2025-08-24 16:06

heldio #400. 英語と日本語の共通点って何かありますか?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #日英語
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サマリー

このエピソードでは、英語と日本語の共通点に焦点を当て、特に語彙の三層構造が似ていることについて議論されています。英語と日本語の歴史的な背景を踏まえ、両言語の共通性が強調され、言語教育におけるアプローチが考察されています。英語と日本語の共通点についての探求が行われ、特に語彙の三層構造が強調されています。言語の違いを越えて、共通性を見つけることが重要であると述べられています。

英語と日本語の違い
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 7月5日火曜日です。いかがお過ごしでしょうか。
私は学期末になりまして非常に焦っております。いろいろと準備がなされていないという状況で、7月はいつもあたふたしているんですけれども、ついに7月に入ってしまいました。
今日の話題は学生から寄せられた質問なんですけれども、英語と日本語の共通点って何かありますかという面白い話題なんですね。
答えはあります。めちゃくちゃあります。ということでお話ししたいと思います。 昨日の放送ではボイシーのハッシュタグ企画に参加する形で、
みんなの語学学習法、これについてお話ししました。 タイトルとしては英語学習は毒を食わばさらまででいこうというふうに銘打ってですね、私自身の英語学習法について、
そしてその大事だと思う点についてですね、お話ししたわけなんですけれども、多くの日本語を母語とする英語学習者は日本語と英語は違いすぎるっていうふうに考えていると思うんですね。
実際そうです。文法にしても語彙、発音、あらゆる点で異なっているというふうに思っているかと思うんですね。
これは実感としてそうだということももちろんあるんですけれども、英語教育において全然違う、言語だからね、2つの言語全く違うから、
心して学ばなきゃいけないよっていうことを植え付けられているのではないかと思っているんです。 私、日本の英語教育において
あまり良くないなと思っていることの一つは、この違いをことさら大きく見せるというような、このような方針ですね。
もちろん西洋と東洋というような、よく知られた二分法っていうのもありますね。そこに乗っかる形で英語と日本、文化も言語も思考回路も何から何まで違うんだよっていうことを強調することを通じて、むしろ
ポジティブに言えば、新たに全く異質なものを取り入れようということにはなりますが、学習上のモチベーションとしてはそんなに違うのかと、これじゃあ習得できるはずもないよねというような、ある種の言い訳とか口実みたいになっているのではないかと思うんですね。
言語学的に言いますと、確かに違うところはたくさんあります。そもそもどの二つの言語をとっても、違うところは違うし、同じところは同じなんですね。また、歴史言語学的に見ても、比較言語学ですね。全く語族が違うわけですよ。英語っていうのはインドヨーロッパ語族ということになっています。
日本語は日本語族という全く孤立したもので、関連は基本的にないと考えて良いわけなんで、それや違うものは違うでしょうということがあるんですが、一方で同じ人類の言語ですよ。似ているところもあるということもまた事実だったりするわけですね。
どうもですね、日本の英語教育では、日本語と英語の違い、差異というところに強調を置いてですね、教育するであるとか、そして学習者もそのように認識して英語と付き合っていくということになるのではないかと思うんです。これが間違っているとか、事実でないということを私は指摘しようとしているのではないんですけれども、もっともっと言葉として共通点あるよということを打っていっても、
いいんじゃないかなと思っているんですね。とりわけ、ここ重要なんですが、とりわけ歴史的に見た場合の、つまり英語が辿ってきた歴史と日本語が辿ってきた歴史、さすがにいろいろと違うことも多いわけなんですが、一方でとってもよく似ているっていうこともあって、このような共通点をむしろ強調することによって思ったより、
この2言語って違くないんだ、同じような発想を持っていることもあるんだというふうに誘ったほうが、学習者としても学びやすいですし、変な異質感を感じずに済むということで、むしろこちらを強調する。強調しすぎてもいけないんですけれども、逆の差異っていうのがあまりに強調されてきた嫌いがありますので、バランスを取る意味で、
こことここは似てるんだよっていうことは、もっと言っていっていいのかなというふうに常々思っています。
語彙の三層構造
私自身は英語史、英語の歴史を研究しているものですので、歴史の観点から共通項を見たいと思うんですね。つまり、表面的に見える今の英語と今の日本語と比較して似ているところを強調するという側面よりは、結果的にそういうことにもなるんですけれども、もう少しですね、歴史的な資産から、
この2つの言語とってもよく似ていて、その積み重ねとしての現代の英語と日本語もある程度似ている側面があるんだよっていうことをお話ししたいと思うんですね。それはズバリ語彙の三層構造というものです。
このボイシーでもしばしば話題にしてきたことでですね、決して新しくお話しすることではないんですけれども、今回のこのお題、質問の趣旨に沿ってですね、改めて解説したいと思います。つまり、英語と日本語の共通点って何かありますかといったときに、あります。
いくつかあるんですが、その中の最も著しい一点についてお話したいと思います。それは語彙の三層構造というものが、英語にも日本語にも非常によく似たものですね、比較できる形で存在するという奇跡的な共通点、これについてです。
英語には3つの異なる層に分かれた語彙っていうのがあります。これは簡単に言うと語源、どこの言語が元になっている語彙なのか単語なのかっていうことなんですけれども、大元はいわゆるピュアな英語だった時代ですね、古英語の時代には、本来の英語、ネイティブイングリッシュワーズという言い方をしますが、
これがほぼ100%だったわけですね。
その後、1066年にノルマン征服という大事件がありまして、イギリスがフランス語の一方言ですね、ノルマンディ方言のフランス語を喋るノルマン人によって征服されてしまうという事件が起こります。
これが1066年のことで、こうしてノルマン方言のフランス語というのがイギリスでは支配者の言語となり、そして英語はあくまで非支配者、支配される側の言語となるっていうことで上下関係が生まれます。
フランス語が上、英語が下っていうことです。
この社会関係が定着するに及んで、上から下に、つまりフランス語の単語が大量に英語へと流れ込んできました。
こうして語彙の二層構造ができるわけです。
英語の中に本来の英語と上から降ってきたフランス語の単語が共存するっていうことですね。
さらに近代記になりますと、ヨーロッパはルネサンスという時代に入りますね。
これは古典を愛する文化運動で、古典語って言うとヨーロッパではだいたいラテン語のことを指しますね。
ギリシャ語もありますが主にラテン語です。
そしてこのラテン語が大好きという時代になりまして、3層目、ピラミッドの一番上にですね。
学問の言語、キリスト教の言語ということで非常に威信の高いラテン語からの単語が英語に降り注いできます。
こうして英単語は3層構造をなすことになりました。
一番下が本来の英単語、真ん中がフランス語、そして一番上が権威と威信、これを体現するようなラテン語ということで3つの層ができあがるんですね。
尋ねる、質問するという意味で、本来の英語はaskと言います。
そしてフランス語ではinquireとかquestionって言いますね。
そしてラテン語ではinterrogateと言います。
askっていうのは非常に簡単で馴染みやすいですね。
それに対してinquire、questionっていうのはワンランクレベルが高い、これはフランス語、一段階上のフランス語から来たからです。
そしてさらに上のところから来た、つまりラテン語から来たものがinterrogateっていうことでaskは1音節、inquireは2音節、interrogateは4音節っていうことで長さも変わってきます。
このようにインフォーマルな単語から中ぐらい、そしてフォーマルな単語っていうに3層の階層ができあがるんですね。
日本語も一緒です。
本来は大和言葉、和語と呼ばれる本来の日本語のみがありました。
ところが中国と交流するようになって中国語は大量に入ってきます。
これは主に6世紀以降ですね。
そして近世、近代になってヨーロッパ語が入ってきます。
このように本来の日本語、そして中国語、漢語ですね。
さらに上に西洋語というのが乗っかって、例えばお金、これは和語です。
金銭というとこれ漢語です。
そしてマネーというと英語、西洋語です。
このように3層構造が成り立っているんですね。
英語と日本語の共通点
泳ぎ、水泳、スイミング、薬屋、薬局、ドラッグストアなんかも一緒です。
英語と日本語の共通点、語彙の3層構造、これを覚えておいてください。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
英語と日本語の共通点って何かありますかという素朴な疑問だったんですけれども、他にもですね。
個々の言語項目ということでいうと、実は似ていることはたくさんあります。
ただ構造的にと言いますかね、歴史的に綺麗に説明がつくものというと、確かにすごく多いわけではないっていうのも本当といえば本当ですね。
ただ探せばあります。
その中で、とりわけ際立って強調しておきたい共通点があるということで、今日は語彙の3層構造ということについてお話ししました。
英語と日本語は違う。
語順も違うし、発想も違う。
そして単語も違うし、発音だって全く違うっていうふうに違いを言い出したらキリがないんです。
これはどの2言語を取ったってある程度そうなんですね。
違いばっかりを強調するんではなくて、むしろこことここの部分は共通点あるよねっていう形で近いところを探っていくという、このような言語を見る見方っていうのはとても大事なんではないかなというふうに思っています。
私も日本語と英語のですね、むしろ似ている部分。
とりわけ英語史を研究している人間ですので、英語史上のパラレリズムと言いますかね、英語は辿った歴史、日本語は辿った歴史というこの2つのですね、全く普通に考えたら同じわけはないっていうところに共通点を見つけようとしているところがあります。
ぜひ皆さんも違うところではなくて、というのは違うところを探すのってものすごく簡単なんですよ。
これ日英語だけじゃなくてもだいたい違うんですよ。
基本は。そうではなくて、そこにあえて共通点を見つけるこれこそがむしろ面白いお題なんではないかなと思ってるんですね。
言語の標準化と対談のお知らせ
ぜひ皆さんには英語学習の中で、この点日本語と似ているよねというところをですね、感じ取ったり見つけ出したりして、そして気づきましたら、ぜひお便りお寄せいただければと思います。
この番組ではご意見ご感想ご質問をお寄せいただいています。
それからチャンネルで取り上げてほしいトピックなどもお寄せいただければと思います。
投稿はボイシーのコメント機能あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています。
専用フォームを通じてご連絡いただければと思います。
最後に一つお知らせなんですけれども、金鑑賞、私も編著者の一人として関わっています大週刊から出ました本、言語の標準化を考えるというものがですね、5月に出版されたんですけれども。
今週の金曜日に編者3人が集まってですね、この本について出版後に対談をするということになっています。
こちら対談の様子はこのボイシーでその後公開するという予定なんですけれども。
そこで対談に先立ってですね、この本を既に手に取ったことがあるっていう方も、そしてないっていう方もない方の方が圧倒的に多いと思うんですけれども。
言葉の標準化の問題であるとか、副題にあります対象言語史、言葉の歴史同士を比較する。
今日のまさに話は日本語の歴史と英語の歴史、特に語彙に注目して見てみたわけなんですけれども、こういったことに注目している本なんですね。
これに関して皆さんの何らかのご質問、ご意見、ご感想等ですね。
あるいはこの標準化であるとか対象言語史というキーワードから思い浮かぶような話題であれば何でも結構です。
すでにこの3人の偏者はですね、これまで長く語り合っていますので話してもですね、大体予想できるっていう話題しか出てこないというわけなんですけれども。
ここでリスナーの皆さんの関心であるとか、引っかかり方ということをですね、きっかけにして何か新しい話題で対談できればなというふうに考えています。
こちらのチャプターにそのコメントフォームへのリンクを貼っておきますので、そちらから自由に素朴なコメントで構いません。
キーワードとしては言語の標準化であるとか、複数の言語の歴史を比較する対象言語史、このあたりのキーワードから思い浮かぶようなコメント等を投げていただければと思います。
できるだけ対談の中で反映したいというふうに思っております。
それではまた明日お会いしましょう。
16:06

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