2025-08-21 19:45

heldio #397. 言葉のスタンダードとは何か?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #標準化 #対照言語史 #言語の標準化を考える
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サマリー

言葉のスタンダードおよび標準化について議論を通じて、言語の標準化について探求しています。このエピソードでは、言語史における多様性と標準化の問題を取り上げており、特に日本語、中国語、英語における標準語の形成プロセスについて考察しています。言葉のスタンダードに関する議論では、標準と平均の違いや言語における権力の概念が探求されており、特に標準語の価値観として偉さや重要さが伴うことが問題視されています。

言語の標準化の概要
おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 7月2日、土曜日です。
前日、暑いですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。 本日の話題は、言葉のスタンダードとは何か
言語の標準化を考えるへのコメントをお寄せください という話題でお届けします。
このボイシーでも、すでに何度か話題に取り上げているんですけれども、この5月に、 私も編著者の一人として関わっています。
本が出版されました。言語の標準化に関する本なんですけれども、 高田博之、田中牧郎、堀田隆一編著。
言語の標準化を考える日中英読仏対象言語史の試みという本です。 こちらが大週刊書店より発売されました。
この本は、言葉の標準化っていうのは何なのかということを考えながらですね、 複数の言語
日本語、中国語、英語、ドイツ語、フランス語 その他いくつかの言語の標準語ができる過程ですね。
これを標準化というふうに呼んでいるわけなんですけれども、 それぞれ時代も違えばですね、標準化のありようも違うといった非常に様々なですね、
多様な形の言葉の標準化ということをテーマにしているんですけれども、 これを通じて結局標準化って何なのかであるとか、標準語っていうものが一体何なのかということを考える試みとなったというふうに考えています。
これは社会言語学あるいは言語史においてかなり大きな問題でもあるんですね。 言葉の基準を定めるということなんで、
これ大きい問題なんですけれども、これについて本書の出版を契機としまして、 議論のきっかけとなればという思いでいるわけですね。
対談の準備と意見募集
そしてその方向での企画の一つとして、7月8日金曜日に偏者3人、高田、田中、ホッタが集まって、 本書に関する対談といいますか定談ですねを予定しています。
その定談は翌日の7月9日土曜日にこちらのVoicyでオンエアしようと、 そのように考えているんですけれども、そのためにリスナーの皆さんにおかれましては、 ぜひご質問ご意見コメント等をお寄せいただければと思います。
言語の標準化という問題、そして副題にあります対象言語史というこの観点について、 そして本書の一つの特徴であります、著者同士の突っ込み合い、これが脚注で実現されているんですけれども、
この本書の作りなどに関してもご感想がありましたらお寄せいただければと思うんですね。 まだ出版されて間がありませんので、既に読んだという方は少ないかと思います。
ですので、一般的に言葉の標準化って何であるとか、対象言語史っていうのは一体どんな試みなのかということであるとか、 読む前の皆さんの感想ということで全く問題ありません。
言語の標準化、標準語、一体何なんだろうか。 そして対象言語史というのはそもそもどういう試みなのか。 そして対面の議論でもなく、SNS上の議論でもなく、史上の議論、伝統的なメディアである本という媒体を使っての議論の試み。
こういったことについて、ぜひご意見、ご感想、質問、その他何でもお寄せいただければと思っています。 ご意見をいただくためのウェブ上のフォームをこのチャプターのリンクとして貼っておきますので、こちらから何なりとお寄せいただければと思います。
先ほども申しましたように、7月の8日金曜日に偏者3人が集まりまして、定談する予定なんですけれども、そのタイミングに間に合うようにご意見等いただけましたら、ぜひ偏者3人の間で共有し、話題として取り上げたいと思っております。
言語の標準化って何なの?であるとか、各国語における標準化の歴史に関することももちろん、言語史を対象するという対象言語史の考え方について、はたまた本の上で議論を試みるというレイアウトについて、とうとう何でもかまいませんので、ご意見等をお寄せいただければ幸いです。
そもそも、言葉のスタンダード、標準っていうのは何なのかということ自体が非常に大きな問題だと思うんですね。
本書のタイトルは、言語の標準化を考えるということなんですけれども、スタンダダイゼーションというふうに英語では言いますね。
このスタンダダイゼーションの議論が可能となるためには、まずスタンダードって何かっていうことが分かっているっていうことが必要なんですけれども、
実は本当のことを言うと分かっていないんですね。スタンダードって何なのか、標準語っていうのは何なのかということです。
ここが分からないと標準化って何なのか、標準語に向かうことを標準化というわけなんですが、
実は標準語っていうのは何なのかっていうのを考える本なんだと思っています。
それがいまいちよく分かっていないからこそ、様々な言語で一般的に標準語あるいは標準化と呼ばれている過程がどんなものなのかということを収集することによって、
最大公約数って言うんですかね、共通するものを作り出そうという試みだったんですけれども、なかなかこれが難しかったということなんですね。
ヘンジャーの一人として、いくつかの言語の標準化を合わせて考えてみたわけなんですけれども、何が共通しているかっていうと、かなり曖昧で、
各言語において標準語あるいは標準化の歴史といったときに考えているものが全く違うということが分かったんですね。
そして時代も違います。例えば中国語の場合は、もう2000年も前の話だったりするわけですよ。
英語の場合は、一般的に現代につながる標準化って言うと、大体近代以降の話なので、せいぜい500年、600年という話題なんですね。
そして日本語で言うと、普通スタンダードというと、明治期のスタンダード、標準語、標準化という話なので、せいぜい150年という話なんですね。
この時代幅、時間幅の取り方というのも違いますし、スタンダードといったときに理解されている意味というのも、各言語史の研究者の間でも違っているっていうことがあって、
どうも最大公約数として何を括ればいいのかっていうのがよくわからないっていうことなんですね。
この本を編んでみて、改めてこのスタンダードということの難しさ、それは何を指すのか、そしてスタンダード化、標準化っていうのはどういう過程を指すのかっていうことについて改めて考えさせられたということですので、
この本の出版は、いわば問題提起なんですね。
スタンダードって結局のところ何なんだろうということですね。
これを明らかにするために、むしろ具体的に各言語で標準化と言われている過程を比べてみる。
その中から何か共通項なり、あるいは異なる点ですね。
これが立ち上がられてくるんではないかという期待で、この本を作ったという次第です。
言葉におけるスタンダードって何か。
これは私も長い間考え続けてきたんですけれども、分かったような分かんないようなというところなんですね。
スタンダードという単語の語源からまず考えてみたいと思うんですけれども、
この単語はゲルマン語なんですね。
スタンド・ハードということなんですよ。
つまりしっかりと立っているっていうのが原理で、ゲルマン語的な英語としても理解できるような単語なんですが、
これが一度、おそらくフランク語あたりからフランス語に入って、フランス語でエスタンダードという形になり、
これが中英語期に英語に入ってきたという、そういう単語なんですね。
つまり、大元はゲルマン系の言語でありながら、フランス語を経由して再び英語に戻ってきたというような、そんな単語なんです。
初出は12世紀のことで、軍旗、旗の意味なんですね。
つまり、競立して立っているものということで非常に広い意味なんですが、
これがいわゆる軍旗ですね。
軍隊における旗ということで、極めて特殊な意味でまず英語に初出してるんですね。
そしてこの旗、軍旗という意味が、どういう経緯で今風の規範とか標準という意味に発展したか、
これは実はよく分かってないんですね。
14世紀ぐらいには、奴隷公の元旗、基準となるものですね。
これを表す語として発展しまして、ここから15世紀に規範、基準、標準という意味になったということなんですけれども、
この全体の仮定も、よくは分かっていないということなんですね。
ここから基準、標準という意味が生まれたわけなんですけれども、
とりわけ言葉に関して標準という意味合いですね。
言葉との関連で使われた標準というのは、もっとずっと遅くてですね、18世紀のことなんです。
18世紀半ばに初めて、言葉のスタンダードという用例が上がってくるということです。
18世紀半ばですから、せいぜいこの250年程度の歴史ということになりますね。
この言葉に関するスタンダードの使い方というのは、そんなに古いものではないということが分かるかと思います。
日本語で考えてみますと、標準というのはそもそも何なのかということですね。
これは私も大学の授業なんかで何度か議論したことがあるんですけれども、
一体標準って何のことなんだろうかという議論ですね。
まず最初に上がる答えがですね、多数派が指示している、あるいは前提としている考え方であるとか意見のことを標準と呼ぶのではないかということがありますね。
多数派、つまり数の問題であるということなんですね。
確かにデフォルトで最も多くの人が共有していることを標準と呼ぶ、
そういう標準という言葉の使い方ってあると思うんですよ。
ただ、言葉に関して言う限りですね、例えば標準英語っていうのがありますけれども、スタンダードイングリッシュですね。
英語話者は世界に20億と言うわけなんですけれども、
この本当の意味でのスタンダードイングリッシュ、標準的な英語を話している人というのがですね、非常に少ない。
実は世界ではワールドイングリッシーズと呼ばれるように、標準英語からずれたそれぞれの独自の英語をしゃべって生活している人が多いっていうことになると、
数で考えると、実はスタンダードイングリッシュを話している人は決して必ずしも多いとは言えないんですね。
なので、数に頼る標準の定義っていうのも少し問題がありそうだっていうことになります。
標準と平均の違い
もう一つは平均であるっていう考え方ですね。標準っていうのは平均なんだっていう考え方もあると思います。
例えば平均身長とか平均体重っていうとき、これ本当に数の計算ですので非常に中立的、客観的な指標だと思うんですね。
そのような意味で標準っていうのを使うこともあるかと思いますね、確かに。
例えば標準的な過程といったり標準を上回る成績っていうときは、この平均と意味合いが強いんではないかと思うんですね。
何なら平均と言い換えた方がいいんじゃないかっていうような使い方の標準って日本語であると思うんですよ。
しかし言葉に関して言う標準っていうのはそれともまた違う感じがする。
確かにデフォルトで平均というような意味合いも標準英語、標準日本語という言い方には含まれているような気はしますが、それだけではない。
言葉に関して言われる標準って偉さが付きまとう気がするんですね。偉いとか重要であるとか正しいというような価値観が伴っているんではないかと思うんですよ。
本来標準であるとか英語のスタンダードにはそのような価値観偉い重要なという意味合いはもともとはそれほど含まれてなかったような気がするんですね。
それが言語に応用されるにあたって、どうも偉さ、威信、重要度というものが既に加味された状態で標準語であるとか、あるいは標準化ということが語られているように思われるんですね。
では、いきなりなんで偉さ、重要さ、それから威信みたいなものが付与されているんだろうかと。スタンダードを言葉について話すときには、そうした付加的な情報が埋め込まれるということが非常に多いんではないかと思うんですね。
いわば権力というものが付随した言葉になってしまっているということなんです。これがどこからくるのかというのが問題なんですね。エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。今日の放送につきましては、普段以上にぜひご意見ご感想ご質問をいただければと思います。
オープニングで述べました通り、7月8日金曜日に本書、言語の標準化を考える日中英読普通対象言語史の試みを作りました。
3人の偏者が集まって対談、定談を行うという企画を予定しています。その場でぜひ皆さんから寄せられたご意見ご感想、質問等につきましても、ぜひ議論したいと思っておりますので、お寄せいただければと思います。
今日の放送で話したような、例えば言葉のスタンダードって何?日本語であるとか英語において標準って一体何なの?というような議論につながるような話題であれば何でもOKですし、さらに対象言語史というアプローチの仕方ですね。
さまざまな言語を学んでいる方、このボイスにもお聞きかと思いますが、この新しい視点についても何かご感想をいただければ幸いです。
既に本書をお読みになった方というのは実際に少ないかと思うんですね。ですので全くそれを前提とせずにですね、純粋に言葉のスタンダードって何?とか対象言語史って何?というような観点で気軽にコメントをいただければ、
偏者3人でそれをありがたく拝聴しながらですね、定談の際の議論に活用させていただきたいと思っております。
そしてその7月8日の定談の模様はこのボイシーの放送で翌日にオンエアする予定ですので、そのような形でリスナーの皆さんとのインタラクションを実現できればなというふうに思っております。
ぜひどしどしいいコメントとお寄せいただければと思います。
暑い日が続きますね。
今日の土曜日も皆さんお元気でお過ごしください。
それではまた。
いただいたコメントを紹介します。
ラジオネームまめださんからです。
毎日楽しく拝聴しています。
7月1日放送の愛と愛の発音変化の話を聞きながら、ふと疑問に思ったのですが、小英語や中英語の発音はどうやって知ることができるのでしょうか。
当時の動画や音声の資料はないでしょうし、文字情報から音声情報を読み取るのは簡単なことではないように思いました。
という質問です。
ありがとうございました。
この小英語や中英語といった音声がそのまま残っていないはずの時代の実際の発音ですね。
これを復元するのに、英語史の研究者はどういうことをしているのかということなんですね。
こちらは実は非常に多く寄せられる質問だということでですね。
326回のVoicyの放送でお答えしています。
326回どうして小英語の発音がわかるのですかということで、
今年の4月22日に放送しているものですね。
こちらへのリンクを貼っておりますので、そちらをお聞きいただければと思います。
そこからですね、私のヘログ、ブログでこの話題について扱っている記事へのリンクも貼っておりますので、
併せてご参照いただければと思います。
かつての発音というのは100%再現できるわけではないんですけれども、かなりの程度復元できるというのが結論になっています。
ぜひそちらをご参照いただければと思います。
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