2025-08-04 11:08

heldio #380. なぜ英語の動詞の原形は特定の語尾で終わらないの?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #動詞
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サマリー

リスナーからの質問に対して、英語の動詞の原形が特定の語尾で終わらない理由を説明します。古英語の時代において、動詞の原形は基本的に「EN」で終わっていましたが、歴史を経てこの語尾が消失したことが影響しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。
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リスナーからの質問
本日の話題は、リスナーさんからの質問にお答えするという回になりますが、 なぜ英語の動詞の原形は特定の語尾で終わらないのという素朴な疑問にお答えしたいと思います。
今日取り上げる話題は、6月12日にリスナーのユキさんからいただいた英語に関する素朴な疑問です。 英語の修飾形についてということで、次のように質問をいただきました。
いつも放送を楽しく聞かせていただいています。 質問も受け付けてくださるということなので、ずっと何年も疑問に思っていたことを今日は質問させていただきます。
英語の修飾形あるいは不定形、いわゆる辞書に載っている形は、どうしてこんなに不規則なんでしょうか。 例えばフランス語ではERで終わるものがほとんどで、他にもER、DREなどもありますが、ある程度決まった形です。
他のラテン系の言語もそうだと思います。 他のゲルマン系のドイツ語などでも詳しくは知らないのですが、ENで修飾形が終わることが多いと思います。
中国語は違いますが、日本語でも動詞はだいたいUで終わるし、韓国語でも同じだと思います。 ところが英語は規則動詞でも、例えばSTART、KEEP、DRINK、COMMUNICATE、ARGUEなど、全く修飾形の語尾が異なります。
今日の放送、6月12日のことですが、今日の放送が少しヒントになるかなとも思ったのですが、それだけでは説明できないことも多いと思います。
というご質問なんですね。 確かに様々な言語を比べると、英語の動詞の修飾形と言い方をしていますが、いわゆる一般的な英文法で言うところの原型っていうものだと思うんですね。
これは語尾に何か特定のものが付くわけでもなく、 何でもありっていう感じですよね。
それに引き換え、フランス語、ドイツ語の例を出してくれましたし、 日本語でもですね、いわゆる修飾形はUDANで終わるというような大原則があるわけなので、
世界の多くの言語では、動詞というのは何らかの語尾を伴うものなんだということですね。 これが非常に多いわけなので、そこと比べると英語っていうのはどうなってるんだということですね。
これまさに対象言語史と言いますかね。 対象言語学でもあるんですけれども、歴史的に考えると面白いので、
今、私が売り出している対象言語史というアプローチにまさにふさわしいお題ということで、この質問をいただきましてありがとうございました。
古英語の動詞の特徴
この問題について、まず英語史の観点から端的に答えますと、1000年ほど前の古英語、古い英語の時代には、実は同じゲルマン語ということで、ドイツ語と非常に似ていてですね、
ドイツ語ではENで大抵終わるんですね。 多少バリエーションがあったとしてもENで終わるんですけれども、古い英語でもやはり同じゲルマン系の仲間ということで、
母音は異なりますが、ENで終わるのが原則だったんです。 ここにも多少バリエーションがあるんですが、基本的にはNで終わるっていうのが、
ゲルマン系の言語の特徴なんですね。 動詞の原形の話です。
当時の文法に照らした文法用語で言いますと、不定形ということが多いんですが、インフィニティブですね。
いわゆる動詞の原形ということですけれども、これはNで終わった、古英語でも実はそうだったということなんですね。
例えば、ドリンクっていう単語が先ほど出ました。 現代ではドリンクっていう風にKで終わるわけなんですけれども、
古英語ではドリンカンという形で、必ずこの後にですね、ENの語尾がついたんです。 これが不定詞、不定形と呼ばれているもので、いわば辞書の見出しになる形ですよね。
こうだったんです。 ところがこのENの部分がですね、後の歴史で
消えてしまったっていうのがポイントなんですね。 ENですべての動詞、ほぼすべての動詞が揃っていたにもかかわらず、この
重要なEN語尾が落ちていったっていうのが、実は英語の歴史なんです。 いつぐらいに落ちたかと言いますと、古英語ぐらいでは基本的に健在でした。
ですからANがついてたんですね。 ところが次の中英語の時代になりますと、弱化していきます。
このANという部分の最終音節ですけれども、これが弱化してですね、ENみたいな音になります。
つまりANと綴るよりはENと綴って、さらにこのEの部分がですね、 手話で書かれるような曖昧母音です。
EN、EN、ENとこの音になっていくんですね。弱まるんです。 さらに弱まってがまず落ちます。
するとDRINKANだったものがまずDRINKENになりますね。 そしてNが消えてDRINK、DRINKになります。
そして最後にこの最後の母音Eで典型的に示される曖昧母音も消えてDRINKとなるわけですね。
つまりDRINKAN、DRINKEN、DRINK、DRINKというふうに5末の音節ですね、この最終音節がどんどん弱まって、最終的にはなくなってしまったっていうのが英語がたどった歴史なんです。
したがって他の言語、例えば同一語にあるようなENのような語尾ですね、これが動詞の終止形と言いますか、原型のマーカーであるというような、そのマーカーそのものが英語で落ちてしまったために、ある意味語幹そのものが伝わったと。
ドリンクプラスANだったものが、ドリンクという語幹そのものが残って今に伝わっているっていう意味ではですね、ある種の語幹っていうのは裸そのものですよ、動詞の本体そのもの、それを覆っていたのがANなりですね、後ろに何か語尾がついて異なる形と言いますか、文中に出てくる具体的な形になるわけですが、
その語幹そのものが裸のままで出てきているっていうのが、現代の英語だっていうことなんですね、当然語幹そのものの末尾っていうのは、何か特定の詩音で終わるとか、母音で終わるとか決まっていない様々なケースがあるわけですので、これがまさに露呈してきているっていうことなんですね、このような言語はインドヨーロッパ系の言語、特に主要なヨーロッパの言語の中では比較的珍しい。
ですね、裸そのもので現れてしまっていると、普通は多くの言語で語尾は何か特定のものはつくという形で定まっていることが多いんですが、英語はそれを完全に無視する形に結果的になったっていうことなんですね、質問を寄せてくれましたユキさんが最後にこういうことを述べているんですけれども、自分でも調べてみたいんですが、どこから始めればいいか、参考になる本や論文があったり、
あったら教えていただければ幸いですという、このようなコメントをいただいたんですけれども、実はこの語尾の弱化っていう問題は、動詞に限らず、形容詞でも名詞でもその他の単語でも英語では一律に働いてるんですね、作用していて、この語尾の弱化、そして最終的には消失してしまうっていうことも多いんですけれども、これは英語詞における一大変化、音声変化なんですけれども、非常に大きな変化を
する変化なんですね、ですので、この問題に特化した、確かに論文みたいなものあるかもしれないんですが、全体として英語の歴史を勉強されるといいと思うんですね、
本当に大きな、これは英語史上でも1位か2位かっていうぐらいですね、大きな様々な語類に影響を与えた変化、音の変化ですね、もっと言えば音の弱化、消失ということなんですけれども、これによってですね、英語の仕組みがガランと英語から中英語、近代英語、そして現代英語にかけて変わる、その大きな原動力って言いますかね、
これが語尾の弱化、消失っていうことで、今回の英語の原型、修飾型の話題はですね、その非常に広くいろんなものを説明できる変化のですね、ある意味一つの事例というに過ぎないですね、他の様々なことを説明できる、非常に包括的なと言いますかね、説明力の高い音の変化、
言語変化ということで、こちら注目していただければ面白いと思うんですね、このチャプターに関係する私のHelogからの記事などにリンクを貼っておきますので、そちらを見ていただければと思います、今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました、ご意見、ご感想、ご質問、チャンネルで取り上げてほしいトピックなどがありましたら、
Voicyのコメント機能、あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています専用フォームを通じてお寄せください、今日ゆきさんにいただいた質問、これ大きい問題すぎてですね、このまま話し出すと20分、30分喋ってしまいそうなので、ここでやめたという次第です、またですね、機会がありましたら、関連する話題もお届けしていきたいと思います、質問ありがとうございました、それではまた明日
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