですね、お話したんですが329回です。
フランス語を学び始めるならば、ぜひ英語詞解説も合わせてということで、さらなるプッシュをかけて英語詞、こんなに面白いんだよということを伝えようとした、そんな新年度の2回でした。
ぜひそちらの回も合わせてお聞きいただければと思います。
本日も最後まで放送を聞いていただきありがとうございました。
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実際今回の放送もリスナーさんからの質問、これを取り上げてですね、その回答という形でお話しさせていただきました。
姉妹版のブログ、英語詞ブログ、ヘログでも本日この話題で記事を書いておりますので、そちらも合わせてご参照いただければと思います。
フランス語と英語詞の絡み、これにますます関心が湧いてくるのではないでしょうか。
それではまた明日。