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2025-01-02 10:00

heldio #166. なぜ score は得点のほかに20の意味をもつの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #古ノルド語 #数詞
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する
素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ score は得点のほかに20の意味をもつの、というものです。
score という日常的な単語があります。 score ということで、得点という意味で普通に使われる日常語だと思うんですね。
ですが、この得点の意味のほかにですね、 score には実は 20 つまり 20 の意味があります。
これ何のこっちゃと思うわけですけれども、これたまに使われるんですね。 例えば聖書に基づいた表現で、人間の寿命としての70年ですね。
つまり、3つの score はこの場合 20 って意味なんですが、つまり 3 × 20 っていうことで 60 and 10 っていうことなんで、まあ達して70年のことですね。
3 score years and 10 なんていう表現が聖書にあります。 それから有名なリンカーン大統領のですね、ゲティ・スパーク演説、ここでは冒頭にですね、
4 score and 7 years ago という表現が出ますね。 これ 4 score and 7 っていうことですから、87年前という表現ですね。
日常的に使われる表現ではありませんが、この 20 を一単位とした数え方ですね。つまり score という表現が用いられるっていうことがあるんですね。
この一般の得点の場合の score っていうのは、複数形になれば scores となるんですが、この 20 を意味する場合には、今2つの例を挙げたようにですね、
3 score years と言ったり、4 score and 7 years ago と言ったりしたように、これ単幅同型なんですね。
ただ語源としては同じです。 得点も20も同じ語源ということですね。
なぜこのような多義、得点を意味し、そして20も意味するということになっているのか、 これをですね、語源の観点から探ってみたいと思います。
この単語は、古英語から見られるんですが、実は本来の古英語、英語の単語ではありません。
実は、古ノルド語、現在の北欧語ですね、様々な北欧諸語、 デンマグ語とかノルウェー語とかスウェーデン語、こうした北欧の言語の祖先の形である古ノルド語と呼んでいます。
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英語ではOld Northと言いますが、この言語から英語が借りたものなんです。 本来の英語ではなくて、あくまで古ノルド語の単語だっていうことですね。
スコアです。 古ノルド語ではSKORというふうに綴ったんですけれども、これが何を意味したかというとですね、
実は元々、刻み目とか割り譜ということですね。 つまり、数を数える際に刻み目をつけていくわけですよ、ものにね。
その1単位がどうも20だったっていうことなんですね。 古英語期の後半にあたる8世紀半ばから11世紀にかけてというのは、イングランドが古ノルド語を母語とする、いわゆるバイキングたちに襲われたという年代なんですね。
この時期に英語は古ノルド語から大きな影響を受けたっていうことです。 バイキングの進行に伴って言語的にも大きな影響を受けたっていうことですね。
そうして当時の英語が古ノルド語から大量の単語を釈用したんですが、その1つがこのSKORという単語だったっていうことですね。
すでにその当時からですね、バイキングの古ノルド語ではですね、いくつかの意味がありました。
先ほど述べたように割符といいんですね。 そして刻み目。そして刻み目が20を単位として、20ごとに1つの切れ込みを入れていったっていうことで20というふうに繋がるわけです。
つまり特典という意味はですね、むしろここから派生して出たものであって、もともとは刻み目とか20という意味が先にあったっていうことですね。
そして典型的に何のために刻むかということで、これが特典とか点数という意味になっていった。
つまりこの単語自体は小英語の後期に借りられていたんですけれども、特典という今の一番普通の意味がですね、出るのは中英語の後期になってからなんですね。
ですので今一番よく使われる特典、そしてマイナーな意味である20という、現代ではそういう使い方なんですが、意味の発生した順序はむしろ逆だっていうことですね。
20の方がむしろ早くて、その後に特典と、そういう流れだっていうことなんですね。
さてこのスコアというコーノルド語由来の単語なんですけれども、英語とコーノルド語はゲルマン語という点でですね、共通はしているわけですよ。
なので実は関連語が本来の英語にもあります。
コーノルド語のスクっていう発音ですね、このスコアのスクっていう発音は英語ではですね、大体シュッっていう音になっちゃうんですね。
SHで表されるような音になっていまして、さあこのコーノルド語スコアの関連語、語源を同じくする語としてはですね、英語側にSHの形でシュッという形で残っています。
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例えばシェア、S-H-E-A-Rですね、これは大鋏という名詞がありますね、動詞としては刈る、毛を刈るなんていう、大鋏で切る、刈るという意味がありますね。
それからシェアっていう単語がありますね、S-H-A-R-Eです。
これは共有するの意味の方ではなく、あまり使わないかもしれませんが、好き、農具の一種である好きですね、好きの刃、好きの先を意味するシェアっていう単語がありますが、これなんかも関連語です。
大元はですね、これ切るって意味なんです。つまり切り刻むっていうことから、この刻む、刻み目という意味のですね、のっちぐらいの意味ですね。
ここから二重、二重を単位刻むっていうことで、コーノールド語で二重という意味が出てきたっていうことなんですね。
これがですね、この二重を一組とする、一単位とする数え方というのが、いわばコーノールド語のワイキングたちの言語ですね、この言語文化から釈要されて、英語でも用いることになったと、そういう次第ですね。
本来の英語にはその二重を単位とする考え方、いわゆる二重進法の発想が色濃くあったというわけではなくて、バイキングからこの発想を借りてきたということになります。
さて、二重進法ということで言うと、フランス語を勉強している方はですね、フランス語もある意味、二重進法の数え方というのを残している言語ではないかというふうに思い当たると思うんですね。
二重のことをフランス語ではVINと言いますね。
そしてフランス語では、八重のことを四つのVIN、四つの二重という言い方をして、QUATRE VINSという言い方をしますね。これで八重を意味するわけです。つまり二重進法の発想ですね。
古くはフランス語ではですね、QUATRE VINS、4×20という発想だけではなく、三つの二重という言い方でTROIS VINS、もちろん60の意味ですね。
それからSI VINS、六つの二重ということで120を意味するとか、SE VINS、七つの二重ということで140を意味するというような表現があったので、フランス語ではこのVINSを一つの基準とする二重進法の数え方というのが伝統としてあったということになります。
このVIN自体は、大元のラテン語でもWE GINTYという形で、ラテン語の段階から二重という発想があったということですね。
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分解すると語源的にはこのラテン語のWE GINTYというものもですね、WE、これ二のことなんですね。
GINTYの部分が実は語源的には10と関係あるので、2×10という発想なんですが、事実上一語と捉えられていてですね、それが分解して2×10になるという感覚はもうラテン語からもなかったと思うんですね。
そしてそれが大幅に簡略化された発音であるVINというフランス語の単語でもですね、これやはり大元が2×10という語源的な発音もなくて、一つの単位とみなされていたと思うんですね。
そしてこのラテン語WE GINTYから派生したものとして英語に入ってきているのがVICENNIALという単語です。
VICENNIAL CELEBRATION、20周年記念という意味ですね。
20C4の話でした。
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