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2025-02-24 09:56

heldio #219. between の語源は by two だった!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #前置詞 #規範主義 #数詞
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サマリー

今回のエピソードでは、英語の前置詞「between」の語源が「by two」である驚くべき事実を掘り下げ、使い分けや歴史的な変遷を考察しています。特に、3つ以上のものを指す際に「among」を使用することが伝統的に言われている一方で、現代英語では「between」も容認される傾向があることを説明しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する
素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。
between の語源
今回取り上げる話題は between の語源は by two だった。
という驚きの語源話です。 between 〇〇の間にという全知識として日常的に使われる単語なわけですけれども、よく言われるのは同じ何々の間にでも似たような単語として、意味の単語として among って言われますね。
この between と among の使い分けに関して between っていうのは基本的に2つのものの間なんだよと。
そして3つ以上のものであるとか集合、数多くのものの間にと言いたい場合は between じゃなくて among を使うんだよと。
これが伝統的、規範的に言われている between と among の使い分け規則というものですね。
これも実際に守られているとは限らないわけで、あくまで規範ということなんですけれども、18世紀の規範主義が流行した時代に
between の語源は by two であると。
したがってその後ろには2つのものが続くというのが正しい使い方だという、語源にかっこつけた正義と言いますかね、理屈によって between は2つのもの。
それ以外、それ以上の数の場合ですね、3以上の場合には among というような使い分けが
18世紀らしい規範主義の時代らしい理屈によって定式化されたということですね。
以降、この規範がですね、各時代の文法書で受け継がれて現代にまで至るという流れで、現在でもこれが指摘されることがあったりするんですけれども、
実際はですね、規範的な区別というのはあくまで規範上で、一般的にはそれは守られてないということも多くて、
最近では普通に容認される、つまり3以上のものにbetween を使うということも容認される傾向があって、特にアメリカ、英語ではその傾向が著しいというふうに言われています。
例えば、アグリーメント between the two nations 二国間の協定というところに、じゃあ三国間の協定だったらどうなるかといったときに、
an agreement among the three nations もちろん言うことは可能なわけですが、between を使ってですね、an agreement between the three nations と言われることも特にダメではないという形で、
この伝統的に受け継がれてきた規範もですね、それほど実態を伴わない、形外化している部分もあるということが実情だと思うんですね。
歴史的な変遷
ただ確かに、語源的にはby twoであることは確かなんです。 このby twoと言ってもですね、古英語から中英語、ずっとあの歴史を通じて存在している単語なんですが、
もともとはbyに通称のtoがついたという形ですから、このtoの部分がですね、通称自体も語尾がいろいろと屈折しました、かつてはですね。
なので、by twoの形ではなくて、nがついた形ですね。これがbetweenにつながっていくということなんですが、他の様々な形、語尾のついた形っていうのが、歴史的な英語では使われてきました。
これどれくらい異形があったのかっていうことをですね、調べたことが私がありまして、ヘルシンキコーパスという古英語からですね、近代英語あたりまでを通じてきに調査できるコーパスがありまして、そこからざっとですね、betweenに相当する単語を拾ってみたところですね、
私の調査が97種類、少なくとも97種類の異なった形態、異なった綴り、字で現れてきています。
さらにそれをですね、時代別に整理したり、方言別に整理したりということをやったんですけれども、結論から言いますと、最後にnがつくものですね、これは歴史を通じてずっと多かったんです。
多数派です。古英語期にもありましたし、中英語期にもあった、そして初期近代英語期にもあって、そして今では一番普通の標準的な形ですよね、betweenということで、nが出る形態はずっとあって、しかも優勢だったということですね、それがその優勢のまま残ったのが現代の姿であるというふうに簡単に説明できるわけなんですけれども、実は歴史のある段階では、
このnの形と、張るぐらいですね、優勢な形っていうのが実はありまして、これがですね、xがついた形なんです、語尾に。
具体的に言いますと、ベトウィックスみたいな感じですね、ベトウィックスとかビトウィックスという形で、この語尾にxが出る形ですね、これtoの語尾をいじってxになったわけですので、非常に古い屈折の位置形態がですね、古英語では非常に広く使われていましたし、中英語あたりにもまだまだ十分に残っていたってことなんですね。
それが近代語記以降にだんだんなくなって、現代の標準形であるbetweenに独り勝ちされてしまったという、そういう流れなんですね。
ただこのxの形態、近代語記にはほとんど残らなかったと言いましたが、実はここにさらにいじりを加えた、つまり構成の新しい形態です。
これは古英語に遡るというよりは、近代語記近くになってから新たに作られた形なんですが、このxでとどまらずにその後ろにですね、さらにtを付けると。
ビトウィックスという形がですね、実はビトウィックスに変わって、一時期ですね、近代語記には少し流行るんです。
x自体は死んだのにxtと余計なtが付いた形ですね。これは古英語にまで遡るわけではない。近代語記に新たに作り出されたxtの語尾を持つビトウィックスというのがちょっと流行ったんですね。
しかもですね、これは現代語で普通には使われませんが、辞書を引くとですね、出てきます。
単独でというか、ビトウィンの代わりに使われるっていうことは少ないかと思いますが、ビトウィックスとビトウィン、この決まった三語のフレーズですね。
ビトウィックスとビトウィン、この成句として現代語の交互なんかで使われたりします。
これは意味はどっちつかずとかはっきりしない。つまり2つのものの間で中途半端だという意味で、2つのビトウィンを意味する歴史的な2つの語を&で結びつけて調子、語呂を良くしたということですね。
こんなところにつまり、かつてのビトウィックスにその最後にtを付けたという変形バージョンですが、これが残っているということなんですね。
ビトウィックスとビトウィン、これは覚えておくと良いフレーズだと思います。
ではこの近代語記、近くになってから現れたというxのお尻にtを付けるという、このtはどこから降ってはいたのかということなんですね。
これは面白いことに、ビトウィンとの対比で先ほど出しましたamong、これもamongstという形で、最後にはstという形ですがtがありますね。
このamongの少し硬い言い方としてamongstというのがありますが、実はこれと同じtなんだろうと思われるんですね。
他に実はstとかxtは少ないんですけれども、stとか最後にtが出るものというのは似たような語類と言いますかね。
全知識から見ますと、例えばagainstというのもありますね。
それからこれは接続詞でありますがwhile、7の間に、これを固めに言うとwhilstというstの形があったりします。
こうした一連の全知識であるとか、接続詞であるとか、このような機能的な、文法的なものとものの関係を表すような単語ですね。
現代英語の使われ方
こうした語類にある意味stというのはたまに出ることがあるわけですよね。
それでbetweenも、正確に言うとbitwixもこの流れに引きずられて、つまり他に似たような意味の単語、使い方をする単語の中に最後にtが付くものがあるぞと認識して
bitwixの後ろにこのtを持ってきた、つまり似たような単語同士の類推ということですね。
これが効いたのではないかと。
なので後から取って付けたように近代語記、近くになってからbitwixという語形が作られたというのもですね、
他の類義語、amongstなんかを横目に見つつtを加えたものなんではないかというふうに考えられます。
between、小さな全知識に過ぎませんが、このような単語にも深い歴史が刻まれているということなんですね。
それではまた。
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