2025-10-22 19:39

#459. オランダ語と英語

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #オランダ語
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サマリー

オランダ語と英語の関係を中心に、言語の系統や歴史を探るエピソードです。リスナーの質問を契機に、オランダ語の兄弟言語であるフラマン語やアフリカンス語についても紹介され、言語の特徴や分布について考察されています。今回のエピソードでは、オランダ語と英語の系統的および影響関係について詳しく解説されており、アフリカンス語やフリジア語など関連言語の話題も交えながら、言語学的に興味深い視点が提供されています。

オランダ語と英語の言語系統
おはようございます。英語の歴史の研究者、そして英語の謎に答える、初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月2日、金曜日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日お届けする話題は、
オランダ語と英語、です。リスナーさんからいただいた質問に答える形でお話ししたいと思います。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
一昨日、リスナーのマリーさんよりコメントをいただきました。読み上げます。
ここ1週間、オランダの田舎で高齢の友人と過ごしていました。英語の苦手な友人の話すオランダ語混じりの英語でのコミュニケーションも最後、明日、キロにつきます。
オランダ語は英語にもドイツ語にも近いと言われますが、今日のお話を聞くと、オランダ語もフランス語と英語からの方言の一種という感じでしょうか。
何か英語・オランダ語の歴史関係性、ご存知のことがあれば教えていただきたいです。
ということで、オランダ帰りのマリーさん、無事に帰国されましたでしょうか。ご質問は、オランダ語とドイツ語であるとか英語というものの関係ですね。
これは実に英語史的な話題ということで、これまでもちゃんと取り上げたことはなかった気がしますので、ここで事実関係をざっとまとめてみたいと思います。
まず、言語同士の系統関係ですね。どのような地筋の関係にあるかということを見るにはですね、いわゆる言語の可計図というものを見るのが一番早いんですね。
これからも口で説明しようと思うんですけれども、これ可計図を見るとですね、一発なんです。
ですので、このチャプターに、今日の話と関係するいくつかの記事へのリンクをまとめて貼ってあります。そちらをですね、眺めながら聞いていただくと、おそらく理解が早いんではないかと思われます。
まず、英語もオランダ語もドイツ語も、そしてフランス語等もですね、すべてインドヨーロッパ語族というlanguage familyのそれぞれ一員なんですね。
インオオソ語、インドヨーロッパソ語、インオオソ語というのが、紀元前4000年ぐらいの段階で一様な言語として存在したと考えられています。
それが、東西南北に散って、時代とともにどんどん分割していってですね、さまざまな言語に分かれていったという形です。
まず、十やそこらぐらいのですね、語派ですね、言語の派閥に分かれます。グルーピングですね。その一つに、ゲルマン語派というのがあります。
このゲルマン語派ですね、紀元前数百年というレベルではまだ一様だったんですが、これがですね、地理的に、西、北、東というように三分割されるんですね。
イメージとしては、今のアルプスより北の地域ですね、北欧も含めて、この辺りが本拠地だったと考えて良いのですが、その中で西と北と東に分かれるんですね。
東の方は歴史的な語と語なんかがあったんですけれども、この系列は途中でですね、費えてしまって現代に残っていません。今残っているのは、つまり西と北ということになります。
北の方はいわゆる北欧諸国ということですね。ノルウェー語、アイスランド語、デンマーク語、スウェーデン語などです。そして今回の話題にとってとても重要なのが西です。
西の派閥、西ゲルマン語群というふうに呼んでおきたいと思いますが、比較的ヨーロッパ北部の中でも西寄りに行った連中ということなんですけれども、これも大きく高地ゲルマン語と低地ゲルマン語という2つの派閥に分かれます。
高地っていうのはアルプスに近い側なので、いわゆる南側ですよね。ヨーロッパの北部から見てアルプス、高地に近い側ということになります。それに対して低地地方、いわゆるバルト海、国海2面したところでこれを低地と呼ぶわけですね。北の側ですね。低地ゲルマン語です。
そして高地の方、アルプスの山奥に行ったものがですね、いわゆる高地ドイツ語というふうに言われていまして、これがいわゆる私たちが外国語として勉強するドイツ語、標準ドイツ語というのはこの高地ドイツ語のことになります。これはこのアルプスに近い側のドイツ語のことを指すんですね。
一方で低地ゲルマン語というふうに、北の側ですね。バルト海沿岸というイメージなんですけれども、この方向、低地地方に行った連中が西ゲルマンの人々ということになりますが、この西ゲルマン、バルト海の沿岸というイメージなんですが、この一番東にいる人々が今のドイツ北部あたりにいる人々ですね。
これがサクソン語であるとか、現在は低地ドイツ語、ドイツ語の北部方言と呼ばれているものですね。それからもうちょっと西に寄った人々ですね。これが今日の話題のオランダ語を話す人々っていうことになります。
そしてさらに西、行けませんよね。行けないので北海を越えてイギリスに渡ってしまったっていうのがアングロサクソン人であるとか、フリジア人ということですね。英語と、現在の英語と非常に近いと言いますか、そのもの、あるいは非常に近い言語を話していた連中ということになります。
このように西ゲルマンの中の低地ゲルマン、バルト海に近い沿岸部ですね。この連中は東西に東、真ん中、西っていうふうに三分割されるわけです。その中の真ん中がオランダ語、そして西が英語ということですね。極めて近い関係にあるっていうことがわかると思うんですね。
オランダ語はドイツ語に近いともよく言われますけれども、この系統関係を考えると意外と遠いってわかると思うんです。英語からもやっぱり遠いです。というのはドイツ語、ドイツの標準語ですけれども、これは低地ゲルマン語ですらないからです。むしろ高地なんですね。その時点で大きく分かれてるんですよ。
オランダ語と英語は低地ゲルマン語として仲間です。真ん中か西かの違いくらいです。ですがドイツ語、ドイツ語標準語は低地ですらなくて高地だということです。もちろんさらに広くはゲルマン語の仲間ではあるわけなんですが、このぐらい離れてるってことなんですね。
ですのでオランダ語はちょうどですね英語とドイツ語を足して2で割ったなんていう言い方をしたりするんですけれども、そして言語的には本当はですねそこそこ当たってる言い方なんですよ。ただこの系統的という言い方をしますとオランダ語はむしろ英語の方にぐんと近いということになりますね。
英語とオランダ語は兄弟。それに対して英語やオランダとドイツ語というのはいとこ。そんな感じで表現しておきたいと思います。ただですね言語の系統って面白いのは言語の系統が近いからといってじゃあ本当に似ているかっていう話なんです。
これは本当に生物とか人の比喩でもいいと思うんですが、兄弟でも全く似ていない場合がありますし、他人なのに瓜二つっていうこともありますよね。言葉でもそういうことが起こりますので、いわゆる理屈としての系統関係、血縁関係の近さっていうことと言語的特徴、文法とか語彙とかそれを直接比べたときの近さっていうのはまた別問題。
もちろん連動することは多いと思いますけれども、ただ厳密に対応するとは限らないということも一方で抑えておくといいかなというふうに思います。
オランダ語と英語の関係について、系統的な関係についてはここまでのお話でおよそわかったかと思うんですね。この後は少し付随した話題をチャプターを変えてお話ししたいと思います。
オランダ語の兄弟言語について
前のチャプターで、系統図上、オランダ語というのと英語というのは、同じ定地ゲルマン語群の中の兄弟のような存在だという言い方をしたんですね。その系統図を眺めながら聞いていただいたらわかったと思うんですけれども、実はオランダ語にはもっと近い、それかとは英語なんかとは比べ物にならないくらい近い兄弟っていうのがいまして、
枝で分かれている図が見えると思うんですけどね。何と書いてあるかというと、オランダ語の最も近い兄弟としてフラマン語、アフリカンス語っていうのがあるんですよ。これ現存する、今も話されている言語なんですね。フラマン語というのは何かと言いますと、これはですね、事実上オランダ語と同じと考えていいです。
オランダ語の方言という位置づけなんですけれども、いわゆるベルギーで話されているオランダ語、オランダで話されているオランダ語は正式なオランダ語といって問題ないんですが、ベルギーでもですね、オランダ語は話されています。そのベルギーで話されるものですね、方言といえば方言なんですけれども、ほぼ同じと考えていいです。
この場合、名前を変えてフラマン語とか英語ではフレミシュという言い方ですね。いわゆるフランダンス地方ということなんですけれども、この地方で話されているオランダ語です。これをフレミシュ、日本語ではフラマン語なんて言い方をします。
事実上同一と考えて良いですので、言語学的にはネザーランディックラングウィッチみたいにオランダ的言語とでも訳すんですかね。ネザーランディックラングウィッチなんていうふうにまとめてしまうこともあります。
それからオランダ語はフランス北西部のベルギットの国境地帯なんかでも少数ですが、話者がいるんですね。それから南米のスリナム、スリナムでもここはオランダ植民地だったということがあって行政の言語としてオランダ語が喋られています。
それからオランダ領のアンティル諸島なんかでも同様ですね。そして重要なのがアフリカンス語という言語です。これはアフリカみたいな名前ですが文字通りですね。南アフリカですね。南アフリカ共和国、南アです。あそこで話されている言語学的にはオランダ語の方言と言っていいものですね。
この地域はかなり早い段階、17世紀半ばぐらいの段階でオランダ人の入職者がいて、そこに根付いたんですね。南アフリカ共和国のある地域です。これで現在までですね、オランダ語と当時のオランダ語から分かれる形で発達した、いわばオランダ語の方言ですよね。これが話されています。
土地のお名前にちなんでアフリカンスなんて言われますけれども、オランダ語から発生した、いわばオランダ語の方言と考えて結構です。英語との関係っていうのはここ面白くて、南アフリカ共和国ではアフリカンス語も非常に重要な言語となっていますが、11の公用語がありまして、そのうちの1つアフリカンス語ですね。
そしてもう1つの重要な言語が英語なんですね。そして英語母語話者も1割程度います。これはもともとオランダ植民地だったところに、後にイギリスが植民地支配するようになったということで、組織国が変わったということで複雑な状況を提示しているんですが、
現代ですね、南アフリカ共和国ではこの2つの西洋語起源の言語がそこそこ使われているってことなんですよ。アフリカンス語というつまりオランダ語の方言と英語ということですね。つまりこの地においては英語とオランダ語が接触して行われているっていう、なかなか面白い状況になっているんですね。
このアフリカンス語ではですね、様々な言語にもまれたオランダ語の方言という風な位置付けになりますので、これはいわゆる本国の標準オランダ語と違ってですね、屈折が簡略化していたり、そして文法性がなくなっていたりというような、いわゆる接触言語の要素を提示しているという点でも言語学的にかなり面白い言語なんですね。
このアフリカンス語、これもオランダ語のある意味一種であるという風に理解して結構です。
もう一つ関連する、間接的に関連する話なんですけれども、フリジア語という言語がありますね。
これはですね、厳密に言うとオランダ語系ではなくて、むしろ英語系と言ってしまってもいいようなもので、英語との方が関連、系統関係が強い言語で、フリジア語というのがあります。
英語ではフリージアンですね。
これはなんとオランダ領のフリースラント、オランダ北岸の地域ですね。
この当初部で主に話されている言語です。
これはですね、オランダ領内とはいえど、言語学的には、系統的には英語とより近い言語なんですね。
英語の最も近い言語は何かというと、実はこのフリジア語ということになります。
この話題につきましては、このヘルディオの40回でお話ししています。
英語に最も近い言語はフリジア語ということで、こちらも併せてお聞きいただければと思います。
最後に、今までの話はですね、英語とオランダ語の系統的関係、あるいはそれに関連するフラマン語であるとかアフリカンス語であるとかフリジア語も出しましたが、基本的に系統関係を解説してきたんですね。
では、系統関係ではなく直接の影響関係って言いますかね。
つまりもっと言いますと、英語はオランダ語から様々な単語を借りてきているという事情があります。
系統的に同じゲルマン語ですから、当然似てるっていうのは最初からそうなんですけれども、似てる似てない、言語的に近い近くないっていうのとは全く別に、たまたま地理的に近いところに位置していて、
歴史の中で交流し合ってきたわけですよ。交易ですね。その過程でオランダ語の単語が大量に英語に入ってきているっていう事情があるんです。
これは先ほどの関係が系統関係、血筋の関係という言い方をすると、今回のような可視化理の関係は影響関係と呼ぶことができます。
そして実は英語はですね、皆さんが思っているよりも何倍も多くのオランダ語の単語を借りてきているということなんですね。少なくともその可能性が高いんです。
そしてこれにつきましてもですね、ヘルディオの過去の回でじっくり話していますので、そちらを参照していただければと思います。
194回です。意外と多いオランダ語からの釈用語ということでたっぷり話しています。そちらもお聞きいただければと思います。
ということで今回はオランダ語と英語の系統関係と、そして最後にちょろっとお話ししたいのに過ぎませんが、影響関係、これについて語りました。
実は思っている以上にオランダ語と英語の関係、様々な観点から深いんだということを今日の放送から読み取っていただければと思います。
リスナーからの質問とオランダの思い出
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
リスナーのマリーさんからいただいたオランダ語と英語についての関係に関するご質問にお答えする形でお話ししてきました。
私もオランダは大好きな国の一つで、ビールが好きということもありますけれども、イギリスに留学中ですね、ちょこちょこ近いということもありまして、オランダに出かけていましたし、その留学の前も後もですね、ヨーロッパにオランダ経由で行くという機会も非常に多かったんですね。
KLM、オランダ航空をよく使っていまして、アムステルダムのスキポール空港、ここでよく降り立ったものなんですけれども、何度も行ってですね、そして英語とも関連が深い言語ということもあり、さらに日本史的にもですね、難学の伝統があるということで、いつかはオランダ語と思っていながらですね、なかなか勉強せずにここまで来ました。
オランダに行きますと英語がよく通じるということもあってですね、そのオランダ語学習のモチベーションがそがれるというような、そんな事情もあったりするんですけれども、いつかちゃんと勉強したいなと思っています。今回、オランダ語についてですね、改めて英語史の観点からお話しする機会をいただきました。マリーさん、ご質問ありがとうございました。
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