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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、 ropes,stones,foxes 複数形のsの発音のなぞ、というものです。
名詞の複数形というのは、だいたいsをつければいいということになっています。これが規則的な複数形ということです。
不規則なものもちょろちょろとあるわけですが、ほとんど、99%はsをつければいいということになっています。
これで我々も英語を学習してきたわけなんですが、実は確かに、つづり上は、だいたいsをつけるということになっているんですが、発音で考えると、実は3通りあるというんですね。
これ、何らかの形で必ず習うんですけれども、忘れている人も多いと思うんですね。
例えば、今日の3つのタイトルに挙げた単語で言うと、ropesの場合はtsという濁らない音ですね。
これは声がない音ということで、無声という風に、無声音という風に呼ぶんですけれども、それに対して、stonesに対しては、ストーンズという風にズの音になります。
これは有声音と言いますね。声が出るということです。
さらにですね、foxの場合にはfoxesという風に語尾がeaseになるんです。
foxに、ただtsとかズをつけるだけではなくて、iというような音が挟まります。
そしてfoxesですので、全体としてはですね、いずれもsとか、つづりじるとesですね。
このような形に共通なんですけれども、発音としては実は結構違くてですね、3種類あるということです。
sという場合とzという場合と、さらに語尾が含まれたeaseという形ですね。
この3種類が実はあるということなんです。
意外と規則複数とはいえですね、細かく見ると厄介だということなんですね。
どういう時にs、どういう時にz、そしてどういう時にesになるかというのは、
これはですね、文法書であるとか教科書なんかにもよく載っているわけなんですが、
まず単語そのもの、単数形ですね。単数形そのものが無声音ですね、終わる場合。
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つまり濁らない音で終わる場合には、ただsをつけるということですね。
これs自体も濁らない音なので、濁らない音は濁らない音、つまり無声音無声音ということで相性がいいわけです。
なのでropeというのが無声音なので、そのままsという無声音が続くということです。
他にはですね、
のようにですね、無声音に対しては無声音のsで対応するということになります。
次ですね、有声音の場合です。
例えばstoneというnの音、これは濁っている音なので、そのままsがつくとですね、
これも濁ったバージョンのsということで、zが続くわけです。stonesという音ですね。
他にはpens、dogs,rooms,windows。
母音というのは基本的に有声音ですので、必ずsという有声音の複数形語尾がつくってことになりますね。
そしてですね、最後にどういう時にisになるかということなんですが、
これはですね、単語の本体の語尾自体がsとかsの場合には、
すすとかずずというと続いても判別しにくいので、複数形であることはですね、これ母音を挟み込むというふうによく言われています。
なのですとかずで終わる単語、他にもですね、似たような音です。
しゅとかじゅとかちとかじっていうような、すずに似たような音が続く場合にはですね、
isというものがつくっていうことですね。
ですからfoxっていうのはすで終わっています。
ですのでfoxすと、すすとなってもよくわからないので、ここに母音を挟み込むっていう発想なんですね。
foxesとなります。
他には例えばclasses, lenses, brushes, mirages, benches, judgesのようにですね。
このように名詞本体の語尾がどういう音かによって、複数形のsもですね、すとなったりずとなったり、またまたesとなったりする。
このように3種類決まっているわけなんですね。
綴りで書くとですね、sという文字ですので、発音上もですね、なんとなくイメージとしてまずデフォルトがすであると。
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その次に濁ったバージョンのずであると。
最後に非常に例外的にesになるんだというふうに認識するケースが多いと思うんですが、
これが実はですね、歴史的に見るとむしろ逆なんです。
最も有意称正しいのがある意味ですね、esという母音を挟み込むタイプであり、その次にこの系列を引くですね、ずという音。
そして最後にこれが無声音化したsなんです。
つまり歴史的に見るとですね、むしろデフォルトは何かというとesの方なんですね。
これは結構驚きなんではないかと思うんですけれども、歴史を追ってですね、どうしてこうなったのかということをですね、理解するとよくわかることなんですね。
1000年ほど前の古英語の時代には、実はこの系列の今回挙げたropes、stones、foxesを代表的な例としたいと思うんですが、
これらの単語はすべてですね、古英語ではasと綴ったasという発音ですね、この語彙を取ったんです。
もともと母音があったんですね、aという、それに対してその次にsという無声のsの音が続いたっていうことです。
ですのでropesっていうのは母音も少し変わるんですが、古英語ではrapasと言ったんですね。
それからstonesについてもstarnasと言いました。
そして現在のfoxesについても古英語ではfoxasとなったんですね。
それぞれrap、starn、foxという単数形にasをつけてrapas、starnas、foxasというようにasで一貫してたんです。
つまりこれは綴り字も発音もとにかく一貫して一つのみです。
現代のような3つの違いというのはありませんでした。
それがですね、その名詞の語尾の音に応じてその後ですね、3つの経路に分かれちゃうんですね。
まずasだったものが、母音が弱まってs、s、sとなります。
曖昧母音ですね、s、s。
その後ですね、sが濁ってs、s、sとなります。
そして最後にこのuが消えてしまうんですね、大抵の場合。
で、s、s、sとなります。
そしてある一定の音の位置関係によってこのsがs、s、sという風に無声音化します。
こうして歴史的にまずasだったものが、uが消えてsとなり、その後最後に無声化してsという3段階を経たんですけれども、
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直線的にこの3段階、asと経たわけではなくて、語尾によって、単数形の語尾によって3つ違う段階でですね、この変化がストップしたということです。
結果、最も遠くまで行ってしまったのが実はropesということで、その次にstones。
そして最も由緒正しい形がある意味残っているのがfoxesということになります。
つまり、現在ではちょっと不規則だよなというものが、かつてはデフォルトだったということになります。
それではまた。