助動詞の否定形について
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオ通称heldioでは英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は
can't, cannot, cannot どれを使えば良いの?
という話題です。 このすることができるという意味の助動詞ですね。can
これの否定形の話なんですけれども、表記としてはですね3種類 あるいは発音としてもなんですけれども3種類聞かれるあるいは見られるんですね
一つはcan't というものですね。もう一つはこれ一語で綴るんですが
cannot ということですね。一語に綴る
cannot ですね。そして3つ目がcanとnotを分けて2語として綴る
cannot ということですね。 これはいずれもフルの形か省略形かというようなお互い関係にあるというふうに考えられていると思うんですね。
確かにそういうことなんですけれども意味も違っていたりですね どれを使えば良いのかっていう時に迷いが生じうるんではないかと思うんですね。
本日はこれについての話題です。 まずオリジナルの形、もともと歴史的にもですねこれは当然2語として綴られたりあるいは発音されたのであって
can に否定の副詞notが付いたものだっていうのがスタートっていうことですね。 これは考えればわかると思うんですね。
なので確かにここからスタートしたわけなんですけれども 現代としてはですねこれが最も使われないあまり出てこないんですね
単に何々できないという意味の時にこのcan notと2語で綴るバージョンですね。 発音上もしっかりcan notと発音するっていうケースは実は少なくてですね
使われるとすれば対比対称とか強調というような特別な場合ですね 例えば
you can go or you can not go みたいな言い方ですね 行っても良いし行かなくても良いとするとこれは明らかに
肯定形のcanと否定形のcan notっていうのを対比させるということで対比対称させる ということで分かりやすい
tweakになってますね こういう場合にはnotを強調するっていうことに意味があると言いますかわかりやすく
なるのでyou can go or you can not go というふうに2語に分けてcan notというふうに言うのは自然だと思われるんですね
ただこのような特殊なケースを除いてはだいたい何らかの意味での省略形を使います 何らかの意味かっていうのは今日のところ2つ挙げてあるわけですが
まずcan notという1語で綴るですね あたかも1語であるかのように綴るものともう一つはアポストロフィーを使ったcan't
この2種類っていうことです このいずれかを使うっていうのが一般的ということです
さあではそのcan'tの方ですねcan'tの方から見ていきましょう
これはcan'tとアメリカ英語ではこのように発音するんですけれども ご存知の方もいると思いますがイギリス英語ではこれがcan'tになるんですね
i can'tに対してi can'tっていうのがイギリス英語になります 肯定形はこれはcanあるいはcanと弱く呼んでですねこれはa bで変わらないんです
肯定形のcanのみっていうのはa b aの間で特に違いはないんですが 否定形の最後にtがつくとですねアメリカ英語ではcan't
イギリス英語ではcan'tとなってはっきりと音色の違いが出てくるっていうことになるんですね ここがポイントになります
後でこれ議論に関係してきますんで でですねこのまあこのcanとなりcan'tの後にたまたまtとかdですねで始まる動詞が来る
例えばdo itみたいな表現がつくとi can't do itですね あるいはイギリス英語でi can't do itとなるわけです
そうするとcan'tとかcan'tの最後のtとそのdoの最初のですねcのdがかぶさってしまって 事実上tがですねdに飲み込まれる形になっちゃいます
i can't do itのようにアメリカ英語ではなります そうすると考えてみるとですねこれ私はそれをできるのかできないのかっていう区別が
一見するとできなくなるのではないかっていう恐れが生じますね 否定を表すtがですねnotのtの部分ですがこれがdに飲み込まれてしまうと
あたかもですねこのtを発音してないかのようになるからです i can't do it
あるいはイギリス英語ではi can't do it ですがこれは面白いことにですねちゃんと肯定化否定化っていうのを判別できるですね手段が実はあるってことですね
これはアクセントです i can't do itっていうこれは否定文ですつまりtが飲み込まれただけで聞こえないだけで
明らかにこれcan'tなんです じゃあなんでこれ肯定形のcanと捉えられないかというと肯定形の場合よっぽどその肯定性を強調するんじゃない限り
普通は弱形が用いられるんですね つまりcanってことですi can't do it
というふうにいわゆるcanに相当する部分は弱く発音されます それに対して否定の場合は否定という非常に重要な意味を担っていますので
can'tとかイギリス英語ではcan't そこにアクセントが分かります
なのでi can do itならそれできるって意味でi can't do itであればそれできないっていうことでこのtが聞こえるか
いなかっていうのとは別軸でですね アクセントによってちゃんと判別できるってことなんです
歴史的背景と使用の好み
もう一つはイギリス英語の話をしますと 例えば肯定形で強調してi can do itと言ってもですね
否定形の方はだいぶ音色の違うi can't do it i can't do itではなくi can't do it
ということでこれは母音の音色レベルでしっかりと分けられるっていうことになります つまりイギリス英語でもアメリカ英語でもいずれにせよですね
この後ろにdoみたいなものが来てこのdがですね 前にあるはずのtを飲み込んでしまうんではないかと
そういう器具があったわけですがこれは当たらないってことなんですね なんとか判別できる手段は他にも残されているということになります
さあこのように後ろにdoみたいなdで始まるものとかtで始まるような動詞が来るような時に
肯定形なのかそれとも否定形なのかこれを判別するのにもっとある意味便利なのは分かりやすい のは
cannotという例の一語で綴られるバージョンですねcannotこれを使うケースです これはcannotというふうに第一音節にアクセントが来るのが普通ですし
そもそも単語全体が長くて二音節使ってます i cannotっていうことですね
なのでつまりnotの部分が当然後ろにどんな語が来ようがですね notの部分は響くわけです
i cannotということで明らかに肯定形のcanとは違う 二音節の長さのしっかりした否定字を持った
cannotというこの否定形ですねこれは非常に判別しやすい分かりやすいってことでこれもまた非常に好まれているわけです
つまりcan'tとcannot両方よく使われるんですけれども この使い分けはですね必ずしも厳密に決まっているということでもなさそうです
いずれかを用いるかっていうのは個人の癖と言いますかね 習慣によるところも大きいとされます
ただ一方でcannotの方が好まれる原則としてこちらを使うんだっていうのはですね 例えばフレーズイディオムとして有名な何やせざるを得ない
cannot but doとかcannot help doingのようなものですね これはcannotとして用いることが普通である
であるとか逆にですね 努力はしてみたけれども何やすることができないようだみたいな意味でよく使われる
コロケーションでcan't seem to do みたいな言い方がありますね
can't seem to do この場合は普通 n apostrophe t というより短いバージョンの方が普通用いられるっていうことなんですね
最後に歴史的に見ますともちろんフルの形ですね can notという2語でいちいち言うものが包まってまずcannotと1語で書くバージョンが出て
さらにそれが包まってcan'tというだんだん短くなってくるという歴史なんですね can'tの方は中英語の後期ぐらいから例があります
そしてcan'tの方はシェイクスピアあたりでも現れない まあよく現れてくるのは17世紀以降っていうことのようなんですね
それではまた