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おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。
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フランス語の影響の紹介
本日の話題はリスナーさんからの質問となります。 本来語に負けてしまったフランス語の例という話題です。
ラジオネームバタームシさんでよろしいんでしょうかね。 先日質問をいただきました。読み上げたいと思います。
おはようございます。インターネットでの英語史の普及に尽力くださっている堀田氏のラジオを拝聴しております。
早速質問があります。 中英語記に釈用されたフランス系の単語と既存のゲルマン系の単語が並存し、
後にゲルマン系が残りフランス系が伝わらなかった語例を紹介ください。 フランス系とゲルマン系が並存したペアは、例えばchairとstool、grandとgreat、placeとstead、
countとtell、diseaseとsicknessなどがありますが、中英語記には常用された語でありながら、負けたフランス系の単語もあるかと思います。
それにはどのようなものがあるのでしょうか。 という非常に高度な質問でして、
こういった語例ですね、フランス語系が負けてしまった語例というのを集めると、これだけでなかなかオリジナルの英語史の研究になるのではないかと。
ですので、このラジオで取り上げられるのは本当に一部と言いますか、本格的にやるのであれば、これ学術論文に書くしかないのではないかというくらい非常にレベルの高いご質問をいただきまして、
お答えするにも難儀しているところなんではありますが、大変面白い問題と言いますか、着眼点だと思いますので、これを機にこの問題についてですね、私も考えていきたいなとは思っております。
さて、中英語記には常用された語でありながら、負けてしまったフランス系の単語ということで、まずもってどのように探したらいいんだろうかということですね。
私自身が中英語のテキストを読むことが多いわけなんですけれども、その中でフランス語系の単語だと分かっていて、よく出るが故に目立っている単語、私の記憶に残っている単語で、かつ現代英語ではこの単語を使っていないなと、こういうものを集めるということになるわけですけれども、
記憶だけではいかんともしがたいということで、オックスフォードイングリッシュディクショナリーであるとか、あるいは他の様々な参考資料なども頼りにしながらですね、いくつか思いつくことはできました。
ただあまり自信はありません。それが中英語機に本当に常用されたのかどうかという頻度の問題なんですけれども、そもそも書き言葉であるとか、文学的な作品、宗教的な作品で出てくる単語だったりしますと、これが一般的に広く使われていたのかどうかっていうのはよくわからないところがあって、しかもフランス語系の単語となりますと、少しあるいは大いにレベルが高い。
そういう可能性があるからなんですね。
何問ですので、いろいろつべこべ言っているんですけれども、まずは例を挙げてみたいと思います。
使われなくなった単語の例
一つは愛しいを表すフランス語の単語で、当時の発音ではcherとなったと思うんですけれども、現代フランス語でいうcherですね、英語、本来語のdearに相当するものですが、
これは中英語記に使われていまして、後に死語となったっていうことです。
英語本来語のdearと競合と言いますか、並存していた時期があるわけなんですけれども、
一旦フランス語からcherが入ってきた後に、英語の中である程度使われたけれども死語になっていったというような一つの今回の事例に当てはまるんではないかというふうに考えます。
ただこのcherがどこまで頻繁に使われたのか、つまり常用されていたのかっていうことは必ずしも確かなことは言えません。
似ているような例となりますが、deusというのもそうですね、これは神を表すフランス語の単語です。
当時の発音ではdeus、現代ではdearとなると思うんですけれども、もちろん英語本来はgodという単語があって、
両語とも中英語機には使われていたんですけれども、フランス語系のdeusの方ですね、こちらは後に使われなくなったという意味で、フランス系が負けた、もう一つの事例と言えると思います。
もう一つはjewelryという単語ですね、これは愛を意味する単語で、中英語のロマンスなんかには比較的よく出るので、
常用と言いますか、よく出るという点は当てはまるかと思うんですね。
フランス語から入ってきたこの単語は現在では使われていません。
これも一つの事例になるかと思います。
他にはですね、大して頻度は高くないかと思いますが、fenestre、現代フランス語のfenêtreという窓ですね、windowという本来語がありましたけれども、
これと並存する形でフランス語のfenestreというものが中英語機にはやはり使われていましたが、今は使われていません。
ここまでの例は、頻度であるとか常用されたかどうかという点ではやや不安が残るという点で、
best examplesかどうかっていうのは怪しいところなんですけれども、
もう2つ気づいたものがありまして、
こちらはそこそこ良い例になっているんではないかと期待したいんですけれども、
一つはですね、fetisという単語で美しいほどの意味ですね。
フランス語から入ってきまして、後に使われなくなって今は残っていないんですけれども、
この単語は中英語ではかなりよく使われたと思うんですね。
しばしば本来語の同じfで始まるんですけれども、本来語由来のfaireに相当する当時の発音ではfaireと発音しましたが、
これと一緒に現れてfetis and faireであるとかfaire and fetis-lisのような形でコロケートしたんですね。
同じfで始まるということで、党員アリタレーションも踏んでいますし、
本来語とフランス語からの釈用ですね。これを&で結ぶなどして同じ意味の単語ですね。
調子を取るというようなバイノーミアルと言うんですけれども、このような表現というのは中英語で非常によくありました。
そのfetis and faireのような表現の偏われとして使われたのがこのfetisというフランス語。
この単語などは今回のご質問に答える良い例になるのではないかと考えています。
他の関連単語の考察
最後にもう一つだけ挙げたいと思うんですけれども、これも非常に頻度が高く一般的に使われていたフランス語の単語だと思うんですけれども、
dineという単語です。
現代のフランス語で言うとこのdigneという単語でふさわしいとか当時の意味は威厳があるということですね。
digneという威厳があるという形容詞としてですね、非常によく使われたと思うんですね。
中英語、木においてですね。
対応する本来語で言えばworthyのような単語がありましたし、意味としてはほぼ類似ですので、
平存していたと言っていいと思うんですね。本来語worthyに対してフランス語digneというものです。
このフランス語の単語、形容詞はその後死語になって今に残っていませんが、
関連語としては例えばdignifiedとかdignityのような関連語があるわけなんですけれどもね。
ということで、今回詳しく調べられたわけではないんですけれども、比較的ではありますが自信を持ってお答えできるものは2語ぐらいかなということでですね。
一つ目はfétisというフランス語からの釈量語、形容詞ですね。もう一つも同じく形容詞でdigneという形容詞。
これが中英語記には常用されており、対応する本来語とともに平存していただけれども、後の時代に死語となってしまって現代語には残っていないというような例となるのではないかと思います。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今回の質問、かなり難易度が高くて答えあぐねはしたんですけれども、新しい視点からフランス語の釈量語ですね、について考えたり調べたりする機会をいただけたと思っております。
バター虫さんから寄せられたご質問のおかげです。ありがとうございました。
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