2026-02-11 14:33

【再】#571. 単語を「借りる」とはいったい何をしていることなのか?

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #語彙
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初めての英語詞の著者のホッタリウイチです。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ、
英語詞をお茶の間にを基に、
英語の歴史の面白さを伝え、
裾野を広げるべく日々配信しています。
本日は12月23日金曜日です。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
本日お届けする話題は、「単語を借りるとは一体何をしていることなのか?」です。
どうぞよろしくお願いいたします。
本編に入る前に、新著のお知らせをさせてください。
新年の1月12日ぐらいになると思うんですけれども、本が出ます。
開拓者より文献学と英語史研究と題する本です。
京都大学の家里洋子先生と私、
ホッタアートで強調の形で出すことになりますけれども、
英語史研究のガイドブックという内容の本です。
ただし入門書というわけではなくですね、
英語史を志す方のテーマ選定であるとか、
英語史、このような話題までカバーするのかということをですね、
知るには良い一冊となっているのではないかと思います。
過去40年ほどの英語史研究の動向、
そして21世紀の英語史研究の展望、
この辺りを示すという趣旨の本です。
既に予約可能となっておりますので、
関心がある方は覗いてみてください。
に関連するリンクをこのチャプターに貼り付けておきます。
以上、新著のお知らせでした。
今日の話題は単語を借りるとは一体何をしていることなのか。
これを考えてみたいと思うんですけれども、
3日前の放送を受けてのお題設定なんですね。
3日前の568回なんですけれども、
そういえば単語はよく借りるけれど返すことはないですよね、
という回でいろいろと反響をいただきました。
皆さん関心が高い話題なのかなと思いまして、
改めてですね、もう少し掘り下げて単語を借りるという表現であるとか、
そもそも単語を借りるっていう時に何が行われているのか、
これを検討してみたいと思います。
先日の放送では物を借りるのと違ってですね、
言葉の場合実際返す必要がないし、
貸した側もですね、貸したという意識がないわけですよね。
その意味では盗みに近いんではないかという一つ提案もしましたが、
盗みともやっぱり違う。
なぜかというと、通常盗まれた側は喪失感があるわけですね。
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何か損失をこむったということになるわけですが、
言葉の場合はですね、そもそも盗まれたことすら気づいてないことが多いですし、
全く無傷です。
そのもの自体が貸し側からなくなっていないからですね、
貸し側にもちゃんと残っている。
ですので、これはですね、借りるとか盗むということでなく、
行われていることはコピー、複製が行われているのではないかという、
そういう一つの見方を紹介しました。
つまり改めてその考え方を要約しますと、
ものと違って、言葉、単語の場合には、
永久にそのもののコピーを獲得するということなんではないかということなんですね。
ものの場合はあくまで一時的にそのもの自体を借りるっていうことですよね。
一時的っていうのは、いずれ返さなければいけないからっていうことです。
言葉の場合はそれが一時的ではなくて、
事実上永久的に、そしてそのものを借りるんではなくて、
単語の場合はコピーを獲得するんだっていう言い方になります。
つまり日常的な表現で、私たちが単語をある言語から自分の言語に借りてくる、借り入れる。
この場合の借りるというのはあくまで日常的な言葉遣いであって、
本当に行われていることは何かというと、
コピーを永久的に獲得することだということになりますね。
単語を借りるっていうのは本当はこういうことだったのか、
こういうことが行われていたのかっていうことが、
とてもよくわかる説明なのではないかと思います。
ただですね、私も非常にわかりやすいなと思っていたんですが、
まだ別の考え方、さらに別の考え方があるんではないかというふうに、
次なる提案をしたいと思うんですね。
それはですね、コピー・複製という言い方をしてきましたが、
厳密に言うと、コピーでも複製でもないということなんです。
なぜかというと、そのまま持ってくるっていうことはないからです。
例えば以前の放送会でもですね、
ワインの話をしたんですけれども、
英語でワインっていう一音節の発音ですよね。
ところが日本語ではそれをカタカナ語として持ってきたとしてもですね、
やっぱりワインという英語の発音にはならないわけですよ。
ワインという三音節で、
しかも日本語化した日本語の発音に合わせた形で持ってきています。
つまりコピーのように見えているんですが、
これはですね、かなり劣化したコピーというべきなんですね。
ただですね、これを劣化と呼ぶとネガティブな響きになってしまいますね。
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これをですね、ポジティブにあるいは少なくともニュートラルに言うとどうなるかというと、
模倣であるっていうことなんですね。
模倣ですから完全に同じでなくてもいい。
かなり近い状態では持ってくるけれども、
そのものをコピーするわけではない。
模倣であるって言うんですね。
英語で言うとイミテーションっていうことです。
あるいはもう少しですね、ポジティブに言うと再創造、再び作り出す、
Re-creationということですね。
これは実は私自身の考えというよりはですね、
かつてイタリアで起こった新言語学、Neolinguisticsと呼ばれていますが、
この学派が取っていた立場なんですね。
イミテーションあるいはRe-creationである。
模倣、再創造であるというようなかなりポジティブな捉え方です。
以降ですね、私は単語を借りる、釈用ということですね。
英語でBorrowingは厳密に借りるということでは全くないし、
さらに盗むということでもない。
複製する、コピーするっていうことですね。
これで一回納得しかけたんですが、これでもない。
模倣なんだ、あるいはもっとポジティブに再創造なんだという見方を得たわけですね。
改めてこの考え方に納得したということだったんですが、
それがまたですね、改まる出来事がありまして、
今から5年ほど前です。
2017年の大学の授業で、やはり釈用っていうのは結局何のことなんだろうね。
単語を借りるって一体何なんだろうね、というような議論を学生のみんなと行ったんですね。
その際に参考までに、今私が述べてきたようなですね、
今日の放送で述べてきたような考え方の変化であるとか、
いろいろな見方、考え方があるということはですね、
もちろん紹介した上で、さらにディスカッションするということをやったんですね。
その結果ですね、いろいろと議論出ました。
考え方も出ましたが、とても印象に残っている表現がありまして、
以降ですね、基本これで行こうかなと思っている、そういう考え方なんですけれども、
それは釈用とは、参考にした上での増語であるということなんですね。
先ほどの日本語のワインについて言えばですね、
もともとは英語のワインという発音の英語のワインなわけですが、
これを参考にした上で、日本語で改めて増語したのがワインなんだという捉え方です。
この考え方でいきますと、単語借りるということはコピーですらないし、
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模倣でも再創造でもない、参考にした上での増語であるという、
極めてポジティブな見方、釈用に対するですね、ポジティブな見方が組み上がったことになります。
もちろんですね、釈用という現象そのものがポジティブとかネガティブっていう価値観を伴うものではないとは思っています。
しかし、受け側言語ですね、借りる側の言語が外から入ってきたものを受け入れるというような受動的な過程が展開しているということではなく、
あくまで受け側言語が主体となって参考にした上で、改めて次言語内で増語しているんであるという見方、
非常に積極的な役割を受け側言語に付す考え方ということで、私はそれ以降ですね、注目している釈用の定義、見方ということになるんですね。
これを今回の放送で皆さんにも共有させていただきました。
語の釈用とは何か、改めて皆さんにも考えていただいてですね、新しい案を提示していただいたり、さらにディスカッション続くと面白いのではないかというふうに思っています。
私も何段階かのディスカッションと納得を経てですね、段階を重ねてきて、今のところ自分の中で最もベストなフィットする考え方となっているということをお伝えしました。
釈用とは参考にした上での増語である。あの時の学生も卒業していますけれども、感謝したいと思います。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
単語を釈用するっていうのはどういうことかというのを、かなり突っ込んで深く考えてみた回ということになります。
前回の568回、そういえば単語はよく借りるけれども返すことはないですよねの回につきまして、リスナーのカールさんからコメントをいただいています。
読み上げます。興味深い視点ありがとうございます。確かに言葉は無体物なので、取る取られることは再現なくできますね。人類の大切な共有財産だと再認識しました。
返す方は明治大正期に和製漢語を中国からの留学生が本国の中国に持ち帰ったというのが当てはまるのかなと思いました。
お返しっていうことですね。語彙のお返しみたいなものであるとか、和製英語も英語の中に逆輸入されているっていう例もあったりしますので、この貸し借りというのはやっぱり一つの比喩としては、言い方としてはなかなか面白い点をついた表現だなと思っているんです。
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そして何よりも日常的な用語でやはり通りがいいということですので、この単語を借りるっていう言葉遣いそのものは私も全くやめる気はないということではありますね。カールさんコメントありがとうございました。
それからですね。別途自己紹介の回という一番上に貼り付けてある固定放送として貼り付けてあるものなんですが、408回私の自己紹介の回にコメントをつけていただいた形なんですけれども、まさよりさんと読むんですかね。優雅のがによりどころのよりっていうことですが、今回初めて拝聴させていただきました。
以前、私の通う大学でホッタ先生が講演をしてくださったことをきっかけに、ヘログを定期的に閲覧させていただくようになりました。これから毎日通学の時間に先生のお話を聞こうと思います。ということでありがとうございます。とてもうれしいですね。どちらの大学での講演だったかということはわからないんですけれども、去年、今年と複数の大学で講演などさせていただきました。
それがきっかけで英語史という分野を知って、また面白いなと思ってもらって、さらにヘログ、ブログの方を読んでいただいたというところですが、今回のきっかけでこちらのヘルディオも聞き始めてみたという、そういう流れかと想像していますが、嬉しいですね。
いろいろとやっておいてよかったと思う瞬間、こういうコメントをいただいたときなんですけれども、ぜひぜひですね、こちらのヘルディオを毎日聞き続けていただいて、どんどん英語への関心、英語史への関心というのを深めていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。ほったりういちがお届けしました。また明日。
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