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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、和製英語ならぬ英製羅語、という話題ですね。
和製英語というものは、日本語の中にたくさんありまして、ちばしばですね、非難にさらされるということもあります。
つまり英語として通じないということですね。見た目、聞いた感じは英単語を組み合わせているものが多いわけなんですけれども、
日本独自の組み合わせ方ということで、そのまま英語で喋っていても通じないというようなものです。
つまり英語は英語なんだけれども、和製であるということで、和製英語という言い方なわけですよね。
たくさんの例がありまして、これ私、いろんな本であるとか、辞書であるとかからですね、書き集めたことがあるんですけれども、相当数あります。
例えばですね、アで始まるものだけに限っていくつか挙げてみましょう。ア行ですね。ア行で始まるもの。
アイスキャンディ、アイドリングストップ、アウトコース、アパート、アフターケア、アフターサービス、アフレコ、アメリカンコーヒー、
イメージアップ、イメージチェンジ、ウエストバッグ、エステ、エッチ、OL、オーダーメイド、オートバイ、OB、
オーブントースター、オープンカー、オールバッグ等々ですね。これがですね、今ア行だけですが、延々と最後まで続くということになります。非常に多くのものがあるということですね。
これらは一部はですね、そのまま英語にも逆輸入した形で通じないこともないというものもですね、いくつかあったりするわけなんですけれども、例えばアニメなんかがそうですよね。
それからナイターというのも有名な和製英語なんですが、場合によっては通じるようになっているという話ですね。
このような和製英語というものなんですけれども、実は2つの言語がですね、日本語と英語が何らかの形で接触するという場合には、ある意味ですね、こういった形の英語ではない英語みたいな表現というのは意外と生まれるものなんですね。
非難はされることがあるんですけれども、実は言語にとってかなり自然なことでもあるということなんです。例えばですね、和製英語に関してはしばしば非難されるとしてもですね、和製漢語、これも無数にあるわけなんですけれども、これについてはあまり話題にされることがないんですね。
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和製漢語、もともと漢語ですから中国語ですね。日本語とは全く違う言語であると。この中国語は見た目あるいは文字で言うと漢字ということで、見た目は中国語なんだけども、組み合わせ方は実は日本側で起こったので中国語側では通じない、あるいはあまりにも使われるようになったので逆輸入して中国でも通じるっていうさっきのアニメとかナイタータイプもあったりするんですけれども、
実はたくさんあるんですね。それなのにあまり話題にならないっていうことです。
例えばですね、例として和製漢語の例を挙げますと、古くから実はあります。例えば家事、大根、仏僧、こんなのは古くからあるんですが、これ和製の漢語なんですね。
特に江戸末期から明治にかけて様々な和製漢語が作られたということは、これはよく知られています。
例えばですね、備品、参照、声音、単純、適時、番号、方針、効率、国立、集中、挙政、主導、座談とかですね。
たくさんあって、今では当たり前に日本語の中で使われているもので、和製漢語っていうのがたくさんあるんですね。
同じようにですね、この英語もですね、様々な言語と接触してきた歴史を持つ言語ですので、似たような例がたくさんあるんです、実は。
今日の話題はですね、英製ラ語という言い方しましたが、つまりラテン語のラですね。見た目はラテン語なんだけれども、そんなものはラテン語にないというような単語ですね。
英語側で勝手にラテン語風の要素を組み合わせて作っただけ。本来のラテン語にはないよというような、英製ラ語っていうのはこれこそ無数にあるんですね。
例えばですね、英製ラ語の例として、割と古めの近代前期ぐらいからの例を挙げますと、conspicuousなんていう単語は今普通ですよね。
見た目はこれは実にラテン語的なんです。ところがこんな単語はラテン語にはなくて、conspicuousの部分とasという設備字ですね。
これそれぞれはラテン語的要素なんですが、これを組み合わせて単語にしたのは英語側でということなんですね。
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同じようにですね、例えばexternalなんていう単語もありますね。
これもexternっていうのとalの部分、それぞれは確かにラテン語要素なんですけれども、これを別々に引っ張ってきて組み合わせたのは英語側でということなんですね。
さらに近代も進んでくるとですね、様々な科学用語、学問用語みたいなものができてきますが、このほとんどが実は英語側で勝手にラテン語的要素を組み合わせた英製ラ語だったり、あるいはギリシャ語の場合もあります。
元の要素がですね、これを2つなりに組み合わせて英製ラ語とか英製キ語っていうんですかね、ギリシャ語のようなものが普通にあって、これが科学用語として定着しています。
それが現代でもですね、普通に国際的に使われているっていうことですから、和製英語とか和製漢語の比ではありません。
数で言うとですね、英製ラ語って無数にあるっていうことなんです。
さらに先立つ時代ですね、中英語という近代より1個前の時代ですが、この時代にはたくさんのフランス語の単語が英語に入ってきました。
ですから英語とフランス語の接触というのもなかなかの歴史があるわけなんですけれども、その過程でやはりですね、見た目はフランス語なんだけれども、こんな単語は本家フランス語にはない。
英語側で勝手にフランス語的な要素を組み合わせただけだという、英製普通語というものもあるんですね。
これはですね、我々が普段目にするような普通の英単語が結構含まれています。
例えば、アグレッシブであるとか、ギュレーション、インテンシティですね。
こんな感じの単語というのは本家のフランス語にはない。
英語側でいかにもフランス語っぽくですね、見せて組み合わせて、実際には英製普通語として使っているということなんです。
このようにある言語がですね、その中でそれなりの長さ、期間の間ですね、別の言語と接触を続けていると、単に釈用語として取り入れるというだけでは、ある意味物足りなくなってくるといいますか、
扱いに慣れてくるといいますかね。
そうすると、自分の言語側でいかにも元の言語側の要素に見えるものをですね、組み合わせて、いわゆる丸製三角語というものがですね、出てくるというのは、割と自然の成り行きだということになります。
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今回だけでもですね、和製英語から始まって和製漢語ですね、それから英製ラ語、英製キ語、そして英製普通語というふうに5種類ぐらい見てきたわけなんですけれども、この5種類の中で大抵ですね、ダメ出しされるのは和製英語だけなんですね。
ダメ出しといいますか、非難されたり何かこう話題になるのですね。
他の4つ挙げたものに関してはですね、あまり注意が払われない。
これは何でかって考えることの方が、私は重要だと思っています。
それではまた。