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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回の話題は、基本英単語100語の起源はほぼアングロサクソン、という話題です。
これまでの放送でも何度か話題にしていますが、英語語彙というのは数百万語あるわけなんですけれども、その語源別内訳ということを考えると、
本来の英語、最初から英語という単語は、実は少数派なんです。少数派といっても3割強というぐらいの割合ではあるんですが、
それ以外は全て釈用語、外から借りた言葉ということですね。外来語ということです。
その外来語の中でも、ラテン語やフランス語というのがかなりお占めているんですけれども、残りは非常に多数の世界中の言語がパイを分け合っているという形なんですね。
日本語も英語に単語を貸しています。〇〇語も英語に貸していますというふうに、英語に単語を貸していない言語を思い浮かべる方が難しいと言ってもいいかもしれません。
それぐらい英語語彙というのは雑多なんですね。雑種です。
その中で、フランス語、ラテン語、そして英語の本来語ですね。これはアングロサクソンと言いますが、この英語の本来語ですね、公英語からずっと続いている、本来の言葉はアングロサクソン系の語というふうに言いますが、
これが思いのほか少ないということはですね、意外と知らない人には驚きだということなんですね。
ただですね、文符に偏りはあります。どういうことかというと、このアングロサクソンの英単語ですね、本来の英単語はですね、非常によく使う当たり前の基本単語にぐっと凝縮して集まっているんですね。
そして少しレベルが高い単語になると、だいたいフランス語とかラテン語とかギリシャ語とか、そういう形になってきてですね、本来の英単語、アングロサクソン系はむしろ少なくなっていくというふうに、いわば水準、基本的な単語か少しレベルの高い単語かっていう、この水準によってだいぶですね、傾向が、文符の傾向が異なってくるんですね。
実際に今回は基本百語で考えてみたいと思うんですけれども、この基本英単語百語、これ今いろいろなリストが出ていますけれども、今となってもだいぶ古いのかなと思いますが、General Service Listという単語リストですね、これは頻度に基づいた単語です。
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この頻度が高ければ高いほど基本語彙ということになりますし、頻度の高さということと基本的である度合いっていうのはイコールに近いと考えていいと思うんですね。
なので今回この頻度リストから百語を取り上げたいと思うんですね。一番よく現れる百語ということです。
最もよく現れる単語は何かというと、これはTheなんですね。定関詞のTheです。
それから二位はですね、be動詞です。これひっくるめちゃってます。
Is, am, areとかwas, wereとかいろんな形があるんですが、これをひっくるめてbeとして束ねると二位にはなるということですね。これは想像できそうですね。
3位がof、前置詞です。4位がand、接続詞ですね。
それから5位がa、不定関詞のこのaということですね。
6位、to、これは2位の方ではなく前置のtoですね。
7位がin、前置詞です。
8位にheという認証代名詞が入ってきてますね。
9位にhave、10位にitというふうになっています。
全て読み上げることはしませんけれども、このように最初の10語だけ見てもですね、いわゆる文法的な単語が多いですよね。
実質的な意味を持つ動詞とか名詞というよりは、文法的な単語と呼んだほうがいいようなものが多い。
最後に出てきた9位のhaveは動詞ですけれども、これ助動詞でもありますし、語彙的なしっかりした意味を持つ語というよりは文法的な語と言えると思うんですね。
だいたいこれがですね、20位、30位、40位、ずっと続きます。
実質的な単語がなかなか現れてこないということなんですね。
他には数詞とか助動詞とかですね、疑問詞であるとか、こんなのが出てきますね。
ようやく意味のある名詞とか動詞が出てくる。
例えば35位にsayというのがありますね。
37位にmakeというのが見えます。
それから43位にman、人、男ということですね。
48位にtimeというのが出てきますが、こんな感じですよね。
全体のイメージとしてですね、91位から最後まで15位を唱えてみますと、
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となっています。
なんとなく雰囲気はわかると思いますね。
確かに基本的すぎて面白みがないと言いますが、いわば文法的な語が多いわけですから、当然面白みはないということになりますが、
こんな分布なんですね。
さあ、この100号をですね、5言別に整理してみますと、
100のうち92語までがアングロサクソン、つまり本来の英語なんです。
92%ですからほぼ全てと言っていいと思うわけですが、
これ基本単語100語でやるからこれぐらいアングロサクソン系が多いということなんですね。
そうではなくて、基本単語例えば500語とか1000語とかあるいは1万語とやるとですね、
このアングロサクソンの占める割合というのがどんどん減っていってですね、最終的には3割ぐらいになってしまうということなので、
この上位100語で今見ているわけなんですが、かなり特殊な事情があるということなんですね。
こういった頻度の高い日常的な語というのは、なかなか他の言語から入ってくる釈用語に置き換えられません。
つまり古くからずっと残り続けることが多いということですね。
それでも面白いのは8語は外から入ってきたということなんですね。
むしろこの方が驚くべきなんです。
このような英語のコアを形成する最頻100語ですよね。
この中に8語までもがですね、釈用語に占められているというのはむしろこちらの方がですね驚きなんです。
上げてみたいと思いますね。
8語のうち5語、5つは北欧語、古ノルド語由来の単語です。
これ8世紀半ばから11世紀くらいにかけてのバイキング時代にですね、この北欧の海賊たちにイングランドは攻められた。
その際に海賊たちの言語ですね、古ノルド語ですが、これがいくつか入ってきたということなんですけれども、こんなコアな100語の中に入っているんです。
この5語というのはthey、she, take, get, giveというあまりに当たり前の単語ですよね。
これが外から入ってきた単語だっていうのはなかなか驚くべき現象ですね。
実際今挙げた5語はですね、いろいろ起源に諸説はあって、この古ノルド語ではないあるいは別の考え方もあったりするので、
今回は参考までにということなんですが、こういうことになってますね。
そして残りの3語ですか、これがフランス語から入ってきてるんですね。
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これ何かというとstate, use, peopleという、これまた当たり前の単語です。
これstateっていうのは実際にはそんなに使わないんじゃないかと思われるかもしれませんね。
実際そんな使わないと思うんですけれども、100語、最近100語には入らないそうなんですが、
おそらくUnited Statesみたいなものが頻度を押し上げているっていうことなのかなと。
いずれにせよ、このstateを別にしてもuse, peopleという、やはり当たり前の日常語がですね、
これは本来の英語ではないフランス語である。
この少数派である8語ですね、英語ではない、本来の英語ではない8語がむしろ驚くべき語彙なんだということになるかと思います。
それではまた。