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2024-08-30 10:05

heldio #41. get と give は英語本来語ではなかった!


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしてきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、get と give は英語本来語ではなかった、という驚きの話題です。
get と give といえば、動詞の中でも基本中の基本の動詞と言っていいと思います。
実際、英語で最もよく使われる単語は、頻度順に並べたリストでは、両方とも100位以内に入るというぐらい対応されますし、
当然、学習としても非常に早い段階で覚える単語、動詞の2つです。get と give ということです。
このように非常に日常的で基本的な単語が、実は英語の本来の単語ではなくて、釈用語である、外国語から借りてきた単語である、というこの驚きの話題です。
英語は釈用語が非常に多い言語として知られています。
実際、英語の語彙の、これは一つの推計ですけれども、統計ですけれども、3分の1ぐらいが英語本来語、つまり最初から英語だというものですね。
これが3分の1、程度しかないということです。残りの3分の2は、実は外から入ってきた単語である、と。
さまざまな言語がありますけれども、本来の英語ではなく、外から持ってきた単語、借りてきた単語ということなんですね。
このような日常的な単語にすら、英語本来の単語ではなくて外来語、釈用語が混じっているというのは、なかなか驚くべきことなんですが、とりわけ非常によく使うこの get と give ですね。
これは外から入ってきた単語ということなんです。
ではですね、何語から入ってきたのかということが気になりますね。
これは実はですね、古ノルド語、英語では Old Norse と言うんですけれども、これはですね、1000年ぐらい前の北欧語の祖先です。
言ってみれば1000年ぐらい前の北欧というのは、いわゆるバイキングの時代です。
バイキングの言語ですね。バイキングが話していた言葉、これを古いノルド語、古ノルド語と言い習わせているんですが、実はこの言語から英語が借りた単語なんです。
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少し詳しく見ていきたいと思いますね。
この英語にしろですね、この古ノルド語にしろ、実は広い意味では、北西ヨーロッパのですね、いわゆるゲルマン語圏なんですね。
英語もゲルマン圏の言語です。同じように古ノルド語、バイキングの話していた言語も古ノルド語ですが、これもゲルマン圏の言語です。
ゲルマン圏の中でもいくつか細かい派閥というのがありまして、英語は西ゲルマンと呼ぶんですね。
それに対して、古ノルド語は北欧ですから、北ゲルマンというふうに、ゲルマン語の中でもちょっと派閥があります。少し離れている。
と言っても似たようなものですね。共通の祖先を持っているわけです。
この英語のgetにあたるものですね。これは共通の祖先ですね。英語、古ノルド語の共通の祖先の段階ではですね、これがgetのことをげたんと言ったんですね。
あんというのは、動詞につく語尾ということで、本体は結局getなわけです。げたん。
ぎふの方もですね、似たような感じでげばんというふうに、この頃はgebanというのがbだったんですが、げばん。十分に似てますね、今のgetとぎふに。げたんとげばんというのがあったと。
さあこれがですね、後に北ゲルマン系の派閥と西ゲルマン系の派閥というふうに分かれていくわけですよね。
で、まず英語の方行きましょうね。つまり西ゲルマン系です。このげたん、げばんという形だったものが、西ゲルマンの、例えば英語の祖先である古英語の時代までにはですね、このぐっていう音ですね、これが弱まってですね、このYで表されるような音、野行の音ですね、これに変わるんです。
つまり、が行の音から野行の音に変わって、げたんがげたんみたいになるんですね。
そしてげばんという、このぎふに相当するものは、げばんからいえばんというふうになるんです。いえばんですね。この頃にはVの音になっていましたが、いえたん、いえばんというふうになったんです。
つまり英語では基本的にこのげの音はですね、西ゲルマン系のこの英語では、のきなみですね、いえの音になってしまうんです。
これがげたん、いえばんというふうに、これ古英語で実際にげたんが与えるという、取るですね、ゲットするという意味になって、そしていえばんが与えるという意味で使われてたんです。
いえたん、いえばんという音ですね。これそのままアート現代に来てもですね、決してゲット、ギブにはなりませんね。もういえになっちゃってますから音が。いえたん、いえばんというふうに。
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そうするとですね、じゃあこの今のゲット、ギブのこのグっていう音、これオリジナルの言語ですね、にはあったんですが、古英語では一旦ですね、いえになっちゃってるんですね。
一旦いえになっちゃったものが元のグ、ゲの音に戻るということはありえないので、これ今ゲット、ギブであるということは、よそから持ってきたということになるんですね。ここがポイントです。
大元のげたん、げばん。英語でこそこのいえの音に化けましたけれども、北ゲルマンですね。つまりコーノルド語においては、実は何にも変化せずにこのままげたん、げばんが、Nの音が落ちたんですが、げたとかげわっていう発音になったんですね。
グの部分は変わってないってことです。そしてこれがですね、8世紀後半からですね、11世紀の間、いわゆるバイキング時代と言われているんですが、北欧のバイキングたちがですね、イングランド北部、東部を襲ったんですね。
そして攻略して住み着いたってことです。この時期に、実は英語と北欧語、もともとそんな遠くはない同じゲルマン系の言語ですね。兄弟言語ぐらいの感じなんですが、これがですね、交わったってことです。接触したってことです。
そして両方ともゲルマン系ですから、基本的に語源を同じくするですね、単語っていうのがこれ無数に存在しています。ゲット、ギブに関しても英語でもちゃんとあったわけですね。さっき言ったように音は変わりましたが、げたん、げばんという形でちゃんと当時存在した。
それと並行的に、コンオルド語ではグの音を保ったままのげた、げばという動詞ですね。これもあったと。この2系列がですね、小英語のげたん、げばんとコンオルド語のげた、げばというのが、イングランド北部、バイキングに襲われたイングランド北部、東部あたりで両方使われてたってわけですね。
両方使われてたんですけれども、結果としてその後にですね、どっちかが選ばれるっていうことになったわけなんですが、結果として選ばれたのがコンオルド語系のげた、げばの方だったっていうことです。
そして本来の英語のいげたん、いげばんというのは廃れていったっていうことですね。このコンオルド語系の残ったげた、げばっていうのが、現代につながるこのget、giveの元ということになります。
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ですので、このget、giveっていうのがですね、コンオルド語からの釈用語であるという言い方は、75%ぐらい正しいですかね。釈用という割には実は小英語にも対応するものはきちんとあったわけです。
ただ、音はいげたん、いげばんというや行音だったっていうことなので、ある意味では音だけをコンオルド語から借りたと、このぐっていう音だけを借りたというふうに考えることもできるかもしれません。
ですので、冒頭に挙げたですね、このget、giveは英語本来語ではなかったというのも、ちょっと言い過ぎかもしれないですね。もともと英語にもあったといえばあったかも。ただ、このぐっていう音は英語にはなかったですね。少なくともこの部分に関してはコンオルド語から借りたということです。ではまた。
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