2025-05-02 08:13

hellog-radio #58. なぜ said, saysはセッドとセズ?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #発音 #音変化
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サマリー

英語の動詞「say」の発音について、過去形の「said」と三単元形の「says」が不規則である理由を探ります。言語の歴史的変化が、これらの発音に影響を与えていることが解説されます。

英語の動詞sayの発音
英語に関する素朴な疑問。なぜ、動詞sayの過去形三単元形は、said, saysではなくsaid, saysと発音されるのですか。
いうを意味する動詞sayというのは、超高頻度の語です。 まず最初に、我々が覚えなければいけないという基本語ですよね。
sayと書いて、sayと読みますね。 ところがですね、この過去形はsaidという風に綴って、この綴り自体もやや不規則なんですが、それ以上に発音が実は不規則なんですね。
sayにdを足すだけのsayedにはならずにsaidとなるんですね。 同じように三単元形も不規則です。
綴り以上はsayにsを付けるだけなんで、これは規則的に見えるわけなんですが、発音上はこれもsaysとならずにsaysという意味が使われます。
つまり原形ではsayという二重母音が現れるんですが、過去形三単元形ではsaid, saysのように短い母音が現れるんですね。
これはある意味不規則ということになりますが、これは何でなのかということを考えたいと思います。
まず不規則と言ったんですが、実を言いますと、英語母語話者の発音を聞きますと、sayの過去形三単元形はですね、
先ほど述べた規範的な、文法的に正しいとされる発音以外に、いわゆるそのままdを付けた発音というのも実はあるんです。
つまりsayの過去形はsaidであり、三単元形はsaysという発音も英語母語話者の口から実は発音されているんですね。
ただこれは非標準的な発音で、マイナーな発音です。
やはり規範的、標準的な発音は先ほど述べた通り、短い母音を持ったsaid, saysということなんですね。
歴史的な変化とその影響
なので英語母語話者としてはですね、said, saysもないわけではないということは一つ押さえておきたいと思うんですね。
それでも元は変わりません。やはり我々英語を外国語として学ぶものとしてはですね、標準的なものを覚えるのがふさわしいと思いますので、
sayに対して過去形はsaidであり、三単元形はsaysとしておくのが良いだろうと思います。
さあ一応事実を確認した上で、ではなぜこのような不規則な単文を持つ発音なのかということですね。
これは歴史的に説明することができます。
歴史的には、具体的にはですね、近代語の入り口ぐらいまでですね、16世紀ぐらいまでは、この単語、この動詞はですね、sayと綴ることから分かる通り、
sayという二重母音を持ってたんですね。ayです。読んで字のごとくです。ayですからsayではなくsayだったんですね。
これが原形です。これにdを付けて過去形を作ったのがsaidでありaysという、極めて規則的な発音だったんですね。
ところがこの後、16世紀そして17世紀までに、ある音の変化が起きます。これは何かというと、ayという二重母音がですね、
ayという長母音になっていくんですね。sayがsayになっていくんです。そしてsaidがsaidになっていくんですね。そしてsaysがsaysとなっていきます。
ayがayとなるというのは、実はこの時代の英語に限った話ではなくて、音声学的に非常によくあるタイプの変化なんですね。
日本語でもそうです。やばいって言いますよね。これ、口語で早い発音ではやべえってなりますよね。
iがaに変わってるんです。音声学的に非常によくあるっていうことなんですが、これがですね、6世紀17世紀ぐらいに起こったわけです。
それで今まで、say、said、saysだったものが、それぞれsay、said、saysになったわけです。
このまま現代に続いていればですね、少しこの長母音が二重母音化したりすることはあったんですが、say、said、saysになっていたはずなんです。
実際このsaid、saysっていうのは冒頭で述べたように、マイナーな発音としては今でもあるわけなんですが、
基本的な発音ではそうではなくなっているっていうことですよね。じゃあなぜか。
これはですね、この二重母音、sayがsayになった、この変化が起こった後に、17世紀以降にですね、また別の変化が起こったんです。
これは過去形と三単元形によるに起こったんですが、そのままでいけばそうなったはずです。つまりsaid、saysと長かったはずのものが、母音が短くなったんですね。
そしてsaid、saysというふうになって、今に至るっていうことです。元形のsayにはこれは起こりませんでした。
このように過去形と三単元形で長かったのが短くなるということですね。これによって現在、said、saysになったということです。
ですが再三繰り返しますが、これ100%全ての発音、全ての人の発音で起こったわけではありません。
昔ながらの長い母音もマイナーな発音としてその後も続き、そして現代もsaidであるとかsaysという発音が非標準的なマイナーな発音として続いているということなんですね。
ただ、基本的にはこの過去形、三単元形では短くなったバージョンの母音が採用されているということです。
ではなぜ、元形では長いバージョン、あるいは二重母音のsayという形が採用されたのに対して、過去形、三単元形では短くなったバージョンが採用されたのか。
これは非常に難しい問題で研究すべき問題なんですが、一つの提案としてはsaid heとかsays heのような主語と動詞をひっくり返したような表現ですね。
これは昔はよくありました。現代では比較的少ないですが、sayと主語をひっくり返すというのは今でも認められると思うんですね。
とりわけ、says heとかsaid he、あるいはsays sheのような表現が対応されて、この場合は代名詞にアクセントが置かれますので、相対的に動詞のsayの部分は短く発音される。
短く発音される、弱く発音されるということは、母音も長いものから短いものになりがちだということですね。
これが慣習化したのがsaidでありsaysなんではないか。
ただこれも一つの仮説にすぎません。詳しいことは分かっていないといえば分かっていないということですね。
さあ、この関連する話題と議論につきましては、ヘログの541番、543番、そして2130番の記事をご覧ください。
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