2025-12-03 10:39

【再】#501. 「たそがれ」の比較語源学

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サマリー

今回のエピソードでは、【たそがれ】の語源を探る比較語源学が展開され、英語の【twilight】やフランス語の【crepascal】、中国語の【黄昏】などの関連性が論じられています。特に、日本語の【たそがれ】はそのドラマ性が強調され、語源が持つ豊かな表現力について考察されています。

比較語源学の導入
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
10月14日、金曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 英語の語源が身につくラジオheldio。本日の話題は、【たそがれ】の比較語源学、です。
どうぞよろしくお願いいたします。 比較語源学の第3弾となりますけれども、
491回の放送で、天の川とミルキーウェイ 比較語源学の楽しみと題して配信しました。それからですね、その後496回にも
【にじ】の比較語源学と題してお話ししました。 そして今日は、【たそがれ】という単語を取り上げたいと思います。こちらの比較語源学です。
この比較語源学というのは、繰り返しになりますが、私が作り上げた表現でですね、特にディシプリンとして固まったものでもなければ何でもないということですね。
対応する単語、様々な言語の、今日の場合【たそがれ】を表す単語ですね。 この語源を紐解いて、それぞれの言語でどういう印象、発想のもとに、その【たそがれ】を意味する単語が作られてきたか、そして使われてきたかという語源をですね、比較し合って楽しむという、そういう趣旨なんですけれどもね。
さて、【たそがれ時】ということで、いわば昼から夕方にかけて、薄明かりの時間帯っていうことですけれどもね、まず英語で言いますと、これ【twilight】ということになりますね。
【twilight zone】なんていう時の、あの【twilight】です。響きとしては私結構好きなんですけれどもね、【twilight】と言うと、なんかロマンチックな響きを感じるんですけれども、皆さんはいかがでしょうか。
語源としては比較的単純で、これ【twilight】っていうことなんですね。2つの明かりということなんです。【夕焼けの赤】と【夕闇の黒】。この2つの色が融合すると言いますか、溶け合ったような時間帯。それがまさに【たそがれ時】なわけですよね。
あるいはですね、この【twilight】の部分なんですが、【between】ということで考えることもできると思うんですね。【between】って【間】っていうことですけれども、これ自体が【by two】という語源なんです。【by】は前置きの【by】ですね。【そばに】ってやつです。
【to】ということで、2つのもののそばに、両方のもののそばにあるっていうことは、その真ん中にあるっていうことなので、【between】っていうのはまさに【by two】っていうことなんですね。
これで考えますと、【twilight】っていうのも、2つと言いますかね、光と闇っていうことですが、2つの時間帯であるとか、色、光に挟まれた間の時間帯なんだと。【between】の【to】のように捉えることもできるかと思いますが、非常に分かりやすい語源だとは思うんですね。
昼でもない、夜でもない、その中間であるということです。
もう一つ、英語にはですね、通常は【twilight】あたりが普通かと思いますけれども、【crepascal】っていう単語があります。【crepascal】ですね。
これは白明とか白暮、薄明か薄暮、薄闇みたいな意味ですね。
まさに【黄昏時】のことを指すと言っていいんですが、【crepascal】というこんな単語があるんです。
これはですね、フランス語から14世紀あたりに入ってきた単語ということで、もともとはフランス語なんですね。
そして現在でもフランス語では【crepascal】と発音して、この【黄昏時】の意味になるわけですね。
さらに遡りますと、これはラテン語の【crepusculum】に遡ります。
やはりそこでも意味はですね、【黄昏時】っていうことなんですけれども、【creper】というのが語幹で、これがですね、薄闇、薄暗いぐらいの意味の形容詞なんですね。
そしてこれ自身はどこに遡るかと言いますと、よく分かっていなくてですね。
古代イタリア中部に住まっていた民族、サビに語に由来するのではないかとも言われていますが、語源辞典などではハテナがついています。
つまり、はっきりしたことはよく分からないということで、比較語源学でもですね、結局面白い語源に遡るのかどうかというのは判定できない、分からないということになります。
次に東洋に目を移してみたいと思うんですけれども、中国語、漢字ですね。漢字で書くと【黄昏】って黄色い混、混水の混ですね。混水状態の混と書きます。
日本語の独自性
黄色っていうのは当然黄色の色なわけですが、混というのは暗いって意味ですね。暗い、黒いっていう意味ですから、混水状態まさに意識が遠のいて真っ暗状態っていうことですので、やはりですね、黄色と黒を2つ並べて、2つの光、2つの色を並べて、それがおそらく混ざり合っているとか融合しているっていうことを伝えたいだろうと思いますね。
そうすると、英語のTwilightと発想そのものは非常によく似ているっていうことですね。なかなか映像的、ビジュアルな語源ということになります。ストレートすぎる感じはしますけれどもね。
最後に日本語の黄昏そのものに迫ろうと思うんですが、これは比較語源学的には圧倒的にこの日本語がいいですね。黄昏、とってもいい響きですよね。何かドラマ性を感じるわけなんですが、それもそのはず。語源が面白いからですね。
これはですね、たそかれなんですね。だれそかれということで、たそがれ、つまり彼は誰っていうことですね。あの人は誰ということなんですが、つまりあたりが暗くなって、それまで判別できていた人々の顔が薄暗くなってくる。そんな時間だと。
そして思わずあれ誰というふうに彼は誰というふうに聞きたくなるようなそんな薄明かりあるいは薄闇の時間帯だということで、単に2つの色2つの光が混ざっているという情景的なですね。
トワイライトとか中国語の光二次で表されるようなビジュアルなものもそれはそれでいいんですけれども、日本語、たそかれっていうのはちょっとしたドラマを感じるわけですね。
さらにですね、別の言い方で日本語には川垂れ時っていう言い方もありますね。これも彼は誰っていうことです。川垂れということなんで、まったく同じ発想に基づく兄弟ということですね。たそがれっていうのと川垂れという言い方ですけれども、日本語なかなかいいですね。
比較語言学というのはですね、様々な言語もっと無数に言語ありますので、色々調べてみたいところですよね。皆さんの知っている言語で、たそがれ時この時間帯のことを何と呼ぶかっていうのを集めると、もっと楽しい比較語言学を語ることができるんではないかと思われます。
今のところ、いくつかの少数の言語で比べたにすぎませんが、その中では日本語の勝利と私自身は考えたいと思います。このドラマ性と言いますかね。ストレートにビジュアルで表現するというよりは、なんて言うんでしょう。ワンクッションを置くと言いますかね。人間の生活みたいなものがチラッと垣間見られるような、そんな語源がなかなか素敵だなと思う次第です。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。比較語言学なるシリーズを始めましたけれども、これ非常に面白いと思いませんかね。様々な言語で一つの表現と言います概念を表す単語ですね。単語であるとか表現というのを比べて、その語源がどういう発想に基づいたものなのかということを比較することになります。
これを比較することで、語源談義を楽しむということなんですけどね。今日の黄昏は日本語の独り勝ちだと私は思ってるんですけれども、もちろんこれは考え方一つですし、他の単語にすると英語の方が素晴らしいとか、ギリシャ語が素晴らしいとか、それぞれお互い様なんですけれども、こういうのを比較し合うことでですね、各言語の豊かな発想っていうのを楽しむ。
これを比較語源学と名付けてお届けしていると、そういう次第ですね。
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それでは今日も良い1日になりますように。ほったるいちがお届けしました。また明日。
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