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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応技術大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
さて今回取り上げる話題は、英語に最も近い言語は何か。
それは実はフリジア語という言語なんです。 これは多くの人が聞いたことのない言語名だと思うんですね。フリジア語。
英語ではフリージャンというふうに言いますが、そもそもフリジアって何?どこ?という感じだと思うんですね。
今回は英語の語源が身につくラジオということです。 普通、単語の語源ということを主に取り上げることが多いんですが、
今回は英語そのものの源に迫りたいと思うんですね。
この英語、Englishと呼ばれる言語なんですが、これは非常に大きな語族、インドヨーロッパ語族と呼ばれる言語の家族ですね。
Language familyですが、非常に大きなインドヨーロッパ語族と名付けられた、大きなLanguage familyの一員なんです。
このような語族という単位は、現代の世界に100ぐらい実はあります。
日本語は実は日本語族というふうなところに属していたりして、世界に100を超える語族があるんですが、
そのうちの一つにインドヨーロッパ語族と名付けられた語族があります。
これ実はここに英語も入っていれば、フランス語もドイツ語もロシア語もスペイン語もというふうに非常に名立たるヨーロッパの言語が入っているので、
とりわけ有名なんですが、全体としてみればその100いくつの中の一つに過ぎないんです。
重要で大きな語族であることは確かなんですが、インドヨーロッパ語族の一員として英語があるということなんです。
こういう系統図で描かれることが多くて、これはラジオ向きではなくて、むしろビジュアルで見たほうがいいと思うんですけれども、
インドヨーロッパソ語という大元の言語があって、そこから分岐する形で枝分かれしていくわけですね。
その成れの果てが英語であり、フランス語であり、ドイツ語であり、ロシア語であり、そして地理的には遠く離れていますが、東の果て、インドで話されているヒンディ語だったりするわけですよね。
地理的にヨーロッパからインドまで広がっているので、後付けでインドヨーロッパソ語と呼ばれているわけですね。
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この紀元前でいうと4000年ぐらいのイメージです。
この頃には、今のロシア南部とかウクライナあたりに故郷があったとされている一つの言語、インドヨーロッパソ語、祖先の祖の言語ですね。
これがあったというふうに考えられています。
それが四方八方に散って数千年をかけてそれぞれ方言化していった。
結果としてお互い理解できない言語になったという形で、その枝分かれしていった枝の末端、葉っぱの一つが英語ということになります。
このように現代世界の状況を見ると英語というのは非常に重要な言語であり、いわゆるlingua francaですね。
共通語、世界の共通語だというふうな有力な言語になっているわけですが、あくまで多数ある語俗の中の一つ、インドヨーロッパ語俗の中のさらにその葉っぱの一つに過ぎないということなんですね。
いろいろと分岐して今の英語になったんだということは大雑把に分かったとして、一番近い兄弟といいますか姉妹といいますか、枝分かれすることになった親とか兄弟というのはどういう関係だったかということですね。
これはいろいろな研究で比較言語学という分野なんですが、この分野で非常に細かいことまで明らかになっています。
この英語、イングリッシュに最も近い言語はその比較言語学の知見によりますと、実はフリジア語という言語なんです。
これはまた無名の言語で、英語が世界一有名な言語ですね。
話者が外国語として英語をマスターした人も含めると、現代世界で20億とかそれくらいの数が言われるわけですね。
それくらいの超大言語なわけですが、一方で血を分けた一番近い兄弟ですね。
これがフリジア語といって、英語ではフリージアンですが、こんな言語があるんですね。
現代でも使われています。これはなんと50万人くらいに使われている、英語のこの20億と比べるととんでもなく無名な言語なんですが、こういう言語があるんです。
英語はゲルマン語派に属すると言われます。
インドヨーロッパ語族なんですが、その中でもいろいろ派閥があってですね。
イタリック語派とかケルト語派とかですね。いくつかあるんですが、その他に一つゲルマン語派という一つの大きい派閥があります。
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その中でさらに枝分かれして、例えば今のドイツ語であるとかオランダ語であるとか、アイスランド語であるとかですね。
そして英語も含まれているということなんですが、その枝分かれもですね、実は細かく見ると、系統図を見るとですね、いろいろ細かく枝分かれしています。
その中で実は一番英語と近いのがこのフリージア語ということになりますが、じゃあそもそもフリージア語とは何なのか、誰が話していてどこで話されているのかということですね。
これはですね、実は国でいうとオランダ、現代のオランダ領ですね、の北部、北海沿いですね、北海沿いにですね、フリージアあるいはフリースランドと呼ばれる地域があります。
オランダの首都はアムステルダムですが、アムステルダムから直線距離にするとですね、6、70キロぐらいのところから始まる東西に長い海岸のエリアですね。
ここがですね、フリージアとかフリースランドと呼ばれているエリアで、その大陸側もありますし、その東諸部ですね、沖合に浮かんでいる島も含めて、このフリージア語が話されているエリアなんですね。
首都のアムステルダムからも、たかだか数十キロというところで話されています。この地域ではオランダ領ですし、公用語はオランダ語なので、基本的にオランダ語を皆さんできるわけなんですが、そこに住んでいるエリアのローカルな地元の人々は日常的にはフリージア語をしゃべります。
実はこのフリージア語が英語と最も近い兄弟と言いますかね、地筋的には近い存在ということになるんですね。これあまりに無名なので知られていないんですが、これは事実なんですね。
50万人ぐらいという、決して多いとは言えない数なんですけれども、とりわけアムステルダムの中央部に近い部分の西側ですね。西側のフリージア語というのは、そこそこその地域ではしっかりと根付いているという言語なんですね。
歴史を振り返ってみますと、このフリージア語の最古の文献は11世紀に遡る地元の法律文書というのがフリージア語で残っています。ただ、書かれたのがその時期ということで、実際に写本の形で残っているものは13世紀以降のものということなんですね。
英語はもっとずっと数世紀前から残っていますので、そうしますと文書の形で残っているものとしては、英語よりもずっと新しい時代からということです。
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この段階が16世紀後半ぐらいまで、このフリージア語で書かれた文献というのはあるんですけれども、その後フリージア語で残された文書はほとんど見つかっていません。有力な言語であるオランダ語であるとかその方言の真影に入ってですね、表面化してこなかったということです。
こういうこともあってですね、非常に知名度が低い言語なんですが、最も知名度の高い英語の地を分けた最も近い兄弟がこのフリージア語であるということは、ぜひ知っておきたい知識だと思います。ではまた。