2026-02-03 18:28

【再】#563. 語彙の大量借用が生じると次に何が起きるのか?

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #語彙
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サマリー

英語と日本語における語彙の大量借用の過程について考察し、特に明治期の日本語とルネサンス期の英語の例を挙げて比較しています。大量借用がもたらす批判や、言語保守派の反応、定着と教育のプロセスについても詳述しています。語彙の大量借用が進むことで、日本語に和製英語が生まれる現象が起こります。このことは、ルネサンス期のイングランドで見られたラテン語の大量借用と類似しており、外来語を取り入れた結果、新たな単語が創出されていく過程を考察しています。

語彙の大量借用の背景
英語史の著者の堀田隆一です。英語史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています。
本日は12月15日、木曜日です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
今日はですね、新刊書の紹介です。京都大学の家入陽子先生と、私堀田隆一が著者となりまして、
開拓者より文献学と英語史研究という本が、1月に発売予定です。
こちら、英語史研究のこの40年ほどの動向をまとめて、今後の研究に役立ててもらいたいという、そういう趣旨でですね、英語史研究のガイドブックのようなものとなっています。
この本については改めて正式にお知らせする機会はあると思いますけれども、関心のある方はぜひこちら注目していただければと思います。
さて、英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日は、語彙の大量釈要が生じると次に何が起きるのか、と題してお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。
本編に入る前に差し入れいただきましたので、まずはお礼申し上げたいと思います。リスナーのうめさんです。ありがとうございます。
このVoicyはですね、差し入れ機能というのがありまして、私の方からですね、積極的に宣伝しているというわけではないんですけれども、差し入れしていただければ大変嬉しいというのは間違いありませんで、
応援していただけると大変嬉しいです。こうやってお立てていただくとですね、私も静かに喜んで、ふつふつとやる気がみなぎってくると、そんなタイプですので、乗せていただければと思います。ありがとうございました。
今日の話題は語彙の大量釈要が生じると次に何が起きるのか、と題してお話しします。英語も日本語も歴史の中で本当に多くの単語を多言語から借りてきたという点では非常に似ている言語なんですね。
日本語はまず漢字を大量に中国語から釈要しているわけです。漢字とそして漢語ということですね。これは5世紀6世紀の昔からずっとですね、日本語は漢字を取り込んでそれを利用してきたっていう経緯があります。
一方近代になって明治以降ですけれども西洋の言語と接触しました。典型的には英語ですけれども、そしてこの英語の単語を借りるときに直接借りるというよりは漢語に1回翻訳した形で取り込んだ。これが明治期の授業の仕方だったわけですよね。
その後、同じ英語であるとか西洋語と接触しながら、大正昭和以降ですかね、特に戦後にはおびただしい数のカタカナ語、これがつまり西洋語を翻訳せずにそのまま発音として借りてくる。そしてカタカナで書くというようなカタカナ語ですね。これを大量に借り入れてきました。
こうした形で日本語は語彙の大量借用という過程を経験してきたわけですね。一方、英語の方も昔から今に至るまで単語を他の言語から借り続けています。
このヘルディオでもいろいろな形で単語を借用してきたということは話題になるんですが、大きいところを挙げれば、まず中英語の時期にノルマン征服以降です。1066年以降、特に14世紀あたりがピークだったんですけれども、フランス語ですね。フランス語の単語を大量に英語に取り込んできたという経緯があります。
そしてそれと同じか、さらに上回る勢いでですね、16世紀ルネサンス期にラテン語から1万を超える単語を借りてきました。大量借用というものを英語もずっと経験してきたということなんですね。
この点で日本語と英語が似ているということを改めて確認したわけなんですけれども、このように語彙の大量借用が生じると、次に決まって起きることっていうのがあるんですね。
日本語の場合と英語の場合でですね、非常にそっくりなことが起こっているんです。これを今日は指摘したいと思うんですね。
今回比べたいと思うのは、日本語から2つの時代、そして英語からある1つの時代、この3点を比べたいと思うんですが、まず日本語はですね、先ほども述べた通りですね、明治期に西洋語を受け取るのに一度漢語に訳した状態で取り込んできたということですね。
社会とか銀行とかこういった福沢諭吉あたりがですね、大量にこのような漢語を作り上げたわけなんですけれども、これなどは翻訳して受け入れたっていうことでですね、生でそのまま受け入れたっていうのとは違うんですけれども、これもですね、含めて語彙の大量借用というふうに今回は考えておきたいと思います。
これが1点目です。2点目は現代のカタカナ語です。現代の英語を中心とする西洋語の単語をそのまま持ってくる。そしてカタカナ書きするということで、カタカナ語とか横文字語とか言われたりしますけれどもね。
そして3つ目は英語の話なんですけれども、英語の近代期ルネッサンス期の大量のラテン語単語の借用というふうに先ほど述べたものなんですけれども、この3点、実はですね、非常によく似た共通することがですね、大量借用の後に起こっているんです。
6点ほど挙げておきたいと思います。まずですね、大量借用が始まると必ずそれに対する批判っていうのが出てきます。外来語ばっかり使ってるんじゃないっていう批判ですね。このような批判が保守派の人々から必ず出てきます。
批判と反動
保守派とか純粋主義者っていうことですね。不純物を自分の言語に入れるなというような批判、大量に借用されるほどこのような批判っていうのは必ず持ち上がってくるんですね。
そしてこうした訳のわからない借用語と思っている人々はですね、この訳のわからない借用語に名前を付けるんですよ。
例えばですね、明治期の日本語の場合ですね、西洋語から借りてきて漢語にしながら取り入れたんですが、漢語だって簡単じゃないわけですよ。漢字2文字とか3文字でこれを陳文漢語と言って揶揄したんですね。
こういうふうに揶揄する表現と言いますか、この借用語に対して名前を付けるんですね。ラベルを貼って批判するっていうことが起こるんです。
現代のカタカナ語っていうのも、これもカタカナ語っていうのは否定的なイメージを持って使われることってあると思うんですよ。横文字語なんていうのもそうですね。
そして英語の場合ですね、初期近代動きのラテン語、大量のラテン語はインクホーンタームズと呼ばれたんです。これはインクツボ語という名前ですね。
インクツボっていうのは学者の象徴で、ラテン語が大好きな学者たちがですね、ひたすら取り込んだラテン語の訳のわからない単語っていうようなそういうニュアンスで使うインクホーンタームズ
という揶揄した言い方ですね。こういうものが出るっていうのがまず1点目。2点目はですね、大量釈放への反動としてですね、本来語、自分の言語の単語、語彙、これをもっと尊ぼうと、もっと大事に扱おうという本来語重視という反動がきます。
日本語では大量の陳分漢語であるとかカタカナ語というのがあまりに多く入りすぎると保守派がですね、日本語にだって素晴らしい言葉があるんだ、和語、大和言葉です。これを大事にしようっていうちっちゃなブームですけどね、大きな勢力にはなかなかならないことが多いんですが、もっと大和言葉、いい言葉あるから大事にしようよっていうちょっとしたブームって起きたりしますよね。
大きいブームではないんですけども。同じようにルネッサンス期のイングランドでも起こってですね、インクホーンタームス、こればっかり入ってくるので嫌気がさして、英語、本来語にだって立派な単語、素晴らしい単語がいっぱいあるっていうことでですね、やはり大和言葉ブームみたいなものが起こるんですよ。
そして、古英語にあった、もうすでにその頃までには死語になっていた単語ですよ。それを古英語由来の単語ですね、もう一度復活させるみたいな形でちょっとした大和言葉ブームに相当するものがですね、起こっているんです。これも大きなムーブメントにはならないんですけれども、起こっていることが本当に似ていてですね、とても面白いっていうことです。
3番目に、自体の推移とともに大量釈要への批判とか、その反動としての本来語重視みたいなムーブメントもだんだんと収まってきて、結局のところ落ち着くところに落ち着くと。
つまり、取り込まれて安定した単語はそのまま語彙の中に定着するし、そうでない1、2回使われて去られていくっていうような釈要語もいっぱいあったわけですが、これはこれで消えていくっていうふうに、結局時間が解決してくれるっていうところで、ある適当なところにですね、だんだん落ち着いていくというのがだいたいパターンなんですね。
そして4番目にですね、このように落ち着いてくると、つまり釈要語がある程度入ってきて安定すると、今度はですね、もう入ったものは入ったんだということで受け入れて、それを人々がですね、よく理解できるように、いわば教育が始まるっていうことなんですよ。
その方法はいくつかあるんですけれども、1つは昨日の放送で話題にしたような外来語言い換え提案のようなものですね。562回外来語言い換え提案は古今東西のデジャヴ現象ということで、昨日たっぷりと扱いましたので、こちら改めて聞いていただければと思うんですけれども。
言い換えによって人々に新しく入ってきた外来語ですね、説明して理解を促すというような教育が始まるんですね。そして5つ目、これはその延長線上にあると言っていいんですが、釈要語を解説する辞書っていうものが出るんですね。
語彙の借用と辞書の出版
そしてちょっとした出版ブームが起きる。これもよく似ていて本当に面白いんですよね。チャプターを続けます。釈要語を解説する辞書が出る、出版ブームになるっていうことなんですけれども、明治期もですね、漢語辞書ですね、新しくできた漢語の解説のための辞書みたいなものが出てきます。
そして現代もカタカナ語辞典みたいなものが書店の一角をにぎわせています。毎年のように新たなカタカナ語が日本語の中に入ってくる、取り込まれていくので、それをフォローするだけでもですね、大変なんですね。だから辞書も次々に出ます。カタカナ語辞書みたいなものが出ていますよね。
同じようにルネサンス期のイングランドでもやっぱり起こっていてですね、インクホーンタームズというラテン語の単語ですね、お中心として新語が大量に生まれることになるんで、こういったものを説明する辞書っていうのが17世紀中ですね、多く出版されるんです。この辺りもとてもよく似ているっていうことです。
そして最後6点目なんですけれども、こうして釈用語にすっかり慣れてしまった後に何が起こるかというと、日本語の場合和製英語のようなものができるっていうことです。つまりすっかりこの段階までに英語からの釈用語をカタカナ語として導入するなどしてですね、手名付けている、もうすっかり慣れてしまって扱いに慣れてきたんですね。
そうすると英語要素を2つ組み合わせて、新たな英単語っぽいものを作る。ただ作られたのは日本語の中においてということで、英語ではそんな組み合わせの単語はないので通じない。これがいわゆる和製英語っていうものですよね。
あまりに慣れすぎて手名付けることに成功したので、日本語側で勝手に新たな英単語を作っちゃうっていうことが起こるんです。これぐらいもうすっかり慣れたっていうことなんですね、釈用語に。
そしてこれはですね、やはりルネッサンス期のイングランドも同じだったんです。大量のラテン語釈用によってですね、ラテン語の扱いに慣れてしまったと。すっかり慣れてしまった後に何が起きるかというと、ラテン語っぽい要素を組み合わせることで新たなラテン語っぽい単語を作る。
ただしそれは本家本元のラテン語にはそんな単語ないよっていうことで、いわゆる英製ラ語です。イギリス製のラテン語単語ということで、まさに和製英語に相当するものです。
英製ラ語であるとか、あるいはですね、英製仏語、フランス語っていうのもありますね。例えば外部のとか外部からのという意味のエクスターナルという単語ですが、これなどは英製ラ語です。
それから英製仏語のようなものを挙げれば、コンスピキュアスとかポイズナスなんていうもんですね。見た目はフランス語っぽいんですが、フランス語には、本家本元のフランス語にはこんな単語ない。こんな組み合わせはないということなんですね。
外来語、釈用語をすっかり飼い慣らすと、自分で勝手にですね、単語を作ってしまうという段階に進むということなんですね。さて、いかがでしたでしょうか。時代も言語も異なるんですけれども、6点あげました。こんなに似てるんですよ。
大量釈用というものがなされた後、だいたい同じ道筋を歩むということになっているということですね。これが対象言語史、日本語と英語の歴史を比べてみてわかった著しい共通点ということなんですね。エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。今日の話題なんですけれども、実はですね、この間の土曜日に学習院大学で開催されました日本歴史英語学会のシンポジウム。こちら私も登壇してきたんですが、そこで話題にしたこと。
そして質疑応答の時にですね、これについて質問が寄せられて、私もそれに答えたというようなところでですね、記憶に新しかったもので、今日こちらのヘルディオでもお話しさせていただいたと、そういう次第なんですね。
日本語史と英語史を比較対象する対象言語史、日英対象言語史の一つの典型的な話題、そして面白い話題だと思います。
比較してみて初めてわかる面白いことっていうのは本当にたくさんありますね。これからもですね、特に日英ということで対象言語史、このヘルディオでもやっていきたいと思います。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように。ほったりういちがお届けしました。また明日。
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