2026-02-02 17:40

【再】#562. 「外来語」言い換え提案は古今東西のデジャビュ現象?

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に
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サマリー

ポッドキャストでは、外来語の言い換え提案について、過去の提案や日本語のカタカナ語の翻訳がどのように行われているかが詳述されています。また、英語やドイツ語における同様の現象とその歴史的背景が紹介され、言語間の類似性について考察されています。ポッドキャストは、日本語の外来語の言い換え提案を探求し、英語やドイツ語との歴史的な比較を行います。言い換え提案の成功やその影響が、言語によって異なることが語られています。

外来語言い換え提案の起源
英語の語源が身につくラジオheldio。 本日は、【外来語言い換え提案は古今東西のデジャビュ現象】と題してお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。
もう20年近く前になるんですかね。2003年、平成15年の4月から2006年、平成18年3月までの期間中、4回に分けて、【外来語言い換え提案】というものが提案されてきました。
これは、国立国語研究所の外来語委員会が提案したものなんですけれども、カタカナ語の氾濫に伴って、横文字では何言ってるかわからないという声が上がるわけですね。そこで日本語に直そう。だいたい漢語なわけなんですけれども、漢語に翻訳した形で、少なくとも表記上添えようと。
カタカナ語の後に括弧などで、例えばアーカイブ、今ではもう普通の用語になっているんですが、何のことかわからないっていう人のために括弧して保存記録というふうに漢語で、いわば訳を与える、解釈の助けになるようにするっていうようなことですね。
他にはマネーロンダリング、資金洗浄とか、ホールディングス、持株会社のような類ですね。新聞などで見ることもありますけれども、いわば橋渡しですよね。アーカイブというのは括弧保存記録というふうに、確かに意味の解釈を促す日本語の漢語の保存記録ですね。
括弧保存記録というのが付いているわけですが、十分に親しまれて馴染んでくると、括弧保存記録も消されてですね、アーカイブという表現が独り立ちするようになるということで、独り立ちできるようになるまでの補助輪みたいなもんですかね。
そして独り立ちすると補助輪が外れていくというような、そんな用途で便宜上付け加えられているという、そういうふうに解釈することができると思います。外来語、言い換え提案というものですね。
日本語は釈用語が多い言語です。特に現代はカタカナ語という形で西洋語ですね。主に英語なんですけれども、そこから入ってくるものが多い。そのまま音訳してカタカナ語で示すわけですよね。
それだと意味がわからないので括弧で、主に漢語という形に翻訳する。それによって理解を助けるというですね、この外来語言い換え提案という方略が模索されたわけなんですけれども、同じように釈用が多い英語ではですね、英語の歴史では非常にこれですね、強く既視感があるんですね。デジャビューです。
何度も繰り返し同じような外来語言い換え提案になるものが英語史の中にも確認されるんです。ですので日本語と英語はとても似てるなと、この点においてですね、とても似てるなというふうにずっと思っていたんですけれども。
先日の土曜日のシンポジウム、これ連日ですね、このボイシーでも対象言語史的な観点から語彙の近代化について話したそのシンポジウムについて触れているんですけれども、そこでですね、ドイツ語の歴史でもやっぱり同じようなことがあったということを知りました。
学習院大学の高田博之先生がですね、ドイツ語の語彙拡充の歴史、増語言語としてのアイデンティティと題するシンポジウム中のお話でいろいろな例を出してくださったんですけれども、それを聞いてですね、やっぱりドイツ語もかと思ってですね、これは古今東西というと言い過ぎかもしれませんが、複数の言語で同じような現象がやはり起こっている。
デジャビューであるというふうに思ったんですね。それを紹介したいと思います。つまり、英語からの例とドイツ語からの例ということで、今日はですね、いくつか似たような例、外来語言い換え提案ですよね。これを示していきたいと思います。
その前にですね、もう一つ日本語の関わる例ということでですね、文前読み、これを紹介しておきたいと思うんですね。これは何かと言いますと、日本語で漢籍を読み解く際に漢語風に、いわば中国語風に音読みで読んだ後にそれを訓読み、いわゆる和語の形で言い直すというやり方ですね。
例えば、中国の五経の一つである四経、この冒頭でですね、「寒寒と柔らぎ泣ける初級のミサゴは悠長と呼びなかなる淑女の良き娘。」というような言い方ですね。
寒寒と柔らぎ泣けるというところと初級のミサゴという言い方ですね。悠長、呼びかなる、淑女の良き娘のような言い方ですね。
淑女の良き娘というのが一番わかりやすいかと思うんですけれども、淑女とそのまま音読みした後で、このままでは何の意味かわからないだろうということで、日本語で和語で良き娘という言い方で言い換え提案しているわけですよね。
これはとりわけですね、文前を読む時に用いられた手法ということで、文前読みなんていう名前が与えられています。
サイロウの狼とかシュスツのキリギリスなんていうふうに、音読みで読まれても何のことかわからない。これに和語をつけて、役をつけて理解の補助にするということなんですが、このようなものが日本語でもあったわけですね。
現在のアーカイブ保存記録というのと基本的に同じ考え方です。
さて、英語ではですね、近代英語期に大量のラテン語が入ってきました。一気に入ってきたので、一般の人々はですね、そのラテン語から入ってきた単語を見て、誰もわからないわけですよ。外国語ですから。
これに英語の役をつける、あるいはすでに英語化している、よくわかる単語ですね。これを添えることによって説明する、言い換え提案的なものが結構あるんですね。
例えば、シェイクスピアからの例なんですが、the inaudible and noiseless foot of timeということで、inaudible、これは聞こえない、音のないという意味なんですが、あまりにラテン語、ラテン語していてですね、普通の人はわからない。なので、and noiselessというふうに補ってですね、意味をわかりやすくしていると。
他にですね、例えば、education or bringing up of childrenなんて言い方もいます。今でこそ、education、教育っていうのを非常によく使う単語で、基本的な語に近いかもしれませんが、入ってきた当時はですね、非常に専門的なラテン語ですよ。
なので、よくわからないっていうことで付け足して、or bringing up of children、これは大変わかりやすい。子供を育てるっていうこととかですね。
元気づけるという単語ですけども、animateっていうラテン語を説明しているわけです。or give courageというような言い方ですね。
これ、便称性ということなんですけれども、このagilityという難しい単語の後に、本来語のnimbleness、これを言えば、わかる、英語化したということですね。一種の言い換え提案をしているっていうことになります。
もちろんこれもですね、橋渡しですよね。結局のところ、educationとかanimateとかagility、これをですね、わかるようになってもらいたいということで、補助輪としてそれぞれbringing up of childrenとかgive courageとかnimblenessというのを添えているっていうことですね。
近代英語記の一つ前の時代、中英語記には、今度はですね、フランス語からの大量釈要がありました。語彙の大量釈要ですね。同じことが起こっています。
ここで新しいフランス語の単語を導入する際に、本来の英語の単語も添えて、andなどで結びつけて表現するっていうことがよくあったんですね。
例えば、my heart and my courageという言い方です。これmy heartの方が英語です。そしてmy courageというフランス語由来のものをくっつけて、わかりよくしているっていうことですね。
最初にmy heartと言っておくことによって、補助輪を最初から与えておくっていうことです。
それからweep and cry、泣くっていうことです。これも本来語andフランス語という形です。
そしてhunting and veneryというのも同じように、本来語プラス外来語みたいな言い方になってますね。
ここでチャプターを変えたいと思います。
法律英語における言い換え
このような一種の英語とフランス語、フランス語と英語の単語を並べてですね、わかりよくするという言い換え提案的なものなんですが、これが最もよく見られるのは、実は法律英語なんです。
法律英語では同義語、一方は本来語ですね。そして他方はフランス語からというものが多いんですが、これを並べるandでつなぐことによって、この合わせて一つの意味を表すかのような、そういう表現ですけれどもね。
例えばacknowledge and confess、これ英語プラスフランス語ということですし、breaking and entering、これなんかも同じですね。それからgive and grantなんていう言い方もあります。goods and chattelsなんていうのもありますね。
keep and maintainなんていうのもありますし、new and novelなんていうのもあります。
このようにA&Bの形にすると、ごろもいいっていうことなんでしょうかね。法律英語では典型的にこのような言い方っていうのがあふれてるんですね。
ここまでくるとただの言い換え提案ということではなくて、一種のスタイルの域にまで高められていると言ってもいいかもしれません。
日本語のarchive、保存記録がこの域に達するかはわかりませんけれども、このようなことが英語では英語の時期ですけれどもね、結構古い時期から行われていたということになります。
最後にドイツ語の話題をお届けしたいと思うんですけれども、先ほど述べた通り、これは土曜日のシンポジウムの高田博之先生が示してくださった例なんですけれども、
時期はですね、1720年くらいですね、18世紀前半というタイミングで、例えばですね、フェアヌンフト括弧、括弧ラティオのような形で、フェアヌンフトっていうのはこれがドイツの本来語ということですね。
理性ということなんですけれども、フェアヌンフト、これが本来語で、そして括弧でラテン語由来の理性を表すラティオという形ですね。おそらくドイツ語的にはラティオというふうに読むんだと思いますが、このような形で言い換え提案ですよね、まさにね。
あるいはより正確にはつなぎ、橋渡しと言ってもいいかもしれませんが、このような言い換えがあったということですね。
それからつざんめんぜつんぐ、括弧ネクスス、つなぎ合わせ、組み合わせほどの意味でしょうかね。
つざんめんぜつんぐと本来語で言っておきながら括弧でネクススというラテン語からの釈用語ですね。これが添えられているということです。
もう一つ、ディーアンファーレンベグリフェ、単純な概念ということなんですけれども、括弧してラテン語でノティオーネスシンプリケースというふうに添えられているということですね。
面白いのはドイツ語の場合ですね、むしろ最終的に本来語のみになっていくんです。つまり橋渡しとしての本来語の役割というよりも本来語を押し進めていくと。
ラテン語のほうではなくて、ラテン語はむしろ決して本来語を広めていくために言い換え提案みたいなものを出して、そして結果的にその本来語の言い方が受け入れられていくという経路を辿った。
この点では少なくとも英語史とは違う方向性を示しています。つまり言い換え提案大成功ということなんですけれどもね、ドイツ語ではこういうことが起こってきたということを知りました。
言語の歴史の比較
このように今回は日英読と3言語の歴史を比べてみたわけなんですけれども、似たようなことが結構起こってますね。結果として本来語が勝ったのか、つまり言い換え提案が成功したのか、あるいは成功しなかったのかという結果は言語によって異なっていたり、あるいは時代によっても傾向が異なっているということはあるのかもしれませんが、
似たような経路を経ているっていう、その点がとっても面白いなと思います。言い換え提案、これはですね、複数の言語の歴史でデジャビューであるというお話でした。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
連日のように土曜日のシンポジウム、日中英読普通対象言語史、語彙の近代化をめぐって、こちらに1発表者として登壇したんですけれども、とにかくインスピレーションを受けまくりでですね、その後もいろいろと考えるところが多く、他の言語の歴史に照らして、
改めて私の専門である英語史を考え直してみるという、大変良い機会になったということで、今日もですね、日本語の最近の外来語、言い換え提案、これがですね、他の言語ではどういう現れ方をしているのかということを、英語とドイツ語で見てみたわけなんですけれども、
皆さんもですね、この議論を踏まえて、我々の身近な日本語の外来語言い換え提案なんていうのも考えてみると、とても面白いと思うんですね。今までよりももう少し広い視野から、このアーカイブ、保存記録問題についてコメントできるようになるのではないかと思います。
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それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。ほったりうちがお届けしました。また明日。
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