2025-06-28 14:35

heldio #343. 前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #前置詞 #副詞 #文法化
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サマリー

このエピソードでは、前置詞の種類や使用法が探求されています。特に、現代英語における前置詞の増加とその背景が説明され、前置詞が文中でどのように機能するのかが深く掘り下げられます。また、前置詞の起源や進化についても説明されており、中英語と近代英語の移行期における前置詞の急増の理由や意味の細分化が焦点となっています。

前置詞の疑問
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に
関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。 新しい英語の見方を養っていただければと思います。毎朝6時更新です。
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またコメントやシェアの方もよろしくお願い致します。 今回取り上げる話題は、前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?
という素朴な疑問です。 こちらはですね、日々このVoicyでどんな話題を取り上げるかというのは、いつも悩ましい限りなんですね。
ネタ欠乏症に陥っているんですけれども、 いつもこの窮地を救ってくれるのは、大体大学の授業での質問なんですね。
それを話題にしてですね、Voicyで話すということが多いんですけれども、 最近は電子掲示板という形で授業のページを通じてですね、
常に素朴な疑問を募っているということなんですが、 ちょうど悩んでいる時にですね、この前置詞の話題ですね、この素朴な疑問が飛び込んできまして、
これだと思って、今朝はですね、これを話題に話そうと決めたわけなんですけれども、 要点を言いますとその疑問はですね、
なんで現代英語にはこんなに前置詞が多いのかということなんですね。 私の姉妹版のブログでですね、ヘログをやっていますけれども、
これ30番の記事、小英語の前置詞と書くという記事で書いているんですが、 これによるとですね、30個ぐらいしか小英語の時代には前置詞がなかったということなんですね。
30個ぐらいであればそんなもんかと思うんですけれども、 現代英語でどれくらいあるかというとですね、ある英語の文法書によりますと194個だったかな。
これも別のブログ記事で書いているんですけれども、引用しているんですけれども、194個あるんですよ。
とにかく英語の歴史の中で相当前置詞というものが増えてきたという事態があるんですね。
前置詞の使用法
増えてきたということは、じゃあそういうことなのかという事実なんですけれども、 それ以前にそもそも前置詞って何というところまで疑問が及んでるんですね。
これはなかなか手に負えないぐらい大きい問題なんですけれども、 この10分に収まるぐらいの中でですね、なんとかこの2つの疑問ですね。
そもそも前置詞って何なのという問題と、 なぜこんなに英語には前置詞がいっぱいあるのという問題に迫りたいと思います。
前置詞っていうのは英語学習上も本当に厄介ですよね。 たくさんあるっていうことはもちろんなんですが、それぞれに使い方の癖があって、
この時にはこの前置詞、決まっているものがたくさんある。 しかもそれが必ずしも理屈にこっていない。
ある前置詞ですね、例えばmyinとかonとかいう基本的なもので、 基本的な意味っていうのは分かっている。あるいは原義というかプロトタイプ的な意味は分かっている。
だけれども、そこから外れる使い方するものも多くて、 その場合これはイディオムですとか熟語ですとかいう言い方で、 結局覚えなきゃいけないことっていうのも多いですよね。
これはもう大変、現代英語を学習する上での、 ある種ストレスと言っていいと思うんですけれどもね。
このような前置詞の抱える問題、様々にあるんですけれども、 その大元として前置詞って何なのっていうことであるとか、
なぜこんなにいろいろあるのかを扱っていこうと思うんですが、 まず最初の質問、前置詞とは何ということなんですが、
これ答えるのなかなか簡単ではないんですけれども、 こう考えてみたいと思うんですね。
部屋に入りたいんだけれども、部屋の中に誰かがいて、 閉め出しをくらっているっていうことですね。
その場合、中に入れてよっていうことで、 let me in って言いますよね。
この場合のinっていうのは、後ろに何も来てないわけですので、 文法上これ副詞ってことになります。
中に入れてよっていうまさにですね。 じゃあ何の中に入れてよなのかというと、 これはもちろん明らかで文脈上これ部屋なわけですよ。
これをあえて言うと、 let me in the room ということになって、
今度の場合はinっていうのは、 後ろにroomが来てるんで、これ前置詞っていうことになるんですね。
ただこのlet me inっていうのと、 let me in the roomって言うと、
inは副詞と前置詞っていうそれぞれの文で働きが違うんですけれども、 明らかにですね、let me inっていうのが基本になっていて、
はっきりさせたいからthe roomが来るんだ、 みたいな捉え方になるわけですよね。
そうするとですね、おそらく多くの英語学習者は、 両方2つの文を比較するとですね、
let me in the roomっていうのがフルな形なんで、 これが基本だろうと。
コンテクスト上、当然the roomだっていうことは分かるんで、 これは省略していいんだと。
だからin the roomの省略はinなんだと。
ただ省略と言ってもですね、inで終わっていると、 前置詞と呼ぶのは抵抗があるんで、これを副詞と呼ぶんだ。
というふうに考えるんじゃないかと思うんですね。 つまりフルバージョンである前置詞としてのinっていうのがスタートで、
the roomが省略されると、統合的にはしょうがないから 副詞っていうことになっているんだというような理解ですね。
ですが、歴史的にはどうも逆のようなんですね。
let me inっていうのが先にある。
コンテクスト上ですね、これ部屋の中に決まっているんで、 inで通じるんだっていうようなまず発想が先にある。
それで、だけど何の中でというふうに、 いちいち理由が必要があるときに、
あえてthe roomというのを加えたんだという考え方です。
そうするとですね、let me inで完全に完結したフルの文なのにも関わらず、 明示したいときにですね、the roomっていうのを加えたと。
このthe room自体は、なくてもいい類のものなので、 副詞的にですね、つまり付け加えで加わったもので、
inとの直接的な関係は本当はなかった。
ところがin、the roomという繋がりで解釈されるようになって、 一種の異分析、メタナリシスって言いますけどね。
異分析によって、inとthe roomが非常に密接なものとして考えられた。
そうするとこの瞬間にinっていうのは、後ろに何の中でっていうこの名詞句ですね、 これを取る全知識だというふうに解釈がカチッとスイッチが入るわけですよ。
この瞬間に今まで副詞としてのみやってきたinがですね、 the roomと結びつくことによって全知識というふうに考えられるようになったということなんですね。
他には例えばですね、今let me inの文でやりましたけれども、
he works in the houseみたいなね、ような文でも同じなんですけれども、
もともとはhe works in、家の中で働くんだというぐらいの意味でhe works inって言ってたのが、 じゃあ何の中でなのって言った時にthe houseということになってですね。
これは実際このthe houseに相当する部分は、威嚇というですね、ロカティブケースという、それ自体でつまりinなんかなくても、そこで何々でっていう場所を表すですね、
前置詞の起源と進化
語尾がついて屈折してたんですね。だからinがなくてもちゃんと通じる、彼は家で働きますというものだったのが、
そのでの意味を取ってですね、in、中で働くんだということで、後からinという副詞を挿入したということなんですね。
つまり、he works the house、プラスロカティブケース、威嚇、場所の格ですね。ということで良かったのが、あえてですね、inということを使い加えることで、
中でなんだよっていうふうに情報を補ってって言いますかね、強調して使うようになった。それがinとthe houseは下がって、別々の本当は起源なんですが、よく一緒に凶器するようになって、
これin the houseで一つの繋がりなんだとなると、ここでカチッとスイッチが入って、inは今までの副詞という立場から前置詞という立場になったということで、
let me in the roomの話もそうですし、he works in the houseのケースも同じです。このようにですね、もともとはこのin、これ副詞ですと、その後ろにくるthe house、これ名詞句っていうのは、
独立していたものがよく凶器するようになるにつれてですね、セットでin the houseという塊で捉えられるようになった。
そうするとこれ統合的にはinは前置詞と解釈されるようになったということなんですね。
ですのでin the roomというですね、前置詞的な使い方が先にあって、the roomが省略されてinは独立し副詞になったということではなく、むしろ逆でですね、inは最初から副詞だった。
そこにたまたま後ろに名詞句、the houseみたいなね、あるいはthe roomみたいなものがついて、一緒にセットで取り扱われるようになった瞬間にスイッチが入って、前置詞という括りになったということで、
副詞が最初、その後に前置詞が生まれたというのが、どうも多くの前置詞のですね、由来のようなんですね。
さてこのように前置詞が生まれて、後英語の時期までに30個ぐらいあったということなんですね。
これで十分多いじゃないかっていう感じがするんですけれども、その後の中英語期、特にその後期です。
後期中英語期から、そして初期近代英語期にかけて、ざっと期限1500年前後という捉え方でいいと思うんですが、
この頃にですね、前置詞の種類が爆発的に増えます。
これはいろいろな理由があるんだろうとは思うんですけれども、まずですね、その190いくつあるっていう現代英語の前置詞のリストを見ますと、
意外と釈用語を部分的に含んでいるもので多いんですね。
そうすると、どうも外から入ってきた。中で作り上げたものももちろんあるんですけれども、どうも外から入ってきたっていうことが多いですね。
1500年前後っていうと、いわゆる中英語から近代英語への変わり目なので、中英語っていうのはフランス語の影響をものすごく受けた時代なんですね。
近代英語っていうのはラテン語の影響をものすごく受けた時代ということで、この2つの言語が主なんですが、
たくさんの釈用語にして前置詞であるものっていうのが入ってきたんですね。
これが1つ急激に増えた理由っていうことがあるんですけれども、それだけなのかよくわからないところがあって、
例えばですね、それまではバイ1個でいろんな意味を表していた。現代だってそうです。バイって本当にいろんな意味がありますが、
それが様々な意味、バイが担っていた意味を細分化して、それぞれに1つ1つの異なる新たにできた前置詞をあてがうということで、意味を細分化していったっていう側面があるんですね。
例えば、バイの例で言うと、いろいろ言い換えることができます。
例えば、near, in accordance with, about, concerning, by reason of, owing to のような、いろんな言い換えですね。
バイならバイでいいんだけれども、もうちょっと細かくバイの意味内容をですね、細分化すると、それぞれ1つ1つに専門の意味を表す前置詞っていうのも出来上がってきて、
どんどんと分業化と言いますかね、細分化されてきたっていう事態があります。
これ自体が究極的に何でこの時代に、1500年前後に起こったのかっていうことを探るのは、英語詞の非常に重要な研究対象だと思うんですね。
ですが、結果としてこれが起こった結果、現代、200近くの前置詞があって、その使い分けに我々は日々悩んでいるっていうことです。
妙に細かい意味を表すものもあると思えば、そのバイにせよ、inにせよ、非常に広くて何にでも使えそうな感じがするものもある。
何にでも使えそうだと思って使うと、それ違う、本じゃなきゃダメだよと言われたりするので、英語学習上の非常に大きなストレスになっているっていうことは間違いありませんね。
ただ、この歴史を抑えておくと、なぜこんなに前置詞とその用法が複雑になってきたっていう経緯を追うことができるということを、今回はお伝えしたかった次第です。
それではまた!
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