英語の借用語の背景
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも
辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。
ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、
英語には借用語がやたらと多い 英語語彙にまつわる統計あれこれ
このheldioでも英語がですね、大変多くの借用語を受け入れてきた言語であるということは、何度も話題に取り上げているんですね。
とりわけラテン語からの借用語が多いであるとか、フランス語からの借用語が多い それからまぁギリシャ語であるとかコーノールド語
北欧語の1000年ぐらい前の姿ですね これをコーノールド語と言っていますが、実はかなり多くの単語が英語に入り込んでいる
であるとか、様々な話題を取り上げてきましたが 英語語彙にまつわる数字、統計というのがいろいろと
調査されてきましたので、それについてなかなかランダムな形なんですけれども、紹介していきたいと思いますね
主な典拠としてはですね、ジョナサン・カルペッパーという研究者、それからエリー・ファン・ヘルデレンという英語誌の研究者ですね
による本、著書からですね、取ってきたものだということを断りしつつですね
時代的に、およそですが古いものから新しいものにかけてということで、箇条書き風にですね
数字、語彙にまつわる数字を述べていきたいと思います まず、小英語なんですけれども、小英語の語彙全体ですね
これは約3万語ということです これもちろんですね、残されている写本、現代まで伝わっている小英語の写本というのを書き集めて
それで単語リストを作ると3万語だということであってですね 本物の小英語の語彙の規模を表しているということにはならないわけなんですけれどもね
どれだけ他の写本が失われているのかであるとか あるいは書き言葉しか残らないわけですが、当時当然人々はですね、小英語を喋っていた
そうすると単語のですね、種類も異なっているでしょうし この3万語という現在残っているもの、ベースでの数え方ということですね
これは抑えておく必要がありますが、実態としてはですね これよりも何倍か多くの語彙があったろうと考えられるわけですが
一応のところ約3万語ということですね この3万語で数えますと
小英語の語彙における釈用語、外から入ってきた単語の比率っていうのは 実はたったの3%ほどなんですね
主にラテン語から借りた単語ということなんですが、これを書き集めても 3%ぐらいにしかならないというふうに言われています
この釈用語比率の低さと言いますかね、逆に言えば ピュアな本来の英単語ということですね、ネイティブワーズ
これが97%ということですから、全体として見るとですね 当時はまだ相当にピュアな語彙を保っていたということになりますね
この後の歴史において、様々な言語からですね 英語は釈用語を取り込むことによって
結果として現在ですね、本来の英単語、ネイティブワーズの比率は 3割あるいはそれを切るぐらいかもしれないっていうところまで落ち込んでるんですね
つまり97%から30%に減ったということです 釈用語の比率がぐんと上がってきたっていうのが英語の語彙の歴史なわけですね
さあ、この古英語の後期からですね バイキングに襲われるという時代、バイキング時代に入りまして
その北欧語ですね、古ノルド語から こちらは研究者によってもですね、数え方っていうのが異なるわけなんですけれども
戦後ぐらいはカリタロウと、そして現代まで残っているものもそれぐらいあるということですね
方言まで考慮に入れると、実はバイキングに襲われたイングランド北部東部の方言なんかをですね、見ますと現代ですよ
現代の北部東部方言にはもっと多くの北欧語からの 古ノルド語からの釈用語っていうのが未だに残っているということですね
さあ次の中英語期に入りますと、ノルマン征服ということで フランス語との接触が本格的に始まることになります
中英語期中、これは1100年から1500年ぐらいというイメージなんですが この間に入ってきたフランス語の単語はなんと1万を超える
1万語を超える大量のフランス語単語がですね この時期に入ってきたということになります
とりわけ13世紀、14世紀あたりがですね ピーク、釈用のピークということになるんですけれども
1万語ということですからね そして次の時代近代英語
それも前半ですね初期近代英語期と呼ばれる 1500年から1700年ぐらいですね
その中の代表シェイクスピアが活躍していた時代ということになりますけれども この時期ですね
とりわけ16世紀だけでなんと外から1万3000語という大量の単語が英語に流れ込んできました
そのうちの過半数がですねラテン語からということになります シェイクスピアも大変多くのラテン語の単語を導入しましたし
ラテン語要素を使って新しく言葉を作ったということもですね よくやったわけです
このように一気に大量のラテン語が流れ込んだんですけれども 実はその時に借り入れられたラテン語単語の全てが現代まで残っているわけではありません
全てどころかある統計によると半分 つまり2語に1語は消えてるっていうんですね
その当時取り入れたはいいけれども何回も使われずにですね そのまま父語となっていたっていうものも多いっていうことですね
とにかくひたすら湯水のように借りては捨てるっていうことを繰り返してきたと そんな時期だったっていうことになりますね
さて近代英語期も進んできますとイギリス史的にはですね イギリス帝国の時代ということになるわけですね
そうすると世界中に出かけていってですね 英語は現地の各言葉とですね 接触するっていうことになります
そしてまさに釈用元言語はですね 多様化していくっていうことになって
様々な言語から少しずつですけれども 英語に単語が流れ込んだということになります
さあその結果現代英語に行き着いたわけなんですが 現代英語における釈用語の比率は先に述べた通りですね
7割ぐらいということになります 本来語が3割ぐらい そして釈用語は7割ぐらいというですね
もう事実上語彙の観点から言うと英語は英語ではないと 言ってしまうこともできるぐらいですね
7割もが釈用語に占められているということになります そしてこれは面白い情報なんですけれども
この過去50年ですね 直近の50年で英語に流れ込んできた釈用語の 約8%が日本語から入っているんですよ
8%って少ない数ではないですね なかなか日本語はですね 英語に語彙を貢献していると
語彙を供給して英語語彙に貢献しているということになります 8%ですね
現代英語における変化
さてこのように各時代に主な語彙 供給源となった言語というのは変わってきたわけですね
ラテン語だった時代 北欧語だった時代 フランス語だった時代といろいろ変わってきたんですが
全体としては非常に多様なとして大量の 釈用語が英語に流れ込んできたということになりますが
この100年 現代英語期ですけれどもに関する限り面白い現象があります
こんなに釈用語を借りてきた英語の歴史ですね 今見た通りなんですがにもかかわらず
この100年に限っては釈用語の比率は実は減ってきているんです 全信語形成の4%に過ぎないっていうことになっています
ではまた