2025-07-04 12:56

heldio #349. 市川誠先生との対談 ウスターとカステラ

#英語史 #英語教育 #英語学習 #地名 #発音
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サマリー

このエピソードでは、市川誠先生との対談を通じてウスターとカステラの語源やイングランドの地名に関する興味深い関係を探求している。ラテン語由来の地名が日本語にどのように浸透しているかを学び、さらにスカンジナビア語由来の地名についても触れている。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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ウスターとカステラの語源
今回は、市川誠先生との対談、第2回目になりますが、ウスターとカステラ、レスターとリア王という、この4つ何が関係あるんだと思わせるようなタイトルで対談したいと思います。
市川先生、おはようございます。 おはようございます。
ちょうど1ヶ月半ほど前ですかね、4月2日の第306回の放送で、オシャマンベはイングランドかという、とんでもないタイトルでですね、非常に多くの方に聞いていただいたようで、まさかのね、今のキムチでいらっしゃるオシャマンベとイングランドの地名ですね、というのが関係があるなんていうことで、びっくりしたんですが、
反響いかがでしたかね、周囲でといいますか。
まあ、喜んでもらった、苦笑してる人もいたので、反省しています。
いやいや、面白かったんですが、地名の話題ということで、この間いただいたんですけれども、実際にはね、英語誌と地名であるとか、イギリスと地名っていろいろ話の話題があると思うんですよね。
そこで、今回補足といいますか、また違った観点から英語の地名といいますか、イングランドの地名等々についてお話しいただきたいんですが、今日はどういうお話しいただけるんでしょうか。
はい、前回の放送で私はケルトン語由来の地名について触れたんですけど、イングランドにはケルトン語に加えてラテン語由来、スカンジナビア語由来の地名がありますので、お知らせしたくてまた登場させていただきました。
はい、ラテン語っていうのは大体わかりますね。スカンジナビア語っていうのは、要するに北欧の、当時のっていうことかと思いますが、北欧の言葉ということでいいんですかね。
そうですね。いわゆるコ・ノルド語ってやつですね。
はい、じゃあラテン語とスカンジナビア語っていうことなんですが、順にいきましょうか。じゃあラテン語由来の地名って、例えばどういうものがあるんですかね。
はい、ラテン語ですけど、紀元前60年にユリウスカエサルがブリテン島を侵略して、西暦5世紀までローマ人がブリテン島を占領していたんですね。
その時、ローマ人がブリテン島の至るところで砦を建設しました。その砦っていうのはラテン語でカストルムと呼ばれています。
そして、その砦から発生した要素にチェスターという地名があるんですけど、例えばイングランドにはテスター、ゴルテスター、ローチェスター、マンチェスター、ウィンチェスター、ランカスター、ドンカスター、グロスター、ウスターなどがあります。
これらの地名はローマ人がその土地で砦を築いたことに由来しているわけです。
カストルムっていうのがラテン語ですかね。それがチェスターとかスターと短くなったり縄ったりするっていう感じなんでしょうかね。
そうですね。
大体短くなってチェスター、スターぐらいになっていくわけですね。英語の中で。
そうです。それがラテン語由来の地名ということになります。
なるほど。今いくつか挙げてくれましたが、どれか一つ説明いただけるとありがたいんですけれども。
今挙げた地名の中にウスターというものがあります。
ウスター、実は皆さんもご存知でウスターソースのウスターなんですね。
ウスターソースっていうのは、19世紀にウスター出身の人が作ったソース。
そうすると日本語にも仲間になっているウスターの、この前スターの部分っていうことでいいんですかね。カストルムに由来する。
そうですね。つまり日本語にこのラテン語のカストルムを含む要素の単語が入ってきているということもできます。
そういうことになりますね。語源をたどるということですよね。なるほど。他にありますかね。
実は日本語にはカストルム由来の単語がもう一つあります。それがカステラです。
お菓子のカステラのことですか。
お菓子のカステラです。
確かにカストルム。
お菓子のカステラなんですけど、これはポルトガル語のカステラでスペインのカスティーダ地方をポルトガル語に表記したものです。
ポルトガルカスティーダ地方のお菓子、カステラが日本に伝わって、お菓子の名前としてカステラが今定着しているわけです。
なるほどね。そうすると、起源としては全部カストルムに戻っていくっていう感じですかね。
ウスターはイングランドの地名なので、イングランドにそれが入ったもので、
一方カステラはカスティーヤというスペイン語に入ったスペインの地名として入ってきたのはポルトガル経由で日本に来たと。
なるほど。じゃあだいぶ違う経路ですけれども、結局のところ日本にたどり着いたっていうニゴなわけですね。
そうですね。だから、もし食卓にウスターソースとカステラがあったら、ラテン語のカストルムを語源に持つ2つの食べ物が異なる経路を通って日本で遭遇してしまったということになります。
なるほど。これは面白いですね。気づかなかったところですね。
このニゴがラテン語由来ということで、日本語にまで入ってきているという地名に関係する話題だったんですが、
スカンジナビア語由来の地名
もう一つ冒頭におっしゃったスカンジナビア語の話ですが、このスカンジナビア語由来の地名っていうのはどういうものがあるんでしょうか。
その前に歴史的ないきざつを説明しますね。
アングロサクソン年代記という皆さんもご存知の歴史書があるんですけど、その年代記によると994年にバイキンは初めてイングランドに襲来しました。
その後、9世紀にアルフレッド大王とグスラムというバイキンの王様が条約を結んだと、バイキンはレインローというイングランドの東部の地域に定住したんですね。
そのためイングランドにはスカンジナビア語由来の要素の地名がたくさんあります。
例えば、グリムズビー、ウィットビー、ダービー、ラグビー、ソンズビーなどが主な例です。
ビーがつくやつですね。
これらの地名に含まれるビーという要素がスカンジナビア語で都市や農場を意味してるんですね。
みなさんもご存知のように、ダービー、ラグビーというのはスポーツファンにおなじみの地名です。
あとイングランド東部のハンバーガーという川があるんですけど、その河口にあるグリムズビーという町があるんです。
そのグリムズビーというのはグリムの町ということで、このグリム、誰かというと中英語のロマンス作品に出てくるの一つである、
田園人のハベロックに出てくる登場人物です。
なるほど。前回の放送でも市川先生のことを紹介いたしましたが、
ご専門が古英語や初期中英語の語学であったり、当然文学作品で研究されたりするわけですが、
今出てきたロマンス作品という田園人のハベロックというのもその関心持たれている時代の代表作品ではありますよね。
他に中英語の作品のようなところから、同じような地名由来の話というのは何かありますでしょうかね。
今堀田さんに紹介してもらったように、私の専門は古英語と中英語なんですけど、初期中英語の作品にはブリトン人の歴史を描いたラハモンのブルートという作品があります。
そこでラハモンのブルートを読むと、このような記述があります。
ちょっと引用させてくださいね。
ブラッドドーにはレイルという名の息子がいた。レイルは父の死後60年間この国を支配した。
彼は優れた技術を持ち立派な城を建て、そこに町を作り、それに自分の名前を付けた。
この町はカエルレイルで、今日我々はそれをレスターというのがあります。
レスターという町ですね。これ関係するってことですか、この名前と。
そうですね。レスターという町、この町、日本でもサッカーの岡崎選手が所属していたレスターというサッカーチームの名前で有名です。
この名前、テルト人の王様の名前、レイルとラテン語の先ほど言ったカストルムから派生した要素が組み合わさったものとなっています。
ちなみにこのレイル王、もうすでに皆さんご存知の方もいるかもしれませんが、シェイクスキアのリアウのモデルになった王様で、
このラハモンのブルートや、また別の作品、ジェフリーオブママスのブリタニア列王子を読むと、リア王と同じく3人の娘が出てくるということがわかります。
なるほど。そうするともうすでに私たちも日本語の中で知っている文学作品の登場人物であるとか、
そういうものと例のレスターという町の名前が関係しているということなんですかね。
面白いのは、レイルでカストルムということなんですよね。これが合わさって、先ほどのウスターもそうですが、随分短くなっちゃうもんですね。
地名の歴史と文化
それゆえイングランドの地名、つづりで読もうとしても、発音と違うのはなぜかというと、やっぱり長い歴史的な逸脱があるということがわかります。
なるほどね。これ前回の話に戻っていきますね。なかなか読めない北海道の地名みたいな漢字で当てられてもというような歴史があって、強引に当てはめたり、あるいは昔の音を表すつづり字は残っていても発音上はだいぶ短くなったりとか、地名というのは常に難しいですよね。
そうですね。難しい、その一方で歴史を知る手がかりともなる重要な証拠であると言えます。
確かにね、これは伝わらないと何と何がくっついた単語っていうのは畳にはわからない感じですね。
ただ非常に身近なものですので地名というのは、ここから英語詞であるとか語源っていうのを学べるっていうのは大変面白いなと思いました。
本日も続いて地名と語源ということを引っ掛けて非常にためになるお話をいただきました市川先生。大変勉強になりました。ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
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