2025-03-15 09:59

heldio #238. gaseous 「ガス状の」の発音

#英語音韻論 #英語学習 #発音 #派生語 #音変化
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

ポッドキャストでは、gaseous(ガス状の)の発音の多様性について解説しています。発音の違いには、母音の発音や子音の種類、音節の分け方が影響しており、歴史的な背景にも言及しています。

00:01
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
gaseousの発音の多様性
今回取り上げる話題は、gaseous 「ガス状の」の発音、という問題です。
この単語は、「gas」「ガス」「機体」を意味する名詞の形容詞形です。
gas の後に eous という形容詞語尾をつけて、このような「ガス状の」という意味の形容詞を作ったわけなんですが、果たしてこれはどういうふうに発音するのかということですね。
最初のタイトルでは、私は gaseous というふうに発音したんですけれども、
これ、辞書、特に発音辞書なんかを引くと、いろんな発音が載っているんですね。
実際、ケンブリッジとロングマンのそれぞれの発音辞書を引いてみました。この単語ですね。
そうすると、こんなバリエーションがいろいろとあるんだということが分かりました。
まずは gaseous ね。それから gaseous っていうのもあります。それから gaseous というのもあります。それから gaseous というのもあります。
それから gaseous とあるんですね。
なんだ、だいたい一緒じゃないかという発音も組まれているかもしれませんが、一応細かく数えると、今挙げた8種類があり得るんですよ。
どれいっても通じはするんでしょうね。
改めて、この8種類あると言いましたが、何がどういうふうに違うかというとですね。
3つのポイント、ここに注目する必要があるんですけれども。
まず1つはですね、この guess いわゆるこの単語のベース部分ですね。この guess という名詞の部分なんですが、
この gas と綴りますが、a の部分がどう発音されるかということで、まず2つに分かれますね。
a なのか a なのかということです。
gaseous とか gaseous のような発音があり得るわけですよね。
次にこの gas の s です。
このシーンが文字通り s というシーンなのか、あるいは se とありますので、
ここでですね、公害化って言うんですが、公害化してシュの音になるか、シュ、
gaseous とかゲイシュスのような発音ですね。
シュの音になるか、あるいはズと濁る音、ユー性の音になるかということで、
gaseous みたいなことですね。
なのでこの s がスなのかシュなのかズなのかっていうことで、3通りの可能性あるわけですよ。
最後に eou で表される、この形容詞語尾の一部ですね。
gaseous という続きですから、この eou に対応する、この最後の母音の部分ですね。
これがどうなるのかっていうことで、1つはですね、
eou という風に音節を別にしてですね。
つまり gaseous という風に全体として3音節になるのか、
それとも gaseous っていう風に全体として2音節になるのかというような違いですね。
eou と読むか、あるいは eou と続けて読むか、あるいは3つ目として eou だけっていうのもありますね。
gaseous みたいな発音の場合です。
さあ、この eou で表されるこの部分が音節を分けて、い、あ、と発音されるのか、
あるいはこの部分は一緒で、い、あ、と続けて発音されるのか、あるいは、あ、と発音されるのかっていうことで、3通りです。
まとめますと、まず最初の1点目のポイント、これはえかえい、どっちの母音で読むかっていう問題ですね。
これ2通りの可能性があると。5中の s はどうなるのかっていうことで、これ3通りの可能性があったと。
最後に eou の部分はどうなるのかっていうことで、3通りあったと。
gaseousの歴史的背景
ということで、これ論理的に言えば 2 × 3 × 3 っていうことで、6×3 18ですか。
18通り、理屈としてはあり得るわけですが、実際に確認されているのは8種類。
十分な数ですけどね、非常に多い数だとは思うんですけれども、
標準発音として、この8種類のいずれの発音も聞かれるということなんですね。
そして、正しい、規範的な語法であるとか、発音をですね、人々に教えるという趣旨の本、いろいろあるわけなんですけれども、
例えば、有名なのが Fowler の Modern English Usage なんていう、ロングセラーのものがあるんですが、
これはですね、スタンダードイングリッシュでは、ギャスギャスが、ギャスギャスという発音が規範、一番有声であるとか、そういう言い方をするんですね。
他の参考書はですね、また他の発音を押すという形ですね。
イギリス発音とアメリカ発音でも、好みが違うであったり、いろいろと複雑な話題があるんですね。
どれで発音しても通じるわけですし、特に我々はですね、どの一つを明らかに支持するという、特にその必要もないかとも思いますので、
しかも他の語で発音としてこれと重なってしまうというような紛らわしい発音の単語はですね、あまりないと思われますので、
ほとんどこれは意味のない、どれでもいいんじゃないかという議論なのかもしれません。
ということで、実用的にはあまり需要でない問題なのかもしれませんが、
なぜここまで発音が多様化したのかということは、英語史的な観点からぜひ探りたいところだと思うんですね。
ポイントは、この形容詞が比較的新しく作られた学術用語だったということです。
これはいかにも化学の用語ですよね。GASという機体、GASのその形容詞形ということで、どうやら18世紀、後期近代になって作られた科学用語、学術用語なわけです。
ということは、これはですね、書き言葉でまず最初に作られたではないかということが疑われるわけです。
GASをどうしたら形容詞形にできるだろうか、形容詞を作れるだろうかというときに、結果的にこのEOUSというのをつけたんですよね。
これによって、いかにもラテン語っぽい、つまり学術用語っぽい形容詞が完成しました。
ただ、これはあくまで書き言葉の世界で作られた用語で、これを発音するときにどうしようかといったときに、この綴り字に従うとですね、いろんな読み方が実は英語ではでき得るという状態になっていて、
実際にそのいろいろな発音、8種類、現代に残っているもので言えば8種類の発音が実際に実践されているということなんですね。
これは大変困ったことで、そもそもが書き言葉での造語だった。これを何と読むかということを先に考慮して作った単語ではなかったということがあるんですね。
そして18世紀ですから、すでに現代に通じるような発音とスペリングの乖離であるとか、きれいに一致しないという関係はすでに出来上がってしまっていたということもあります。
そしてもう一つはスペリングプロナンシエーションの適用ですね。いわゆる綴り字発音なんて言われていますが、最初に書き言葉から生まれた語の場合ですね。
発音すると言った場合に、当然先にまず綴り字があるわけですよ。これに沿った発音しようということなんですが、一つの綴り字に対しても複数の発音がすでに対応してしまっているという時代に入っていましたので、
この特にEOUSあたりをどう発音するのかということで、様々なバリエーションがあり得たということですね。先に述べたように、比較的短い単語なんですが、3つぐらい争点があったと。
ポイントがあって、2通り以上の読み方が対応するというのが、都合悪いことに3つの争点が集まってしまったんですね。なので様々な組み合わせで、理論的には18種類の読みが可能になってしまったと。
不幸な化学の造語だったと言わざるを得ません。
それではまた。
09:59

コメント

スクロール