2025-04-30 10:01

heldio #284. soothe 「なだめる」の驚きの原義

#英語史 #英語教育 #英語学習 #意味変化 #動詞
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サマリー

エピソードでは、動詞「soothe」の原義とその驚くべき意味の変化を探求しています。もともと「soothe」は「真実」という意味で使われていましたが、時が経つにつれて「なだめる」や「やわらげる」という意味に変わっています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
sootheの基本的な意味
今回取り上げる話題は、soothe 「なだめる」の驚きの原義、という話題です。
このsootheという動詞ですね。なだめる・やわらげるという意味で使われます。
sootheというあまり見慣れない綴り字の組み合わせで終わるという、あまり多くはないという動詞のタイプなんですが、これでsootheと濁りますね語尾は。
sootheと優勢音になるわけですが、この動詞はものすごくしょっちゅう出てくるわけではないかもしれませんが、一応ですね、基本五線語の中には入っているということで、必ずマスターしておかなければいけない動詞、単語ということにはなりますね。
なだめる・やわらげるということで、例えばいくつか例文をあげてみたいと思うんですね。
The music soothed her for a while. その音楽はしばらくの間、彼女をなだめたということで、この不安だとか怒りに駆られている人の感情をなだめるというのが基本的な意味ですね。
カームダウンというか、落ち着かせるというような、そんな意味がありますね。それから特に痛み、痛みなんかをやわらげるということでよく使って、例えばsoothe away、痛みを取り去る、なだめるという意味で使いますが、
The pain can be soothed away with massage. その痛みはマッサージすれば、柔らぐよというようなことですね。
他にはtake a warm bath to soothe tense tired musclesということで、いわゆる張り詰めた、そして疲れた筋肉をほぐすために、あったかいお風呂につかりなさいというような、こういったふうに精神的肉体的な痛みであるとか、
靴みたいなものをなだめる、やわらげるという時に使いますね。ここから派生してsoothingという言い方、例えばa soothing voice、痛みをやわらげるような、気持ちをやわらげるような声ということですね。
それからsoothinglyなんていう動詞もあって、例えばthere's no need to worry, he said soothinglyなんていう使い方もありますね。このsoothe、やわらげる、なだめるという意味ですね。
そして冒頭に述べたようにtheで終わるような動詞っていうのは、それほど多くない。実はあるんですけれども。なので少し際立ちますね。これでsootheと。
しかも濁った発音、ユーセオの発音、シーンでsootheというふうに発音するんですが、これはですね、例えばbathなんていうのがありますね。これは浸す、風呂に入れるということで、もちろんこれはベースになっているのはbathという名詞で、これにいい語尾をつけて、発音ちょっと変わりますけど、bathということで水に浸すとか風呂に入れる。
ということになるんですね。bathに対してbathというふうにtheで終わる動詞形になります。他にはbreath、息ですね。これに対してbreathe、これも語尾にeをつけることで発音、母音が少し変わりますが、breathに対してbreatheになります。これ息をするっていうことですね。
それから布、衣を意味するclothに対してこれにeをつけるとclothe、着物を着せるということになりますね。他にはlove、これは気が進まないという形容詞なんですが、これにeをつけて動詞化するとloveということで、何々を意味嫌う、ひどく嫌うって意味になりますね。
それから口を意味するmouth、これもあまり知られていませんが、これはそのままの形でeをつけずに、ただ発音上は濁る形でmouthということで、口で喋る、繰り返して言うというぐらいの意味になります。
それからsheath、これ鞘ですね。刀を収める鞘です。これをeをつけることでsheathというふうに濁って、これは鞘に収めるということになります。それからtooth、これはよく知られているように歯ですよね。歯を意味しますが、これ母音を変えてtheath、最後theをつけることによってtheathという発音になりますが、これで歯が生えるという意味になります。
それからwreath、これはリースですね。花輪です。クリスマスの花輪。これにeをつけるとwreathという濁った発音になって、これは花輪を作る、花で飾るという意味になりますね。
このように典型的にはtheで終わる名詞に対してtheとeをつけることによって、このズの部分が濁るわけですね。前の母音が変わることも多いんですが、こうして動詞を作るというのが結構あるんですよ。いくつか今挙げたように。
その一つの例が実は今回取り上げているsoothe、s-o-o-t-h-eなんですね。この元の名詞は何かというと、このeを取ってしまえばいいんですね。s-o-o-t-h、そして濁らない発音になってsootheという発音です。
これは実は動詞の方がよく使われて、名詞のこのsootheの方はあまり使われないので知らない人も多いかと思うんですが、これは非常によく現れた、つまり小英語中英語なんかでは本当によく現れた普通の単語、名詞なんですね。
これ何を意味したかというと、実は真実という意味で、今で言うとtruthですね。真実を意味するtruthぐらいの意味で本当によく使われたんですね。名詞でもあると同時に形容詞でもあったんです。つまりtrueの意味で真実のということですね。
一番よく現れたのは多分intrudeの意味でintrudeということですね。真実に本当にという時にintrudeというのがよく現れました。
他に例えばby my sootheとかですね、私の真実に賭けてとかfor soothe、やはり真実のために真実に賭けてなんていう、誓ってとか心から本当にとかいった意味で頻繁に用いられました。
ところが現在はですね、だいたいこのsootheの意味はtrueで置き換えられることが多くなって、あまり使われないと古風な響きを持って大きい辞書を引けばsootheというのは今でも残っているわけなんですけれども、あまり使われないかなというところですね。
現代語で他にはですね、複合語なんですがsoothe sayer、これ真実を述べる人っていうことなので占い師とか預言者って意味で使ったりします。
それからsoothe saying、これで占いとか預言って意味ですね。
このように言語は真実、真実のという意味のこのsoothe、これにeを付けることでsootheと濁らせて動詞化したんですね。
ところが予想する意味になってないわけです。
これsoothe、真実の動詞形であれば、例えば真実のものにするとか、真実のものと証明するとか、そんな意味になりそうですよね。
ところがどういうわけか今ですね、なだめる、やわらげる、冒頭に例文を挙げたようなだいぶ違った意味になっているんですね。
これ相当な意味変化を遂げてきた単語なんです。
小英語では文字通りやはりですね、trueの動詞形と言いますかね、ある種真実のものとする、つまり真実のものと証明する、本当のものを本当のこととして実証するぐらいの予想される意味だったんです。
それがどんどん意味が変化したんですね。
まずですね、真実のことを真実のこととして実証するというのが原理なんですが、それがちょっと弱まったっていうんですかね。
真実ではないかもしれない、微妙なことを真実であると述べたてるというふうにちょっと悪い意味になっていくんですね。
そうすると今度はですね、明らかに真実ではないことを真実であるかのように示すということで、嘘のことを本当であることによって人をかばってあげるというような意味になるんですね。
そうすると結局悪いことを良いものとして示すということになりますから、悪いことを和らげて少しでも良い方向に示してあげるということになります。
現代におけるsootheの使われ方
結果として悪いこと、例えば心身的な痛み、苦痛を和らげてあげるという意味になったんですね。
だいぶ意味が変わって現代に至っています。相当意味変化を遂げた単語ということですね。
ではまた。
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