有志ヘルアのメンバーの皆さんで作られているヘルウィリアンという月間ウェブマガジンがあります。
おそらく世界で唯一の英語史に関するウェブマガジンだと思うんですけれども、毎月28日に出ておりますね。
そして7月28日です。今から1ヶ月以上前ですが、7月28日に公開されたものが、8月号ということなんですね。
こちらに、実は今日の主役であるKELF、KEO英語史フォーラムの顧問であります、関東学院大学の千鋭直樹さんが寄稿しています。
OEDの使い道を考えるという話題なんですね。なかなかこれはですね、頑竹のある話題ですね。
タイトルはですね、正式にはそのタイトルではなくてですね、英語史と辞書、OEDの弱点・公文研究を例に、といったタイトルなんです。
こちら、次のチャプターにリンクを貼っておきますので、ぜひ今からでも参照いただければと思うんですが、これを寄稿された直後の横浜オフ会ということで、
この執筆の動機・意図であるとか、その内容について執筆者ご本人からお話を伺うというような、そんな会だったんですね。
半ば専門的な内容ということで、ヘルワでお届けしたということなんですが、これはですね、やはり非常に重要な話題ということで、
1ヶ月遅くなりましたけれども、ヘルディオでもお届けして、皆さんにこの問題について考えていただければと、そんな趣旨でですね、今日お届けするということになります。
ぜひですね、ノート記事の方ですね、ヘルビリアンの記事の方も参照いただきながら、せんるいさんのお話聞いていただければと思います。
話の内容だけでなく、横浜オフ会の会場、それ自体についてですね、最初話題になっております。
いやー、素晴らしかったですね。お聞きいただければ、何のことかお分かりになるかと思います。
ということで、行ってみましょう。
OEDの使い道を考えるwithせんるい直樹さん、プチ英語詞ライブfrom横浜です。
どうぞお聞きください。
はい、始まりました。プチ英語詞ライブfrom横浜というところで、横浜の一頭地からお伝えしております。
今日はですね、半日というか1日というか、ヘルはヘルディオの方でいろいろと配信をお届けしていきたいと思っております。
まずですね、この比較的朝早くというか10時ですけれども、私を含めまして6名のヘルメイトの皆さんが集まっていらっしゃいまして、
最初の配信ということでですね、少し口の練習みたいな感じもありますけれども、
まずは今日のホストを務めていただく、関東学院大学のせんるい直樹さんです。
ありがとうございます。今日はこれですね、ラジオでお伝えできないのが残念なんですが、ものすごい景色なんですよ。
ちょっと説明していただけますか。ここはどこなんですか?
せんるい直樹 ここは関東学院大学の館内キャンパス、地区4年ぐらいのすごく新しい校舎です。
今の15階から収録していて、窓の外は絶景ですね。
富士山も見え、遠くには東京タワーも見え、コスモワールドの観覧車も少し見え、横浜の景色を一望できる場所ですね。
いやーこれ素晴らしいですね。横浜の景色もいろいろ見てきたと思うんですが、ここはかなりすごいですね。
しかもここキャンパスなので、普段こういうところで授業されているかと思うんですけれども、ちょっと贅沢ですよね。
これはもう絶景という他ありませんし、台風が来て荒れてる中ここだと景色がね、あんまりだったかなと思うんですが、だいぶ晴れ間も見えるぐらいにはなってきたというところですね。
【佐藤】それからですね、他にエルメットさん遠方からも含めて今日いらっしゃいますので、一日お付き合いいただくということで、簡単に無職さんから簡単に自己紹介と言いますか。
【無職】大阪から来ました無職です。4月から全年退職して毎日遊んでます。
【佐藤】大阪からいらしたということでありがとうございます。そして
【有杉】沖縄から来ました有杉です。
【佐藤】無事にたどり着きまして、台風休合がうまく揃えていただきましたということでね、ありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。
【有杉】千葉から来たプリッツです。千葉から来ました。
【佐藤】よろしくお願いします。
【有杉】はい、その辺から来ました。
【佐藤】その辺って地元民ですかね。横浜の。
ということで、この後また少し遅れてお昼にかけていらっしゃる方もいて、総勢10名ぐらいのにぎやかな会になると思うんですよね。
めちゃくちゃ蒸し暑い日なので、これはインドアでこのいい景色の中で、こういうインドアイデントが一番いい日じゃないかなと、結果的に良かったかと思うんですけれども。
まずですね、今日の朝の最初の一発目と言いますか、これは先日出ましたヘルビリアンの8月号ですね。第10号になるんですけれども、8月号に千類さんが寄稿されているということで、
最近編集委員の方が、皆さんヘルメイトさんなんですが、研究者を捕まえて何か書かせるという、書いてもらうというようなことになっておりまして、
特集記事が今回、後でまたこのヘルビリアン8月号の広報の回っていうのも撮ろうと思ってるんですが、辞書に注目するということで、
これ千類さんの特集記事、今日はOEDに関するもので、OEDの弱点?があって公文研究を例にということでお書きになったんですが、これ最初に打診があったのはいつくらいでしたかね。
打診があったのは5月に三田で収録をしたときに捕まえられて、それでテーマも一緒に考えながらだったと思いますね。
辞書って広いので、何でもありといえばありですよね。今回は関心を持っていた話題ということでしょうかね。
最初はこのテーマを考えるときに、OEDをトピックにしたらどうですかって話をしたんですけど、
OEDは残念ながらアクセスが必ずしもしやすいでしょう。
皆さんが演奏できるわけではないっていう。
もうちょっと広く辞書っていうのをテーマにして、今回は特集を組んだというふうに聞いてます。
ただ、このチャンネルでもOEDっていうのはだいぶ知名度がOxford English Dictionaryという英語が保有する最大の辞書で、
研究用の辞書っていう感じですかね。
調べながら絵文を読むときに使うっていう代物ではあんまりないっていうところなんですけれども、
研究者としてはOEDっていうのを本当に日常的に使う、1日いたりともたぶん引かない日はないというわけなんですが、
今日のタイトルに掲げたのはOEDの使い道を考えるということで、本来単語の辞書、
辞書っていうのは単語のものなんですけれども、最近の研究は割と公文研究とか統合的な、
つまり文法の研究に使われることもあるということで、限界はありつつ、
どこまでこれを使って研究って言いますかね、探究が可能なのか、
どのあたりにやっぱり限界があるのかみたいなところをお書きなんですよね。
ぜひお聞きの方、ヘルビリア8月号の一番最初の記事ですかね、
表紙の言葉と次の辞書の特集記事の最初に特別記号という形で載っていまして、
OEDの弱点、公文研究02ということなんですが、
このあたりをざっと著者の筆者の方にお話を伺うというようなセッションなんですけれども、
まず、OEDをコーパスとして使うってどういうことか、みたいなところから始まってますよね。
これ割と使ってます?
私はOEDのコーパス化はパイロットスタディにはよく使います。
ざっとどのくらい現象があるのかとか。
そうですね。一般に辞書ってコーパスとして使われることを目的に
余れているわけではないわけですよね。
やっぱり用途が全く違うんですが、
OEDともなると引用文がものすごく多いので、
事実上コーパスとしても使えるんじゃないかと考える人が出てくるのは
分かるなっていうところですよね。
そしてやってみたら、ケースバイケースなんですけれども、問題によっては結構使えるコーパスとしてですね。
というのと、やっぱり使えないっていうのが出てくるので、
これは物によってはコーパスになるというような。
面白いですよね。コーパスではないし、コーパスとして余れたわけではないんだけど、
ある特定の目的を持った人にとっては十分コーパスであるみたいな、
っていうのがありますよね。
この最初のセクションも実は深掘りしたいところいっぱいあって、
例えば第三世代コーパスっていう言葉が使われていて。
そうですね。専門的な用法かもしれない。
コーパス自体が成長してきてるんですよね。
レベルアップしてきていて、今第三とかって言われてることが多いんですかね。
具体的に言うと、第三世代ってどういうものなんですかね。
第三世代は一言で言えば、
研究者が自分で既存のコーパスから自分で作りなさい、
データを自分でデザインしてっていうのが第三世代コーパスです。
その第三世代コーパスを作るために、
今回の特集号でも載せたんですけど、
LLMとか。
もういろいろ考え方が変わるんじゃないかなということなんですが。
今回は構文について、
OEDはコーパスとして使えるのかどうかみたいなお題で、
具体的に取り上げられた構文のテーマは何だったんでしょうか。
今回取り上げたのは、構文はいろいろあると思うんですけど、
やっぱり形で見れるものがいいなと思ったので、
Great Complements Shift、大穂分水という原書を取り上げました。
これは減る行減る和でどのくらい取り上げてきたかなと思うんですが、
まさにゃんが出てくれた回に、
用語くらいは出しているかなということで、
簡単に言うとどういうことですか。
大穂分水はざっくり言うと、
英語の中での補文のパターン、
例えば現代語だと、
enjoyの後は同名詞というのがもう散々覚えさせられると思うんですけど、
その同名詞の部分が英語詞を通して、
最初はthat説、enjoyはちょっと置いといてですね。
最初はthat説、次に不定詞、
最後に同名詞というふうに緩く3段階変化してきたという現象です。
今はといいますか、
もう千年とかそれくらいのスパンをかけて、
主にthat説を取るっていうタイプの動詞が多かったのが、
なんだと不定詞に乗り換え、
さらには同名詞に乗り換えということで、
割と方向性があるっていうことを、
有名な大穂分水ですかね、
great vowel shiftに引っ掛けて、
great compliment shiftというような
言われ方をしているわけですよね。
例えば、今回扱った動詞で言いますと、
今回扱ったのは、最初に出したのはアボイドですね。
これは典型的に現代の受験英語でも、
ING取りましょうねっていうあれですよね。
これも昔は異なっていた。
アボイドはいくつか専攻研究に載せたんですけど、
このデスメット、この人も古文研究者の権威みたいなところがあるんですが、
この人によれば1597年がアボイド同名詞の書類というふうに指摘をしてます。
その前はまた別の古文というか構造を取っていたっていうことなんですかね、
アボイドについては。
変わってきたっていうことが示唆されるわけなんですが、
個々の単語によって本当に同名詞にたどり着くタイミングが異なるし、
まだたどり着いてないっていうものもあったりとか、
すごく数世紀とか千年スパンで考えるべき問題だと思うんですけれども、
これをOEDで書類みたいなのが出てきますよね。
ここでのポイントは、OEDでは書類として出るけれども、
そういう例の集め方はOED必ずしもしていないわけですよね。
後ろが不定詞なのかどうなのかっていう。
単にアボイドのいろんな意味で使われる例をむしろ集めたので、
構文を意識しては変者も集めていないっていうところがポイントですかね。
おだしょー OEDは意味ベースで集めてると思うので、
構文だとかそういうのではなくて。
おだしょー そうですよね。
ただたくさん集めてるには間違いないので、
その中で構文どうなんだろうって調べたときにも、
いいところまでは情報を与えてくれる。
このOEDではなく、もっと外にある巨大コーパスみたいなものを見ると、
より早い時代から例が出てくるっていうことは、
想像はされるわけですかね、掘れば掘るほど。
今回取り上げたのはEVOです。
おだしょー 田辺先生がEVO使って同じような調査をしたところ、
このデスメットの指摘よりも20年以上早く、
このアボイド同名詞、この例が見つかったというふうに指摘をしてます。
おだしょー EVOっていうのはEarly English Books Onlineというもので、
大体初期近代ですかね、16、7世紀っていうあたりの巨大コーパスというものなんですが、
逆に言うと、もっと遡るんであれば大事だけれども、
EVOの巨大コーパスを持っても20年ぐらいの誤差っていうことは、
逆に言うとOEDなかなかいいところ行ってるとも見えますよね。
田辺 あと一個補足で、このデスメットもOEDだけをコーパスにしたっていう論文ではないので、
それを踏まえても、EVOとかの巨大コーパスを自分で検索してみると、
さらに早い例が見つかるっていうところですね。
今回の記事の最後では、公文の観点からは余れていないので、
OEDは必ずしも公文研究と相性が良くないこともあるっていう、
割とネガティブにとっていますが、
20年の誤差って、たぶん我々は研究者なんで、
この20年の誤差ってやっぱり大きいっていう風に考えるんですけど、
一般的にはかなりいいところ行ってるなって思うんじゃないですかね。
田辺 確かに研究所は1年でも早いと、
それを歴史的な書類っていうか、やっぱり書室とか大好きですよね。
英語誌の研究者が一番好きなのは、
自分が初めてノリを見つけたっていうことだと思うので、
それをOEDだと成し遂げられないこともあるのかもしれない。
田辺 そうですね。歴史観、みんなそうですよね、言葉に限らず。
最初の、史上初の何かを見つけたみたいなのとか、
あと、これまで光が当たっていなかったものに、
ある角度から見ると、史上初ですって言いたがる。
とにかく史上初を作りたがるんじゃないですかね。
これは何か避けがたい衝動みたいなのがありますかね。
一番簡単なのは、とにかく力技で探して、
1年でも早いものみたいな。
それが叶わないと、既存のものに違う角度から出て、
何々を観点からは史上初だっていうね、どっちかなんですよね。
そういうところがありますよね。
他に、確かにOEDは公文研究で、
私もさすがに使おうとしたことあんまりない。
やっぱり参考にはするんですけどね、最初にね。
田辺 OEDの記述、もちろん辞書だからそうなんでしょうけど、
結構客観的に書かれてるようなところが大きいと思うんですよね。
私が結構研究好きな社会言語学とか、
そういう調査にもOEDはちょっと使いづらいんじゃないかなと。
そうですね。社会的なところはなかなか入り込めない。
やっぱり語義ですからね。
音もそうですよね。
そうですね。音もそうですね。
一方、綴りは結構集めてくれてる。
やっぱり形で取りやすいからなんだと思いますよね。
という、やはりそれぞれの辞書の強み弱みっていうのがあると思うんですけど、
難しいのは先ほどのね、歴史上初のっていうのにこだわるっていうところで、
これ例えば現在官僚の一番最初の例っていうのは探すの難しいんですよ。
グラジュアルに文法化で変わっていくので、
元の意味、I have written a letterっていう時に、
手紙が書かれた状態のものを私持ってますっていうことなのか、
今書いたところですっていう、この2つのレイヤーが結局重なったところ、
その接点でだんだんと変わってくるっていうことなので、
最初のbefore afterであるafterの例を探し出すっていうのはすごく難しいんですよね。
研究者の読み込み方一つにかかってしまうっていうこともありますよね。
あとせんるいさん自身の研究でいうと、
will youとかwould youが依頼の意味で使われるっていうのが、
本来は何をするつもりですかっていうことが、
状況によってはこれは何をしてくれませんかっていう捉え方にもなるっていう、
ある意味最初の例を探してるんですよね。
will youが依頼で使われるっていう。
一応小英語にも形としてはあるけど、そうはなってないんじゃないかなとか。
依頼の意味では使ってないんじゃないかとか、そうすると結局文脈?
はい、そうなんですよね。
研究者によっても読み取り方が違うので、そうですよね。
一方で1年でも早く、少しでも早い例を探したいっていうので、
読み込みがちになっちゃうんですよ。
そうなんですよね。
だけど違う読みもできるんじゃないですか、みたいな議論になって、
なかなかこれは解決しにくいところがあったりしますよね。
この点、今回のGreat Complement Shiftとかは、
もう形ですぐ切れるので、
きれいしか割ってないかもしれない。
そうですね。こういうほうがやりやすいですね。
意味が入り込むとっていうのはありますよね。
皆さんも何かありますか?
最初の書例にこだわるみたいなの、
多分あんまり日常生活にないと思うんですけど、
職業病みたいなところがあって、
書例が何年だとか、本当にこれは書例なのかとか、
そういうことばっかり考えられたりしてますよね。
仕事とかだと前例があると安心になるんですけどね。
そうですね。逆に自分が書例になるとそうされるから。
確かにそうですね。
どの分野も想定はそうですよね。
私は法学部の教員なんですけど、
裁判とかも判例が大量にあって。
法律の世界はそうですね。
そうですね。
別に歴史をやってる場合、
自分が最初になろうと思わないですよね。
最初の例を知りたいという感じがしますね。