英語史における講演
来月1月には、京都大学の家入洋子先生と私、堀田隆一とが協調、協調書となっています、【文献学と英語史研究】という本が開拓者より発売となります。
英語史研究のガイドブックというような本になるんですけれども、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
さて、本日は12月16日金曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
英語史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています、この英語の語源が身につくラジオheldio。
本日の話題は、【なぜ言葉の変化にはdrift 漂流があるのか】という話題でお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。
昨日、12月15日木曜日なんですけれども、日本大学で講演する機会をいただいて、講演してまいりました。
日本大学大学院文学研究科英文学専攻主催での大学院特別講義ということで、お招きいただきまして、英語史に見られる4つの漂流という大きなタイトルで話してきました。
日大の英語史の研究者でおられます穂坂光雄先生、そして専攻の諸先生方には大変お世話になりまして、大変私自身楽しくお話しさせていただきました。
長時間でしたけれども、出席された方で、このラジオも聞かれている方もいるかなということで、改めてこの場でも感謝いたします。
総合から分析への言語変化
実は昨日の講演会は前半で、後半はまた後日行うことになっているんですけれども、かなり大きなテーマを掲げるということに結果的にはなりまして、英語史に見られる4つの漂流ということで、昨日は前半2つを紹介したんですね。
1つ目は、なぜ英語の文法は著しく変化してきたのか、総合から分析へというお題で一コマ目をお話ししまして、2つ目にどのように英語は新語を導入してきたのか、語形性と釈用というまた違ったお題でお話ししたんですね。
1つ目はどちらかというと文法の話題、形態論とか統合論という話題、そして2つ目は語彙の話題ということで、異なるタイプの話題を選んだということなんですけれども、今日このヘルディオでお話ししようと思うのは、1つ目の総合から分析へとよく言われる英語史における変化ですね。
そしてこれは実は英語史にとどまらずですね、ゲルマン語史、さらにはインドヨーロッパ語史全体に関わる非常に大きなある意味言語変化の流れなんですね。総合から分析へといったときの総合とか分析っていうのは、これは専門用語としてなんです。
一般用語としてももちろん総合っていうのは意味わかりますし、分析っていうのもよくわかると思うんですが、言語学の用語となると意外とですね、これ分かりにくい概念なんです。
ということでですね、これは実はヘルディオでもすでにお話ししていまして、359回、総合的な後英語から分析的な現代英語へ英文法の一大変化ということで詳しく話していますので、ぜひそちらを聞いていただければと思うんですけれども、
ここで簡単にまとめますと、英語の古い段階にさらに遡ってゲルマン語とかインヨーソ語とか、このレベルでも同じなんですけれども、総合的な言語だったんですね。これはどういうことかと言いますと、語尾です。語尾に非常にいろいろな文法情報を載せるっていうことなんですね。
これによって単語の語尾、主に名詞とか動詞なんですけれども、この語尾を見ることでこの名詞がどういう文中での働きをしているか、主語なのか目的語なのかであるとか、単数なのか複数なのかっていうことですね。
動詞であれば語尾によってこれは時勢は何なのかとか、法は何なのかとか、体は何なのか。体っていうのは受動体とか脳動体っていうあの体ですよね。それから認証は何なのかのようないろんな細かい文法情報ですね。語尾の非常に狭いところで、音で言えば1音か2音です。文字で言えば1文字か2文字というところでですね。
非常に濃い文法情報をその狭いところに載せるっていうタイプの言語なんですね。語尾の変化が激しいというようなタイプの言語です。これを総合的な言語と言うんですけれども、現代語を考えればわかるように、確かに今でもですね、複数形のSとか3単元のS、過去形のEDみたいに語尾に情報を載せるというやり方はありますけれども、
かつてに比べてその力がぐんと弱まっている。むしろですね、語順に頼ったり、前置詞に頼ったり、助動詞に頼ったりということで、別の単語を持ってきて、かつては語尾で果たしていたようなですね、役割とか機能っていうものを、そういった別の方法で単語、一語を持ってきて、そちらに担わせるっていうようなタイプの言語。
これは分析的な言語って言うんですけれども、これに変わってきたと。総合型から分析型の言語へと変化してきたっていうのが英語の歴史であり、さらに言えばゲルマン語の歴史であり、もっと言うとイーオー語、インドヨーロッパ語の歴史であるっていうことなんですね。
言語変化の潮流
英語の歴史ではこの傾向が非常に強く表れているんですけれども、程度の差はあれ、他のインドヨーロッパ系の言語ではですね、やはり同じように、この総合から分析へっていう変化が起こってきてるんです。全体の流れだっていうことなんです。
この流れが千数百年、英語史の中だけでも続いていますし、ゲルマン語で言いますと2000年とかそれ以上続いてますし、さらにインドヨーロッパ語という枠組みで考えると、これは6000年ぐらい続いてるっていう話なんですよ。ものすごく息の長い一方向性の変化っていうことになりますが、これが言語学では古くから論争になってるんですね。
なぜこの一方向性の変化というものが言葉には見られるのか。少なくともインドヨーロッパ語全体として見られるわけなので、この全体的な流れは何なのかっていうことですね。そしてそれを駆動している力は何なのか。これは大論争となってきたわけです。
昨日の日大での特別講義でも、この辺りを話題に取り上げたということなんですけれども、今もってよくわからないんですね。なぜこのような大きな傾向があるのか。
これを私は潮流とかトレンドというような言葉で表現したんですが、実は言語学界隈ではこれにちゃんとした名前というか伝統的に受け継がれている名前がありまして、これがDriftということなんですね。
潮流を意味する単語です。ドリフトですよね。これが潮流と訳されることもあれば、偏流、偏った流れですね。偏流と訳したり、さらには駆流という流れを駆動する力、駆動ですね。駆動の駆、駆流と訳されたりもして定訳は必ずしもないようなんですけれども、ここではドリフトと呼んでおきます。
そのまま英語を生かしてですね。このドリフトがなぜあるのかっていうのが非常に大きな議論を呼んできたっていうことなんです。
考えてみると本当に不思議でですね。英語史の枠内では千数百年の変化ということになりますし、インドヨーロッパ語全体の流れ、ドリフトというふうに考えると、これはですね、ざっと6000年ぐらい続いている一方向の流れなんですね。
言葉の変化とドリフト
何が不思議かというのは、この間に何十世代、何百世代という時間が流れているわけですよ。そして世代、親から子ですけれども、親から子にどうしてこの言語変化の流れが受け継がれるのかっていうのがわからない。
言葉の変化の流れというのは、普通人々は意識しませんし、親が子供にですね、いいか自分の世代ではこういうふうに言語変化してきたんだ。だから子供たち、お前たちの世代もこれを受け継ぐんだぞなんていうことは明示的に言うわけがないんですよね。
ですが、結果として見るとですね、歴史を振り返ってみると、そのようにきっちりと方向性が受け継がれていくんですよ。明示的に言い残すわけでもなく、前の世代は消えていくわけなんですが、それが見事に受け継がれて、全体として見ると一つの方向を示しているっていうこの不思議さなんですね。
言語学者はこれを説明するのにずっと頭を悩ませてきました。ドリフトがあるということはこれは認めざるを得ない。ただ、その力、駆動する力の厳選ですよね。これは何なのかっていうのを突き止められずにいるっていうことなんです。
極めてまか不思議な力が働いているということで、それ以上のですね、うまい説明が見当たらない。とにかくドリフトがあるんだ、というところでだいたい止まってるんですね。さまざまな仮説らしいものは唱えられています。
しかし、いずれもですね、説得力を必ずしも持っていないという意味では、いまだにミステリーであり、ミスティックなんて言われますね。神秘ということになります。エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
英語詞の潮流
昨日の日本大学での講義、そちらで触れた一つの大きな問題ですね。英語詞に流れている大きな潮流と言ったんですけれども、専門用語としてドリフトという用語があてがわれていまして、総合から分析へという、この大きな流れですね。
英語詞のみならず、ゲルマン語詞、そしてインドヨーロッパ語の歴史全体に見られる非常に大きな一大潮流なわけなんですが、これが何でそうなのか、何によって突き動かされている流れなのかっていう力の源泉ですね。
これについては論争が古くからあってですね、そして未だに謎は解けていないという、不思議な、ミステリアスな、そしてミスティック、神秘的な話ということで、今日はお届けしたわけなんですけれども、もちろん言語学も科学ですから、このままでは終わらせたくないということをですね、みんな考えてるわけですね、言語学者は。
神秘的というにとどまったり、終わらせたくはない、何か理由が欲しいですがわからない。なので、今のところ鍵かっこつきで神秘的というふうに見なしておくほかないというような状況なんです。
言葉の変化の不思議の一端を垣間見ることができたのではないでしょうか。
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それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。
ほったりうちがお届けしました。また明日。