三単元のSのルール
英語に関する素朴な疑問。 なぜ三単元なのに、He cans swim.とはならず、He can swim.となるのですか。
三単元のSというのは、英語の小学者が最初につまずく文法事項の代表格です。 どういう時にこの三単元のSがつかなければいけないかと言いますと、三人称単数現在ということですね。
主語が三人称。代名詞で言えば、He、She、Itですね。で、単数であるということ。 そして、時勢が現在であるということですね。この3つの条件を満たす場合には、動詞にS、場合によってはESですが、これをつけなければいけないというルールがあります。
一見すると、これどんな文法事項なんだと思うほど、意味がよくわからない決まりなわけですね。 それだけでも、さらにひどいことにですね。三単元のこの3つの条件を満たしているにもかかわらず、実はSをつけてはいけない、こういう動詞があるわけですね。
これが今回の問題にする、いわゆる助動詞というものです。Can、May、Shallに代表されるような助動詞。これは主語が三人称単数であり、そして時勢、意味的にも現在であるにもかかわらず、これはむしろSをつけてはいけないという例外なんですね。
なので、He can swimであるとか、She may say so、The truth shall be toldのようにSをつかないですね。だから、He can't swimとは言えないし、She may say soという形はありえないし、The truth shall be toldという形もやはり存在しないということです。
助動詞と助動詞は違うんだと言えばそれなんですが、助動詞も動詞のうちです。ですので、本来であれば三単元でSがつくはずではないのかということになります。じゃあ、なぜ助動詞ではSをつけてはいけないのでしょうか。
実はですね、このいわゆる助動詞と呼ばれる語類ですね、Can, May, Shallというのは、これはもともとある動詞の過去形なんです。全くそうは見えないわけなんですけれども、Can, May, Shall、これはですね、起源的には、語源的には動詞の過去形なんですね。
ですが、現代ではですね、意味的には全く過去という感じがしない、むしろ現在とか未来というようなイメージで捉えられているわけです。つまり、起源的には過去だというところがポイントです。
そうしますと、三単元の元になりますね。過去形ですから、当然Sというのはつきようがないし、歴史的にもついた試しがないということになります。では、なぜ起源としては過去形なのに、意味としては現在風になっているんだろうかという次の問題になりますが、これはなかなか難しいんですが、
この助動詞があらわす意味との兼ね合いで、どうもこのCan, May, Shallのような単語、この意味はですね、どうも歴史の中で現在化しやすい、本来過去だったものが現在の意味へと変化して、生きがちなどうも意味、性質を持っているということなんですね。
かつての過去形が現在の意味を帯びるようになったのが、Can, May, Shallなんですが、そうすると過去をなくなっちゃいますよね。そうすると新たな過去形というのが必要になって、Can, May, Shallに、簡単に言えばTとかDを付すことによって、新たな過去形を作ったんです。
これがCould, Might, Shouldということで、新過去形が生み出されたわけです。確かにこれらは助動詞の過去形というふうに言われることが多いんですけれども、実際の使い方としてはですね、現代英語でもCould it be true?とかShe might be in London by now. We should apologize.のように、実際には意味的にはですね、現在として使われることの方が多いわけです。
Could, Might, Should。これはですね、形的には過去形、T、Dがありますから、過去形なんですが、意味的には現在として用いられやすいということですね。このように、昔から現在に至るまでですね、この種の助動詞というのは、過去形をしながらもどんどん意味が現在化していくという妙な特徴を持っているということになります。
したがって、こういう動詞をですね、専門的には過去現在動詞という、妙な呼び方で呼んでいます。この妙な現象については、3648番、そして58番の記事をご覧ください。