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2024-08-05 10:00

heldio #16. そもそも English という単語はナゾだらけ!


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった
英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、そもそも English という単語はナゾだらけ、という話題です。
この English という単語、E-N-G-L-I-S-H。 聞き慣れても見慣れてもいる。もう見飽きた、聞き飽きたという人も多いかもしれませんが、
この当たり前の単語には、いろいろとナゾが含まれているということなんですね。 そもそも、なんで E-N-G と書くのに、これを Eng ではなく English と呼ぶのか。
国名としてのイングランドもそうです。 エングランドと書いて、イングランドと呼ぶということですね。
これ E-N-G のような書き方で、これを Eng ではなくイングと読むのは、英単語は無数にありますけれども、実はこの単語だけなんです。
非常に重要な単語ですよね。 当然ながら言語名でもありますし、国名でもある。
それなのに実は非常に例外的な綴りをしているんですね。 謎はそれだけではなくて、そもそも語源は何なんだというところから気になってきますよね。
この辺の話をしたいと思います。 まずは語源から行きたいと思うんですね。
そもそもこれどういう成り立ちなのかと言いますと、 英語の歴史を遡ります。
もともと英語は449年にヨーロッパ大陸にいたある民族が、 今のブリテン島に侵入したというところにターンを発するんですね。
そのヨーロッパ大陸にもともといた民族というのは、ゲルマンの兄弟三部族、三民族で、
今のドイツ北部からデンマークあたりに居住していた、 アングル人、サクソン人、ジュート人、この三部族がですね、伝説によると449年にブリテン島に侵入、攻め込んで、 そしてその土地を占拠したということになっています。
これお互いに兄弟部族でして、言葉も多少違ってたんですが、 旗から見れば同じ言葉を喋っているっていうことでしたね。
これが英語だったわけです。まだ英語とは呼ばれていませんが、 これがブリテン島に持ち込まれて、そこに根付いたということですね。
この三部族なんですが、アングル人、サクソン人、ジュート人ですね。 このうち、この二つ目に挙げたサクソン人というのが、初期の頃はですね、この三部族の代表選手といいますか、
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代表として呼ばれていまして、例えば南のローマ人がですね、 ラテン語でこの三部族のことを総称して、サクソンの名前に由来するサクソネース、サクソン人とか、 あるいはサクソニア、サクソン人の土地って意味で呼んでたんですね。
元々のサクソン人を指しただけでなくて、ローマ人にとってはあまり区別つきませんので、 アングル、サクソン、ジュート、三部族のことを総称して、このサクソン人の名前を借りて総称していたということなんですね。
ところが449年に、これらの部族がブリテン島に侵入してですね、そこに居住したということになりますと、
7世紀以降はですね、ラテン語の文献でもサクソネースとかサクソニアという呼び方はやめてですね、 アングル人に由来するアングリーとかアングリアというような呼び方が通用してくるんですね。
つまりどうも重心がサクソン人からアングル人の方にバトンタッチしたっていう感じなんですね。
このアングル人のアングルっていう単語の由来は、ドイツ北部のですね、釣り針、これエンゴですね、A-N-G-L-Eっていう現在もある単語ですが、
この釣り針型の地形をした土地にちなむということで、その土地の名をアングル人、そこに住んでいた人をアングル人というふうに読んだという地名に由来するわけなんですけれども、
このアングル人がこの三部族の代表の名前を提供するようになったわけですね。
なので南のローマ人はアングリーとかアングリアと呼ぶようになったっていうことです。
これは外からの呼び方っていう話ですね。じゃあ中、内部ではどうだったのか。アングル、サクソン、ジュート、ちょっとした鉛はお互いありましたが、全体としては同じ言語を喋っているっていうことで、この言語の名前はですね、早くからどうもアングル人のこの名前を取ってアングルに一種をつけたですね。
これは形容詞を作ったり言語名を作ったりする一種です。このアングル一種という形で、これがイングリッシュになっていくわけです。つまりアングル人の言葉ということです。
実際にアングル人もサクソン人もジュート人もいて、彼ら全ての言葉を総称して、今でいう英語を指していたわけなんですが、アングル人の名前が取られたってことですね。アングル一種ってことです。
そしてその後、そこにできてきた王国の名前もですね、アングル人の名前を取ってアングルプラスランドですね。
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ということで、これが名まってイングランドと。つまりイングリッシュとかイングランドのイングの部分はアングル人に由来するっていうことなんですね。
さあここで問題なんですが、なぜアングル人として始まったのに、これがイングルみたいになってしまったのかと。つまりアがイになっちゃったんですね。
これ音声学という分野を勉強するとですね、アとイっていうのは一番反対の位置にある母音なんです。下の位置が違うんですね。アというのは口を大きく開きます。
一方、イというのは口を狭めます。その間にエとかアとか中間音があるんですが、とにかくですね、全く反対方向の母音なんですね。
アングリアのアンと今のイングリッシュのイ。どうしてここまで変化してしまったかということになります。
そもそもですね、アングル人、アングル族っていうところで始まったんですけれども、次にアングリとかアングリアという表現があったわけですが、このアングリのイの音に影響されてですね、その前に来るアンがですね、エの音になるんですね。
アポのアンになります。だからアそのものではなく、ちょっとエに近いエンなんですね。まずこれが第一歩です。アングリからエングリ、エングリ、エングリになります。
さらに、このエヌの音ですね。エヌとかNGの鼻に抜く音です。ビ音と言いますが、これが次に来る場合には、このエの音がさらにですね、エの音になる。日本語のアイウエのエです。
結局、アングリだったものがエングリを経て、エングリっていうようにエングルになってしまいました。これはちょうどですね、マンの複数形がメンになるのと同じで、アだったものがエを経てエになってしまったという例なんですね。
さあ、ここまで母音が変わってしまいました。エングリになったんですね。これでしばらくですね、エングリッシュとかエングランドとずっとやってたんですが、次に14世紀、だいぶ後ですが14世紀になってですね、このエングっていうENGで表されるエングの音がですね、さらにですね、変化してイングになっちゃうんですね。これが今のイングランド、イングリッシュということです。
通常ここまで発音が変わるとですね、綴り字も連携してENGだったものがINGになったりするってことは、他の単語でいっぱいあったんです。例えば、今で言うとSINGですね。歌うですが、これ古くはセングだったんです。
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ですが、ENGはのきなみINGに変わりましたので、14世紀ぐらいに。それに合わせてちゃんと綴りも変わってですね、今ではSINGと書くわけですよ。他に例えばですね、WINGですね。翼です。あれももともとWINGだったんです。それがWINGになってしまったので、しょうがないからスペリングも合わせてWINGと書くようになったというふうに、だいたい連動してですね、スペリングも書き変わったはずなんですが、
この最重要といえば最重要です。この2つの単語、EnglishとEnglandについては、English、EnglandがEnglish、Englandに変わった後も、どうも綴り字は末置きだった。そのためENGのまま綴られる。
現在の英語の中で、ENGと書いてINGと読むのは、この2つの単語だけということになります。ではまた。
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