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おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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また、コメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。 今回は先週に引き続き、英語に関する素朴な疑問 千本ノック — Part 3、第3回をお届けしたいと思います。
先週第1回、第2回ということですね。試しに千本ノックという企画を始めてみまして、どんなものかなと思っていたんですけれども、一部に面白がっていただけるようなリスナーさんがいたようだということで、素朴な疑問自体は、日々の大学の授業であるとか、その他で集めていまして、たくさん出ていますので、
ある意味、これを話題にして、どんどん英語詞の観点から答えといいますか、コメントなんですけれども、加えていくということはできそうですので、今回も第3回ということでトライしてみたいと思うんですね。
最近集めた、主に大学生から寄せられた質問をベースに、今日もいきたいと思います。
即興で答えるんですけれども、話し始めると1個1個が実は長くなって、数をこなせないというのが1つ悩みなんですけれども、今日はなるべく数もこなしたいと思っています。よろしくお願いします。
for の多義性の解説
では1つ目なんですけれども、forは何々のためにという目的の意味の前置詞の用法が主です。しかしforは、というのは何々だからだという理由の意味の統一接続として使われることもあります。
この2つにはどんな関係があるのでしょうか、あるいは全くないのでしょうか、ということなんですけれども、これは面白いですね。普通、forというのは何々のためにという前置詞、目的を表す前置詞ということなんですが、ある意味方向性が逆の理由とか原因という接続詞としても使われる。
これはなぜかということですね。まず前置詞の方からなんですが、確かに何々のためにという目的、未来思考の目的ということですね。これで使われるのが一番普通だと思うんですね。forといえば何々のためにというふうに覚えていると思うんですよ。
ただ、実はこの前置詞のforにも原因、理由という意味はあるんですよね。つまりbecause ofぐらいで言い換えても良いようなものがあって、この目的と原因って実は結構微妙で、ある種論理学的、哲学的な問題になってくると思うんですが、例えば私がよく出すのは、two dogs are fighting for the boneなんていうときですね。
2匹の犬が骨で争っているって言うんですけど、骨のために骨を求めて喧嘩しているという解釈、これだと目的になるんですけど、ある意味骨があるから喧嘩してるんですよね。と考えるとこれ原因なんですよ。
これどっちなのかというと、どっちが先かみたいな話になるわけですけれども、forにはこういった意味の量儀性っていうのがありますね。もちろん、ある特定の文脈におけるforっていうのは目的であるとか、あるいはこっちの場合は原因であるとか、定まることが多いと思うんですけれども、このアンビギュアスな量儀的な文というのも考えられるんですよね。
通常、前置詞の場合、forの後にくというものが続くんですね。典型的には名詞みたいなものですけれども、この後ろに接が続くと、これは前置詞と呼ばずに、今度は接続詞と呼ぶことになるわけですよ。
これはforの場合には単独で接続詞、つまり後ろにくではなくて接が来るっていうのは、古英語の最末期ぐらいだったかと思うんですが、私の記憶が正しければ、初出するんですね。最初に出るんです。英語史上初めて出て、なぜならば何年だからという、becauseにかなり近い意味ですね。
その後、これが独立して、強い原因の意味というよりは付け足し的に、というのは何々だからというふうに、少し言い終わった文の後ろにつけて、ちょっとした理由を添えるというような用法が発達して、現在ではこれを理由の意味を表す、遠い接続詞というような位置づけになって現代に至るんですが、
これは従って、何のためにという目的の前置詞の用法というところと、もちろん密接に関係するんですね。目的と原因っていうのはそもそも、かなり曖昧になるような状況もあるし、さらに前置詞と接続詞の違いって、後ろにくが来るか、接が来るかという違いですので、ここも関係する。
ということで答えになっていますでしょうかね。
次行きます。
一人称と二人称の複数形の違い
なぜ、一人称Iの複数形にはWeがあるのに、二人称であるYouの複数形は同じくYouなのかということですね。
これは非常によくある素朴な疑問なんですけれども、実は古くは、小英語から中英語大きいまでは、ちゃんと単数のあなたと複数のあなた方っていうのは区別されていたんです。
単数のあなたっていうのは、ざうっていう形ですね。THOUと今書きまして、一般的ではないですけれども、ちょっと古い言い方で、一応残っていますね。
残字とか訳したりしますけれども、実はこれは、一人のあなたに対して言う、普通の単語だったんです。
それに対して、複数がYouというふうに、単、複というふうに、つまりI、Weの関係と全く同じで、THOU、Youみたいな対立ですね。
っていうのがあったんですね。
ところが、中英語大きくらいに、You、複数形の専門のYouが単数の方にもめり込んできたっていうんですかね。
THOUを隅っこに追いやるような形で、Youがどんどんと伸びてきたっていうことなんですね。
単数も複数も表す、一般的な認証代名詞として確立してしまったということで、これがなぜ複数形のYouがTHOUを押しのけていったかっていうのは、
これは、これ自体でも、本が1冊、2冊と書けるぐらいの英語資料の大問題なので、ここでやっているとちょっと時間がなくなりますので、これで止めておきたいと思います。
次、なぜEither、Neitherの発音はイギリスとアメリカで違うんですかっていうことですね。
これ今読み上げたようなEither、Neitherと読むと、これはだいたいアメリカ英語ってことになってるんですかね。
それに対してEither、Neitherっていう風に、Iの音で最初の母音を読むとですね、これイギリスってことになってます。
実際には個人差であるとか色々あるんですが、平たく言うとですね、アメリカではEither、Neither、これに対してイギリスではEither、Neitherという発音が違うんだっていうのが、一般的によく知られていることだと思うんですね。
これは発音の英米差ということで、この単語に限らず色々とたくさんあるわけなんですけれども、この単語ですね、Either、Neitherに関する限りで言いますと、これ実は大母音推移というですね、変化が起こる前の発音がEither。
それに対して起こってしまった後の発音がEitherという関係ですね。
その前と後の関係だったりするんですが、これがですね、この前のEitherという形がアメリカに今受け継がれて、それに対してこの後の形であるEitherっていうのがイギリスでは定着していると。
あるタイミングで音の変化っていうのが起こることがあるんですが、そのBeforeとAfterの2つの形がですね、普通1つの例えばイギリス英語ならイギリス英語の中で共存するっていうことはあるにあるんですが、そんなに多くないですね。
ところがイギリス英語とアメリカ英語を比べると、このBeforeとAfterが互い違いの関係で違うものがそれぞれの方言編集に残ってしまっているという状況はあったりしますね。
その典型的な例の1つというふうに言っておいてよいかと思います。
次いきます。
カンマはどうしてあんな形をしているんですかっていうことで、これ難しいですね。
これどう答えればよいのかわからないんですけれども、ピリオドっていうのは点ですね、わかりやすい。
カンマっていうのは点を下方向に払うっていうんですか。
現代の日本語の書き言葉の場合、句点っていうのは丸のことで、等点というのは点っていう、これも非常に簡単な幾何学的な形ですし、書きやすい形っていうことなんですが、
英語の場合といいますか、アルファベットで物を書く文化圏においては、ピリオド点と点に払いですか、そのカンマっていうのがありますよね。
なんであんな形をしているのか、どう答えればいいんですかね。
古くから実はいろんな句等点っていうのがありまして、今代表的なのはピリオド、カンマ、そしてこの点と払いっていうのを組み合わせたものとして、コロンっていうのもあるし、セミコロンみたいなのもありますね。
それを反転させたのがアポストロフィーだったりして、基本的な幾何学的な図形を180度回転させてみたりとか、組み合わせてみたりみたいのになっているっていうことは観察できるんですが、
なんでこれかというと、単純に書ける形だったものが、結局現代まで発達しているっていう言い方になるんですかね。
語彙語とか中英語ですと、もっともっとたくさんの実は句等点が存在していまして、今から見ると変なものもたくさんあったんですけれども、いずれが最終的に近代、現代を生き延びて、今まで生き残っているのかというような問題のような気もしますね。
ちょっとうまく即席では答えられません。すみません。
時間ですのでこれまで。