季節語の基礎知識
英語の歴史の研究者、ヘログ、英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
英語史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています。 本日は11月15日火曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日は【季節語の歴史】と題してお届けします。
昨日ですね、532回ジーニエス英和辞典第6版の出版記念に、英語史Q&Aコラムよりスプリングの話と題して、スプリング、これ季節語の春という意味も持っていますけれどもね。
これについて触れました。ある意味ではその続編ということで、膨らませて季節語全般について今日はお話ししたいと思います。
それではよろしくお願いいたします。 日本語で季節語と言いますと、春夏秋冬、この四季、4 seasonsっていうのがまず思い浮かぶわけですよね。
他に二十四節季であるとか様々な季節の区分あると思いますが、最も一般的でよく使われるものとしてはやはり四季でしょうね。
そしてこの春夏秋冬に相当するものは英語でもきれいに4つ揃っていて、つまり英語でも4 seasons なんですよね、基本的には。
スプリング、サマー、オータム、フォール、ウィンターということで、秋の言い方は典型的にはイギリスではオータム、アメリカではフォールというふうに使い分けるわけなんですけれども、いずれにしても四季、4つ揃っているっていうのが前提ですよね。
つまり、この季節の数に関する限り、日本語母語話者が英語を学ぶときに特に大きな問題を感じない。微妙にですね、何月から夏とみなすのか冬とみなすのかというものは日Aで異なっているかもしれませんし、
そもそもがですね、日本の国内でも北から南までありますので、幅がありますので、その厳密な区分というところで言うと微妙に食い違っているっていうことはきっとあるんだろうとは思いますけれども、1年を4つの大まかな季節に分けるという発想法そのものは日Aともに有効ですので、翻訳の際に大きな苦労をしないということかと思うんですね。
ですが、これはあくまで現代英語を基準に考えた場合なんです。現代英語では春夏秋冬ということで四季揃っています。日本語とピタッと合っていることになるんですが、昔からそうだったかというと必ずしもそうでないっていうことなんですね。今日はこの辺りの話題をお届けしたいと思います。
古英語から中英語への変遷
まず英語史の中でも最も古い古英語5世紀から11世紀という時代を考えてみます。もともとゲルマン系の言語ということなんですけれども、このゲルマン系の言語文化の伝統ですと、大きく1年を2つの季節に分けるんですね。
要するに夏と冬です。サマーとウィンターというこの2つが基本なんです。
北ヨーロッパっていうのは寒い時期が長いですよね。そして寒い時期が終わって比較的短い暖かめの時期が来ると。この対立する2つの季節というのがまず季節間の根底にあると考えられるんですね。四季というよりも二季ということです。
ちょうど熱帯に寒季と雨季があるのと同じような形でですね、北ヨーロッパをベースとしていたゲルマン民族の季節の捉え方として、まず暖かい時期と寒い時期があるということで、サマーとウィンターこの2つで分けて考えるっていうのが基本だったようなんです。
ただ、もっと南側のヨーロッパですね。いわゆる四季があると考えられるような南ヨーロッパの文化とも早くから接触していたために、春や秋という中間概念ですね。この概念そのものは入ってきていたんです。
実際に古英語でもですね、基本的な発想は先ほど述べたようにサマー、ウィンターという二季句分なんですけれども、春に相当する単語としてレンクテンという単語があったんです。
これはですね、ただ広い意味では今の春におよそ相当すると考えていいんですけれども、もっと競技としてはですね、四巡節、キリスト教の一つのお祝いのタイミングですよね。レント、四巡節という意味で使われていたということなんです。
今でもこの四巡節はレントと続きますね。レンテンというにenをつけると四巡節のという形容詞になりますけれども、このように春の一時期、ある特定のタイミングのことを競技に指すレントが広く一般に冬から夏に切り替わる季節ぐらいの意味。
今の春、スプリングぐらいの意味で使われることがあったということなんですね。
さらに秋に関しましても、ズバリ秋というよりもですね、いわゆる収穫期を表す農業用語としての表現、これがhervestという単語があったんですね。
これまさに現在の収穫を意味するharvestです。
ドイツ語では今でもですね、herbstと表現して、これで秋ということなんですけれどもね、このように収穫の時期、すなわち秋というような表現があるにはあったということです。
そうしますと、今のように完全に四季区分があったという意味での春夏秋冬ではないにしても、ゆるーくですね、四季に相当する概念とか用語はきちんとあったということなんです。
まずこれが後英語の状態だったということなんですね。
ところが次の中英語期になって13、4世紀あたりなんですけれども、lentという単語、狭い意味では四春節の時期ですね、広い意味でそれを含む暖かい時期、つまり春という季節名としても機能していたわけなんですが、この広い方の意味、一般的な春の意味がなくなっていくんですね。
必要がなかったかのようにこの意味が脱落していくんです。
そしてこの穴を埋めるべくですね、いくつかの表現が現れて競合するようになったんですけれども、面白いことにいずれもですね、一般化しないんですよ。
むしろ一番一般的に使われたものがあったとしたら、それはサマーなんですね。
サマーが狭い意味での夏の意味だけでなく、春も含めたいわゆるゲルマン時代の夏か冬かっていう二文法をした場合の暖かい方の時期、夏という広い意味で使われるようになった。
つまりサマーは中英語においては、いわゆる我々の考えている夏だけではなくて、その前半部分の春ですよね。
いわゆる春も含む非常に広い時期を表す表現として展開したっていうことなんですね。
そして寒い地方ですから、冬から夏と言いますか春と言いますか、暖かい時期に切り替わる時って喜びの時期なんで歌を歌うわけですよね。
いわゆる春が来たというような歌があるわけなんですが、括弧がさえずって春が来たということなんですが、その中英語で作られた歌、歌詞はですね、何で始まるかというと、
Summer is coming in、Summer is begunのような意味ですね。
現代の感覚で訳すと夏が来たっていうことになりますが、これは明らかに3月とか4月あたりを念頭において春が来たっていう歌なんですよ。
このSummerというのはしたがって、ここでは夏と訳してはいけない、いわゆるゲルマン語的な二文法の暖かい時期、それが始まったということなんで、やはり訳としては春が来たっていう方が日本語のイメージあるいは現代英語のイメージとしては近いわけなんですが、単語としてはSummerを使っていると、そういうことなんですね。
近代英語における季節語の競合
このような中英語自体を経まして次に近代英語記に入ります。
そうするとですね、再び春をめぐる競合が始まって、いろいろと表現が出てくるんです。
その中でそこそこ優勢を誇ったのがSpring of the leafのような言い方です。
葉っぱの芽生えということで、これが春の時期に重なるわけですよ。
他にはSpring of the yearのように1年の芽生えの時期、最初の時期ぐらいの言い方、このあたりもですね、出てきたわけなんです。
同じように秋もですね、いろいろな表現ができて、もともとはHairvestのような単語だったんですが、
Spring of the leafに対してFall of the leaf、Fall of the year、それからAutumnみたいなものも表れてくるんですね。
その後、多少競合が続いてすったもんだありましたが、これがアメリカにももたらされるようになってですね、イギリスの植民地としてアメリカにももたらされることになって、
秋に関してはそれぞれ異なる語が選ばれた。春に関しては共通でSpring。こうして今に続く四季の季節語が揃ったというわけです。
コメント返しです。この数日間でもたくさんのコメントをリスナーの皆さんから寄せていただきまして、なかなかコメントバックする機会がなかったんですけれども、
ここですべてではありませんがピックアップしてご紹介したいと思います。
まず新しい方からということで、昨日です。
カミンさんよりいただきました532回ジーニア性英語字典第6版の出版記念に語詞Q&AコラムよりSpringの話ということで、こちらへのコメントです。読み上げます。
今日も面白くためになる内容でした。
フランス語の季節名でも春を示すPrintempsは中世後期が初出で、もともとは夏の最初Premier temps de l'étéを示していたように思います。
季節名の語源とその時期区分を調べてみたくなりました。
時代によって季節区分は違っていそうですし、現代でも日本の春夏秋冬とフランスのそれはズレがあるように思います。
ありがとうございました。実はこのカミンさんからのコメントを受けて、今日の話題という設定だったんですね。
面白いですね。確かにフランス語のPremier tempsもなんでこんな表現なんだろうなとなんとなくは思っていたんですけれども、まさに今日の話と重なるなと思いました。
夏の最初の時間ということですね。
さらに言いますと、やはり春っていうのは夏のというよりも1年の最初の時期というふうにヨーロッパでは考えることが多いと思うんですね。
やはり北方の国々で冬が長いということがあって、冬を越してようやくですね、新たなみずみずしい1年が始まるのような形でですね、捉えているんだろうと思います。
日本語でもやはり春夏秋冬という順番ですから、同じような発想、新春という言い方もしますしね、このあたりはやはり長い寒い冬を経て暖かい生き生きとした春が始まるっていうこと、これが喜びというのはね。
土地にもよりますし気候にもよるのかと思いますが、日本とヨーロッパでは発想そのものは似ているのかもしれませんね。
ちなみにそうだ先ほど調べてみたんですけれども、本編で述べたように、中英語期から近代英語期にかけて春を表す語がですね、競合していたということを述べました。
最終的にはスプリングになったわけなんですけれども、その時にフランス語からもいろいろ入ってきていまして、
veilであるとかveilですね、それからprime temps、要するに、
これもやはり入ってきたようですね。prime timeなんていう表現もあります。それからprime単独でもありますね。
なので様々なものが本当に競合していた中で最終的に勝ちの、英語ではスプリングだったということなんですね。
コメントありがとうございました。
それから530回の放送なんですけれども、日本ハム新球場問題の背後にある英語版公認野球規則のシャールの用法についてということで、
こちらはですね、タイムリーな話題ということもあってかですね、非常に多くのコメントをいただきまして、皆さんのものを読み上げることはできないんですけれども、
いろいろとご意見をくださいまして、そしてリスナーの皆さんの間でも盛り上がって議論されているということで、
私もこの問題ににわかに関心が湧いてきたんですけれども、実際ここ数日ニュースとかワイドショーなんかではよく取り上げられているようですよね、この話題ですけれども。
最初にこの話題をですね、取り上げていただいたのはですね、ケイケイさん、リスナーのケイケイさんなんですが、さらにコメントをいただきましたので読み上げます。
野球公認規則の件、ヘログで取り上げていただきありがとうございます。
用例としてはやはり稀なもののようですね、これと米国の公式規則がシャルであふれているのを踏まえると、もともとはz説中の文章だけだったところを、
とある理由、すでに使っている球場が60フィート未満と後からわかったとか、後から冒頭にIt is recommended thatを書き足したときの修正漏れでシャルが残っているのかなという気がしています。
公式規則の改定履歴を調べたわけではないので、完全な推測ですが、ということでありがとうございます。
私もこのご指摘の点は疑っていて、細かく改定履歴を調べてみたいなと思っていながら、まだそれができていないということなんですけれどもね。
このケイケイさんのコメントに対して、H74さんもこのように述べています。
It is recommended thatを書き足したに激しく同意します。日本語で書かれた規定でも原則として、ことができるが書き足されることがありますからね。
ということで、確かにこの手の規定っていうのはあるあるのような気はしますよね。
現実と規定に書いてあることがうまく合わなくなったら、規定の方をちょこちょこっといじって、何とか質問を合わせるということで。
厳密な法律でない限り、こういうことっていうのはよくあるし、許されるっていうこともあるんだろうなと思いながら、今回の問題も私も眺めているところなんですけれども。
皆さんの意見、本当に参考になりますね。
それからH74さん続けて、もう一つコメントいただきました。
とても興味深い内容であり、ホッタ先生の解釈も非常に聞き応えがありました。
今年の放送会の中でも確実に上位にランクインするくらいの痺れる時間でした。
アーギュアブルな内容なので、別な解釈をする方のお話を聞いて、解釈の仕方も学んでみたいものです。
これで完結せず、さらに広がっていく予感さえします。ありがとうございました。
ということで、一つの英文の読み方っていろいろ確かにあると思うんですよね。
文脈を踏まえながらどのように解釈するかっていうのは、常に翻訳の面白い話題、英文解釈の面白い話題だと思いますので、ご意見がありましたらまたお寄せいただければと思います。
それからこの問題につきましては、プロ野球パリーグファンのカミンさんからもコメントをいただいていまして、
これは気になっているトピックでした。英語学、英語史の観点からの指摘があるとは。
プロ野球は体筋が動く世界ですので、先生のこのご指摘、影響があるかもしれませんよということで、非常に怖いご指摘をいただいたんですけれども、
私としては英文解釈自体はいろいろな方が、このシャルをめぐってとか、It is recommendedをめぐってということでコメントされるかと思うんですけれども、
私の趣旨としましては、英語史研究者ですので、こういう場合の雑踏説の中にシャルも現れたんですよと、少なくとも稀ではありますが歴史的な例としてはゼロではないっていう、
割とマイナーな隠れたところを指摘するということが調べていても楽しかったということなので、そこがメインなんですけれどもね。
つまり文法的にあり得ない話ではないっていうことが一方と、ただその一方で全体の前後の文脈でシャルがあふれているというその合流というような形で、こんな英文になっているんだろうなとそのように解釈している次第です。
非常に注目の集まる話題だということがとてもよく分かりまして、今後もどうなっていくのかこの問題は分かりませんけれども、ぜひ見届けたいなという思いにはなりました。ありがとうございました。
もう一ついきましょうかね。Sさんからのコメントです。
いつも楽しく視聴しています。英語に対する長年の疑問や違和感の正体が分かってすっきりします。
TOEICの勉強しているのですが、なかなか覚えられない単語の語源を逐一調べていると時間が足りません。
実用性を優先するなら問答無用で暗記した方がいいと思いますが、気になるのにわからないままというのもイライラします。
未知の単語が出てきたときのイライラと、語と意味の組み合わせに納得できないイライラはどう対処するのが良いでしょうか。
これは一般的な語彙の学習、暗記の際にどうすればいいのかということなんですけれどもね。
特効役はない気がしますね。若い頃は問答無用でとにかく暗記するってそれで私もいけたんですけれども、
今は奇襲事項になんとか結びつけないともう頭入ってきませんね。ダメですね。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
季節語というのも面白い話題ですよね。
季節語の変遷
土地によってやはり1年という太陽暦をベースとする1年という時間をいくつに区切るのか。
そしてそれぞれにどのような名称を与えるのかというのはかなり気候風土に左右される問題だと思いますので。
しかも文化的な側面もありますので、同じ気候帯に属する同じ言語圏でもですね。
他のどのような外部の言語文化と接触するかによって、この名前であるとか種類であるとか区分の仕方っていうのも変わってきうるので、
英語を一つとってもですね、時間の中でいくつに分類するのかどういう名前をあてがうのかっていうのは今日示したようにですね、変わってきてるわけですよ。
結果として割と日本語とも相性の良い式、春夏秋冬というふうに英語は落ち着いているわけなんですけれども、
これとてですね、最初からそうだったわけではないという意味では、相対的に見ておきたいなという、そういう問題だろうと思うんですよね。
皆さんの知っている他の言語ではどのような分け方、そして名称を使っているでしょうか。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
Voicy のコメント機能を通じてお寄せください。
チャンネルをフォローしていただきますと、更新通知が届くようになりますので、ぜひフォローをお願いいたします。
また、面白かった、ためになったなどと感じましたら、ぜひいいねもよろしくお願いいたします。
最近の配信会だけでなく、古い配信会につきましても、いいねやコメントをください。
私の方に必ず通知が入りますので、なるべく反応したいと思っています。
それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。
ほったりうちがお届けしました。また明日。