2025-07-23 19:00

heldio #368. 英仏語で似ている単語がある場合の5つのパターン

#英語史 #英語教育 #英語学習 #フランス語 #借用語
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サマリー

このエピソードでは、英語とフランス語に共通する5つの単語のパターンが紹介されます。特に同根語、借用語、逆貸用の現象や偶然の一致について考察し、それぞれの歴史的背景に迫ります。また、言語間における単語の類似性について、偶然の一致や言語普遍性の観点からも5つのパターンが挙げられます。さらに、オノマトペの存在が言語間の共通点を明らかにする重要な要素であることが強調されます。

英語とフランス語の共通点
おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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本日の話題は、英語とフランス語で似ている単語がある場合の5つのパターンです。
フランス語を勉強している方はすぐにわかると思うんですけれども、英語と単語がかなり多く共有されていますよね。
英語側とフランス語側で明らかに同じ単語、類似した単語がたくさんあるということですね。
ではなぜこのように多くの単語が英語とフランス語で共有されているんでしょうか。
そのなぜに迫りたいと思うんですけれども、この似ているパターンには5つあるんですね。
異なる歴史的経緯があります。 今回はそれを紹介していきたいと思います。
1つ目は同根であるという理由ですね。 同根というのは同じ根っこの根です。
同語言と言い換えてもいいですね。
英語もフランス語も究極的にはインオーソ語、インドヨーロッパソ語と呼ばれている大昔の言語ですね。
紀元前4000年ぐらいというレベルを想定するといいと思うんですが、
この今からざっと6000年ほど前には英語、フランス語、その他もドイツ語であるとかスペイン語、ロシア語、ヒンディ語にまで至る非常に広い範囲を覆っている言語ですね。
現代のユラシア大陸、西半分と言いますかね、この辺りで喋られている言語の非常に多数のものが属するインドヨーロッパ語族というものがありますが、
これの大元ですね、祖先の形がインドヨーロッパソ語と呼ばれているものです。
紀元前4000年程度に存在したと考えられているんですが、そこから派生した様々な言語のうちの一つが英語であり、もう一つがフランス語であるという関係なんですね。
なので究極的には同じ語源に遡る語というのは非常にたくさんあるわけです。
ただですね、英語に発展していく道筋とフランス語に発展していく道筋、これはかなり早い段階で分岐しましたので、お互いに縁がないままですね、それぞれの道を歩んで言語変化を繰り返して今の形になったということなんです。
言語のグループで言いますと、英語はゲルマン語派、ゲルマン語のグループに属します。
一方フランス語はイタリック語派というイタリック語のグループに属するんですね。
非常に早い段階に分かれたので、事実上ですね、もう赤の他人という関係です。
究極的には同じ祖先にたどり着くけれども、早い段階で分かれて久しいので、事実上、現代で考えますと英語とフランス語は事実上赤の他人と考えることができるんですね。
ですので、共通の語根、インドヨーロッパ祖母の段階では同じ単語だ、一つの単語だったとしても、その後別れすぎてですね、もう断る単語に置き換えられたりということが双方で起こっていますので、それと認識できないことが多いですね。
たとえ同根であっても、それと認識できないことが多い。
借用と逆貸用の影響
しかし中にはモサがいてですね、6000年の時を超えてあまり変わらずにですね、英語側でもフランス語側でも変わらずに受け継がれたために、表面的にそこそこ似てるぞというものもあるのも確かなんですね。
いくつか例を挙げてみたいと思いますが、まず数詞、数というのは非常に保守的と言いますか、変わりにくいという特徴がありますので、基本的に日常的な単語だからですね。
これ英語側とフランス語側で照らし合わせてみますと、そこそこ似ているということが分かると思うんですね。
英語のoneに対してフランス語はですね、明らかに似てますね。
2で3とはというふうに続きますね。
10です。
こうなるとあまり似てないなという感覚があるかもしれませんが、実はこの英語の10とフランス語のthis、これも語源を遡ると実際には同根ということが分かるんですね。
さらに少し飛びますが、100ですね。
フランス語ではsansとなりますが、これもなんと同根です。
正確に言いますとhandの部分ですね。これだけで100を意味するんですけれども、これに対応するのがフランス語sansということで、大元はインドヨーロッパ祖母の形に行き着くということですね。
他には体の部位ですね。foot、足ですけれども、フランス語ではpiedですね。
この2つも同根語ということになります。
また、人称代名詞、これもそうなんですね。
一人称、単数代名詞、I、フランス語はjということになりますが、これも同根。
そしてyouに対してフランス語、丁寧な方ですね。vous、これも実は同根なんですね。
このように6000年の時を経て、大元の形からですね、あまり変わらずに英語側でもフランス語側でも伝わったために、今ではそこそこ似ている。
そこそこ似ていないという例も含めましたけれども、こういう理由でつまり同根だという理由でフランス語と英語側で似た単語があるという、まずこれが第一パターンということですね。
次に第二パターンですが、これが非常に多い、一番多いパターンなので注目なんですけれども、フランス語から英語へ単語が釈用されたというケースです。
つまり英語側がフランス語から単語を大量にですね、受け入れた時期があるんです。
主に中英語の時期ですね。中英語というのは1100年から1500年ぐらいの時期のことを指すんですけれども、この英語史で最もフランス語の影響が強かった時代、とりわけ13、14世紀あたりなんですけれどもね、このあたりに何千、さらに1万という規模でフランス語が大量に入ってきました。
この数ですからもう上げるとキリがないですね。ですので控えめにいくつか列挙したいと思います。英語側の単語で上げたいと思いますが、これから読み上げるものはすべてフランス語から借りたものです。英語が借りたものということですね。
ではランダムにいきます。
そろそろやめておきましょうかね。無限に、永遠に続けることができますので、この辺でストップしておきたいと思うんですけれども、面白いのはですね、実はフレーズレベルでもたくさん借りてるっていうことなんですね。
例えばin vainという熟語がありますが、これはフランス語のイディオム、対応するイディオム、un vainから丸々取ってきたっていうことなんですね。このように主に中英語の時期ですけれども、英語はフランス語から語彙的な影響を非常に強く受けた。
その結果、大量のフランス語と同じ単語がですね、現在も英語の中に残っているという、そういうことなんですね。ですから英語とフランス語で似ている単語がある場合、かなり高い確率で英語がフランス語から単語を借りたんだと、そういうことになります。これが第2パターンでした。
次に第3のパターンですけれども、数はグッと減ります。非常に少ないんですけれども、逆のパターンですね。つまり英語からフランス語へ借用されたということです。英語史において基本的にはですね、英語はフランス語から受ける側だったんですね。
ところが19世紀、20世紀、近現代ですね、になりますと一種の逆流と呼ばれるものが見られるようになりますね。これは英語の力がフランス語を追い抜いたからなんですね。英語の社会的地位、世界における位置づけがですね、フランス語よりも高まった結果、一種の逆流と呼ばれる現象が起きたということなんですね。
例えば、baby sitterという単語がフランス語に入っています。それから、baseballも入っています。camping、happy end、weekendのような単語ですね。こうした近現代的な英単語っていうのは、実はフランス語に限らず、他のヨーロッパの言語、あるいは世界の言語にもですね、入り込んでいますので、これフランス語限定の話ではないんですが、
こうした英単語が、19世紀、20世紀に主にフランス語に流れ込んだということになります。よく言われるように、フランス語は公式には、そして伝統的な見解としては、フランス語は英単語をあまり釈放しませんという立場なんですけれども、とは言っても、実質的にはですね、それなりの数の英単語がフランス語に入ってきているっていうのも事実です。
ただし、全体の比から言いますと、英単語とフランス語単語で対応する、非常に似ているっていう場合があるケースの中で、この第3のパターン、英語からフランス語へ流れ込んだんだというものは、数としては圧倒的に少数派だということも抑えておきたいですね。
偶然の一致について
さて、第4のパターンです。これは偶然の一致と呼んでおきたいと思うんですね。語源的関係もない、さらに釈用関係でもない、たまたま似ているんですということですね。
これは英語とフランス語の関係だけではなくてですね、どんな言語、2つの言語にも言えるんですけれども、各言語に使える音、音素と言いますけれども、使える音のセットというのが決まっていまして、これを組み合わせて単語を作っているんですね。
それがたまたま一致してしまう、全く関係のない2つの言語で、同じような作り方になって、同じような意味を帯びてしまうということは、確率論的にあり得るわけですね。当然多いわけではありませんけれども、こういうものは出てきます。
例えば日本語の名前に対して、英語ではネイムですね、古い英語ではナマといったので余計に似ています。しかしこれは明らかに日本語と英語、系列が違う言語ですし、単語の可視化によってこうなったというわけではありません。したがってこの場合は偶然の一致、偶然の類似ということになります。
さて英語とフランス語という話をしているので、一つ例を挙げたいと思うんですが、英語のhave、最もよく使う動詞の一つですけれども、これに対応するのがフランス語ではavoirという単語ですね。
haveとavoir、vが共通していますし、フランス語ではhが発音されないということがありますので、それを考えるとhaveとavoirというのはある種似ているというふうに気づく人もいるかと思うんですが、これはたまたまです。語源的関係はありませんし、釈用関係も認められません。
騙されやすい例ということなんですね。意外とこういう落とし穴というのもありますので、英語とフランス語で十分に似ている、あるいは対応しているなとわかるぐらい似ているというケースでもですね、稀にこのような落とし穴のパターンもありますので気をつけたいところですね。
最後、5つ目のパターンなんですが、言語普遍性と呼んでおきたいと思います。いわばオノマトペを念頭に置くといいと思うんですね。擬音語、擬態語のタイプです。例えば、パパ、ママというのは英語側でもフランス語側でもあります。
実はこれ、他の言語にもあります。パパ、ママ、それぞれ父親、母親のことですね。それから動物の鳴き声で、カッコウですね。これ日本語のカッコウですが、英語ではクークー、フランス語でもクークーなんですね。これはもちろんカッコウの鳴き声を人間が聞いて、そこそこ似た音になるわけですよね。
ですので、これは英語とフランス語でほぼ同じ形が使われているとしても、究極の語源が同じだからという理由でもなければ、どちらかの言語が別の言語から借りたというわけでもなければ、また偶然とも言えない、ある種必然とも言えるわけですよね。
カッコウの鳴き声を聞いてクークーのように聞くっていうのは、完全に動機づけがあります。理由があります。ということで、むしろ偶然というよりは必然の方に近いということなんですが、これらを含めて言語普遍性と要約しておきたいと思います。
いかがでしたでしょうか。英語とフランス語で似ている単語、あるいは少なくとも対応するなと感じられる単語がある場合に、5つのパターンがあって、決して1つや2つの原理で説明できるというものではないんですね。
このいずれのパターンに属するかというのは、非常に専門的な知識であるとか、語源地点を調べないとわからないことも多いです。ですので、2つ単語が似ているな、見たときに、なぜ似ているのかということをその場で見分けて、これこういう理由だと言い当てることっていうのは結構難しいんです。また落とし穴もあるということを述べました。
ですので早がてんせずに、やはり丹念に語源地点などを引く必要があるということです。
5つのパターンのいずれであるかというのは、このようになかなか難しい問題なんですが、どのパターンであれ、結果としてふたを開けてみると、英語とフランス語には共通する単語がたくさんあるということになります。
したがって語彙の観点から言いますと、この2つの言語はセットで勉強するとお得ということになりますね。
このあたりについては、すでにVoicyでも2度ほど注目して取り上げたことがありますので、そちらの放送も合わせてお聞きいただければと思います。
1つ目は327回目の放送なんですが、新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ、英語詞を合わせて学ぶと絶対に学びが面白くなると約束します。
という長いタイトルのメッセージなんですけれども、こちらですね。
それからその2日後なんですが329回目の放送、フランス語を学び始めるならば、ぜひ英語詞解説も合わせてと題する放送をお届けしました。
こちらも合わせてお聞きください。
本日も最後まで放送を聞いていただきありがとうございました。
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連日宣伝しておりますが来る6月11日土曜日の15時半から18時45分、朝日カルチャーセンター新宿教室で英語の歴史と世界英語、世界英語入門と題する講座を開きます。
4回のシリーズの初回ということになります。
世界英語ワールドイングリッシュという今をときめく話題、これを取り上げながら主に英語詞の観点から考えていく予定です。
講座の形態としましては対面のほかオンラインでの受講も可能ということで、いわゆるハイブリッド形式でお届けします。
英語詞の知識その他は前提といたしませんので、むしろ講座を通じて世界英語との接点を探りながら英語の歴史への関心も深めていただければと思っています。
関心のある方はぜひこの機会に受講してみてください。
講座の詳細な情報はチャプターに貼り付けたリンクよりご覧いただければと思います。
では本日も良い一日をお過ごしください。また明日。
19:00

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