2025-09-04 11:48

heldio #411. 英仏独語教育間の微妙な関係

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #フランス語 #ドイツ語
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サマリー

英仏独語教育の微妙な関係について探求し、英語が他の言語の学習に与える影響や国のアイデンティティの重要性が語られています。言語間の序列やプライドに対する考察も含まれ、特に英語の圧倒的な影響力についても触れられています。

英仏独語教育の関係
おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 7月16日土曜日、今週も週末になりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今日はリスナーさんからいただいた話題ということで、 英仏独語教育間の微妙な関係についてです。
先日、リスナーさん、わらしべさんよりいただいたコメントです。 やや英語史からずれるかもしれませんが、私はドイツ語やロマンス語の語学番組をよく見ます。
文法でも単語でも、英語と明らかに対応するものについて、 一切英語に言及しないということがよくあり、不自然に感じます。
個人差はあると思いますが、英語以外のヨーロッパ語を学ぼうとする人には、 英語の知識がそれなりにある場合が多いと思います。
英語を持ち出せば簡単に済むのに、一切言及しないことが多いのはなぜでしょうか。
講座の時間的な問題もあるのかもしれませんが、 英語を頻繁に持ち出すのは〇〇語のアイデンティティを侵害するというような認識があるのではないでしょうか。
やや触れにくい話題かと思いますが、 可能であればご見解をお聞かせくださいという話題です。
これは確かに思い当たる節があるといいますか、 晴れものに触るようなほどのことではないですが、
感じる方は多いのではないかと思うんですね。
とりわけ英語に近いといいますかね、インドヨーロッパ諸語、 典型的にはフランス語とかドイツ語とかスペイン語あたりがよく学ばれているかと思うんですけれども、
そのような語学番組に限らないですかね、 例えば参考書、教科書等でもそうかと思うんですけれども、
英語のことに触れていない。
教育効果といいますか、学習効果を考えるのであれば、 かなり多くの方がですね、
学習者がすでに英語を何らかの形で学んでいるということが多いので、 それに引っ掛けて第2の外国語を学ぶ。
これは効率上もとても良いことではないかということは、 頭で考えればわかるんですが、
実際にはそれはあまり行われていないような気がするというご指摘かと思うんですね。
これはおっしゃるとおりのある種のアイデンティティという問題は一つあると思います。
自分の言語である、独立した言語であるということで、 他の言語、とりわけ英語と引っ掛けるということに対する、
一種のプライドという言い方もできると思うんですけれども、 背後に国家がついてますよね。
英語であれば歴史的にということですがイギリス、 フランス語であればフランス、
ドイツ語であればドイツ語といった形で、
言語の問題だけではなく、その背後に国があるということで、 その国の独自性、その国のプライドということで、
他の国、他の言語と引っ掛けて、 自分の国や言語のことを解説するということに対する、
ある種のプライドみたいなものはきっとあるんだろうとは、 私も推測しています。
そして今、プライドであるとか国の独立性、 アイデンティティというような言葉が出てきたんですけれども、
もう一つそれと関係して、 言葉の世界には序列というものがあるわけですね。
偉い言語とそうでない言語という、 露骨な言い方をしますとそういうことなんですけれども、
社会言語学的に重要な言語から重要でない言語といいますかね、 序列が上から下まであるというのは、
これよかれやしかれ社会言語学的な現実、事実ということなんですね。
そして英語は、これ異論の余地がなくですね、 世界で今最も影響力のある言語ということで重要な言語、
そしてカッコつきの偉い言語ということになっているわけですね。
引き合いに出しましたフランス語とかドイツ語などは、 もちろん7000ある言語の中ではトップクラスのエリート中のエリート言語なんですけれども、
このダントツのトップを走っている英語に比べると重要性において、 あるいは国際的影響力において落ちるというのは、
これは現実だと思うんですね。
ですので単に独立とかアイデンティティであるとかプライドということがあるばかりではなく、
やはりこのランキングというものが意識されているということかと思うんですね。
つまり英語以外の言語にとって英語というぶっちぎりの強大な言語は、ある種脅威に移るということですね。
これは否定できないのではないかと思われます。
英語の学習手法と影響
ですので独立やプライドということとは別軸で、 もう一つ英語が脅威であるという考え方、見方というのはあるのだろうと思います。
英語の単語であるとか文法に引っ掛けて自分の言語を記述するといいますかね、 教育したり学習するということ、その効率はあるのかもしれませんが、
やはりそれぞれが独立した言語であり、しかもプライドがあるということは、 このプライドということとランキングというのは、
先ほど独立した二つの側面だという言い方をしましたが、 実際には結びついて関連し合っているのかなとも思いますね。
この問題ちょっと似ているなと思うのは、私もプログラム言語ですね、 スクリプトなんかをちょこっとしたりするんですけれども、
これもそれぞれ言語の独立性というのがありまして、 あるスクリプティング言語から別の言語に乗り換えるというときも、
前の言語で覚えたことを参照しながら新しい言語を学ぶということが多いんですが、 そのタイプの教科書みたいなものは全くないわけではありませんが、
やはり主流ではないというのがありますね。 似ているなと思う次第なんですけれども。
私としては、例えばフランス語とドイツ語などを例に取りたいと思うんですが、 こうした言語を学ぶときに、もっと積極的に英語に引っ掛けるということは、
学習効率上はやはりあっていいと思いますし、 むしろ必要なことだというふうに考えているんですね。
ただ、これが一方方向になってしまいがちというところが一つ問題なのかなと。 どういうことかといいますと、
英語を学ぶときにフランス語やドイツ語などの文法事項とか単語に引っ掛けるという、 この逆方向というのはなかなかないわけですよね。
というのは、学習者人口という観点からそれはあまり効率的ではないということかと思うんですけれども、
そうすると勢い、一方方向ですね、引っ掛けて学ぶといった場合、 英語に引っ掛けてフランス語、ドイツ語などを学ぶということで、
その逆方向というのが、そういう技が使いにくいということで、非対称になってしまいますね。
いわば英語の独り勝ちのような構図が、事実そうなんですけれども、 さらにデフォルメされて、大きく表面化してしまうというところがあるんですね。
これは一つには仕方ない、どうしようもないということなんですけれども、 私も英語教員といいますか、英語師教員としてという側面のほうが強いんですけれども、
フランス語やドイツ語に引っ掛けられない悲しさといいますか、 もったいなさみたいなのを感じながら英語の授業や講義なんかをしているんですね。
というのは、すでにこのチャンネルで英語の歴史について学んでいる人はすでにお馴染みかもしれませんが、
英語というのはもともとゲルマン語ですので、 ドイツ語と引っ掛けて考えると面白いことがたくさんあるんですね。
一方、単語やつづり字に関してはフランス語から借りたものが多いということで、 フランス語に引っ掛けて英語師、あるいは英語という言語を説明すると、
とても面白い、役に立つということが大変多いんですが、 昨今、その講義や授業を受けている学生も、フランス語やドイツ語を第二外国語としても学ばない。
中国語であったり、スペイン語であったり。 スペイン語であればまだ引っ掛けがいがあるというところではありますが、
ただやはり直接的ではないので、フランス語に対して直接的な関係ではないので、 このあたりが大変残念と言いますかね。
もう少し前まではフランス語、ドイツ語がまず第二外国語で、 それで英語を学んでいるというケースが、私が所属しているような文学部では典型的によくあったんですが、
最近はその技が使えないということで、なかなか残念で困っている次第でもあるんですね。
ポイントは一方向でなく複数の言語を引っ掛け合うということ。 これが教育や学習においても大事なことなのかなと思っています。
リスナーのわらしべさんからいただいたコメント、質問をもとに今日はお話ししました。
確かに少し触れにくい話題という感じがありますかね。
ただ私も本当に気になっていたことですし、実際に英語以外の言語ですね、 今日はフランス語、ドイツ語ということを代表で挙げましたけれども、
の先生方がこの問題についてどう思っているかということは聞いてみたい感じはしますね。
私自身は英語の教員ということで、そのランキング的には第一位である英語の教員ということで、
もしかしたら上から目線に今日の話自体がなっているのかもしれません。
この辺りも相対化するために、多くの方々ですね、主に先生であるとか学習者の方の意見を聞いてみたいところだと思います。
コメントはいつでもお寄せください。
Voicyのコメント機能あるいはチャンネルプロフィールに貼り付けていますコメントフォームよりいただければと思います。
それでは土曜日、お元気に週末をお過ごしください。
ホッタリウチでした。
11:48

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