ワインの取り込み方
英語史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています。
本日は12月13日火曜日です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオheldio。本日は、
【ワインをいかにして摂取)or 節酒)するか? 借用フィルターの話】と題してお届けします。
ワイン好き、酒好きなものでですね、
【摂取するか】が今日の話題なんですね。
いかにして取り入れるかということなんですけれども、
摂取もですね、心がけていながらいつも失敗しているということでですね、
酒好きでダジャレ好きな親父ギャグということでご勘弁いただければと思いますが、
脱線ばかりしていないで、そろそろいきたいと思います。
今日の放送もどうぞよろしくお願いいたします。
今日のお話はタイトルだけで何のことか全然わからないと思うんですね。
これはですね、ただですね、面白い話題なんですよ。
多言語の単語を次言語に受け入れる際に、
どのようなフィルターを経て受け入れるのかという、
フィルターという概念なんですけれどもね。
これはですね、すでにこのヘルディオでも一昨日ですね、
559回、語言語対象言語史のシンポジウムで議論してきました。
の回で報告したようにですね、
この間の土曜日12月10日にですね、
日本歴史言語学会2022年大会の公開シンポジウムでですね、
学習院大学にいて私も発表してきたんですけれども、
その時のですね、話題が日中英読仏対象言語史語彙の近代化をめぐってという、
こういうテーマで私も英語史の立場からお話しさせていただきました。
他にですね、日中英読仏のそれぞれの言語史の専門家が話して、
最後にディスカッションするということだったんですけれども、
いろいろインスピレーションを受けましてね、
通常は英語史の分野にどっぷり日々使っているということで、
多少ですね、日本語史とかドイツ語史、フランス語史あたりなんかは、
ちらっとかじることはあってもですね、
なかなか中国語史というものに思いが至らなかったので、
中国史の観点から発表された神奈川大学の郝国薬先生、
中国語の語彙近代化と言語生態、
新語の群生と適者生存のメカニズムと題する発表と、
その後のディスカッションを通じてですね、
痛く感激したといいますか、インスピレーションを受けた、
いろいろ考えなければいけないなと思ったことがありまして、
今日はそのお話なんですけれどもね、
郝先生のお話の中に何度もですね、
フィルターという用語、概念が現れたんですね。
よその言語から単語を借りてくる際にですね、
完全に100%そのまま持ってくるっていうことは実は少なくて、
何らかの形で次元語に持ってくる際にですね、
フィルターというものを経て少しであっても、
次元語化した状態で取り込んでくると、
摂取するということなんですね。
全くそのままってことは少ないんです。
何らかの形でフィルターを通して次元語の中に入れてくるという、
このフィルターという概念がとても面白いなと思ったんです。
私はこの概念に対応するかなり近いものとして、
クッションっていう概念とか言い方をこれまでしてきたことが多いんですね。
微妙にニュアンスは異なるんですけれども、
大まかに言えば同じようなものだと。
直接取り込むんではなくて、
ワンクッションを置いて取り込むっていう、
これを郝先生はフィルターというふうに表現したんですね。
そしてこのフィルターにはいろんな種類が実はあると。
このさまざまなフィルターというのを考えてみたんですけれども、
ワインという単語、これを例に取りたいと思うんですね。
ワインという単語、これ英単語というふうに考えておきましょうかね、とりあえずね。
これを日本語に摂取する、取り込む際に、
どのようなフィルターを経ているかということです。
そして今日の話の後半には、
ウィーヌムというラテン語のワインを表す単語ですね。
これが英語にいかにして取り込まれたかっていう、
英語詞の話題にも持っていきたいと思ってるんですけれども、
まず日本語です。
英語のワインというのは、
本来の英語の発音だとワインですよね。
書き言葉ではWINEということです。
フィルターの種類
これを日本語に取り込む際に、
実はいろいろなフィルターを通して取り込んでいるんですね。
まずそのまま取り込んだように見えるWINEですね。
英語でWINEですから、
日本語のWINEというのはそのまま取り込んだように聞こえます。
しかし99%確かにそのままなんですけれども、1%は日本語化しています。
というのはですね、日本語の文脈であのお酒を語るときに
WINEなんて発音しないわけですよ。
その赤ワインくださいって言わないわけですよ。
その赤ワインください。
英語のWINEっていうのは1音節です。
それに対して日本語に持ってきたWINEというのは3音節です。
まず音節が違いますし、
それぞれの発音、しん、ぼいんですね。
微妙に異なっているわけです。
典型的にはんの発音が違いますよね。
英語だとnの音ですからワインというふうに下がですね、
歯茎についているわけなんですけれども、
日本語の場合単体で言うとワイン、ん、ん、んという形で歯茎にはついていません。
有性口腔外鼻音と言われる音でですね、
英語のnの音と日本語のんの音は全く異なっているわけですね。
この意味で1%、もうちょっと大きいかもしれませんけれども、
だいたいそのまま持ってきているように見えて、
日本語化した発音で持ってきているわけですよね。
なのでこれを当面発音フィルターと呼んでおきたいと思います。
赤ワインくださいではなくて赤ワインください。
という時のこの差です。
これは発音フィルターを通って日本語に入ってきたんだということになります。
ただですね、これはちょっとしたフィルターに過ぎません。
英語風のワインと日本語風のワインは相当くないっていうのも確かですよね。
なので大したフィルターではないっていうことになります。
もっと強いフィルターは翻訳フィルターと呼ばれるものです。
ワインというお酒の特性、特徴を捉えて、
ブドウのお酒だということでブドウ酒という風に日本語で持ってきたとき、
これは相当大きなギャップがあります。
そもそもワインという音が全くその痕跡もですね、感じられないぐらいに書き消されていて、
あくまでワインの特性という抽象的なものですね。
意味に近いですが、それが日本語に翻訳される形で取り込まれている。
ブドウ酒ということですね。
これ翻訳フィルターというのは非常に強力なフィルターで原型を残さない。
ワインの和の字も出てこないわけですよ。
先ほどの発音フィルターと違って、翻訳フィルターというのは相当な差異を生み出します。
ここまでは割とよくある議論なんですけれども、今回ですね私がインスピレーションを受けたのが、
書き言葉ではどうなのかっていう文字の話に持ってくるとですね、話が画然面白くなる。
次元が増えるんですね。
英語のワインの綴り字WINEに対して、日本語でワインと書く場合はですね、
大体カタカナになると思うんですね。3文字で書くんですが、
この英単語の綴りのワインと日本語のカタカナのワイン、これどう見てもつながらないぐらい差が大きいですよね。
先ほどの翻訳フィルターに匹敵するぐらい、全く似てるところがないっていうことですね。
さらに翻訳フィルターにかけたブドウ酒に至っては、大体漢字3文字で書くと思うんですけれども、
ますます似てないですね。WINEとどう考えてもつながらないという意味で、かなりフィルターの効果が強いということになります。
英語はローマ字を使う。そして日本語はカタカナや漢字を使うということで、
英語とラテン語の関係
誰がどう見ても似てるものにならないというこの文字フィルターっていう働きがあるわけですよ。
これが面白いと思うんですね。
というのは英語ですけれども、小英語記にこの単語がWINUMというラテン語から英語に入ってきたわけですね。
WINUMというのはラテン語で、V-I-N-U-M。これが英語に入ってきて、いろんな通り中あったんですけれども、最終的に定着したということで言うとW-I-N-Eですね。
小英語ではW-I-NとかU-U-I-Nのように綴ったんですけれども、ラテン語も英語も結局同じローマ字を使うので大したフィルター機能じゃないんですね。
英語史では文字フィルターは関与してこないんですね。そこです。
コメント返しです。
556回私の英語史活動ヘルカツ重大ニュース2022としてお話ししました。
その回に対してですね、アンナさんよりコメントいただきました。
1リスナーとして英語の見方が大きく変わった年でした。
英語の歴史と変化を経ての現在と未来について初めて考えるようになり、これまで意識したこともなかった通常的なものの見方についてほんの少し見えた気がしています。
そして当たり前と思っていたことへの疑問や知的好奇心を喚起させてくれるのがこの番組です。
フランス語にも関心を持ち始め、小読みの名前の語源を調べるなどネーミングは去っておき、語源活もするようになりました。
そんなわけで願わくば番組はずっと続けていただきたいです。周りにも伝え二次広報活動中です。
ということでアンナさんありがとうございました。
このチャンネルを通じて英語を歴史的に見る、通じて見るという習慣ができたり、語源活動が習慣化してきたということで本当に嬉しい限りです。
しかも周りに伝えていただいて二次広報活動中ということでこちらもぜひ続けていただいて仲間を増やしていただければと思うんですけれども本当に嬉しいですね。
昨日もコメント返しでお話ししたんですけれども、英語史をお茶の間にというようなですね、夢物語みたいなものを本当にと思ってですね、少しでもということなんですが、皆さんに英語史の面白さを伝え続けていきたいと思っておりますので応援よろしくお願いいたします。
アンナさんありがとうございました。
今お話しした英語史のお茶の間ということなんですけれども、こちら昨日の560回コメント返しの回に対しまして、後藤の海塩さんよりコメントをいただいています。
英語史のお茶の間、ビンゴ、学問を下支えしている一般の人々とつながりを持つこと、これが学問の存続発展に欠かせないと考えています。
基礎研究は大事だ、おろそかにすると国が滅ぶといった上から目線の学者さんが目立つ中、こうした取り組みがとても貴重に思えます。
ということでですね、基礎研究の大事さっていうのは私もわかっていてですね、それ自体は私も強力に支持するんですけれども、なぜ大事かっていうことをもうちょっと強く訴えていく必要あるかなのようなことは思っています。
一般の人々にわかりやすく伝えるっていうことと、バリバリの専門の高度に専門的な領域で研究するっていうことは確かにだいぶかけ離れていることで、この2つを結びつけようとすると大変な困難に出会うと思うんですね。
ですが、私はこれをやらなければいけないというふうに考えています。一方にだけ力を入れすぎると、いわゆる造下の塔ということになったり、たこつぼということになってしまいます。
もう一方の方に集中しすぎると、お前は何やってんだと、専門的なことちゃんとやってんのか最近はみたいなことになったりですね。
学問っていうのは人気取りじゃないんだぞ、みたいなことになったりするので、この辺のバランスというのは本当に難しいところだったりするんですけれども、この辺りをつなぐ方法っていうのを探りたいなと思っています。
少なくともつなごうとする意思っていうのはとても大事だというふうに考えまして、このHeldioもそのような試みの一環として行っているというところがあります。
このチャンネルのリスナーの皆さんの中には少数かもしれませんが、研究者という方も含まれているかもしれません。この点共感していただけると大変嬉しいです。力になるなというふうに思います。
このVoicyも研究者であるとか学術系の方パーソナリティーやられているんですが、人文科学系はやっぱり少ないのかなという気がしますね。
もっと人文系の研究者の方が専門を分かりやすく伝えるというような形でどんどんVoicyなどに参入してくれるといいなと、私も住みやすくなるなという感じがしていたりするので、リスナーの皆さんの中で該当するような方がいらっしゃいましたら、
大変有意義ですし楽しいですよということを一言お声掛けしておきたいなと思った次第です。
コメントありがとうございました。これからもたくさんコメントご意見ご質問お待ちしています。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日はフィルターという話なんですけれども、比喩としては分かりやすいと思うんですね。
今日出たフィルターはまず発音フィルターというのがありますね。それから翻訳フィルター。そして書き言葉の世界なんですけれども、文字フィルターというかなりフィルター機能の強い高いフィルターが存在するということで、他にさまざまなフィルターあると思うんですよ。
方先生はこのフィルターのですね、種別、種類みたいなものをいろいろあげてくださっていまして、大変インスピレーションを受けたんですけれども、これもやっぱりですね、日本語と西洋語だけに留まっていると、なかなか湧いてこない発想なのかなと思いますね。
日本語は文字フィルターあるわけなんですけれども、改めて中国語という文字フィルターがバリバリに活かされている言語と日本語を比較すると、余計に日本語のですね、文字フィルターって日本語にもあったんだなという、そんな気づきになったりして、そしてその気づきを西洋語、英語誌なんかに戻すとですね、これ全く欠けているフィルターだなという、そのあたりがですね、分かってきて、
ものすごく視野が広がるというふうに感じたんですね。フィルターという観点から改めて英語誌における語彙釈用みたいなものを考えてみたいなと思った次第です。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
ボイシーのコメント機能を通じてお寄せください。
それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。ほったるいちがお届けしました。また明日。