2025-12-29 13:42

【再】#527. right の多義性 --- 「正しい」「右」「権利」

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #多義語 #意味変化
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サマリー

本エピソードでは、「right」の多義性に関して、特に「正しい」「右」「権利」という意味の関連性を考察しています。さらに、関連する語源や文化的背景、右と左の優劣についても論じられています。

rightの多義性についての導入
おはようございます。英語の歴史の研究者、エログ英語史ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
英語史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています。 今日は11月9日、水曜日です。いかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオ ヘルディオ。本日は right の多義性 「正しい」「右」「権利」と題してお届けします。
一昨日、リスナーのツーボーさんより質問をいただきました。 読み上げます。
先日、スペイン語を学習している際にデレーチョという語を目にしました。 そしてこの語には、1.右 2.権利 3.正しいといった意味があり、英語の right と同じ意味を持っているようです。
なぜこのような意味を持っているのでしょうか。 またこの2つの語は語源的歴史的に見て同じなのでしょうか。
違った場合は偶然の一致なのでしょうか。そんなことはないと思いますが。 ぜひ教えていただきたいです。よろしくお願いします。
というご質問でした。こちらにお答えする形で、今日は right の多義性について考えたいと思います。
スペイン語のデレーチョという単語が右、権利、正しいといった意味があって、英語の right とそっくりそのままということですね。
私スペイン語自体はちらっとかじったことしかないので詳しくわかりませんけれども、 フランス語などではドアというのがありますね。
明らかに d で始まっているという点で似ていますし r もありますね。 そしてやはりフランス語でも意味はですね、まっすぐ正しいというような意味。
それから右の右側ということですね。それから権利。 このあたりそっくりなわけですよね。フランス語には他にも法律という意味もありますけれども、全体として似ている。
そして英語そのものの right ですけれども、こちらもまっすぐの正しい、 右側の
権利。これ全て揃っているわけですよね。 これは偶然ではありませんね。
まずどこから始めるかと言いますと、 スペイン語やフランス語の d で始まるものですね。
こちらから行きたいと思うんですけれども、これはラテン語の directus に遡ります。これが包まって今のスペイン語、フランス語の形になったというふうに考えられますけれども、
そうするとですね、このラテン語の directus これ何かに似てますね。そうです。英語の direct ということになります。ラテン語から入ってきた単語ということで、英語にもいわば direct という形で、3つ微妙に異なる形。微妙でもないですか。
結構異なる形ですけれども、全てはラテン語の directus という単語に源を持つということになりますね。
このラテン語の directus というのは d という接頭字ですね。これに regere という動詞をつけたものなんです。
d というのは強めぐらいに捉えておいて良いと思うんですが、問題は regere の部分ですね。これはまっすぐにするというのが原理なんですね。したがって、まっすぐに導くとかまっすぐに向けるといった意味、こういう動詞なんですね。
これの過去分詞ということになります。 directus ここからまっすぐに向けられた、すなわち、まっすぐのという過去分詞形容詞の意味が出てくるわけですね。ここまでで derecho、door、 direct の基本的な意味であるまっすぐのというところまではたどり着きました。
ここからは英語の right の方に目を向けたいと思うんですが、この right はですね、大元をたどると引用祖語の語根 reg というものにたどり着くんですね。そしてこれはまっすぐに差し向ける、まっすぐに導くというのがどうも原理である。
つまり先ほどのラテン語で出した regere という動詞がありましたが、これもですね、まっすぐにするということですね。ということは、結局このラテン語の regere も引用祖語の reg という語根に遡るっていうことがわかります。
すべては同じ一つの源から発するんですけれども、この reg の部分ですね。これが割とそのまんまゲルマン語に伝わり、英語に伝わったのが right ということになります。
そしてラテン語 regere を経て、これに接頭字 re をつけた形が、先ほどの derecho、ドア、ディレクトという英単語で、ラテン語から入ってきた英単語っていうことでしたね。
ディレクトということです。なので、ディレクトというのは、ラテン語を経由して引用祖語からはるばるたどり着いたもの、接頭字もついた形ですね。一方、 right っていうのは、ラテン語を経ずに、いわばゲルマン語のルートをたどって英語までたどり着いたものということで、究極的に同じ語根なんですけれども、ルートが異なるっていうことになりますね。
right と direct ということです。それぞれ意味がだいぶ違う形に今ではなっています。
direct の方は、まっすぐにする、差し向けるというところから指揮するであるとかですね、あるいは形容詞としてまっすぐのという意味になってますね。
さて、単体の right の方ですけれども、これは d のついた形のスペイン語でれいちょ、それからフランス語ドアと、むしろ同じ道を歩んで意味変化を遂げます。
そもそも、まっすぐのという意味は語根レベルで共通ですから、まっすぐの、そして正しいという意味は出やすいですよね。
そして、この正しいという意味から正義っていう意味も当然出ますね。そして、正義の主張である権利という発想も出てきて、そして法律という、これはフランス語のドアに特有だと思いますけれども、法律のような意味も発展していきます。
もちろん、権利という概念、それ自体は非常に新しい近代のものなわけですけれども、ざっと振り返ってみると、いかにも西洋的な意味の発展の仕方だなというふうに捉えることができると思うんですね。
さて、最後に残るのは右。左右の、左右の右ですよね。なぜこの意味がrightとはでれいちょから生じるのかということなんですけれども、これはですね、引用語の文化において右が優勢であるという発生、右が偉い、右が正しいという発想が大元にあるのではないかというふうに考えられます。
それに対して左っていうのは劣等、劣っている方という発想ですね。根源には人種文化を超えて人の9割が右利き、優勢ですね。そして右手の方が器用なわけですよ。そして左手っていうのは不器用という、この人間が持っている両腕、両手ですね。これに善悪っていうのを引っ掛けるわけですね。
そうすると右が優位で、左が劣位ということになる。少なくとも引用語ではそういう発想だったということですね。これは他の文化ではむしろ左の方が優勢ということがあったりしますし、同じ文化でも時代によって右左どちらが優勢かっていうのが変わったりする例というのは色々あるようなんですけれども、少なくとも引用語の伝統、慣習としては
右、こちらがですね優勢である。そこからまっすぐな正しいものは右の方である。これが共有されているのだと思われるんですね。ちなみに英語ではですね、このrightに右という意味が発生するのはどうも古英語も後期からなんですね。それ以前はでは右のことは何て言っていたかと言いますと
結論と今後の展望
スイーズラという今は無き単語なんですけれどもスイーズラという単語が使われていたんですね。これ何かと言いますとスイーズというのが形容詞でstrong強いって意味なんです。この比較級の形です。RAがついてるんですが今のERの起源なんですけどね。つまりstrongerみたいな言い方をしてこれを右の意味で用いていたんです。
従ってrightが入ってくる以前からより強い、より優れたものが右の方であるという発想はあったんですね。一方left、左のleftの語源なんですけれども、これ様々な語源説があるんです。よくわからないんですけれども、関連するゲルマン諸語にですね、leftに相当するような単語があってこれが弱い、役に立たないという意味です。
意味だったんではないかとされているんですね。この発想は引用語の様々なところに現れているんですね。フランス語、右、まっすぐ、正しいっていうのがgoaと表されますが、一方左はというとgaucheと言って、この単語は英語にそのまま釈用されて不器用なというネガティブな意味を表します。
ラテン語では右はですねdexterと言いますが、これがやはり英語に入ってきてdextrous、器用なになります。一方ラテン語で左のはsinisterと言うんですが、これがそのまま英語に入ってきてsinister、不吉なということで、明らかに右側がポジティブ、左側がネガティブという対応が見られるっていう、そういうことなんですね。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日はですね、rightの多義性ということで話を始めたんですけれども、かなり大きな話題になってしまいました。
引用語全体の文化について、私が広く知っているわけでもありませんので、いくつかの言語からの類例と言いますかね、これを拾ってきて論じたに過ぎないということで、他にはうまくこれでは説明できない例であるとか、出てくるんではないかなと思いますけれども。
左右、どちらが優勢かという発想ですね。それから正しさ、まっすぐということ、そこから結局、権利とか法律まで出てしまうわけですから、なかなか積みな誤魂ですね、あまりに広がりがありすぎるということで、全く今回の放送だけではですね、カバーしきれなかったものもあります。話題もありますので、また取り上げたいと思います。
今回はご質問いただいて、それに答えるという形で、この壮大な問題に行き当たったわけなんですけれども、私一人で日々の話題を考えていては、ここまでは行かないかなということですので、コメント、ご質問いただきましてありがとうございました。
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それでは、今日も良い1日になりますように。ほったりうちがお届けしました。 また明日。
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