2025-04-28 06:01

hellog-radio #54. なぜhave,has,hadはこんな形なの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #不規則動詞
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サマリー

このエピソードでは、英語の動詞「have」「has」「had」の発音と綴りの関係について探求しています。特に、これらの不規則形に関連する歴史的な変化や高頻度語の影響について解説しています。

haveの発音と歴史
英語に関する素朴な疑問。なぜhave,has,hadはこのような発音と綴り字なのですか。
haveという単語は、動詞としても助動詞としても、非常に高頻度の語であるということがよく知られています。
そして、高頻度な語であれば不規則なことが起こりやすいということも、また、このヘログでもたびたび扱ってきた通りです。
これに対して、have、その三単元形であるhas、それから過去形、過去分詞形であるhad。
これが通常通りの形、あるいは発音と綴り字の関係でないということ自体は、不規則だからということができそうですが、もう少し詳しく見てみたいと思うんですね。
まず、この原形のhaveに関してですが、これは綴り字ではhaveと通ります。
普通ですね、このような通りであればhaveではなくhaveと読みたいはずです。
例えば、gave、save、caveのような単語を思い浮かべれば、このaveという繋がりで、これaveと読むのが一般的なわけですね。
実際、このhaveにセット字beを付けたbehaveという単語、これに関しては決してbehaveになっていません。予想通りのbehaveになっているわけですね。
そうすると、単体のこのhaveに関してはなぜhaveではなくて、この綴りでhaveなのかということですね。
まずこれについてはですね、実は中英語記の状況を見ますと、この動詞はですね、やはりhaveのような長い母音を持っていたんですね。
haveではなくhaveという長い母音を持っていました。
そしてこの長い母音がもし生き残っていればですね、近代語記にかけて起こったgreat vowel shiftですね、大母音推移によって予想通りのhaveになっていたはずなんです。
普通にくればですね、やはり現在これhaveになっていたはずなんです。
ところがあまりに頻度が高い語であるために、途中でこのhaveと長い発音だったものが短くなってしまいます。
これが現代に至っているということですね。
頻度が高いものというのはしょっちゅう使うわけですから、少しでも楽な簡単な発音にしようということで短くなるという傾向が強いんですね。
これが原因で長かったものが短くなった、単母音化して、そして今haveということです。
behaveに関しては、haveほど頻度が高い語ではないので、元々の長母音が現在まで存続して、結果behaveというわけです。
これでhaveと書きながら、haveと読む問題についてを片付きました。
不規則形の理由
では、三単元形のhasであるとか、過去形・過去分詞形のhadについてはどういうことかということですね。
本来であれば、元形に通常はsを付けて、つまりhavesとくれば三単元形で、そしてhaveにbを付けてhavedとやれば、過去形・過去分詞形になるはずです。
これがこの通りに言っていれば規則的ということなんですが、実際にはhave、hadとなっているわけですよね。
これはやはり高頻度語であって短くなったということはそうなんですけれども、もう少し一般的に説明できるんですね。
13世紀以降には語中のvの音ですね、つまりhaves、havedとなると、これvが語末ではなく語中に位置することになりますね。
ずとかどというものが後ろにつくので、v自体は語中の位置に出てくるということになります。
このような位置でのvというのは、非常に多くの単語で消失する傾向を13世紀以降示しました。
他には例えばですね、今ではvなんていうものが感じられないhead, lord, lady, lark, poor。
これらの単語にもですね、実はもともと語中にvの音があったんです。
headで言えばhavedという風にvの音があった。これが語中であるがゆえに消えちゃったんですね。
lordというのもflavoredという風にvの音があった。
ladyに関してもflavoredという風にvの音がやはり出たということなんですね。
本来vがあったんですけれども、語中の環境でこれがだんだん弱まって最終的に落ちてしまうとき以降に起こったんですね。
とりわけ超好頻度語ですから、これが起こりやすい。vがなくなればその分短くなるわけですから。
したがってhavesやhavedも確かに中英語機能で使われていたんですが、語中にあったがゆえにこれがだんだん落ちてですね、has, hadとなったということです。
一見不規則に見える形の背景には好頻度語であるってことであるとか、いくつかの音変化が起こったという仮定が存在していたということになります。
つまり現在一見不規則に見えるものもちゃんと理由がある、歴史的には理由があるということなんですね。
この問題に関心を持った方は、HELOGの4065番、2200番、そして1348番の記事をご覧ください。
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