2025-04-18 10:01

heldio #272. 井上逸兵先生と YouTube を開始、二重否定の話し

#英語史 #英語教育 #英語学習 #YouTube #井上逸兵 #いのほた言語学チャンネル #否定
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サマリー

井上逸兵先生と堀田隆一が共演するYouTubeチャンネルを開設し、英語学と言語学に関する様々な議題を話し合っています。特に、二重否定の現象についての論理と使用の実態を深掘りし、英語の歴史的背景にも触れています。

YouTubeチャンネルの開設
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶應義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回の話題は、話題というよりもアナウンスなんですけれども、
井上逸兵先生と YouTube を開始、そして二重否定の話し、ということです。
昨日2月26日の夕方なんですけれども、同僚でもあります慶應義塾大学文学部英米文学専攻の英語学を専門とされる井上逸兵先生と共演という形でYouTube を開設しました。
このYouTube のチャンネルは、井上逸兵 堀田隆一 英語学言語学チャンネルというものです。
共演者である井上逸兵先生というとですね、 ご専門は社会言語学、認知言語学、語用論ですね。
主に英語、そして日本語を扱ってられますが、この分野で非常に多くの著作もあるという先生です。
NPO法人地球言葉村、世界言語博物館の理事長でもあります。
そして2018年19年度にはですね、NHK 教育テレビのおもてなしの基礎英語の講師を務められました。
インバウンド授業のおもてなしの基礎英語ということで、コロナがなかったらですね、もっと自分には仕事があったというふうに井上先生はおっしゃっていますけれども、
このような幅広い実績をお持ちの英語学者、英語学研究者です。
実はこのVoicyのですね、英語の語源が身につくラジオにも、既に2度ほど対談して出演していただいているんですね。
いずれも昨年なんですけれども、昨年の最初は9月17日放送。
昨年、井上先生が出された英語の思考法という筑波新書をですね、これ今も売れ続けていますけれども、この新書について対談する機会を得ました。
それから次は10月22日だったんですが、対談井上一平先生と英語新書ブームを語るということで、
一昨年、昨年と英語に関する新書ですね、英語学習とか英語学に関する新書がブームとしてですね、いくつか出たということで、この潮流について語るということをやってきました。
そして普段のおしゃべりの延長としてそのVoicyの放送も行ったんですが、じゃあさらに延長としてですね、YouTubeを作ってみるのも面白いのではないかと。
で、とりわけこの英語学、言語学ということをキーワードにして、2人で何かしゃべると。自然体で肩のこらない感じでですね、しゃべり合うというのは面白いのではないかということで企画を立ててですね、
今回このYouTubeチャンネルですね、井上一平、堀田隆一、英語学、言語学チャンネルというのを開設した次第です。
このVoicyであるとか、あるいは私が運営していますヘログというブログは、主に私自身英語史を専門とする堀田による英語史中心とする話題をお届けしているわけなんですが、
今度のYouTubeチャンネルは、どちらかというと、教授的な、理論的、社会言語学的なところに関心のある井上先生と、通時的、歴史的なところに関心がある堀田とかですね、交わる点を探すと言いますかね。
同じ問題、お題が与えられていても、かなり違う観点からの意見、アイディアが出され合うというところで、なかなか面白い話し合いになるのではないかというふうに、作り手側も期待して始めたところがあります。
どうぞ、これから定期的に、なるべく定期的にご収録してアップロードする、YouTubeにもアップロードするということを考えていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、Voicyやヘログでも、それに関する話題を挙げるなどして、連携を図っていきたいと、そのように思っています。
二重否定の概念
さて、このYouTubeチャンネルが開設したということで、アナウンスだけで終わっては、このVoicyとしては存在意義がなくなってしまいそうですので、一つ関連する話題を今日は取り上げたいと思います。
その初回のYouTubeチャンネルで、実は英語学とは何かという話題で話したんですけれども、その時に、私たまたまなんですが、例として二重否定という現象を例に出したんですね。
二重否定って何のことか、ダブルネガティブなんていうふうに英語では言いますけれども、要するに文の中に否定要素、Nで始まる単語が多いですね、NoとかNeverとか、Notですね。
こういう単語が二つあると、理屈上はですよ、論理学上はマイナスかけるマイナスでプラスになるはず、つまり肯定の意味になるはずなんだけれども、英語の世界には二回この否定字を使って、一回の否定である、否定を強めると言いますかね、そういう使い方があって、これが基本的な伝統的な文法ではダメっていうことになっているんですね。
二回否定字を使って、なんで全体として否定の意味になるんだというところで、理屈に合わないっていうことで、これはですね、規範から外れるっていうふうにされるわけです。
実際ですね、これは少し古いアンケートではあるんですけれども、英語の語法とか語用ですね、間違った使い方として、トップに上がるもの、トップというよりワーストですよね、一番ダメだとされているもの、これをランキング作りますと、10位ぐらいに入るんですね、このダブルネガティブとかダブルニゲーションという二重否定ですね。
例えば例としては、I don't have no moneyというわけですね、お金が全くないっていうことを強調したい場合に、思わずノットに相当する否定字が2回出ちゃう、I don't have no moneyですね、というように言ってしまいそうなことってのがあると思うんですね、ただこれはダメとされる。
通常は、I have no moneyというか、あるいは、I don't have any moneyというふうに、否定字は1回だけというふうに言われるわけです。
ということで、I don't have no money、お金が全くないという意味で、I don't have no moneyっていうのは、これは文法違反だというふうに一般的にはされます。
ところが、これは実際にはよく使われるんですね。方言であるとか、あるいは使う人、英語話者の階層なんかによっても、これ比率が違うんですが、このダブルネガティブというものが出てくる比率が違うんですけれども、普通に使われます。
そして階層が、階級が高いとしても、つまり、教養人ですね。教養人であっても、口語の中では出てしまうということは割とあるんですね。
しかも歴史的に見ますと、私、英語史が専門なんですが、中英語の後期ですね、調査、ジェフリーチョーサーという英史の父と呼ばれている偉大な詩人がいますが、
カンタヴェリ物語という名作の中でですね、この二重否定どころか、三重否定、四重否定っていうのが当たり前なんですね。
その後の近代動機に入っても、シェイクスピアなんかでも普通に出てきます。
例えば、調査からの例を挙げると、Never, yet no villainy, ne said, unto, no manner, whiteなんていう言い方で、このままだとわからないかもしれませんが、これ4回出てきてるんですよね。
Never, no villainy, ne said、これ、not saidということなんですが、だから、no manner, whiteのように4つ出てきていてですね、
主語は、その騎士はということなんです。その騎士は、誰に対してもどんな人に対しても、悪い言葉を決して言ったことがないっていうようなことなんですね。
現代だったら、最初に1回だけnotを使って、あとはanyで繋ぐっていうようなところ、4回も否定字が現れているっていうことです。
これ、偶数回なので、結局回り回って掛け算して、プラスの意味になりそうなんですが、そうではなくて、一度も悪いことを言ったことがなかったという否定の強調なわけですよね。
こういうのが当たり前に存在した。それが近代動きが進んでくるにつれですね、あまり使われなくなってきた。
言語の歴史的変遷
さらに18世紀には、理屈に合わないからダメだよっていうことになった。 その大流れ、ダメだよっていう流れが現代にまで続いているっていうことなんですね。
ではまた。
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