リスナーからの質問
おはようございます。英語の歴史の研究者、そして英語のなぜに答える初めての英語心の著者の堀田隆一です。
8月30日、火曜日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。
本日は、リスナーさんからいただいた質問にお答えしたいと思います。
-l なのか-ll なのか問題 ー till until etc.、です。
つづり字のややこしい問題ですね。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
昨日いただいた質問なんですけれども、リスナーのノワールさんです。
読み上げます。
堀田先生、こんにちは。大学の英語史の授業を取っていて、分かりやすそうな本を探していて、先生の初めての英語史を購入しました。
こちらもフォローして勉強したいと思います。
質問なのですが、still は ll で l が2つつくのに、until は l が1つなのは、何かフランス語の影響等で変わった等あるのでしょうか。
pencil, pupil などの副音節語では l が1つと決まっているとか、bow, call, toll や feel, cool, pool など単音節でも違うのはどうしてなんでしょうか。
という質問です。
lの綴りとそのルール
ノワールさん、非常に面白い、そして実は難しい問題なんですが、お寄せいただきましてありがとうございました。
大学の授業で英語史を学び始めているということで、私の本も購入していただいたそうで大変嬉しいです。ありがとうございます。
このヘルディオでも、それから姉妹版の私のブログですね、英語史ブログヘログの方でも定期的に英語史の学び始めを応援する、支援する記事等をですね、お送りしているんですけれども、
ちょうど改めて英語史の進めの情報をですね、発信しようかと思っていたところなんですね。
そこでですね、今朝のブログに早速そちらをアップしました。英語史を学び始めようと思っている方へと題して記事を書きまして、これまでのブログやこのヘルディオへの関連リンクを貼っています。
入門書の案内であるとか、その他諸々のですね、学び始めに役に立つ情報を載せてありますので、ぜひそちら訪れてみてください。このチャプターにですね、そちらの記事へのリンクを貼り付けておきます。
そして、ノワールさんからの質問の本題なんですけれども、L、これが一つで書かれるのか二つで書かれるのかということがですね、なんだか規則があるようでないし、よくわからない文法になっているということですね。
これなかなか頭が痛い問題で、英語の綴り字のランダムぶりって言いますかね、ひどさというのが明らかになる具体例だと思うんですけれども、私が答えられる範囲でこの問題について今日はお話していきたいと思います。
Lが一文字で綴られるか、それともLLと重ねて二文字で綴られるかという問題なんですけれども、いくつかのカテゴリーに分けて考えていきたいと思うんですね。
まず単純な一音節語から考えてみたいと思うんですけれども、例えばプールとありますね、これプール水たまりってことです。
一方、プール、引く引っ張るという動詞のプールはPULLということになりますね。
Lが一つのプールと二つのポールということです。
これは発音でわかるかと思うんですが、長母音の後に来る場合にはLが一つということになってますね。
一方、単母音の場合にはLが二つ続くということでPULLとなっているわけです。
大枠で言いますと、一般的にこれが当てはまります。
例えばフィールクールといった場合ですね、これFEEL、COOLということなんですけれども、それぞれ長母音ですね。
それに対して、例えばTELL、これ単母音ですよね。
それからCALL、DULLっていうのもありますね。
これも単母音です。
このようにきれいにいきそうな気がするんですけれども、たくさん例外があります。
例えばALLと書くALL、これはALLという長い母音がありますよね。
それにもかかわらずLが重なっている。
そしてこのALLを含む、その前に一つシーンがあるタイプのいっぱいありますね。
BALL、CALL、TALLのような単語です。
それからTOLLと綴るTOLL、通行料みたいな単語ですね。
これもですね、長母音ではありませんが二重母音ということで決して単母音ではないわけですよね。
それなのにLLとなっている。
なかなかうまくいかないことになっているわけなんですけれども、歴史的に見ますとこのLLと二つ綴るものですね。
その前の母音が今では長母音、二重母音になっているとしても、過去にはですね、これが単母音だったというものが多いんですね。
後の歴史でこの単母音が二重母音化したり、あるいは長母音化したりということで現在は長めになっているんだけれども、
もともとは短かったということがですね、このLLというLをダブらせることの中に反映されているっていう可能性は高いと思うんですね。
それに対してL一つで終わるもの、POOL、FEEL、COOLなどを挙げましたけれども、これらはもともと長母音を持っていたんですね。
このようにかつての発音に基づいてLが二つなのか一つなのかということが決まっているというケースが多いですね。
ただ探してみればそううまくなっていないっていうものもあるんじゃないかと思われますし、あくまで目安ですね。
しかも現代の教授的な立場からすると目安と言われてもですね、昔の発音なんて知らないわけですので、うまくは説明できないということになるわけですけれども、歴史的にはおよそそんなことが言えるということですね。
英米差と綴りの変化
これがまず一点です。
次のカテゴリーはですね、これもなんとも説明が難しいんですけれども、TILLという前置詞ですね。
このTILLっていうのはTILLと綴りますが、道義の前置詞でUNTILっていうのがありますね。
頭にUNをつけるものですね。
この場合にはUNTILのTILLはTILというふうにL1個になるわけですよ。
明らかにTILLと関係している語にもかかわらず書き方が違うということになりますね。
これなどももう意味不明と言うべきですよね。
歴史を遡りますとTILLの方でL1個というふうに綴られたこともありますし、逆にUNTILもですね、現代の標準的な書き方とは違って、
L2つで書かれたということもありますので、すべてのパターンがあり得たということなんですけれども、
標準語の標準的な綴り字ということになりますと、単体ではTILLとLがダブって、
そして複合的二音節語になるとUNTILということでUNTIL、Lが1つということですね。
これはもうなんとも説明しがたい。
単音節か二音節かということでですね、それが基準になっているのではないかという考え方もなきにしもあらずかもしれませんが、
いくらでも例外が出てくるということで、はっきりしたルールはないというほかないですね。
そして3つ目のカテゴリーなんですが、これがですね、また状況をややこしくしているというもので、
英米差です。英語の英米差によってL1つか2つかというのが変わってくるっていう一群の単語があるんですね。
よく知られているのがTRAVEL、旅行するという動詞がありますけれども、
ここから後ろに何かつけることによって長くなった場合ですね。
例えばTRAVELER旅行者あるいはTRAVELED旅行したという過去形ですね。
それからTRAVELINGというふうに現在分詞あるいは同名詞をつけた場合、INGをつけた場合なんですが、
Lの使い方の違い
これがアメリカ英語ではLが1つのまま、もともとのTRAVELのまま、それにERをつけたりEDをつけたりINGをつけるということなんですが、
イギリス英語ではLをダブらせてからER ED INGをつけるということで、
アメリカではつまりLが1つ、イギリスでは2つというこの差ができるんですね。
他に類例としてはCANCELという単語がありますね。
CANCELLED、CANCELLINGというときの過去形のED、それから現在分詞同名詞のINGこれをつけるときですね。
やはりアメリカではL1個にとどめておくんですが、イギリスでは2つつけると。
さらに名詞化したCANCELLATIONというのも同じですね。
アメリカではL1つ、イギリスではL2つというのが基本的な綴り方になります。
他にはCOUNSELLORという単語ですね。
これはアメリカでは末尾の部分がLORとなるんですが、イギリスではLLORというふうに2つに綴ります。
このようにL1つで終わる動詞に何かつくときにイギリスではLLとなるという例を今いくつか紹介したんですが、
そうではなく、もともとアメリカでは1つでイギリスでは2つLをつけるというようなですね。
動詞とは関係ないものもですね、そういう振る舞いをするものがあるんですよ。
例えば、チリソースのチリですね。
これはアメリカではCHILLIというふうにL1つなんですが、イギリスではCHILLIというふうに2つで綴るということがありますし、
それからですね、MARVELOUSという時のLですね。
これもアメリカ1個、イギリス2個ということになっています。
実にめんどくさいですね。アメリカでは1つ、イギリスでは2つなんだと覚えるしかないかとこういうふうに諦めるところなんですが、
そこに次カテゴリー、4つ目のカテゴリーですが、なんと逆があるっていうんですね。
これをもう全く理解できないわけなんですけれども、
これは語末にLが現れるという単語でですね、
例えばAPOLというのはアメリカで2つなんです。
イギリスでは1つでAPPALとなるんですね。
他にENROLLとかENTROLLっていうのもそうですね。
他に重要な単語でも結構ありまして、
満たすのFULFILL、アメリカではFULFILLですね。
つまり満たす、単純に満たすのFILLという単語もありますが、これと同じようにLLで書くんですね。
ところがイギリスではFULFILLっていうようにL1回で止めます。
FULFILL、語末のLの方ですけれどもね。
それからINSTEAL、DESTEALなんていうのもそうですね。
最後にSKILLFULとかWILLFULというとき、
これもですねSKILL、WILLの部分もアメリカ英語ではLLですが、
イギリス英語ではL1つということになります。
ウェブスターとつづり字改革
全くもって意味不明。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
リスナーのノワールさんからいただいたLかLLかというこのややこしい問題についてですね。
今回の解説だけですべて説明できたわけではありませんし、
むしろ疑問が残ったのではないかと思うんですけれども、
これが現状といいますか、非常にややこしい英語のつづりの実態ということになりますね。
なかなか一筋縄ではいかないというところがあります。
歴史的にある程度までは説明できるということもあるんですが、
そうでないことも多いということですね。
Aベーサーに関しては、
実はノア・ウェブスターという人がこのアメリカつづり字ですね、
イギリスとは違うつづり字にしようということで改革を起こしまして、
先に述べたようなですね2つ異なるカテゴリーがありましたが、
アメリカの方がLL、イギリスの方がLということもあれば、
その逆ということもありましたけれどもね、
このようなことも含めてウェブスターが作り出した際、
Aベーカンの際ということになります。
人工的にですね、つづり字を改革したんであれば、
もっと分かりやすい分布にしてくれればよかったのにと思わずにはいられませんが、
悲しいかな、これが英語のつづり字の現状ということなんですね。
ノアールさんありがとうございました。
非常に興味深い、そして難しい問題でしたけれども、
ぜひこのような疑問を抱きつつ、
英語詞の学びを進めていただければと思います。
また何か質問とコメントとありましたら、
お寄せいただければと思います。
もちろん他のリスナーの皆さんからも、
ぜひご意見ご感想ご質問をお待ちしています。
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それでは本日も皆さんにとって良い1日になりますように。
ほったりうちがお届けしました。また明日。