2025-07-19 13:52

heldio #364. YouTube「go/went 合い言葉説」 を受けて

#英語史 #英語教育 #英語学習 #いのほた言語学チャンネル #社会言語学 #補充法
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

YouTubeでの「go went合言葉説」について、英語の過去形に関する疑問が深掘りされ、言語の不規則性や社会言語学的な視点が交えられています。補充法や内外の区別の役割にも触れられ、言語そのものの不思議さが強調されています。

YouTubeでの合言葉説の紹介
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
新しい英語の見方を養っていただければと思います。毎朝6時更新です。 フォローしていただきますと更新通知が届くようになります。ぜひフォローしていただければと思います。
またコメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。 今回取り上げる話題は、YouTubeでの「go went合言葉説」への反応を受けまして。
同僚の井上一平先生と私とで、YouTubeチャンネルっていうのをこの2月に始めたんですね。 もうあの3ヶ月ぐらいになるんですけれども。
週に2回、水曜日と日曜日の6時、夕方6時に公開するということで。
今、No.27まで来てますかね。 10分ぐらいですね。井上ホッタが英語に関して語るというそういう番組になっているんですけれども。
その中で第25回、先週の日曜日なんですけれども。 1週間ちょっと前にこんなタイトルでおしゃべりしたんですね。
新説、Goの過去形がwentな理由ということです。 これは私がなぜGoの過去形がwentなのかという、英語によくある素朴な疑問ですね。
これに英語紙の観点から答えるということで。 他の機会にもいろいろと公表してきた経緯はあるんですけれども。
このYouTubeチャンネルにて公表したのは初めてっていうことだったんですね。 それもおしゃべり、対談という形で井上さんに引き出していただく形で喋ったっていうことなんですが。
これに対していろいろと反響がありまして、非常に心強いコメントであるとか、 リアクションの数々をいただきまして、大変私としてもびっくりしているんですけれども。
ただ一般になんでGoの過去形がwentなのっていうのは、 確かにこれは専門家ならずと思うというか、むしろ英語を学んだ人であれば絶対に抱く話題ですよね。
関心だと思うんですけれども、これに対して何らかの適切な答えと言いますかね、回答っていうのは、 普通与えられたことはないんじゃないかと思うんですね。
それで英語詞的な観点から説明したりするんですけれども、 実は英語詞的な観点っていうのはレベル1でして、それで納得すればいいんですけども、 それじゃ本当は納得できないというか、さらに次の疑問が開くんですね。
レベル2ということで、今回そこまで踏み込んで、社会言語学的な理由ということなんですが、 踏み込みまして、いろいろな反響をいただきました。
今日のこのVoicyは、そちらの反応を受けてですね、 少し補足と言いますか、話したいなと思います。
まず、そのYouTubeなんですけれども、そちらのURLはですね、 このVoicyの放送にも貼り付けてありますので、まずそちらを見ていただくと良いと思うんですけれども、
基本的には、語弁と合言葉説というのを、私が唱えたと言いますか、ずっと長らく考えてるんですね。 だから新説というよりは、私たちずっと長く考えていることなんですけれども、
これ2段階に分けてざっと解説しますね。 詳しくはYouTubeなんですけれども、ここでもさっと解説します。
まず、英語指摘っていうのが第一弾なんですが、英語指摘な説明です。 なぜ語の過去形はwentなのかと。
全くこれ文字も発音も被ってないので、明らかにこれ違う語源なんですね。 違う由来ということなんですが、これはwentの方ですね。
wentという動詞がありまして、これも行くとか向かうって意味なんですが、これの過去形なんです。 went went went、ちょうどsend sent sentとかlend lent lentっていうのと、
同じようなタイプの同義語goと同じ意味の単語が別にあって、その過去形のwentっていうのが、どういうわけかgoの過去形の位置にスポットはまったということなんですね。
このgoの過去形の位置っていうのは、もともと空いていた。 つまり、go doorはなかったんですね。
なかったので、その空いてたところを埋めるかのように、wentの過去形であるwentがスポットはまって、これが現代まで受け継がれているという、そういうことなんですね。
これのことを補充法、別のところからこの穴を埋める、補充するっていう感じで補充法、suppletionなんていうのが用語なんですけれども、こういうことなんですね。
これ第1段階の説明で、英語式的にはどの教科書にも載っています。語源辞典にも載っています。
ポイントは、むしろ次だと思うんですね。第2段階。 じゃあ、なんでgo doorが入ってこないのかってことです。
wentがそこに入っちゃったということは、今のwentのものが入った、英語式的な歴史的に事実として説明できるんですけれども、なんでgo doorが入らないのというのはまた別の問題ですよね。
これに対しては、英語史はなかなかヒントをくれません。そうではなくて、社会的、教授的なところに理由を求めたいということで、私が言ったのが、
これはわざと予想できない形に保っているんだということです。つまり、go doorであれば予想できるわけです。
動詞というのはEDをつければ過去形になるんですよっていうのが、これは9割うまくいく規則なんですね。
ところが、全くwentの場合は予想つかない。
これは言葉っていうのは、こういうふうな予想できないもの、そして暗記していなければ正しい答えにたどり着かないような、いわゆるひっかけ問題的なことを散りばめているっていうことなんですね。
いわば合言葉です。知ってる人しか知らない。知ってる人同士はお互いに、知ってる仲間同士だね。知っていない奴は部会者だねっていうように、
内と外を分けるある種のリトマス試験として機能しているという、いわばgo went合言葉説ということなんですけれども、この話をしたんですね。
語の過去形の説明
この説についてですね、YouTube上でいくつかのコメントをいただきまして、例えば、go wentでなくても不規則形っていうのはいくらでもあるわけですよ。
例えば、come came comeだってそうですし、sing sang sungだってそうですし、いわゆる不規則形として、覚えなければいけないものって、ざっと数えても60個ぐらいあるんですよ、動詞で。
これは覚えさせられるわけなんですけどね。他にも、なんか変だなっていうのはいくらでもあって、例えば3単元のSだってそうじゃないかと。
なんであんなところにSがつくんだということでいえば、他のマジョリティからすると、やはりかなりの例外的というかマイノリティなので、これ不規則と言えるわけで、こういうことも関係するんじゃないか。
さらには、例えば日本語でも動詞では、下行変格活用、下行変格活用、いわゆる下辺、左辺というような変格というのは、これイレギュラーってことですから、これ同じことじゃないかと。
英語のgo wentとか、あるいはYouTube上でも述べましたが、B動詞ってのもめちゃくちゃなわけですよね。
Bで始まって、is, am, are。過去形、was, wereというふうになって、過去文式はbeen。こういうのと同列にgo wentも考えられるわけで、不規則っていうのはいろいろあるじゃないかっていうことかと思うんですね。
こういった、いわばトリックとか罠とかいったんですが、これを言語の中にちょろちょろっと埋め込んでおくっていうことなんじゃないかという仮説なわけなんですけれども、
これ本当に言うと、別にこのgo wentに注目して、この仮説が通用するって言いますかね、成り立つということよりも、何でもいいんですよ。go wentじゃなく、いわゆる不規則っていうものを持ってくると、この仮説にはまるんですね。
そういう意味では、ある意味、ちょっと強力すぎる仮説っていうことなんですけれども、go wentの場合は一文字もかぶっていないという意味で、本当の意味での不規則、絶対に覚えなきゃいけないタイプの不規則ということなので、例に挙げたということなんですね。
逆に言うと、英語式的、歴史的になぜwentになったのかっていうのは、wentの過去形がハマったんだよという言い方であるとか、あるいは三単元のsでも、不規則のように見えますけれども、歴史的には脈絡があって、こうなってsがつく、それが今残ってるだけなんだとか、いろんな言い方ができます。
日本語の下辺、左辺というのも、歴史的に説明できるんですね。歴史的には、いろいろと不規則っぽいものが生じてきてしまうという背景を説明するには、歴史的説明って結構有効なんですね。なぜwentなのか。
そこは説明できるんですけれども、結局は、現在までに規則化せずに、不規則的なものが残っちゃってるっていうところで、現在がゴールですから、残ってますねということで終わりなんですね。
ポイントは、この歴史的な様々な歴史説で不規則のまま残ってしまったこれが、この形が、何で規則化してこなかったかであるとか、あるいは今後も規則化する兆しが今のところなさそうなのかという、そちらの質問に答えるっていうのが、先ほどの社会言語学的な考え方。
不規則性は、つまり有しとそっとと分けるツールとして、トリックとして利用しているっていうことです。不規則性は過去からの与えられたもの、ギブンですね、所有のものとして現代に残っている。そしてその不規則なまま現代に残っているものを利用するっていうことなんだと思うんですね。
現代の言語が、ある目的のために利用するっていうことなんで、その例として、go wentっていうのが一番分かりやすい、似ても似つかない形の対応なんで挙げたということで、実際にはこれは指摘していただいたようなコメントで挙げてもらったような、三単元のSでもそうですし、com.km.comでもそうですし、
基本的に不規則と呼ばれるような言語項目ですね。これの全ての役割とは言わないんですけれども、役割の一部は、うちとそっとと分けるある種の罠、トリックとかトラップと言ってもいいと思うんですけれども、こういうものとして利用されている。
それぐらいの意味の仮説と言いますかね、考えていることなんですけれども、これは先ほども言いましたが、あまりに強力すぎて反証可能な形の仮説を取っていないんですけれどもね。
言語の不思議と考察
ただ、社会的にこういった役割っていうのが言語には備わっているだろうなというのは、この不規則性の問題だけではなくて、いろんな問題、スラング、ジャーゴン、アーゴット、暗号、そしてタブー、合言葉ですね。
こういった問題と全て、密接に関わっているんではないかと。それが一般の言語にも相当薄められた形ではあるんですけれども、存在しているというような、そういう考え方っていうことですね。改めて、この問題について皆さんも考えていただければと思います。言葉って大変不思議なものだと思います。
それではまた。
13:52

コメント

スクロール