2025-05-09 10:00

heldio #293. 「性交」を表わす語を上から下まで

#英語史 #英語教育 #英語学習 #類義語 #婉曲表現 #タブー #レジスター
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サマリー

このエピソードでは、性交を表すさまざまな英単語について、公式なものから俗語までの序列を解説しています。また、言葉のタブーやその文化的意義にも触れ、言語学的視点からの面白さを追求しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
性交を表す語の序列
今回取り上げる話題は、性交を表す語を上から下まで、という話題です。
性交、いわゆるセックスの話ですけれども、日曜日の朝、清々しいはずの時間帯でですね、こういう夜の話をするのもどうかなとは思ったんですけれども、
こういった話、たまにこういう下世話の話を、このVoicyでもしたりするんですが、こういう話こそ、言葉の学としてはかなり面白いんですね。
英語史的にも色々と移り変わってきて、面白いという話なんですけれども、今回は現代の話ですね。
日本語でもそうなんですけれども、普段避けたい言葉っていうのがありますね。
これはタブーと呼ばれています。あまり大っぴらには言ってはいけない言葉、それをズバリ人前で言うとですね、場が凍りつくというような言葉ですね。
少し大げさに言えば、それを正式な場で発言するとですね、社会的制裁を受けると言いますかね、放送禁止用語もそうですけれども、場が凍りつく、あるいは少なくとも変な空気になるというような言葉ってありますね。
これは一般にタブーと呼ばれます。これは古今東西の言語で観察される現象ですね。言ってはいけない言葉、言葉っていうのはそれを使ってコミュニケーションするためにあると思い込んでいるわけなんですけれども、
使ってはいけない、少なくとも建前として使うことは推奨されない言葉っていうのがあって、それをみんな共同体のみんなはみんな知っている。何を言ってはいけないのかっていうのを知っているというような非常に不思議な現象ですね。
これがタブーと呼ばれるものなんですが、古今東西を見回して、大体ですね、成功であるとか下のネタですね、排斥関係、これはタブー化しやすいですね。ただですね、このタブー化しやすい語類があるといっても、その話題自体は必ずしも禁止されているわけではなくて、それを話そうと思えばですね、いくつか単語はしっかり用意されているんですね。
用意されている中で、これは使っていいけれども、こっちはダメみたいな変な序列があるわけですよ。もう一度言いますと、その話題自体がダメなんではなくて、その話題を取り上げて話をするときに、こっちの単語はいいけれども、こっちはダメよっていうような序列が上から下までってことですね。
今回扱う成功を表す語ですね。これ英語の話なんですが、英単語を上から下まで、上は公式な場で使ってよろしい、むしろ公式な場ではこっちを使うべきだっていうのからですね、どんどんと下に行って、かなりこれはドギツイぞというような、人前では言えないぞというような単語まで、上から下までものすごくこれはですね、あるんですね。
上から下までの英単語
今回取り上げるのは、文字通り無数にある成功を表す単語ですね。これをですね、上から下まで本当に氷山の一角ですけれども、これを見てみたいと思うんですね。
上から行きます。上というのは、人前で使っても安心、むしろ正式度が高い、公式度が高いっていうことで、例えばreproductionって言い方がありますね。これ文字通り再生産と言いますかね。
いわゆる生殖ということで、成功そのものを指すのではなくて、成功した後に何が起こるかというと、子供が生まれるっていうことで、生殖が繰り返されるっていうことですね。
一種のメトニミーですね。その行為そのものを指すとドギツイので、その後、結果としてどういうことが起こるかっていう、その結果をもって原因の方をほのめかすっていう、タブーに対して遠距離表現、ユーフィミズムっていうのはありますが、直接指すんではなくて、何らかの方法でずらすんですね。
ずらして、この場合原因と結果という形で、原因を指すのに結果をもって表現するというようなことですね。reproduction、これはかなり正式で人前で言うのに全く恥ずかしくない、ショックも与えないっていうような言い方ですね。
同じくらい大丈夫なのがgeneration、これ一般的には世代っていうことですが、もともとは世代を作り出す、新たに生み出すっていうことで、reproductionと同じようなメトニミーですね。それからcopulation、これなんか正式によく使われますね。これまさに成功というそのものの意味なんですが、これラテン語から来ている。
本来の英語ではないっていうところで、ここに間接度というのが感じられるわけですよ。つまり、よその言語から来た、ある意味英語としてはよそ者だっていうことで、距離感を出すんですね。そうすることで、本来であればどぎつい単語を柔らかく聞こえさせるって言いますかね。
という感じです。からcoefficientなんていうのもありますね。これも少し下がりますが、成功という意味ですね。からintercourseっていうのもあります。これは文字通り交わりということですね。いわば成功というときの成を取り除いて、交、交わりだけを出してきたっていうことで、これも一種の省略って言いますかね。
これ日本語の話ですが、成の部分を省略して交、交わりの部分にだけ注目するっていう意味では、intercourseもそれに近いですね。sexual intercourseといえば、もうちょっと分かりやすくなるんですが、sexualを取り除いてintercourseというだけで成功の意味を表す。
少しずつ下がってきますが、congressっていうのもありますね。これ一般名詞として、もちろん会議っていうことですが、分かるかと思います。intimacy、これは親密さということですよね。からkernel knowledge、肉体的な知識ということで成功という行為を表すというよりは、それに対する知識という言い方でちょっとずらしてるんですね。
例えば、I know womenっていう言い方ありますよね。女性を知っている、あるいは男性を知っているっていうのはそういうことですよね。knowledgeという言い方で、外すっていうところですね。
だんだん下になってきました。coupling、これはかなりズバッとくる感じですね。pairing、これも同じような感じ。そしてmating、かなり下っぽくなってきた感じがありますかね。
そしてこれより下に行くと、だいぶショッキングな、そしてスランギーな、俗語的下っぽさ満開ということで、場面によってはこれは使わないほうがいいでしょうというものが増えてきますが、
その無数にある中のこれも氷山の一角ですけれども、例えばshaggingとかbangingであるとかbonkingであるとか、最後はfuckingという例の最もドギツイとされる。
そしてズバリいってしまうとこれはショッキングであり、場が凍りつくという、あの後にまで至るわけです。この上から下までということで、これ自体は本当に氷山の一角で、例えばスラング辞書ですね。俗語辞書を引くと、この意味の単語っていうのは数えたこともありませんが、それこそ数百は上がってくるんではないかと思いますね。
タブーと歴史的背景
そして面白いことにこの数百数えたことはないんですが、この多数のものの過半数はですね、下の方です。つまり俗語ほど多くて、上の使って安心というレベルのものは本当にいくつかのものに限られる。
これは英語だけではなく、おそらく日本語でも他の多くの言語でも同じ状況なんではないかと思います。全部集めるとそれこそたくさんある。しかしその中で安心して使えるものは上のほんの一握りという状況ですね。
下のものはとにかく上げればキリがないですし、大声で言えないものが多いんですけれども、例えばですね、あえて上げればこんなのがあります。
というのが無数に出てくるということなんですね。今回は現代英語における成功を表す単語をいろいろと集めて、上から下まで述べたということで歴史は関与してないんですが、実はタブーの問題は歴史的に考えると本当に面白いんですね。
というのは中英語では多くの性に関する単語表現はタブーじゃなかったからなんです。それではまた。
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