2025-04-21 10:00

heldio #275. どれだけ長くかかっているのよ、OED の編纂?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #辞書編纂 #OED
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サマリー

OED(オックスフォード英語辞典)の編纂には、1857年から1928年までの71年という膨大な時間がかかります。このプロジェクトは、辞書編纂の歴史における長さや重要性、他の国々の辞書制作との比較を通じて、その威信や価値を際立たせます。

OEDとは何か
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、どれだけ長くかかっているのよ、OED の編纂、という話題です。
このヘルディオでも、この OED という辞書ですね。
これ、The Oxford English Dictionary と言われる、英語世界を代表する大型辞書ということですね。
本格的な辞書なわけなんですが、これを無くしてですね、英語学、英語史を語ることは決してできないという基本的な参考文献ですね。
オックスフォード大学出版が出している、最も重要な辞書です。
そこから派生する形で、例えば学習者用の英語辞書が出たり、あるいはネイティブ向けの普段の家庭に一冊あるような辞書というもの。
いろいろなタイプの辞書が出版されていますが、その大元となると言いますかね、最も基本となる、
いわば国にとっての憲法みたいなものに近いですね。
それぐらい威信がある、プレステージがあるのが、この The Oxford English Dictionary というものですね。
これはイギリスのみならず、英語圏と言ってもいいですかね。
アメリカも含めてですけれども、英語世界の最大の、そして最も威信のある辞書として君臨している、
この OED について今日は紹介したいと思います。
辞書編纂の歴史
この OED ですね、英語の研究者としてはですね、これを引かない日っていうのはないですね。
今はオンラインで引ける便利な時代になったんですけれども、これを1日1回以上引かないという、そういう日はほぼないんじゃないかなと思います。
それぐらい非常に重要な、威信のある辞書があるということなんですけれども、これがいろんな意味で本当にとてつもないんですね。
まずですね、この表題にどれだけ長くかかっているのよっていう言い方をしたんですけれども、
辞書っていうのは一般になかなか時間がかかるんですね、変算するの。
まず調査して、そして作り上げて合成してと言ってもですね、その間にもどんどん言葉って変わっていきますので、
辞書っていうのは再現がなく出版され続けるんですね、企画が続くものなんですけれども、
それにしてもこのような本格的な辞書を作ろうとするとどうしても時間がかかるということで、
先に結論を言いますと、これ70年かかってるんですね、OEDっていうのは。
ですから初代編集長は当然生き残ってないわけですよ、できた時には。
というようなとんでもない息の長いプロジェクト。
こういう息の長さっていうのをプロジェクトですね、これを続けられる国というか、
個人とか集団ですけれどもね、というのはすごいなと改めて思う次第なんですけれども、
ことの起こりはイギリスで1857年という年なんですね。
この年に1857年です。
The Theological Society of Londonというロンドン言語学会というような組織がありまして、
そこのメンバーがそれまでに出版されていた英語の辞書の問題点について議論したんですね。
この1857年という時点で最も権威のあった、当時のですよ、当時の目線から見て最も権威のあった辞書は、
明らかにジョンソンの辞書というものなんですね。
これはほぼ100年前、1755年に出版された、いわゆるジョンソン博士と言われている18世紀半ばの英文学の大語書ですよね、文語です、大文語です。
この人がほぼ独力で作り上げたジョンソンの辞書というものがあって、これがもう権威である、英語辞書の権威であるというふうに言われてきた。
ところがこれが100年経つと、さすがに古くなったという感じがあるわけですね。
そこでこのThe Theological Society of Londonという組織が満を持して、新しい本格的な辞書を作ろうということを言い出したわけです。
これが1857年のことです。
このように新しい本格的な辞書を作ろうという動きは、実はヨーロッパの各国、列強各国では当たり前のように起こっていて、イギリスだけではないんですね。
そのジョンソンの辞書の新しい版ですね、改訂版と言いますか、新しいものを作り上げようという熱気はイギリスにあったのは確かなんですが、これに拍車をかけたと言いますかね。
これをインスパイアしたのは、実は既に始まっていた他のヨーロッパ列強各国の辞書を作ろうというこの熱情、これがあったんですね。
何かというとですね、具体的に言いますと、ドイツですね、まず、比較言語学という分野を創始していたドイツがですね、1838年にですね、ドイツ語辞典の編参を始めます。
これはドイツエスヴァータブーというふうに、後にドイツ語辞典と呼ばれることになるものなんですね。
これ、例のドイツのグリム兄弟ですね。このグリム兄弟の兄が言語学者、比較言語学者で、この人がですね、式を取って作ったというもので、第1巻が1852年に出版されているんですね。
そしてその後、全32巻という非常に高感な辞書が完成するんですが、完成したのはなんとですね、1961年ということで、123年ですか、どれだけ長くかかっているのよというぐらいに長くかけて、こんな長いプロジェクトというのは普通考えられないですよね。
ゴールと言いますかね、スタートした時はもっと早く終わるんだろうと思ってたに違いないんですけれども、これだけ長引いてしまって、完成は1961年ということなんです。
これぐらい、つまり百数十年かかるというのが、わりとヨーロッパでは当たり前のことだというのが、当時の風潮なんですね。
OEDの編纂期間
これちょっと考えにくいことですけれども。
フランスではですね、ポール・エミル・リトレーという、やはり辞書編参者が1844年、19世紀の半ばという意味では大体同じぐらいですね、このぐらいにフランス語辞典であるDictionnaire de la langue françaiseというのを編参を開始していたんですね。
フランスはわりと早くてですね、10年ぐらいかけてささっと4巻ものの大型辞書を完成させました。
これ一番早いタイプです。
そして、もっととんでもないのがですね、実はオランダでですね、これオランダ語の辞書は、この編参が1860年代に始まりまして、完成したのがなんとですね、1990年代。
もうミレニアム、2000年に近いというタイミングで完成したんです。
これもう百数十年ですよね。
このようにフランスでは10年ぐらい早かった。
ドイツ、そしてオランダでは百数十年と長かった。
そういう観点から言うと、実はOED、Oxford English Dictionaryは1857年に作ろうという企画ですね、のろしが挙げられたわけなんですけれども、これ出来上がったのはですね、1828年なんです。
足掛け71年になりますか。
これ十分に長い時間ですよね。
当然ですね、初代の編集長、これ生き残ってないわけですよ。
歴代の編集主管は、Herbert Coleridgeから始まって、Frederick Fernival、James Murrayという風に続いていきますね。
これ辞書編参者なんですが、英語学者でもあって、みんな一流の英語史業界では神に近いぐらいのものすごい学者連中なんですけれども、この人たちが70年かけて作ったということになりますね。
この70年、とんでもない長い時間のように思われますけれども、他の近隣の列挙を見ると、つまり百数十年続いているわけですよ。
なので、OEDは割と平均値なんじゃないかということなんですね。どんだけですかという話になります。
ではまた。
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