2025-08-11 19:46

heldio #387. It is important to study.

#英語史 #英語教育 #英語学習 #構文 #統語論 #不定詞 #仮主語
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

英語の不定詞に関する構文では、形式主語「It is important to study」の使用とその歴史的な発展について考察されています。また、形式主語を使用しない場合との比較や、英語史の複雑性についても触れられています。英語の統合論の難しさについては、特に語順の変化や主語の必要性がどのように進化してきたかが論じられています。具体例として、「It is important to study」と「To study is important」の文の立ち位置について考察されています。

形式主語構文の解説
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。
6月22日、水曜日。週の中日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
今日はリスナーさんから寄せられた質問を取り上げたいと思います。
It is important to study. の構文について英語史してみます。です。
6月19日にですね、リスナーのニックネムさんから次のような質問が寄せられました。
読み上げます。
ヘログもボイシーもいつも楽しく拝見そして拝聴しています。
英語の先生も知らない素朴な疑問に答えられる英語の先生塾講師を目指しており、堀田先生のコンテンツから学ばせていただいております。ありがとうございます。
1点ご質問があります。
不定詞の形式主語構文、例えばIt is important to study. のような構文は不定詞自体を主語にした形、
to study is importantより英語史上は先に生まれたという説明を耳にしましたが、これは本当でしょうか。
これに続けてですね、もう一つ質問なんですけれども、
It is true that I am lazy. のようなthatを用いた形式主語文や、
I found it difficult to change gear. のような形式目的語構文と時系列上の関係はどうなっているんでしょうか。
こういった質問ですね。
英語史の背景
いわゆる形式主語構文、It is important to study. のような不定詞と形式主語のItが関わるというこういう構文ですよね。
これ現代語では一般的普通に使われるんですが、
to studyの部分を前に出して、Itは使わずにそのまま主語に立てる、
to study is importantという言い方も可能であると。
ただ一般的に言われるのは、It too の形式主語構文の方が好まれるっていう風に言われますね。
英語では頭でっかちの主語っていうのは嫌われるっていうことで、
Itを仮に立てておいて、その後少し長い、この場合2語なんですけれども、to study。
さらに目的語が加えられる場合にはどんどん長くなる可能性があるわけですけれども、
これを後ろに回す。
そうすることで主語が重くなるのを防ぐというような言い方で説明されることが多いと思うんですね。
これがデフォルトだと思うんです。
ですがデフォルトであるとか規則というのは破られるためにあるという言い方もできてですね。
かえって重い主語を前に持ってくる、新主語として立てるというやり方で、
ある種ショックを与える、デフォルトと違うんだよっていうショックを与えることにより、
ある種の文体的レトリカルな効果を伝えるということもあり得るので、
格式ばった文章などではtoが前に出る、そして割と長いということですね、この主語の部分が。
というのはあり得ることだと思うんですね。
文章なんかでは見られる形式だと思います。
このように2種類の言い方が可能だという場合ですね。
つまり今回の場合、It is important to studyというのと、to study is important。
この2種類が可能なわけなんですけれども、
教授的にオルタナティブ、どっちでもいい、どっちでも使える傾向あるにせよですね。
どっちでも使えるっていう場合に、通常的、歴史的にはどっちが最初なんだろうっていう問いはですね、
英語史上面白い話題になりますね。
どちらが先でどちらが後なのかというような、これは歴史的に考えるしかないということでですね、
英語史の興味深い話題ということになります。
この問題について、今日ですね、私が何か確定的な回答ができるという自信はありません。
先行研究はいろいろとなされているようなんですけれども、私はその表面をなぞるという形で、
少し調べてみたことを今日ですね、報告し、私の考えを載せる程度のことで、
あくまで仮説的な回答と言いますか、状況説明みたいなことになると思いますが、
その点、ご理解いただければと思います。
私の考えでは、質問者のニック・ネムさんが述べられたように、
まず、to study is importantというitの形式主語ですね、これがない方の文、こちらがベースだったんではないか、
そこにitという形式主語が後から補われたんではないかという時系列を考えています。
ただ、これは本当に仮説に過ぎなくて、そうじゃないという可能性もあるかもしれませんし、
実はいろいろな意味で難しい問題なんですね。
この難しさの理由と言いますか、背景と言いますか、これを4点ほど挙げたいと思うんですね。
このように完全に解決されていないという問題がたくさんあるというのが、英語子研究の魅力でですね、
すべて解決されていて、ここで正しい回答を示すことができるといいんですけれども、
そうではない。だからこそ英語子は面白いって考えているわけなんですけれども、
不定詞の形式と文語順
どのように難しいのか、これをお話ししたいと思います。
一つ目ですけれども、まずこのitの形式主語を用いる形式とこれを用いない形式っていうのは、
すでに小英語の時代から存在していて、つまりどちらが先かということが、
文献学的にはですね、バシッと決められないということなんですね。
どちらかが先にあって、別の方はない。それが次の時代になって、その別の方が出てきたというような証拠があればですね、
時系列として論じやすいんですけれども、小英語の段階からitのようなものが、形式主語がですね、
あるケースとないケースっていうのが共に生じている。これ頻度などをですね、調べたりすると、また別の議論ができてくるのかもしれませんが、
少なくとも最初から両方とも存在する。こういった場合ですね、なかなかどっちが先か後かっていうのは、
文献学上を確かめることっていうのができないということで、それでもあえてですね、順序を決めたい。
どっちが先なんだろうっていうに起源と発達を知りたい場合には、他の考え方、仮説みたいなものを用意する必要があるんですね。
ここがまず純粋に英語史、文献学的にはですね、時系列を確認できない、あるいは確認しにくいというような事情があるっていうことの一つなんですね。
次、2点目なんですけれども、特に小英語なんかではですね、主語、形式的であれそうでないであれ、主語っていうのが省略されるっていうことがあり得たっていうことです。
つまり、It is important to studyに相当するような小英語の文があったとして、このItはですね、ある場合もあるしない場合もあるということなんですよ。
その場合、It is important to studyのようになるわけなんですけれども、これは果たしてto study is importantの起源の文と言えるのか、それともIt is important to studyのItが消えているだけなのか、表出していないだけなのかっていうのがわからないっていうことなんですね。
こうしたややこしさっていうのがあります。
3点目なんですけれども、不定詞には2種類あったんですね、歴史的には。これ現代でも一応残っています。これが原形不定詞と言われるものとto不定詞と呼ばれるものですね。
確かに現代でもこの2つは区別されているんですけれども、使い方の分布と言いますかね、使い分けっていうのが割としっかりと決まっているんですね。
小英語や中英語では必ずしも使い分けがはっきりときれいに区別されているわけではないっていうことなんですね。
ですので、例えばto study is importantのような文が、これtoを用いたto不定詞で使われるのが現代語では基本というかルールということになってますが、これ原形不定詞でもこのような文があり得たんですね。
その場合study is importantみたいな文になります。
小英語ではto studyの時のstudyの形と、つまりto不定詞の時の動詞の部分の形と、そうではなく、原形不定詞の時の、というかない場合の不定詞の不定詞の部分の形、動詞の形ですね、これが異なってたんです。
なので、はっきりと区別がついたんです。
現代ではtoの後もstudyだし、toがない場合もstudyということで、原形と同じ形に一致してしまっているんですけれども、当時は2種類の不定詞の形態があって、ちゃんと形式的に異なっていたっていうことがあるんですね。
そうしますと、今回取り上げているような文もですね、to study is importantというのがあるかと思えば、これは実際には中英語以降に発達してきたということなんですが、一方でstudy is important、このstudyの部分がいわゆる原形不定詞なんですけれども、当時は不定詞、不定形という形できっちりと語尾が、特有の語尾がついてたんですね。
で、こういうふうに2種類の使い方の不定詞があって、両方ともですね、この公文で表れることができたっていうことがですね、さらに場合分けして考えなければいけなくなるっていうことなんで、ややこしいっていうことなんですね。
4つ目に、小英語、そして部分的には中英語もそうなんですが、語順が自由だったっていうことになります。
ですので、今でいうところのit is important to studyという文はですね、to studyの部分を前に持ってくることも可能だったんですね。
つまり、to study it is importantのような文です。
この場合、では現代のto study is importantという文は、果たしてto studyがそのまま主語の位置に立ったと考えるのか、それともto study it is importantという文のitが消えているものなのかという問題が生じるんですね。
現代の観点からするとですね、語順が全く違うto studyの部分が一番後ろに回るのと一番最初に来るっていうことで、位置として明確に区別がされるっていうことですね。
統合論の難しさ
b 動詞の後ろか前かっていうのは非常に重要な基準なわけなんですが、この語順上の重要な基準っていうのがですね、小英語や中英語を分析する際に、統合分析する際に、語順というのが現代ほど意味を持たないと言いますか、ある程度の語順の規則があるわけなんですけれども、
それでも現代と比べれば前に出るか後に出るかということはですね、2の次3の次ということになりますので、そもそもの統合的前提というのが現代語の場合と違うということなんですね。
つまり、中英語、小英語あたりで発達してきたある統合構造と、現代の統合構造っていうのは、直線的に結べるようなことばかりではなくてですね、結局語順の変化であるとか、他の様々な統合変化が絡んで、今回のit is important to studyなのか、あるいはto study is importantなのかっていう、この一点の問題に関してもですね、
その他のすべての統合構造の変化ですか、これが関わってくるっていうことで、単純には直線で結んでストーリーを描けないっていうのが、英語統合論の難しさであり、面白さであると思うんですね。
4点ほど、この問題の難しさっていうのを指摘したんですが、他にもあります。例えば、三文と韻文ではですね、やはり語順のですね、自由度といいますか規則っていうのが違ってるんですね。小英語や中英語では韻文が多いです。
そうしますと、この2つをですね、ジャンル分けして別だてで統合論っていうのも考えて調査していくっていう数があったりして、これまた厄介な問題になりますね。さらに、ラテン語からの影響っていうのが、多くの統合論の問題で関わってくる問題なんですね。
今回の不定詞を使った形式主語構文みたいなものも、ラテン語の対応する構文からの翻訳作品においては多いとか少ないとか、あるいはそうでない、まったく土着の英語で作文されたものに関しては多いとか少ないとか、その辺もですね、考えていく必要があるっていうことで、英語統合論っていうのも一筋縄でいかないっていうことになるんですね。
さて、この問題の難しさっていうのを何点も述べてきたわけでですね、一つの言い訳ということなんですけれどもね、やはり私としても簡単に調べた限りでは、この問題よくわからないっていうのが本当のところです。
ただし、一般論としてなんですけれども、引用祖語、ゲルマン祖語、そして古英語、現代英語というふうに流れてきた大きな流れではですね、否認証構文、言ってみれば主語が省略されているとかない構文というよりは、もともと主語が想定されていない、主語が必須とされていない構文っていうのがあって、
これは引用祖語の段階から非常に広く分布していたということなんですね。その後、認証構文、つまり形式的であれダミーであれ、何らかの主語を立てておくほうが望ましいというような言語体系になっていくにつれてですね。
じゃあダミーのitを立てておこうというように、後からitとか、古英語の場合はsat、今のthatですね、に相当するものとかthisみたいなものが出ることも多かったんですが、とにかくダミーです。ダミーのものを立てると収まりがいいというような、そういうタイプの言語にだんだんなっていく、中英語、近代語、現代英語につれてその強さって言いますかね、仮にでもいいから何かを立てるっていう法則力が強くなっていきます。
その一般論を考えると、今回の話題もですね、まず最初にitのような形式主語がない、そのまま不定詞が裸で表れている形が主語に立つっていう、今回の場合で言えばto study is importantのような文ですね。こういったものがまず先にあったという可能性の方が高いのではないかと。
その後、to studyという部分ですね。さらに目的語がついて長くなる場合もあるんですが、これが長いということで後ろの方に回ることが多くなって、仮の主語としてダミーとしてitを立てようというような、こんな順番じゃなかったかと思うんですね。
形式主語の進化
これは実証された時間的順序というよりは、一般論として主語がなかったものから形式主語であれダミーであれ、とにかくitが主語に立つというような、これ強調公文なんかでもそうなんですけれども、そのような他の類似公文の流れを見てみますと、そのように仮定した方が妥当なんではないかという意味において、今回の質問に対してもですね。
おそらくto study is importantに相当する公文の方が先にあり、後になってitをダミーの主語として立てる、it is important to studyのようなものも現れてきたのではないかというのが私の予測ということです。
そしてit thatの形式主語の公文ですね。であるとか、I found it difficult to change gearのような形式目的語公文とニック・ネムさんが呼ばれているこの構造ですね。これも基本的には同じような発達なんではないかというふうに考えています。
本当のところはこのあたり、語英語、中英語あたりを中心に統合論的にしっかりと証拠を取って調べていく必要があるところなのかなと思いますが、私自身がやっておりませんので、これ以上のことは述べることができないという感じで終わらせていただきたいと思います。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日はリスナーさんからの統合論に関する質問にお答えした、お答えしたと言いますか背景説明したということになるんですけれども、英語の統合論ってなかなか難しいんですね。
そもそも語順が変わってきたであるとかですね、主語が必須でなかったものが必須になってきたということで、直接的に語英語の構文と現代英語の構文をですね、比較するときに前提が違うので、なんて言うんですかね、直接比較ができないっていうことも多いんですね。
途中の流れを追っていく必要があって、それが中英語であったり近代語であったりするんですけれども、その前提の変化自体が結局なんでそんな風に変わっていったのっていうことが解決しない限り、なかなかこの個々の問題ですね。
今回のIt is important to study 対To study is importantの問題もそうなんですけれども、解決できないというか考えにくいというような難しい問題があったりするんですが、その辺の難しさも含めてパズルのようで面白い、興味をそそるというのもまた事実かと思うんですね。
今回のようになかなかきれいに答えられる、あるいは解説できるっていうことばかりではなくて、むしろそうじゃないもののほうが多いわけなんですけれども、それでも皆さんのご意見、ご感想、ご質問いただけますと、これについて改めて私も考えてですね、そしてチャンネルで取り上げていきたい、そういうインスピレーションにもなりますので、ぜひお寄せいただければと思います。
コメント等は、Voiceneのコメント機能、あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています。専用フォームを通じてお寄せいただければ幸いです。
それではまた明日。
19:46

コメント

スクロール