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2024-12-19 10:00

heldio #152. なぜ will must のような助動詞並べはダメ?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #助動詞 #統語論
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった
英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、 なぜ will must のように助動詞を並べてはダメなの?
という素朴な疑問です。 これは、実際に大学生から寄せられた素朴な疑問なんですね。
そのまま読み上げますと、例えば I will have to go there tomorrow とするところを I will must go there tomorrow としてはいけない理由はあるのでしょうか?
こういう質問が来たんですね。 確かにですね、will must であるとか、その他の組み合わせ、will can とかですね、あるいは can will とか、こういうのはダメってことになってますよね。
英文法的には助動詞は一つ。 その代わり、I will have to go there tomorrow であれば ok で、つまり have to のような一語ではなくて、あくまで二語で助動詞のような働きをするもの。
純動詞というふうにこういうのを呼んでいるんですけれども、 こちらの場合は ok。 I will have to go there tomorrow っていうことですね。
ですが、いわゆる本助動詞といいますか、一語で助動詞の働きをする will, can, must, may, should とかこういうのがありますけれども、
これを二つ並べるっていうことは、文法上ダメっていうことになってるんですね。 これはなぜかっていうことなんです。
他の言語を見渡しますと、こういうのが許されている言語っていうのもあるんですね。 ドイツ語なんかもそうですけれども。
ですが、英語ではこれはダメということになっています。 これは簡単に答えられるような問題ではないんですけれども、考え方、背景についてはですね、歴史的にも考察することができるんじゃないかと考えています。
さあ、この問題を考えるにあたって、まず助動詞という英語類の特徴について考えてみたいと思うんですね。
いわゆる本助動詞ですね。 広い意味では動詞の仲間なんですが、普通の動詞、一般動詞と違ってですね、
異なる振る舞いをするって言いますか、特殊な使い方をするっていうことなんですね。 典型が can, may, will, shall, must とか、
過去形ということになっている could, might, would, should のようなものなんですけれども、これらに共通する特徴、
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そして他の一般の動詞にはない特徴っていうのをいくつか挙げてみたいと思うんですね。 一つ目はですね、官僚形を取らないっていうことです。
つまり、have たす 過去分詞っていうのが官僚形なんですが、この過去分詞に助動詞がスポッとはまるっていうことはないっていうことですね。
そもそも can とか may とか will, shall これに過去形はあるというふうに認めたとしても、過去分詞形は確かないですよね。
だから have たす can なり may なりの過去分詞という形はない。 これは一つの特徴ですね。これは一般動詞とは違う特徴です。
二つ目、現在分詞にならないっていうことですね。 過去分詞にならないのと同じように現在分詞にもなりません。つまり canning とか maying とか
willing っていうのはないっていうことですよね。 言われてみれば当たり前なんですけれども、確かに一般動詞と違う点だなっていうことです。
三つ目、いわゆる不定詞形を取らないっていうことです。 この場合、to 付き不定詞ですね。
例えばですね、I want to speak English これは ok なんですけれども、I want to can speak English という言い方はできないわけですよね。
to can みたいなことは許されていないっていうことで一般動詞と違う。 不定詞の形を取らないという特徴があります。
それからですね、今日のまさに話題なんですが、別の助動詞と組み合わさることはできないっていうことですね。
二つ、助動詞とつなげるっていうことはできませんよっていうことですね。これが4つ目。 そして最後なんですが、5つ目はですね、目的語を直接取るっていうことはしないっていうことですね。
どういうことかっていうと、I can speak English これは ok なんですが、I can English
これはダメだっていうことですね。日本語であれば私は英語ができますという言い方なので、I can English と言えそうなところですが、英語的にはダメで、あくまでこの can の後にはですね、動詞が来ないといけないと。
いずれもですね、5点挙げましたけれども、言われてみれば確かにそうだなと、当然だなと思うわけですが、一般の動詞と違う点というのがこの5点なんですね。
他にも特徴あると思うんですね。例えば3単元のSを取らないであるとか、そういう問題もありますが、この5点が重要な助動詞の特徴、本助動詞の特徴ということになっています。
ですので、動詞なんだけれども普通の動詞っぽくはないということになっているのは、この5点によってですね、助動詞は普通の動詞っぽくない動詞だっていう言い方になるわけなんですね。
面白いのは、歴史的に振り返るとですね、今挙げた5点、古英語、古い英語の段階では全て許されたんです。
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つまり、例えば can なんかを例にとりますと、これは完了形を取ることはできましたし、現在分子形もあるにはあった。
不定数形を取るということもあったし、それから他の助動詞に接続するということも可能だったし、目的語を直接取るということもOKだった。
つまり、この5つの条件を満たさない助動詞っていうのは、簡単には普通の動詞、一般動詞っていうことなんですが、そういうことなんですね。
つまり助動詞も昔から助動詞だったわけではなくて、最初は普通の動詞だった。
それがこの5つの特徴を獲得することによって、今言うところの助動詞に近くなってきたっていうことなんです。
もともとは普通の動詞、それが時間をかけてと言いますかね、歴史の中で助動詞という存在になってきたっていうことなんです。
では、この一般動詞、普通の動詞から助動詞と言われるものに、繰り返していったって言いますかね、変わっていった、この5つの特徴を得ていった、獲得していったのはいつぐらいかというと、
徐々にという言い方をしたように、一夜で変わるわけではないので、数世代をかけてではあったんですが、大体重要な時期ということで言いますと、
どうやら16世紀あたりなんですね、1500年代、このあたりで一般的な動詞に近い存在から、現在の本助動詞ですね、と呼ばれるような存在に近い、この5つの特徴を獲得していったと。
これも徐々にということでありますが、このように変化していったっていうふうに、英語史では大体考えられているんですね。
さあ、表題の疑問に戻りますけれども、なぜ2つの助動詞を並べてはダメなのかというのが今回の疑問でした。
これはその16世紀より以前ですね、この前の時代には実は可能だったっていうことなんですね。
例えばですね、will、shallなんていう繋がりもありましたし、shall、canなんていうのもありましたし、shall、mayっていうのもありましたし、may、canなんていう面白い例もあるんですね。
これあったわけです。つまり元々は許されていて、一般動詞に近い、一般動詞と助動詞の間ぐらいの感じですね。
なので、現在の強い縛りっていうのはなくてですね、それほど頻繁に起こっていたわけでも実はないんですけれども、このような2つの組み合わせっていうのがOKだったんですね。
2つ繋がる場合には、1つ目がいわゆる助動詞的な働きですね。
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2つ目は今でいうと助動詞なんですけれども、もうちょっと一般動詞的な働きをしていると考えると、2つが何で続いていたか、続いて良かったのかっていうのがわかるような気がするんですね。
そうすると1つ目と2つ目で、現在の感覚から見ると両方とも順前たる助動詞と見えるわけなんですが、どうも差があった使い方に。
この差についてはいろいろ考え方はありますが、徐々に助動詞っぽくなってきたという言い方をしたんですが、この徐々にというところがポイントでですね、
単語によって問題となっているこのshallなりwillなりcanなりによって、多少助動詞化完全にするタイミングが少しずれていたというふうに考えることができるかもしれません。
それではまた。
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