2025-08-16 11:29

heldio #392. "familiar stranger" は撞着語法

#英語史 #英語教育 #英語学習 #撞着語法 #修辞法
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

堀田隆一さんがジョギング中に観察したカモの親子の例を挙げて、「familiar stranger」という概念について解説します。この表現が、普段の人間関係にどのように関わっているかを考察します。

00:00
おはようございます。6月27日、月曜日です。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオ、heldioでは、英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。フォローしていただきますと、更新通知が届くようになります。ぜひフォローしていただければと思います。
また、コメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。
familiar strangerの概念
本日の話題は、「familiar strangerは撞着語法」という話題です。
もう何年になりますかね。私は朝起き抜けにですね、近くの公園、ジョギングするっていう習慣をつけていまして、ひと汗流しに行くんですね。
その公園は比較的大きくて、池がいくつかあるんですけれども、軽釜の親子がいるんですね。
ですので、近所では人気のと言いますかね、この時期5月6月なんですけれどもね、毎年赤ちゃんが生まれるんですよ、ヒナが。
そして、普段早朝のジョギングしてるんですけれども、出てこない人々がですね、群がってくるんですね。
この時期、日も長いですし、カモのヒナよりも人の方が多いくらいなんですけれども、出てくるんですね。
毎日、毎朝観察してますと、いろいろとやっぱりドラマがありまして、面白いんですよ。
複数の池に複数の家族が生まれるんですけれども、大体今年は平均して人家族8羽9羽ぐらい生まれてるんですけどね。
最初に生まれた翌日ぐらいに見つけると、もう本当にちっちゃい手のひらに乗るようで、そのぐらいのちょこちょこと8羽9羽と動き回ってるわけですよ。
そのうちに毎日というか何日に一遍ぐらいですね、数が減っていくんですよ。8羽から7羽、7羽から6羽へということで。
どうもですね、カラスがつっついたりいじめたりしたりとか、他のその他理由ですね。
去年あたり見かけてしまったんですが、親族、同じカモの仲間が弱っているヒナをですね、沈めたりいじめたりしてるっていう、かなりショッキングな野生の世界、反野生の世界っていうのを見てしまったり目撃してしまったりしてですね、なかなか心穏やかではないんですけれども、あっという間に成長はするんですね。
ある程度の大きさになると、もういじめられたり殺されたりしないっていうことなんですけどもね。今年も様々なドラマがありまして、毎日ある種記録みたいなメモ程度につけていると、なかなか理科の観察日記になるんじゃないかと思って、子どもなんかにも勧めてるんですけれども。
みんな人々が集まってその様子をこの時期っていうのはみんな見てるわけですね。日々の楽しみにしてるっていう感じです。その中に一際目立つ人がいてですね。
おじさんなんですけれども、カメラを持って職業カメラマンなのか、それとも趣味でやっているのかっていうことなんですが、ほぼ毎日この時期だけじゃないんですよ。年間を通してカモの写真を撮り続けているっていうおじさんがいるんですね。
私も私の家族もそのおじさんの存在はよく知っていて、そのおじさんも絶対私とか家族知ってるんですよ。
だけど挨拶はしたことがない。こういう関係をファミリアストレンジャーっていうらしいんですね。
このカモおじさんと我々家族は呼んでるんですけども、密かにカモおじさんは我々を知っていて、我々はカモおじさんのことをある種よく知ってる。何年もですから。
このカモおじさん以外にも、普段同じ時間にジョギングしてますので、そこで出会う人々がいて、挨拶するような関係になったっていう人もいればそうじゃない。だけどもよく知っている。
これまさにファミリアストレンジャーっていうことなんですね。皆さんも絶対あるんじゃないかと思うんですよ。
例えば通学、通勤でですね、朝だいたい同じ時間毎朝出るというケースで、同じ車両に乗る。電車でもバスでもいいんですけれども、絶対にお互い知っている。
だけれども、特に話しかけたことはないっていう間からですね、知ってるんだけど知らないというような人々で、何か例えば大地震とか災害があったときにこういう関係っていうのは非常に強くて、
初めて話したりして、お互いに助け合う関係になるっていうね。知らないんだけれども知ってる。知ってるんだけども知らないっていう。これファミリアストレンジャーというふうに言うようなんですね。
もともと社会学の用語で、1970年代から言われ出して注目されるようになったある種の概念、用語ということなんですけれども。
オクシモロンの特徴
我々とカモージさんの関係は完全なるファミリアストレンジャーということになるわけですよ。この表現面白いなと思うんですけれども、よくよく考えてみると、これはレトリック、数字学っていうところのオクシモロンに相当するんですね。
OXYMORON、英語ではアクシモロンという発音になりますけれども、同着語法、矛盾語法という言い方ですね。ファミリアであれば絶対に知っている人、よく知っている人なのに見知らぬ人という意味のストレンジャーという名詞が続くというような、こういう同着語法、自家同着している、自己矛盾を起こしている表現ということですね。
オクシモロンというのは印象的なので、人の目を引きますね。そして、よく使われて定型文句になってしまうので、まんねり化してしまうということもしばしばなんですけれども、表現を集めてみると、いろいろと面白いですね。
日本語でもですね、暑い雪とか、燃える氷とか、賢い道家、平和のために戦う、いろいろあると思うんですよね。英語にもたくさんあって、なかなか面白いので紹介してみたいと思うんですね。
An open secretというのがありますね。公然の秘密、これ確かにオクシモロンですね。それからジャンボシュリンプ、ジャンボサイズの小海老、これなかなか面白いと思うんですけどね。
似たような例なんですけれども、baby grand、これ小型グランドピアノのことを指すようなんですよ。それからdeliberate mistake、恋の誤り、誤りっていうのは本来恋じゃない、思わずミスしてしまったっていうことなんですが、これ面白いですね。
それからidiot savant、白痴の天才、wise foolというのもあります。これも利口なバカっていうことですね。この点はどうも多いようで、実はですね、ギリシャ語由来のこのオクシモロンっていう用語自体が、キレッキレのバカっていう意味なんですよ。
オクシモロンという単語ですね。キレッキレのバカという、これ自体を取ってレトリック上の一つの技の名前になっているっていうことなんですけれどもね。それからliving death、生き地獄というものですね。それからfaultily faultless、欠点のないのが欠点という言い方ですね。
ことわざなんかにはこのオクシモロンってよくあると思うんですが、make haste slowly、ゆっくり急げ、急がば回れっていうあれですね。
それからcruel kindness、残酷なほどの親切、これありますね。
それからa deafening silence、耳が聞こえなくなるほどの沈黙っていうのも、これも面白いですね。
それからmournful optimist、悲しむ楽観主義者というような表現ですね。
それからharmonious discord、調和ある不一致なんていうのもあります。
この英単語としてのオクシモロンですが、先ほど述べたように、ギリシャ語が由来なんですね。
そしてレトリックの用語として、最初にOEDによりますと1656年に初めて英語では使われたっていうことなんですね。
17世紀半ばのことなんですけれども、実際にイギリス文学でももうちょっと前の16世紀ルネサンス期からこの17世紀にかけて、
この同着語法オクシモロンがかなりよく使われた技法ということになってるんですね。
シェイクスピアも従ってよく用いている。
人間の感情というのは矛盾した気持ちであるとか皮肉であるとか逆説、これに満ちているので、
当時の詩人や劇作家、このオクシモロンというのを利用して、その内面の矛盾をなんとか表現しようとしたということで、
演劇などが流行した16世紀、そして17世紀ですね。
この時代のイギリスにふさわしいレトリックの一つとして、もてはやされたっていうことになりますね。
オクシモロンの文化的背景
ちなみにこのオクシモロンをはじめとするレトリック用語っていうのはだいたいギリシャ語由来のものが多いですね。
レトリックといえば古代ギリシャっていうことですね。
この16世紀、17世紀、いわゆるルネサンス期というのは、ギリシャ語の釈用語が大量に英語の中に初めて流れ込んだという、
そういう時期として英語史以上は記憶されています。
なので逆に言いますと、こういった小難しい、いかにも続い字からして英語っぽくない、ギリシャ語っぽいかなと思われるような単語があったりですね。
だいたいこのぐらいの時期、16世紀とか17世紀あるいはそれ以降ですけれども、に入ってきた単語だということはおよそ想像できます。
十中八九あたります。
ファミリアストレンジャーというこの矛盾、同着語法を解消するには、私からカモージェさんに一言話しかければいいのかなと、おはようございますと、などと考えたりする今日この頃です。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日のオクシモロンという話題なんですけれども、皆さんの方でですね、日本語でも英語でも良いですが、何か面白いオクシモロンがあるよと聞いたことがあるものや、あるいは創作でも構いませんが、ぜひお寄せいただければと思います。
このチャンネルでは日々の放送につきまして、ご意見ご感想ご質問をお寄せいただいています。
またチャンネルで取り上げてほしいトピックなどがありましたら、ぜひお寄せいただければと思います。
Voicyのコメント機能、あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています専用フォームを通じて投稿していただければと思います。
では今週も一週間頑張っていきましょう。また明日。
11:29

コメント

スクロール