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2024-11-04 09:53

heldio 「#107. なぜ所有格には -'s がつくのですか?」

#英語史 #英語学習 #英語教育 #所有格 #アポストロフィ #綴字
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応議事部大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしてきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、なぜ所有格には
's がつくのですか、という問題です。
ジョーンズハウスというような表現ですね。所有格、ジョーンの家ということなんですけれども、
この素朴な疑問ですね。これ、たまに聞かれることはあるんですけれども、何がポイントかなというのが実は、私もよくわかっていなくて、
いくつか側面があると思うんですよね。なぜ所有格に s アポストルフィエスがつくのかという疑問なんですけれども、
例えばジョーンズハウスといった時に、ジョンの家というふうに日本語でも訳せるので、このアポストルフィエスの部分がですね、
脳に相当するわけですよ。
こういうふうにビタッと英語と日本語で一致するというのはですね、意外とありそうでないので、面白いなと思うのが1点なのかなと思っています。
一方で、なんでアポストルフィエスなのと。s っていうのは英語でよく出る語尾なんですよね。
例えば複数形も s ですし、例えば is の省略形もすっていう形ですね。アポストルフィエスっていう形で、どうもこの s っていうのがよく語尾につくっていうのが英語なので、
なんでこの所有格の場合にも s なんだろうかっていうような、そういう問いもあり得ると思うんですね。
もう一つはですね、私の想像ですけれども、何々のっていう時に、英語では後ろから修飾する of の前置くっていうのがあるんですね。
例えば、ジョンズハウスとは言えるけれども、同じようにですね、ハウスオブジョン。
これ普通は言わないんですけれども、ある特定の場合には言うかもしれません。
というふうに、日本語ではジョンの家という時に、ジョンズハウスのように日本語にそのまま当てはまる語順の場合と、ハウスオブジョンのように言う、後ろから修飾するっていう場合がある。
この2つですね、だいぶ違うわけなんですが、これにこの違いっていうのは気づいていて、じゃあこの前から修飾する日本語と同じ語順のジョンズハウスってのは何なんだろうと。
そういった問題意識があるんじゃないかと思ってるんですね。
つまりなんとも、このアポストロフィエスの所有格っていうのは、日本語防護者さんにとってはちょっと気になる英語の文法なわけですよね。
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そこで色々と解いたくなるっていうことなんですね。
これを歴史的にたどってみたいと思います。
では1000年ほど前の小英語に遡ってみたいと思うんですね。
小英語では何々の名詞があってですね、それの何々のというふうに所有格、当時は俗格というふうに表現したんですけれども、
それを表現するときにはですね、大抵ESという語尾が名詞についたんですね。
例えばジョンズハウスで言いますと、当時ジョンっていう名前は小英語にはなかったんですけれども、あったと仮定してですね、言うとジョンネスフースみたいな言い方をしたんですね。
このSっていうのが俗格を表す、俗格ってのは所有格のことで何々のってことです。
ジョンネスフース、フースってのはハウスですね。
これでジョンの家というふうに表現したんですね。
これがですね、1100年以降の中英語になりますと、ジョンネスフースという形なんですけれども、ESですね、このSで何々のという所有格、俗格を表すわけなんですが、
これがですね、このEで表される母音が弱まるんですね。
そして最終的にはなくなっちゃうんです。
これでジョンズハウスに近い形になるっていうことですね。
ジョネスフースだったのがジョンズフース、ジョンズハウスみたいになるってことです。
つまりこのアポストラフィーSの大元の起源はというと、ESが俗格、所有格っていうことを表したんだっていうところに遡るわけです。
この母音部分が弱まって最終的にはなくなってですね、スペリング上もですね、なくなったからにはここに本当は何かあったんだよという意味を込めてアポストラフィーを付ける。
本当はESだったわけなんですが、今ではなくなったのでアポストラフィーSと。
そういう話なんですね。
ただですね、ちょっとややこしい話がありまして、
小英語にはですね、名詞にもですね、ジェンダー、性っていうものがあったんですね。
男性名詞、女性名詞、中性名詞っていうのがあって、それぞれ活用が違ってですね、
例えばこの俗格、所有格何々の、という時にもですね、
この名詞が男性名詞あるいは中性名詞であれば、今まで述べてきたようにESを付けてS、つまりジョンネスのように言えば良かったんですね。
ところが女性名詞の時には典型的にESなんかは付かないんです。
レイディアンチャペルみたいにNが付いたんですね。
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このNも消えてしまって、結局レイディチャペルっていう風に、ただレイディとチャペルが並んでいるように見えますが、これは実は俗格、所有格なんです。
レイディの所有格の形にチャペルが付いているということなんですね。
他の男性名詞、中性名詞だったらESがあって、レイディズチャペル辺りになっているはずなんですけれども、
SAがこだわっていたためにですね、Sが付いていないっていうだけなんですよ。
こういうふうにいろいろなですね、Sだけではなく、所有格、俗格を表すにも、いろんな語尾が付いたんですけれども、
どうも主要な男性名詞、中性名詞のこのSっていうのが一般化してですね、他の名詞にも広がった結果、
とにかくSっていうのは所有格のマーカーなんだっていうふうになったわけです。
改めて述べますけれども、なぜ今ですね、アポストロフィーSみたいな書き方になっているかというと、
アポストロフィーっていうのは基本的に何かが省略されているよっていうマーカーですよね。
もともとESだったからです。このEが消えて、つまりジョン・ネス・フースだったのが、
ジョン・ズ・ハウスっていうふうに、このエ、母音の音が消えているからこそ、ここに何か省略されているよという、
Eが省略されているよっていう意味で、アポストロフィーSっていうわけなんです。
ただこれもですね、半分理屈は通っているようで、半分通っていないんです。
なぜかというと、もう一つ、ズというとですね、Sの語尾というと複数形がすぐに思い浮かびますよね。
複数形は実は公英語ではASだったんです。所有格はESですよ。複数形はAS。
このAが消えて、なくなって、ズ、例えばストーンズみたいにね、石の複数形です。
というふうになっているので、ある意味では複数形のSもですね、ASのAが消えた形なので、
所有格のESのEが消えたのと全く同じ理由なんです。
なので、省略のためのアポストロフィーなんだよっていうことで言えば、
ストーンズだってですね、ボーイズだって何でもいいんですけども、複数のSだって、
本当はですね、アポストロフィーSにしなきゃいけないところなんですよ。
ところがですね、複数形のSと所有格のSっていうのは違う働きなので、書き方も変えておいた方が良かろうということで、
複数形のSはただのSを付けたり、あるいは語によってはESと今でも付けますけれども、
それに対して、所有格の場合はアポストロフィーっていう形で区分しようということなんですね。
アポストロフィーがあるから省略っていうのは半分正しいんですが、
実はアポストロフィーのない、ストーンズ、ボーイズっていうような複数形も、本当は母音が省略されてるんですね。
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この辺りはそういう話だっていうことなんですね。
もう一つはオブとの絡みの問題なんですけれども、
普通はですね、小英語の時からジョンズハウスみたいな言い方、語順が多かったんですね。
ジョンネス、フースみたいな。
ただですね、ジョンズの部分が後ろに回って、フース、ジョンネスみたいなね。
ハウス、ジョンズみたいなのもなくはなかった。
ただ、このジョンズみたいなのが後ろに回る時にはですね、なんか違和感があったんですかね。
これジョンズではなく、オブジョンという形で後ろに回るという前置くの言い方が発達したっていうことです。
なので、ジョンズみたいな所有格は前に来て、オブ、クは後ろに来るっていうのが固まったわけです。
それでは。
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